みちのく山形 鷹狩り実演と早春の猛禽類

Report by 簗川堅治 / 2024年3月16日~17日

1日目

天童市には日本でただ一人、イヌワシとクマカタを使って鷹狩りをする松原英俊さんがいます。その松原さんの鷹狩り実演を見る機会を作りました。それに毎年、春の彼岸の頃は、山形市周辺はチョウゲンボウの交尾の最盛期です。そして、まだ田んぼには雪が所々残っていて、そこには北上中のハクチョウ類がたくさんやって来ます。そんなシーンを見るべく企画したツアー。しかし、全国的な暖冬でチョウゲンボウは早々と繁殖を開始、ハクチョウ類も早く北上してほとんどいなくなった中でのツアースタートとなりました。

 

まずはコハクチョウを見に行きました。わずかな場所に200羽以上のコハクチョウがしきりに餌をついばんでいます。嘴についた泥が乾いて、嘴の模様も全然わからないほどです。雪が積もった遠くの山々をバックに飛ぶきれいな光景と見ることができました。

コハクチョウの群れ
コハクチョウの群れ

続いて、クマタカの定点観察です。晴れて風もあり、好条件でしたが、結局現れず。トイレ休憩後、本日のメイン、鷹狩り実演見学です。今回はハリスホークを使っての実演です。まずは放たれた鷹を腕に止まらせる実演です。50m以上離れた場所から、鷹匠さんが鷹を呼ぶと鷹は鷹匠さんの腕めがけ、一直線に飛んでスーッと腕に止まりました。何度か、繰り返しましたが、どれも無事成功。最後は実際に獲物を襲うシーンを見学。離れた鷹は、あっという間に獲物を捕り、生きる糧となる獲物を貪り始めました。獲物がまだ生きている中、食べていきました。残酷さ、生命の尊さ、儚さ、自然の厳しさを垣間見る瞬間です。

鷹匠と鷹
鷹匠と鷹
獲物をしとめた鷹
獲物をしとめた鷹

最後は鷹匠さんの面白おかしい体験談などを聞き、この日を終えました。

 

2日目

まずはケヤキの樹洞で繁殖するチョウゲンボウです。しかし、暖冬ですでに交尾は終わっていて、♀は抱卵中2羽の♂を見るだけとなりました。

周囲を見張るチョウゲンボウ
周囲を見張るチョウゲンボウ

残念!続いて、最上川の河川敷でアオサギのコロニーやキジを見て、昨日見たコハクチョウの場所へ。マガンやヒシクイが混じることがあるのでチェックしましたが、混じっていませんでした。さらに移動し、この時期、地元では珍しいアオアシシギ情報があったので現場に行くも見当たらず、イカルチドリ、セグロセキレイなどを見て、次へ向かいました。

河原にたたずむイカルチドリ
河原にたたずむイカルチドリ

つい最近、ヒレンジャク、キレンジャクが出た場所へ行くと、ヒレンジャクは声のみ、夏羽になりつつあるカシラダカもいましたが、営巣中のノスリが警戒したので、そそくさとその場をあとにしました。最後はクマタカです。昨日の分を取り返すように、♂、♀、そして幼鳥がやや遠いものの飛んでくれ、悠々と飛び続ける姿を全員で見ることができました。

舞うクマタカ
舞うクマタカ

想像以上の暖冬で、鳥たちの繁殖も早くなり、予定していたシーンには出会えませんでしたが、鷹狩り実演や大空を舞うクマタカなど、猛禽類のたくましさ、生き様を垣間見たツアーとなりました。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

初夏のみちのく山形 海から山まで-目指せ100種!【2023】

Report by 簗川堅治 / 2023年6月3日~6日

山形県を一周し、初夏の鳥たちをできるだけ多く楽しむツアー、昨年に続き第二弾です。

 

1日目。出発はガイドの簗川の地元・天童市です。まずは「こんな所で?」という場所でコチドリを観察……しようと思ったらお留守。待っている間に飛んできましたが、通過しただけ。続いては神社へ。沼のほとりで朝をとるヨシゴイを探す前に、コムクドリの巣を発見!忙しそうに給餌する♂♀を観察しました。ヨシゴイは結局現れず。今度は違う神社で巣立ちまであとわずかのチョウゲンボウを観察かわいい!また移動して、こちらでも巣立って大きくなったケリの親子を観察。バンもいました。

チョウゲンボウ
チョウゲンボウ

今度は越夏中のキンクロハジロをゲットしようとしたら、これまたお留守。でも、繫殖しそうなカンムリカイツブリやヒナがいるカイツブリを観察しました。またまた移動です。とある河川へ到着し、繁殖中のヤマセミを観察しました。♂♀で餌を運んでくる様子を観察できました。

ヤマセミ
ヤマセミ

最後はこれまた別の場所でトラフズクの親子を観察しました。この夜、宿周辺でフクロウとヨタカの声を追加し、この日は39種の確認でした。

トラフズク
トラフズク

 

2日目。早朝探鳥でアカショウビン、キバシリ、そしてオオアカゲラを狙います。しかし、それどころか、他の鳥もあまり鳴いておらず閑古鳥状態。結局、キバシリとアカショウビンは声のみ、オオアカゲラはそれらしい声は聞こえましたが確認まで至らず。他、ノジコやコサメビタキ、コガラ、ニュウナイスズメなどを確認して朝食の時間となりました。

モリアオガエルの卵塊
モリアオガエルの卵塊

朝食後は河原ではカワガラスやサシバを確認しました。続いては、ちょっと難関のコジュリンとオオジュリン、そしてアリスイに挑戦。コジュリン、オオジュリン、アリスイは声すらせず。他、コヨシキリやホオアカを観察しました。

探鳥風景
探鳥風景

さらに増やすべく、田んぼなどを回るものの芳しくなく、そうこうしているうちに雨が降り出しました。車内からオシドリ、コアジサシなどを追加しました。昼食を挟んで、強風の中、ダイサギとアオサギのコロニーを観察し、今度は越夏中のキンクロハジロ、オナガガモ、カワアイサを見つけました。ミサゴもやってきて、魚をゲット!

ミサゴ
ミサゴ

今度は海へやってきました。夏は難関のウミウを探すもダメ。遠くからミサゴの巣を見ました。林ではチゴモズを比較的あっさりと観察できましたが、ノスリが営巣しているのか、我々のあとをしつこく追いかけてきて、威嚇の声を上げていました。

チゴモズ
チゴモズ

この日、最後はシロチドリを確認し、38種を新たに加え77種となりました。2日目で80種くらいいかないと、100種達成は厳しいところです。

 

3日目。この日は移動時間が長い部分があるため、あまり数を増やせないのが難点です。まずは山形県でカンムリカイツブリの繫殖が初めて確認された場所へ。カンムリカイツブリがいたくらいで、他はパッとしなかったため、散策路へ移動しました。しかし、ここもパッとしませんでした。隣の池へ移動です。越夏中のヨシガモを発見!さらに目の前でシマセンニュウのさえずり!貴重な2種追加です。その後、林へ移動しましたが、ガスってダメでした。

朝食後は、コシアカツバメやハヤブサ観察し山間部へ。ここでサシバ、クマタカを観察しました。

コシアカツバメ
コシアカツバメ
ハヤブサ
ハヤブサ

話のタネですぐ隣の家が新潟県という珍しい県境を見ながら一旦、新潟県に入り、グルっと回って再び山形県内へ入りました。ブッポウソウを待ちます。つがいと思われる2羽を無事、観察できました。ニュウナイスズメも追加。

ブッポウソウ
ブッポウソウ

さらに移動して湿地帯で山形県でもっとも見づらく、絶滅危惧種筆頭のセッカを探しましたが、風が強かったせいか、外しました。この日の最後は、急きょ予定を早め亜高山帯へ行くものの、強風で全然ダメでした。観光名所の「蔵王のお釜」を見て、宿へと向かいました。

 

4日目。いよいよ最終日です。昨日のリベンジで朝食前に亜高山帯でビンズイ、ホシガラス、ルリビタキ、アカハラ、クロジなどを順調に追加しました。

クロジ
クロジ

朝食後は昨年、山形県で初めて繫殖が確認され、今年も繁殖中のジョウビタキを観察。平地へ移動し、アオバズク、そしてチゴハヤも追加。

ジョウビタキ
ジョウビタキ
アオバズク
アオバズク
チゴハヤブサ
チゴハヤブサ

さらに移動し、クマタカを待ちながらお昼にしましたが、残念ながら現れず。イカルチドリやコチドリを観察し、最後は抱卵中のヨシゴイを追加し、すべての行程を終えました。

 

結果は、昨年を1種上回る105種でした!

 

せわしない日程でしたが、たくさんの鳥を観察することができました。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!