ツアー1日目
個人的には韓国の離島に通い始めて今年で20年目を迎えました。今回訪れる島も苦労の末に見つけだし初渡島してから15年が経つ、様々な思い出がある島です。渡りの本流が実感できる春の韓国鳥見旅。五百澤さんとのW講師で前・後半の二本立てで望みます。
さて、今回は渡りの鳥たちとのどんなドラマがあるでしょうか。

コロナ禍のために韓国を訪れるのも4年ぶりになります。私は関空からのフライトです。仁川国際空港ではいつもお世話になっている朴さんが出迎えてくれました。以前と変わらない笑顔に安堵するとともに、旅行社を営む氏のこの4年間の大変さを思うと胸が熱くなりました。成田組の到着まで入国ゲートを見下ろせるカフェで待ちながら、皆さんとしばし鳥談義。韓国の鳥事情や離島の楽しさなどを話しました。五百澤さん引率のもと成田組が到着。挨拶もそこそこに船が出る街のホテルに移動します。午後遅めからの移動のため、今日は宿入りのみです。2台の大型ワゴンに分乗し、2時間半ほどのドライブでホテルに到着。途中の車窓からはカササギの巣が時折目につきました。宿入りを済ませ、夕食へ。いつも行っていた店に向かいましたが、周囲は電気が消えている建物が多く、この4年間を物語っていました。美味しいサムギョプサルを皆さんとつつきながら韓国の鳥見について話が弾みます。明日からの旅に期待が膨らみつつも、強くなってきた風に一抹の不安を感じながら店を後にしました。

ツアー2日目
朝、外へ出ると風の勢いは強いままです。これはちょっとマズイかも。朝食は昨日の店へ。鱈のスープ、味噌チゲ、スンドゥブから好きなのを選びます。食事中、無情にも船会社から本日欠航の一報が入りました。昨日は悪天候でも船は出ていたのに・・・。とてもショックでしたが気持ちを切り替えていくしかありません。幸いなことに晴天なので本土でしっかり探鳥はできます。朴さんに同じ宿に泊まる手配をしていただき、早々に探鳥へ出掛けることに。
1時間半ほど車を走らせ、渡り鳥が立ち寄るポイントへと向かいます。そこはカンムリカッコウが出たことで韓国でも有名になった場所です。途中休憩のSAでは営巣中のカササギの巣や外に広がる農耕地に夏羽のアカガシラサギ1羽を確認しました。現地に着くと周辺整備が進んでいて、ポイントの前に新しいカフェができるなど様相が変わっていました。我々に遅れること30分、韓国のバーダーが何組か現れました。聞くと彼らも欠航になったのでここに来たとのこと。やっはり皆んなここに来るんですね。林ではカラアカハラやノゴマが囀り、ヨシ原にはムジセッカがいます。畑のキマユホオジロやコホオアカの小群を見ているとシマノジコの雄が目の前を飛びましたが、すぐ見失ってしまいました。急に藪の中が騒がしくなったと思うとダルマエナガです。本種は韓国で普通に見られますが、動きが早いうえ、すぐに潜るので手強い鳥です。しかしそこは皆さん鳥運が強い。バッチリと観察・撮影できた様子です。チョウセンウグイスが鳴き出したので普通のウグイスとの違いをレクチャーしました。
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

午前の探鳥を終え、昼食は海鮮カルグクスがお勧めの店へ。トコブシ、ハマグリ、アサリ、エビなどが沢山入っていてとても美味い。ここは海鮮チヂミも売りでしたが今はやっていないようでした。
食後は南へ下り、ワシミミズクを目指します。3時間ほどで到着。ここは車を降りて50mも歩けば姿を確認できる絶好のポイントです。まずは離れた距離で家陰から双眼鏡で探すといました!成鳥が岩に止まっています。しかしいつもと様子が違い、かなり警戒している感じです。少し歩を進めると飛んでしまいました。観察場所まで行くと草地の前にロープが張られていました(史跡のため立ち入り禁止と書いているようです)。我々はいつも草地の手前から見ているので問題は無いのですが、いつの間にかこんなことに。岩壁を探すと寄り添うようにして2羽の雛が確認できました。まだ綿毛が多い個体です。先ほどの親鳥が消えた崖裏を探しにいくと茂みの中にいるのを発見。皆さんとプロミナーで観察し、距離はありますが撮影もできたようです。結局、この個体は警戒心が強く、我々が少し動くだけで飛んでしまいました。今までこんな事は無かったのにと元の場所へ戻ると一人のカメラマンがロープの中へ入り、崖に近づいています。こういう事だったのか。朴さんがその方と話したところ「君たちは何故入らないの?大丈夫だよ」と言われたそうです。これではダメです。ディスターブが掛かるのは明らかです。心無いカメラマン達が彼らの生活を脅かしているようでした。これからはこの場所での観察も難しくなるでしょう。無事ワシミミズクを見ることは出来ましたがモヤモヤとした気分で現地を後にしました。



日が長くなりもう少し鳥見が出来そうなのでシギチドリを見に一路クンガンへ向かいます。潮はそれほど良くありませんが、上げ潮なので観察ができそうです。1時間余りで到着すると眼前には干潟が広がりシギチがわらわらといて、ツクシガモの大群もいます。オオソリハシシギが多く、ウズラシギも沢山目につきます。夏羽の黒いツルシギの群れやエリマキシギ、コアオアシシギの夏羽、アカアシシギなどを見ているとシマアジが自己主張するように現れました。ホウロクシギの数も多く、ダイシャクシギとの違いも皆さんとじっくりと観察でました。夏羽のクロツラヘラサギも近くて良かったなあ。小一時間観察をし、初日の探鳥が終了しました。
宿へ向かう途中で夕食をとります。本日はサムゲタン。美味しい!食後に鳥合わせをすると98種も出ていました。韓国恐るべし!
夜には風も弱まりつつあったので明日の出航に期待できそうです。

