初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年6月11日~16日

 

6月11日(土) 1日目 曇りのち雨

集合時間にみなさん間に合ったので専用車に乗り、雨が降る前に霧多布に向かいました。出発時は曇りだったのですが、目的地に近づくにつれて雨が降り出します。霧多布岬は霧の中で視界がききません。当然ラッコの親子の姿を見ることも不可能なので残念ですが宿に向かう事にしました。途中オジロワシがテトラポットにとまっていましたが、写真的にイマイチだったので停まらずに通過させてもらうことにした。移動途中にタンチョウがいる場所を通過するので、いないかなと探していると廃校になった小学校にいました。車外に出ると逃げてしまうので、車内から撮影をしてもらいました。この日は雨が止まなかったのでここで終了となりました。

 

6月12日(日) 2日目 曇りのち大雨

晴れていれば4時30分や5時からスタートしたいところですが、曇っていて暗かったので6時から宿の前で撮影開始です。タンチョウのペアが風連湖にいたのでセンダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮ってもらったり、草むらでさえずる小鳥をさがして撮影しました。

センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
風連湖にいたペアのタンチョウ
風連湖にいたペアのタンチョウ

朝食後に車へ荷物を積み込んでいると道路の対岸に真赤なベニマシコのオスが出たので、居合わせたみなさんは撮影を楽しまれたのですが、遅れた2名が撮影できなかったのが悔しかった。

オスのベニマシコ
オスのベニマシコ

落石港へ向かう途中に立派な木にとまるオジロワシのペアがいたので、ゆっくり静かに近づくが全く逃げる気配がないので、橋の上からがっちりと撮影することができました。

オジロワシ
オジロワシ

落石クルーズは少し波が心配でしたが無事出航することができました。初めはウトウがちらほら出ますが、波があるので船が揺れる、揺れる!そのため撮影の難しいこと。

ウトウ
ウトウ

ふと上を見上げるとずんぐりむっくりの鳥が飛んできました。(ずんぐりむっくり・ウトウよりも高い場所を飛ぶ???)気が付きましたが咄嗟で声が出ません!「エトピリカ!」と叫ぶと幸か不幸かあまりにも近くを飛んでいたのでみなさんが見上げた時にはすでに後ろ姿を見送るだけになってしまったが、ここ数年数を減らしているので観られただけでも超・ラッキーという事になります。

エトピリカ
エトピリカ

その後はガイドさんが若いツノメドリを見つけてくれて何とか撮影もできました。今年はチシマウガラスが多く見られるというのでその岩場へ。揺れる船上からの撮影はなかなか難しいですが、しっかり撮れたとのではと思う。参加者の皆さんはピンと来てないようだったので説明をしっかりしておく。この鳥は滅多に見られないし、夏羽なんて超レアなんだよと(笑)

ツノメドリ
ツノメドリ
チシマウガラス
チシマウガラス

その後はラッコがいる岩場へ行くと、まず親子が見られました。自分的にはこれでラッコはOKだったのですが、その後に海藻に身体を巻き付けた10数頭のラッコの群れに遭遇!これはまるでカリフォルニアじゃないか!こんなことは初めてで私自身が興奮をしてしまいました。

海藻に身体を巻き付けたラッコ
海藻に身体を巻き付けたラッコ
10数頭のラッコの群れに遭遇!
10数頭のラッコの群れに遭遇!

周辺ではケイマフリがちらほら出てくれたので撮影もできたと思います。港に入る手前でトウゾクカモメが出現。撮影はできなかったと思いますが、本来ならば沖合にいる鳥なので港近くで見られただけでもラッキーです。

ケイマフリ
ケイマフリ

本当にラッキーだったのはこの後かもしれません。船から降りて車に乗った瞬間から雨が降り出しました。結局、宿に入るまでこれが降り続けることになるとは。宿に戻る途中にある、走古丹、野付半島を雨の中で生き物を探しますが、結果はパッとしません。それでも走古丹でエゾタヌキを見られたことは個人的にラッキーでした。何しろ溜めフンは見たことがあったのですが、生きてる姿は初めてだったからです。宿に到着後は、宿の向かいにある天然温泉へ希望者だけ入浴をしてもらい楽しんでいただきました。

6月13日(月) 3日目 雨のち曇り

雨が降ってなければ5時出発の予定でしたが、雨が降っていたので6時出発に変更しました。野付半島ではシカの食害で一番撮影がしやすい場所の草が減ってしまい、小鳥たちが巣造りができないため数が激減しているようでさっぱり!それでも何とか花が咲いている別ポイントで歩きながら撮影をしてもらいましたが、気温が低いので小鳥たちが花に上がってきません。気温が低いのでエサの虫が地面近くにいるためです。それでもカッコウだけは周囲を飛び回ってくれるのでこの場所はまだ多くの小鳥たちが繁殖していることがわかりました。しかしここで小鳥たちのアップが撮れないのが悔しい限りです。

エゾシカ
エゾシカ
カッコウ
カッコウ

2時間もするとみなさん寒さで疲労困憊している様子なので一旦トドワラのネイチャーセンターで休憩をしてもらうことにした。到着と同時に私の電話が鳴る。嫌な予感がする。やはり尾岱沼のクルーズだ。「本日は波が高いので船は出ない」と伝えられる。困った!野付もダメ、船もダメ、天気もダメの八方塞がりの中、急遽地元の知人にこの周辺でいいポイントはないかとメールで聞くと近くにある公園を教えてもらった。合わせて翌日予約してあるシマフクロウが撮影できる宿にも電話をして今日、空きがあれば入れるかと聞くと大丈夫という事で、ほっとする。今日の船は乗れないがシマフクロウのチャンスが1回増えたことを伝えるとみなさんの表情が穏やかになった。

休憩後は知人に教えてもらった公園へ行き撮影を楽しむ。草原・湿地・森林と狭いながらに多様な環境があることでいろんな鳥たちを楽しむことができました。園内にはクマが出るようで公園事務所でクマ鈴を借りて散策します。クマ本体には出くわさなかったが「うんち」を観察することができました。夜も撮影があるので早めに宿に入り夕食まで各自での休憩にしました。宿は西遊旅行社の所有の宿「知床サライ」です。夕食は羅臼と思えないほどの手の込んだおしゃれな料理で、夜の撮影が無ければもっとエンジョイができたのではとちょっぴり残念な気分になってしまいました。

シマフクロウは、今年はヒナが2羽いてひんぱんにエサを捕りに来るという事で、ペアでの出現が19時50分、20時50分と続いたがその後は出現が無く、予定どおり23時に終了としました。(出なかった場合は12時まで粘る予定でした)

獲物を捕らえたシマフクロウ
獲物を捕らえたシマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の道東でバードウォッチング三昧!【前編】

Report by 吉成才丈 / 2022年2月8日~13日

 

厳冬期の道東に行ってきました。
冬鳥が少ない傾向は北海道でも例外ではありませんでしたが、たくさんの成果がありましたので、参加者の皆さんから寄せられた写真をもとに結果をレポートします。

 

1日目
釧路空港で集合後、小林牧場でタンチョウを観察。雪原には50羽以上のタンチョウがおり、幼鳥を交えた家族群れの姿もある一方、つがいが幼鳥を追い払いような行動もみられました。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)
タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)

そして夕暮れが近づくと、数羽から十数羽単位でねぐらに向かいはじめます。夕焼けのタンチョウは、とてもきれいでしたね。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)
タンチョウ
タンチョウ(奥田恵子様 撮影)

 

2日目
この日は日の出前後のツルのねぐらを観察するため、かなり早い時間に出発。現地では暗いうちにスタンバイして夜明けを待ちましたが、気温はマイナス18度と程よい寒さ..。少しずつ明るくなると、はるか先にツルの集団が見えてきました。毛嵐のなかにたたずむツルたちを、刻々と変わる光線状況で堪能できました。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)

そして午前は、2箇所のフクロウポイントを訪ねました。幸いにも両方とも在宅で、異なるシチュエーションで休息するフクロウが観察できました。フクロウは何度見てもいいですよね。

エゾフクロウ
エゾフクロウ(大野一郎様 撮影)
エゾフクロウ
エゾフクロウ(大野一郎様 撮影)

午後は火散布で、おもにカモを狙ってみました。ホオジロガモはディスプレイを行っており、ユーモラスな仕草が楽しめました。

ホオジロガモ
ホオジロガモ(森久美子様 撮影)

ウミアイサも結構近くで観察でき、虹彩の色までバッチリ確認されました。冬の北海道のカモは美しい種が多く、どれも見逃せませんね。

ホオジロガモ
ホオジロガモ(森久美子様 撮影)

水に入るタンチョウの姿も見られましたが、雪原にいるよりも寒そうに感じられました。

タンチョウ
タンチョウ(大野一郎様 撮影)

3日目
この日も朝は、火散布を訪ねました。見られた鳥自体は昨日と変わりませんが、陸で休むホオジロガモを発見。あまり見ない光景ですね。

ホオジロガモ
ホオジロガモ(大野一郎様 撮影)

岸辺では、オオハクチョウとエゾシカの姿も見られました。北海道らしい光景ですね。

オオハクチョウ
オオハクチョウ(大野一郎様 撮影)

火散布のあとには霧多布を訪ね、電線にとまっていたケアシノスリをゲット。獲物を狙ってとまり位置を変えたり、狩りを試みる様子も観察できました。また海上では、ラッコの姿も確認できました。

ケアシノスリ
ケアシノスリ(大野一郎様 撮影)
ケアシノスリ
ケアシノスリ(大野一郎様 撮影)

午後には一気に根室半島先端に移動し、温根元や納沙布岬で海鳥を観察。遠くて写真は難しかったですが、ケイマフリやウミバト、アカエリカイツブリなどが見られました。

温根元のハイド
温根元のハイド
美しい夕焼け
美しい夕焼け

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

冬の道東でヒメクビワカモメとワタリガラスを探す旅

Report by 簗川堅治 / 2022年1月7日~10日

北海道には憧れの鳥たちがたくさんいます。ヒメクビワカモメは冬の筆頭かもしれませんし、ワタリガラスも上位に入るでしょう。その2種に的を絞ったツアーです。

 

1日目。天候が荒れていれば、ヒメクビワカモメの期待が高まりますが、残念ながら荒れてはくれませんでしたので、ヒメクビワカモメの可能性はほとんどなくなりました。この時期の北海道は、まだ日の入り時刻が早く、16:00です。集合後は一刻も早く移動して、鳥を見る時間に当てたいところです。しかし、こともあろうに飛行機の到着が30分遅れ、この日の観察時間は30分程度しかなくなりました。ワタリガラスのポイントで待つも、もうねぐら入りしてしまったのか、ワタリガラスも他のカラス類も見ることができませんでした。明日にお預けです。

 

2日目。今日も朝からいい天気ですので、ヒメクビワカモメは期待できません。それでも念のため、ポイントに行ってみました。案の定、ヒメクビワカモメどころか、他のカモメ類すらいません。それどころか、いつもたくさんいるオオワシ、オジロワシ、オオハクチョウすらいない有様です。今シーズンは、全国的に冬鳥が芳しくないのですが、北海道も同じようです。そんな状況下で、わずかなカワアイサやクロガモ、コオリガモなどを観察し、次のポイントへ向かいました。

 

ポイントで出迎えてくれたのは、ワタリガラス!……ではなく、なんとクマタカでした。若い個体が木に止まって探餌をしているようです。

クマタカ
クマタカ(撮影:山本尚佳様)

周りにはカラスが群れていたので、ワタリガラスが入ってないか期待するもいませんでした。その後も、ハシブトガラス、ハシボソガラスは出るものの、ワタリガラスは出ず、時間切れ。海上もシノリガモがいた程度でした。

シノリガモ(撮影:山本尚佳様)

次のポイントに移動です。移動途中、カラス群れをチェックするもハシボソガラスでした。ワシで有名な羅臼到着です。しかし、ここもワシがほとんどいません。一体、どうしたのでしょうか?異常事態な感じです。まずはたくさんのカモメ類の群れを観察。ほとんどはオオセグロカモメでしたが、ワシカモメ、シロカモメ、カモメ、ユリカモメが混じっていました。オオハクチョウやシノリガモなどもいました。

 

とある場所で定点観察をしました。

クナシリを望む(撮影:山本尚佳様)

ホオジロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、シロエリオオハムなど見ながら、ワタリガラスが出るのをひたすら待ちます。

ホオジロガモ(撮影:山本尚佳様)

ワタリガラスっぽい個体も出ますが、どれも違いました。なかなか手強いです。ついにここでも時間切れ。移動しながら、カラス群れをチェックすましたが、ハシブトガラスのみ。

 

3日目。ワタリガラス探しは小休止し、根室半島を回って他の鳥を楽しむことにしました。ところが羅臼同様、いつもはたくさんいるワシがほとんどいません。港にも海鳥がいません。納沙布岬もヒメウばかりで、お馴染みのチシマウガラスが来ていないようです。がっかりです。それでも強風の中、がんばってハイドに入り、海鳥を探しました。数羽のアカエリカイツブリやシノリガモを見ることができました。

アカエリカイツブリ(撮影:大林修文様)

気を取り直し、仕切り直しの意味からも、道の駅で早めの昼食をとることとしました。ここはワシがたくさんいますので、まずはそれを見ることにした、ちょうどその時、「コロロロロ、コロロロロ…」と聞き覚えのある独特のカラスの声!そうです、ワタリガラスです!真上を鳴きながら旋回し、氷上に降り立ちました。周りにいるハシブトガラスよりも明らかに大きく、喉の羽毛ザクザクしているのがはっきりとわかります。全員でじっくりと観察撮影することができました。

ワタリガラス(撮影:大林修文様)
ワタリガラスとハシブトガラス、ハシボソガラス(撮影:大林修文様)

その後は、2ヶ所のワタリガラスのポイントを回りましたが、残念ながら現れず。それでも気分のいい思いで宿に向かいました。途中、ケアシノスリが目の前に現れ、思わぬ収穫となりました。

ケアシノスリ(撮影:簗川)

4日目。朝からいい天気です。まずは火散布沼でタンチョウ、オオハクチョウ、ヨシガモなどを観察しました。タンチョウとオオハクチョウの組み合わせもなかなかです。

オオハクチョウとタンチョウ(撮影:大塚敦雄様)

最後は昨日ワタリガラスが出た道の駅で、ワタリガラス狙いです。たくさんのオジロワシ、そしてオオワシを楽しみながら、ワタリガラスの登場を待ちました。

オジロワシとオオワシ(撮影:大塚敦雄様)
オジロワシ(撮影:大塚敦雄様)

しかし、残念!今日は出てくれませんでした。

 

ヒメクビワカモメにはかすりもしませんでしたが、ワタリガラスはじっくりと観察することができました。それにしても、今季の鳥の少なさには閉口です。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【後編】

Report by 戸塚学 / 2022年1月10日~13日

エゾフクロウ

3日目 曇り~雪~雨~晴れ~曇り

夜中に何回か「ズザァー」という音が外から聞こえ、ずいぶん風が吹いているなぁと思ったのですが、それは風ではなく屋根から雪が落ちる音でした。朝、外を見るとものすごい風と時折雪が降っていました。早朝の撮影は中止にしておいて正解です。朝食を食べたあと撮影に出る予定でしたが、霙が雨に変わったのでお昼まで待機にしました。その間に1時間ほど撮影の講座を開きました。その途中に青空が広がったのですが、まだ道路の除雪も終わっていないようだし、宿のオーナーも除雪で大変そうなので、歩いてゆこうかと考えましたが、結構な距離もあるので安全第一で待機を続行しました。お昼ご飯を済ませたあと、雪も止んでいるので宿のオーナーにエゾフクロウのポイントへ連れて行ってもらいました。道路状況もあるので私が一人で歩いて下見に行き、フクロウを確認できたので宿のオーナーに電話をして参加者の皆さんを連れてきていただきました。本当は1時間ほど時間をとりたかったのですが、諸事情があり30分の撮影でしたが、みなさん堪能できたようです。その後はまだ時間もあるのでタンチョウの撮影をはじめました。到着してすぐは薄日もさし新雪の上のタンチョウはとても美しかったのですが、徐々に暗くなり16時で終了しました。
それにしても鶴居村は比較的穏やかですが、他の地域はかなり被害が出ているようで半日でも撮影ができたことだけでもラッキーだったと思います。

 

タンチョウ
タンチョウ

 

最終日 晴れ

一か八かで晴れてなくても大荒れでなければ撮影に出ると宿のオーナーと打ち合わせをしておいたので6時に出発。空にはまだ星が煌めいている!東の空に雲があるが何とかなりそうだ。しかし気温は-3度くらいで暖かいので霧氷はあきらめなければいけないが、晴れているだけでありがたい。現地に着くとまだ薄暗く先客は0!インバウンドがあった頃を考えれば信じられない。

 

タンチョウのねぐら

霧氷はないが空はほどほどにいい色になり時折マガモが群れで飛び去る。雪裡川の奥にタンチョウの群れが確認できるようになると色づいた川をオオハクチョウが泳ぐ姿を確認できた、南西の空に浮かぶ雲がピンクに染まるが・・・主役がいないのが悔しい。空の色が抜けるころ太陽が昇り、気温が下がりだし手の指先が痛み出すがみなさん必死に撮影を夢中でされていた。8時にお迎えが来たので朝食。予想外の晴れにみなさんうきうきしている雰囲気が伝わってきました。9時にタンチョウの撮影に出ると昨日積もった雪が眩しく美しい。飛翔や鳴き交わしを狙うのですが、ダンスはどうしても群れの奥で・・・難しい!11時30分にお迎えのジャンボタクシーが来たので乗り込み、一旦ホテルに寄り、預けてあった荷物を引き取り無事空港で解散しました。

4日間も私たちの送迎をしていただいたHOTEL TAITOのオーナー和田さんやスタッフのみなさまには感謝感謝です。

 

タンチョウ

撮れた鳥
タンチョウ・エゾフクロウ・オオハクチョウ・シロハラゴジュウカラ・ハシブトガラ
観られた鳥や獣
オオワシ・オジロワシ・コゲラ・アカゲラ・セグロセキレイ・シジュウカラ・ヒヨドリ・イカルチドリ・ヤマセミ・ハシボソガラス・ハシブトガラス
哺乳類:エゾシカ

 


 

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年1月10日~13日

タンチョウ

初日 快晴

天気予報を見ながらドキドキしたが、釧路地方は快晴。今回は愛知県から来ている方が先入りしているのでとまっている宿に2名をピックアップしたのち本日から泊まる宿へ。撮影機材以外の荷物を預かっていただき、伊藤・タンチョウサンクチュアリーへ。天気がいいので存分に撮影を堪能してもらうべく、食事は撮影しながら食べられるようにコンビニで買っていただいた。現地ではどのポイントがいいかの説明をしてあとは自由に撮影をしてもらう。カメラの設定やわからないことがあれば私がうろうろしていて声をかけながらカメラの設定や風を見ながら飛翔を狙うアドバイスをしました。ダンスが撮りたいというリクエストがあったのですが、残念ながらまだ少し時期早いのであとは運に任せるしかないと説明をする。

 

タンチョウの求愛ダンス
タンチョウ
タンチョウ

 

夕鶴を狙うポイントへ早めに移動することにする。理由は最近早い時間にねぐらへ移動するタンチョウがいるということで、夕日までの間はここで青空をバックに飛ぶタンチョウを待つ事に。飛んで来る数とコースもあるので難しいのだが、それでも何とかみなさん撮れたようだ。太陽が沈む林に薄い雲がかかっていないので夕焼けに染まるシルエットの撮影はダメかな?と思えたが、意外にも北側の雲が、それなりに色が付いてくれたので夕焼けチックな撮影ができてラッキーでした。空の色が抜けた17時お迎えの車で宿へ移動。宿は鶴居村で長年タンチョウを撮り続けているプロカメラマンの和田正宏氏の宿で温泉と食事は絶品。みなさんとても喜んでいただけました。

ねぐらへ帰るタンチョウ
ねぐらへ帰るタンチョウ

 

2日目 快晴~くもり~雪

朝は晴れたので6時に出発。タンチョウのねぐらの撮影をしました。刻々と空と川辺の木々の枝に着いた霧氷が色を変えて行く中、かなり遠くにタンチョウの群れを見ることができた。みなさんには今回特別なねぐらの撮影方法をしてもらいました。と、その時大きな鳥が川面に突っ込んだかと思ったら、舞い上がった!オジロワシだ。シャケの死体を狙ったのだろうか?しばらくすると「キャラキャラ」とどこかで聞いた声の中型の鳥が飛んできた?なんとヤマセミた!しばらく橋の上のカメラマンの周囲を飛んだのち下流に消えていった。その後また大型の鳥が出たので観ると今度はオオワシだ!タンチョウのスローシャッターの撮影をしていたせいで慌てて撮影したら、ブレブレだった。まさに二兎追うものは一兎も得ずもだ。

 

タンチョウのねぐら
タンチョウ

 

その後はこちらに向かって飛んで来るタンチョウを狙ってもらうべくカメラの設定を変更してもらう。そしていきなりこちらに向かって飛んできた大型の鳥はタンチョウではなくオオハクチョウだった。8時に迎えの車が来る頃にはみなさん寒さにやられていたようで、ちなみにマイナス20度を下回っていました。9時には出発したかったので朝食を美味しくいただくというより「かっ込む」がふさわしい状況。今日もコンビニで昼食を買っていただき撮影に専念してもらう。太陽は天気予報通り10時には雲から光が漏れる状態になり、12時を過ぎたころには完全に隠れてしまった。14時30分に夕日のポイントで小鳥を狙う予定でしたが、みなさん疲れ果ててしまったようでここで終了して宿へ戻ることになりました。宿に戻り1時間もしないうちに雪が降りはじめました。

 

オオハクチョウ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

ツアー初日はあいにくの曇り空ですが、穏やかな風のなかスタートです。集合が予定よりも早くできたため、余った時間で最初に中標津の公園を歩き、現在人気爆発中のシマエナガを探します。落ち葉を踏みしめ、秋を感じながらの散策となりましたが、残念ながらこの時に会うことはできませんでした。

 

気を取り直して野付半島に移動です。今回のツアー最大の目的であるガン類を探します。野付半島は天然記念物にも指定されているコクガンの渡りの中継地として有名で、最大で一度に5000羽前後が見られることもあります。野付湾を見ていると、黒く少し大きめな鳥が何羽も浮いています!車を停め、観察してみると早速目的のコクガンです。距離は遠いですが、ざっと見ただけで周囲に1000羽を超す群れが確認できました。

コクガンの群れ

観察後さらに進んでいくと、ハクチョウが近場に浮いています。今回2種目のガンとなるかなと観察すると、オオハクチョウの群れの中に2羽だけ少し小さく嘴の黄色い模様が丸い個体がいました。コハクチョウです。今回3種目のガン類です。

コクガンと採餌するオオハクチョウ
コハクチョウ

さらに進むと海岸線には冬鳥であるシロカモメがいます。北海道で普通種であるオオセグロカモメとの違いもはっきりと分かり、その大きさもわかって頂けたでしょうか。

シロカモメ

帰り際にはキタキツネやメスシカを追いかけるオスシカも見られ、野付半島を満喫しながら根室へ向かいました。

キタキツネ
メスシカを追いかけるオスシカ

2日目は風蓮湖畔の宿レイクサンセットからスタートです。すぐそばの春国岱に行くと、遠くにタンチョウのペアやオナガガモの群れを観察できました。ここから車で鶴居村へ向かいます。道中少し寄り道をすると、エゾフクロウに出会えました。お昼ごはん中には突如上空をハイタカが旋回し、ゆっくりと姿を見せてくれましたが、この時期はごはん中でも油断禁物と気を引き締めます。

ハイタカ

午後からは鶴居村でタンチョウを観察します。紅葉は最終盤ですが、カラマツの黃葉がまだ残っており、とてもきれいでした!

タンチョウ
タンチョウの飛翔

最後にはペアがダンスもしてくれ、最高のシーンでした。
美しいタンチョウに後ろ髪を引かれながら、十勝へと向かいました。

タンチョウのダンス

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!