初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2024年6月17日~22日

前半の根室地域では奇跡的な晴れが続き、後半も雨の予報が曇りになり結果的には1日中雨待機をすることなく、ほぼ予定通りに進めることができました。今年はシャチがものすごい当たり年で、2日ともたくさんの群れに当たり観察と撮影を楽しみました。昨年は繁殖をしていなかったシマフクロウも今年は繁殖をしてくれたおかげで2日とも観察と撮影ができました。

アマツバメ

 

初日 

中標津空港で飛行機の到着を待っていると突然の大雨が!すぐ止んではまた降るを数回繰り返しちょっぴり不安になる。時間通りみなさんが到着したので専用車に乗って霧多布岬を目指すと?どんどん空が明るくなり、到着をするとすでに青空が広がっています。下見の時はラッコたちが遠くて心配をしましたが、(以前ドローンで追いかけまわした輩がいて近くに来なくなってしまったとのことだった。)この日は南風が強かったせいもありラッコたちが崖下にいてくれて助かりました。子供も俯瞰なのでしっかりと確認できるし、撮影もできました!

ラッコ
オオセグロカモメ

根室の宿に向かう道中はタンチョウが見られる海岸沿いの牧場を流しながら探しますが、遠くに白い点で見られるペア以外には見つけることができませんでした、残念。宿に着いて周辺でオジロワシやタンチョウを探しますが見当たりません。それよりも困ったことが発生!あれほど霧多布岬では強風だったのにここは無風で温かい・・・となるとヌカカが大量にまとわりつきます。参加者のみなさんにはとにかく肌の露出を控えてもらうようにお願いしました。食後は美しい夕陽が沈むのを食堂の窓から眺めて終了となりました。そう、ヌカカがすごくて外に出られなかったのです。

 

2日目 

予定では有志だけで早朝5時から撮影を予定していましたが、宿のオーナーから「最近宿の近くにクマが出るから気をつけてね。」と言われたので急遽1時間遅くして6時からにしました。結構風が強く、今日のクルーズは中止にならないかを心配しながらの撮影になりました。電話がかかって来なければ催行なので胸の携帯が気になって仕方ありません。そんな私の思いと裏腹に意外と小鳥たちの出が良く、ノビタキ・カッコウ・ツツドリ・シマセンニュウ・コヨシキリが出てくれます。

ノビタキのペア

 

声はすれども姿の見えないエゾセンニュウとマキノセンニュウは相変わらず腹立たしい存在です。一つ悔しかったのがベニマシコのペアが出たのですが場所が悪い&遠かった!みなさんにはもっと近くで、もっとしっかり見ていただきたかったのだ。7時に食事をして8時45分の出発時間まで自由行動にしました。宿前でオジロワシのペアが近くを飛んでくれたり、エゾシカが風連湖を渡る姿も撮影ができました。

ベニマシコ
オジロワシ
エゾシカ

ドキドキだった落石クルーズは、風は強めですが予定通り満載での出航となりました。しかし波というか、うねりが結構あり撮影には厳しい状況です。できるだけ1/2000秒以上、AFフレームは中央+面で捉えるものに設定をしてもらいます。また波と波の間に鳥が入ってしまったら一旦AFを止めて再び姿が見えた時にAFでピントを合せて高速連写をするように伝えました。またシャッターを切る前から記録をできる機能があるカメラはその設定にしてもらいました。出航してすぐにウトウが出ますが、すぐ潜る!のが腹立たしい、もう少し波が穏やかならしっかりと撮れるのにとストレスが溜まります。

島に近づくとウトウと入れ替わるようにケイマフリが増えて来ます。波に翻弄されながらもみなさん必死に撮影します。赤い足が特徴なので飛び立つ時海面を走る姿を狙って~!叫ぶのが精いっぱい。あとはみなさんの腕に期待です。

ウトウ
ケイマフリ

 

そして後ろ姿で気がつかなかったが、波の上にぷかぷかと漂っている鳥がいた。ウトウとばかり思いこんでいたら・・・近づくとエトピリカの若鳥とわかり船上は大興奮!ミラーレス機ばかりなので音はしないのですが、みなさん相当シャッターを切ってるはずです。(笑)

エトピリカの若鳥

その後はエトピリカがよく見られるポイントで待っていますが見当たりません。そんな時遠くに白い物体が?双眼鏡で見ると見えない?揺れる船上でその周辺を双眼鏡でガン見していると再び波の上に白い物体!間違いなくエトピリカの成鳥です。船を向けようとすると飛び立ち、周囲を飛び回った後に着水しました。すぐにでも行きたい気持ちを抑えて、少し時間を置いてから向かうと、かなり近くまで寄ることができました。もう船上は静かなる炎が立ち上っているのが見えるくらいです(笑)

エトピリカ飛び立ち

そろそろみなさん十分撮影ができたでしょうと船長が船を方向転換させようとした時です。向こうから近づいてくれたのか?それとも引き波で寄せられたのか?かなり近くでまで寄ってきます。最後は水面を走り飛び立つところまで撮れました。いやぁ~良かった!その後はラッコの群れとアザラシを観察して、もう一つの目玉のチシマウガラスの繁殖場所へ。こちらは繁殖に影響が出るといけないので短時間だけでしたが、しっかりと撮影することができました!

ラッコ
チシマウガラス

下船後は食事に向かいましたが、意外にも私たちが来る前にお客さんが多く入ってしまったせいで注文から料理が出て来るまでに時間がかかってしまった。これは想定外でした。料理はおいしかったのですが、後のスケジュールを考えるとちょっとドキドキ。そのくせここは絶品のソフトクリームがあるのでそれは外せない。みなさんにも勧めると全員購入してしっかりと濃厚な味を堪能されていました。予定していた1ヵ所は下見ではあまり良くなかったので、時間をかけるのはどうかと考えパスしました。移動途中に途中タンチョウのペアがいい場所にいたので車から降りてしっかりと撮影してもらいました。

タンチョウのペア

野付半島に入る前にショウドウツバメのコロニーを見られるポイントで30分だけ撮影をしてもらいました。野付半島に入りますが時間的に小鳥はあまり姿が見られません。大型の生き物を探すことにします。野付半島のナラワラ近くでキタキツネの親子がいたので狙いましたが、手前の草が邪魔で難しい!時間も押してきたので先端部分に向けタンチョウを探しますが見当たりません・・・仕方がないのでエゾシカの群れを探しますが・・・これまた大きな群れが見当たらない。ふと海上方面から大きな鳥の群れが飛んできた?なんと7羽のタンチョウが私たちのいる場所の奥に降り立ちました。距離もあるので車から降りてセンダイハギの黄色のお花が入る場所へ移動して撮影をしてもらいました。そこから双眼鏡で見回してもやはりエゾシカの群れが確認できなかったため引き返すことにしました。途中コムクドリが水浴びや水飲みをするポイントで待つ事にしたのですが、電線にとまっていたコムクドリが水を飲まずに電線から林の中に消えて行ってしまった。ねぐら入りのようです。こうなったらもう一度キタキツネの親子のリベンジです。しかしなかなかいいシーンを撮ることができず終了となりました。

 

3日目 

5時にコンビニで朝食を買って野付半島へ向かいます。今回のメインは草原性の小鳥たち。下見では出まくりで簡単に撮れたコヨシキリが遠い!シマセンニュウとノビタキはしっかりと撮影もできた。カッコウは、声はすれども姿は見えず、こちらは残念。やはり早朝は定点をすると撮影がしやすい。

シマセンニュウ

その後、移動をしてキタキツネポイントに行きますが見つけられませんので先に向かいます。ナラワラに霧が出ているとアオサギがいるだけでも雰囲気のある写真が撮れるのに・・・見当たりません、残念。コムクドリの水場はやはり今年も漁師さんが網を洗うためにポンプ車を入れていて撮影ができなくなっていた、これまた残念。昨日タンチョウが7羽いた場所は1羽だけ。いつもはこの周辺のセンダイハギのお花畑にたむろしているエゾシカたちがいない。エゾシカたちを探しながら先端方向(竜神岬灯台)をゆっくりと生き物を探しながら進めると、エゾシカの親子がいたので車内から撮影をしてもらう。十分撮影ができたようなので竜神埼灯台の駐車場へ車を停める。ここのトイレが生きていればいいなぁと思って扉を開けると使えるようなのでトイレ休憩にしました。ここからは遊歩道を歩いて撮影です。まずここで見てもらいたかったのは10年以上使っていると思われるオジロワシの巣です。かなり遠いのにその存在感はハンパない!

その後少しずつ移動を繰り返しながら定点をすることにしました。タンチョウのペアやアオサギの群れを撮影しているとシマセンニュウ・ノビタキ・オオジュリン・オオジシギ・シマセンニュウも撮影できました。

エゾセンニュウ

移動をしてきたエゾシカの群れを撮っているとカッコウが3羽で喧嘩をしているのか?飛び回ってくれたおかげで飛翔姿を撮影することができました。その後はネイチャーセンターで30分休憩したのち生き物探しをして撮影を楽しみ、11時にコンビニでお弁当を買って尾岱沼へ向かいます。時間が早いので昨日のリベンジを兼ねてショウドウツバメを狙っていると?何かムシクイがいる?どうやら近くで巣を造っているようでヒナにエサをせっせと運んでいます。エゾムシクイかなぁと悩んでいる時にさえずってくれて一件落着。その後は案内所で各自お弁当を食べていただき13時からのクルーズを開始します。過去2回波が高くて中止になっていたため私自身も初体験です。期待はアビ類とカマイルカです。しかし天気はいいのですが、生き物が出ない。外洋に近づくとウトウやハシボソミズナギドリがちらほら出るくらい。どうにかこうにかミツユビカモメが飛翔しているのを見つけ撮影ができました。しかし外洋に出ても生き物が全然見つかりません。国後島近くまで(国境線)行きますが・・・ダメです。最後は野付半島に船をつけてお散歩時間を作ってくれましたが・・・。港に戻る時にようやく1頭のゴマフアザラシが出てくれたのが慰めか・・・。その後は羅臼を目指します。

ゴマフアザラシ

17時30分に食事をはじめ、19時にシマフクロウの撮影に出ます。参加者の2名は「今日はゆっくりしたい」という事でこの日は私を含め4名で現場に向かいました。20時過ぎにオスが鳴き出し期待が高まると30分後メスが来て3尾魚を食べてからヒナに与えるため1尾をくわえて飛び去りました。まだオスが来ていないので待っていると・・・来てくれたのですが、暗い場所に降りてオショロコマを捕らえると足に持って行ってしまいました。約30分後再びオスが来たのですがこれまた暗い場所でオショロコマを獲って飛び去ってしまいました。「参加者から撮れたから終わっていいよ」と言われたので1時間早い22時に終了となりました。

シマフクロウのメス

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ

Report by 今堀魁人 / 2024年6月14日~19日

1日目

14時半頃に中標津空港で集合しツアースタートです。初日は最初に野付半島へ行きました。野付半島まで行く道中ではすぐにタンチョウを発見!

タンチョウ
タンチョウ

その後は野付半島に入りすぐに綺麗なベニマシコを撮影。そして近距離でオジロワシが見られました。

オジロワシ
オジロワシ

野付半島の奥ではこの時期では珍しいまだツノを落とさず付けているエゾジカのオスを発見。センダイハギとのコラボレーションが美しかったです。あっという間に時間はタイムアップ。

エゾジカ
エゾジカ

夕食後はシマフクロウを狙います。出ないなーと待っているとタイムアップギリギリにメスが登場!良かったです!

シマフクロウ
シマフクロウ

2日目

翌日はシャチクルーズからスタートです。霧に包まれていましたが出て数分でシャチの群れに囲まれました。その後終始シャチを観察し、目の前に出たりと色々楽しませてくれました。

シャチ
シャチ

午後はウトロと知床峠の頂でギンザンマシコ探し。ウトロではクマゲラに出会えました。近距離で見ることは難しく、今回は本当にラッキーでした。そして頂上に行くとすぐに本命のギンザンマシコが!数度見ると今度は後ろから声が?なんと目の前!みなさん持っていますね!

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

3日目

早朝からギンザンマシコを探しに峠へ出発しましたが濃霧で何も見えず。早々に旭岳に賭け撤退。朝食後、ここからはバードウォッチャーのドライバー、佐藤さんと共に紋別方面へと出発です。風の強いオホーツクではアマツバメやノビタキ、ベニマシコなどを狙いながら観察していきますが、とにかく暑い。この時期では珍しい28℃まで気温が上がり、私と鳥たちはバテ気味。少し出が悪かったですが、ホオアカなども囀る姿を見せてくれました。色々と観察をしているとあっという間に時間は過ぎ、後半は少し巻き気味で宿にチェックインです。明日が草原性の小鳥観察の本番。楽しみましょう!

アマツバメ
アマツバメ

ホオアカ
ホオアカ

 

4日目

早朝シブノツナイ湖でバードウォッチングです。早朝は観察最難関のエゾセンニュウが霧の中ちらっと見えました。

エゾセンニュウ
エゾセンニュウ

午後はオムサロ原生花園に行きました。オムサロでは、ノゴマやノビタキが見られるも鳥の姿が少なく、日暮れは再度コムケ湖方面へ。この時期ならではのワタスゲや偶然出会ったミヤコドリを見ながら再度シブノツナイ湖へ。ツメナガセキレイがずっと長時間観察させてくれたりといい天気の中楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

5日目

シブノツナイ湖からスタートです。早朝鳥を探すと、全員には姿を見せることができませんでしたが、マキノセンニュウの姿も!他にもアオバトやウグイスなど、さまざまな小鳥に会えました。

マキノセンニュウ
マキノセンニュウ

アオバト
アオバト

そして再度ギンザンマシコチャンスを手にするべく、一路北海道の最高峰・旭岳へ。到着後、展望台でずっと探すと、遠くにギンザンマシコの姿が!一度潜ったところで全員集合。もう一度出てくれーと思っているとさっきよりも近いところで出てくれました。他にもカヤクグリが出てくれましたが、雷雲が近づいており、危険と判断し下山。下山後は日本で最も遅い桜も見ることができました。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

6日目

最終日もギリギリまでギンザンマシコを見るために旭岳に向かいます。

北海道の最高峰・旭岳へ
北海道の最高峰・旭岳へ

到着した時から天気は昨日と変わり山頂が見えます。これは見えるかも。と期待しましたが、待てど暮らせど姿は見えず。途中ルリビタキやカヤクグリは姿を見せてくれましたがギンザンマシコは姿を見せてはくれませんでした。

カヤクグリ
カヤクグリ

それでも今回6日間で合計63種を観察し、本当に多くのこの時期らしい鳥を観察することができました。この翌週には鳥はぱったりと姿を消し、子育てに奮闘していたので最高のタイミングでした。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原

Report by 今堀魁人 / 2024年5月18日~22日

1日目

初日13時に稚内空港を出発しツアースタートです!
最初は空港すぐそばのメグマ沼へ。風が強く、なかなか鳥が出てきてくれない中、到着直後にはオジロワシが目の前を飛んでくれました。風に逆らい、ゆっくりと止まっているかのように飛んでくれたのでじっくり見ることができました。ノビタキも一瞬出てきてくれました。

オジロワシ
オジロワシ

ノビタキ
ノビタキ

その後はサロベツ湿原に移動です。木道を歩いてもなかなか鳥が見られませんでしたが、道中ちらっとだけツメナガセキレイの姿が!この道北を代表する夏鳥の一種です。次の兜沼へ行く道すがらアカエリカイツブリの繁殖地へ。遠かったですが、近年激減しているこの鳥を見ることができ一安心しました。

アカエリカイツブリ
アカエリカイツブリ

兜沼では最初から最後までツツドリが遊んでくれました。なかなか見えないところに止まるので右に行ったり左に行ったりと隙間を探しての観察でした。

ツツドリ
ツツドリ

 

2日目

翌日は航路探鳥からスタートです。航路ではウトウがパラパラとあまり多くの鳥は飛びませんでしたが、序盤にはトドが泳いでいたり、後半には上空をチュウシャクシギの群れが渡っていきました!シギチドリが海を超えロシアへ渡る姿を見られるのは稚内航路ならではですので、ここから数千キロ離れた繁殖地へ向かう貴重な姿だったかと思います。

チュウシャクシギの群れ
チュウシャクシギの群れ

到着後はお昼を食べ、ガイドの渡辺さんと共にメインのクマゲラを見にいきます。ポイントに到着し、じっと待っていると、巣穴からメスの顔が!そろそろ来るかな?と期待して待ちますが、そこから1時間半が経過。まだか?と足のしびれの限界を感じながら待っていると遠くからクマゲラの声が! 近くまで帰ってきてくれましたが、警戒したのか巣のある木にはオスは止まらず、痺れを切らして先にメスが飛んで行ってしまいました。

巣穴から顔を出したクマゲラのメス
巣穴から顔を出したクマゲラのメス

帰りはコマドリ探し。藪の中にちらっと見えましたね。

コマドリ
コマドリ

3日目

早朝の公園観察からスタートです。鳥を探しましたが寒さのせいか動きがあまりなく、なかなか多くの鳥は見られませんでした。午前中には再度別の巣でクマゲラを観察です。到着早々クマゲラの声が聞こえ、見ていると20分で抱卵交代に来てくれました。しかし抱卵中のオスが出ず、入っているにも関わらず巣に潜るというハプニングもありました。

クマゲラ
クマゲラ

その後は雨模様の中利尻島を一周。近距離でアカエリヒレアシシギやイスカに出会うことができました。特にイスカは本当に逃げず、貴重な瞬間でした。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ

イスカ
イスカ

夕方には再度コマドリの撮影チャレンジ。あそこ!ここ!一瞬でなかなか難しいですね。

コマドリ
コマドリ

4日目

再度利尻の森のバードウォッチングからスタートです。まずはコマドリ再チャレンジ!2時間ほど待っていると、ここに出るよーと伝えていたソングスポットに出てきてくれ、ほっと一安心しました。

コマドリ
コマドリ

午前はクマゲラ再チャレンジ。今回はやっと放卵交代の2ショットを見ることができました。そして森を回るとガイドの渡辺さんと友達のクマゲラが登場!近距離でその姿を見せてくれました。

クマゲラのツーショット
クマゲラのツーショット

午後にはフェリーで利尻島から礼文島へ。礼文島ではさまざまな小鳥を狙いますが、草刈り中だったりと中々姿が見えません。久種湖ではアカモズを撮影できました。そして森の中のポイントへ行くとなんとコウライウグイスが!全員にしっかり見せることができず悔しいですが、こんな鳥が見られるのが離島の魅力です。明日は最終日です!

コウライウグイス
コウライウグイス

5日目

ついに最終日です。早朝は希望者のみでコウライウグイスを再チャレンジ!見つけたい!と頑張りましたが、強風のせいもあり見つけることは叶わず。なかなか難しいですね。
帰りの船はこの強風のせいで道中大きく揺れる可能性が高い上、波が高すぎて鳥が見られないため船内で寝ながらの移動。私は潮風でビシャビシャ、鼻血で鼻を赤くしながら外で観察しましたが、観察できたのは遥か遠くを飛ぶ合計4羽のハシボソミズナギドリと思われるミズナギドリ類、ウトウが3羽、そして爆風にゴミのように飛ばされながら必死に短時間船へ退避したカラフトムシクイのみでした。こんな人も恐れる天気の中たった数グラムの小さな鳥が海を渡っていると考えるとロマンがあります。

強風に煽られるカラフトムシクイ
強風に煽られるカラフトムシクイ

カラフトムシクイ
退避中のカラフトムシクイ

今回は少し渡りの鳥は少なかったかもしれませんが、一発逆転の鳥がいつ現れるか分からないという離島のポテンシャルは少し感じていただけたかなと思います。ぜひまた来年お越しください!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

宮城県で冬鳥を楽しむ!
伊豆沼・蕪栗沼の水鳥と仙台湾の海鳥 2本目

Report by 田野井博之 / 2024年1月22日~25日

1日目

この時期としては気温が高く、時折雨の降る中でのスタートとなりました。

ガン類のねぐら入りを観察する前に、まずはシジュウカラガンを探すことにしました。マガンの群れをいくつか確認していくと、早速100羽を超すシジュウカラガンの群れを発見。周辺にもいくつかシジュウカラガンの群れが見られ、合計200羽ほどがいるようでした。二番穂の伸びた田んぼで、どの個体も必死に採餌していました。今期は暖かく積雪もほとんどないため、既にシジュウカラガンの大きな群れは渡去しています。今回見られたシジュウカラガンも間もなく開始する渡りに向けて、栄養を蓄えているのでしょう。

その後はガン類のねぐら入りを観察するために蕪栗沼へ。駐車場についてヨシ原を見ると、ハイイロチュウヒの雄と雌が飛んでいました。まだねぐら入りには少し早いためか、このハイイロチュウヒはその後も何度か飛んでくれました。曇天でやや暗かったものの、雄の青灰色の姿はとても綺麗でした。観察ポイントに着いて沼を見ると、前週に続きヘラサギとクロツラヘラサギが見られました。沼の近くの田んぼには、ねぐら入りを待つマガンの群れもあちらこちらに降りていました。16時45分を過ぎると次第にマガンの群れが沼へと戻り始め、日没後の17時15頃にピークを迎えました。無数のマガンが鳴きながら次々と沼へと戻っていく光景はとても壮観でした。

 

2日目

夜明け前にホテルを出発し、ガン類のねぐら立ちを観察するために蕪栗沼へ向かいました。観察ポイントに着くとちょうどマガンの群れが飛び立っていて、慌てて観察を開始しました。この日は天候も回復し、朝焼けの中での飛び立ちを見ることができました。

飛び立つガン類はほとんどがマガンでしたが、時折ヒシクイが混じり、シジュウカラガン30羽ほどの群れも見ることができました。マガンに続いてオオハクチョウも次々と飛び立ち、とても賑やかな光景となりました。

餌場へと向かうマガン
餌場へと向かうマガン

 

マガンの飛び立ちが落ち着いてきた頃、沼で休んでいたオナガガモの群れが一斉に飛び立ちました。周囲を確認してみるとオジロワシが飛んでおり、どうやらこのオジロワシに驚いて飛び立ったようです。このオジロワシは沼の近くの木に止まってくれたので、じっくりと観察することができました。

オジロワシ
オジロワシ

 

朝食後はカリガネのいるエリアへ。マガンはいつもよりも多く見られましたが、なかなかカリガネが見つかりません。そこで少し離れた田んぼも周ってみると、ようやくマガンに混じるカリガネを見ることができました。

4羽のカリガネとマガン(左から4羽目)
4羽のカリガネとマガン(左から4羽目)

 

続いてはハクガンを探すことに。だいぶ苦戦しましたが、2時間近く探したところ、ようやく8羽のハクガンを見つけました。マガンとオオハクチョウに混じって採餌していましたが、少しして飛び立ち、丘陵を越えていきました。

マガンとオオハクチョウに混じるハクガン
マガンとオオハクチョウに混じるハクガン

 

この日はヒシクイの群れも田んぼに降りていて、比較的近い距離で観察することができました。そのほとんどは亜種オオヒシクイでしたが、亜種ヒシクイも混じっており、体格や嘴の形状など両亜種の違いを見ることができました。

亜種ヒシクイと亜種オオヒシクイ(右から2羽目の顔だけ見えている個体)
亜種ヒシクイと亜種オオヒシクイ(右から2羽目の顔だけ見えている個体)

 

この日の最後は蕪栗沼へ。沼にはオオハクチョウやヒシクイ、オナガガモ、ヨシ原ではベニマシコやオオジュリン、シジュウカラ、そして低空を飛ぶチュウヒも見られました。

チュウヒ
チュウヒ

 

3日目

当初の予定ではチャーター船で仙台湾へ行く予定でしたが、強い冬型の気圧配置に見舞われ、朝から強い西風と高波となってしまい中止となりました。そこで、南三陸町の志津川湾へコクガンを見に行くことにしました。志津川湾はコクガンの餌となる海草のアマモが豊富なため、毎年たくさんのコクガンが越冬しています。

ポイントに到着すると、アマモを食べる30羽ほどのコクガンがすぐに見つかりました。また、オオバンが食べるアマモのおこぼれをいただく労働寄生という行動も見ることができました。強風のため海上の鳥のチェックはままならない状況でしたが、クロガモやハジロカイツブリなどが見られました。

コクガン
コクガン

 

翌日も強風によりチャーター船の出港は難しそうであったため、午後は少しでも多くの海鳥を見るために仙台湾の海岸へ。堤防から沖合を見ると、ビロードキンクロやハジロカイツブリ、アカエリカイツブリが比較的近い位置に浮いていました。望遠鏡を使ってさらに沖を見ると、アビやミミカイツブリなども見られましたが、残念ながらウミスズメ類は見つけることができませんでした。

最後に漁港に立ち寄ると、魚の追い込み漁を行うたくさんのカワウと、ハジロカイツブリ、ホオジロガモなどが見られました。ホテルに戻った後、念のため船長に翌日の海の状況を聞いてみましたが、残念ながら翌日もチャーター船による観察は中止となりました。

 

4日目

相変わらず西寄りの強風によりチャーター船は欠航となったため、再び県北へガン類を見に行くことにしました。前日までとは一転、前夜からの積雪でガン類の採餌場は雪に覆われていました。雪田では餌が採れないため、マガンの群れもかなり少なくなっていましたが、何とか5羽のシジュウカラガンを見つけました。このシジュウカラガンも寝てばかりで、雪が融けるのを待っているようです。その後はマガンの群れがほとんど見つからないため、伊豆沼の湖岸に飛来しているシマエナガを見に行くことにしました。シマエナガは北海道で見られる亜種ですが、なぜか数年前から宮城県で毎冬見られています。今期は10羽以上の群れになっているようで、この日もポイントに着くとすぐに8羽ほどのシマエナガを見ることができました。また、シマエナガの群れと一緒にヤマガラやシジュウカラ、コゲラ、ベニマシコ、オオジュリンなども見ることができました。

駐車場でエナガの声を聞きながら今回のツアーは終了となりました。
4日間、大変お疲れさまでした。

シマエナガ
シマエナガ

 

この記事を書いた人

田野井博之 たのい ひろゆき
1985年生まれ。小学生の時に野鳥の観察を始める。東北地方を中心に鳥類調査に携わりつつ、関心のある海鳥やシギ・チドリ類、チュウヒなどを見るため全国各地へ。特に海鳥の識別や生態に強い興味を持ち、国内外を問わず観察を続けている。

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2023年6月17日~22日

全体的にはこの時期天気があまり良くない根室地域では奇跡的に好天に恵まれた条件となりました。私としてシマフクロウ・ギンザンマシコ・シャチ・ラッコ・ヒグマ・エトピリカの順番で難易度が上がるのですが、逆になってしまい予想外の展開となりました。

6月17日(土) 1日目

飛行機の到着が少し遅くなったのですぐに専用車に乗って霧多布岬を目指します。前日までは1週間毎日霧、霧雨の天気だったのですがみなさんの到着とともに晴れになっていました。移動途中牧場に中にタンチョウがいたので撮影をしていただきました。霧多布に近づくにつれ徐々に霧が濃くなりラッコがいるポイントでは視界がなくなってしまいましたが、霧の中からラッコの赤ちゃんの泣く声がするのでその周辺を探すとようやく発見することができました。しかし霧に包まれているのではっきりと観察することがきず残念でした。宿に向かう途中にタンチョウを探しますが残念ながら見つけることができませんでした。宿の前で夕陽を狙っていると、もの凄い数のヌカカに襲われながらも素晴らしい夕陽を堪能しました。

牧場で観察したタンチョウ
牧場で観察したタンチョウ

風連湖の美しい夕日
風連湖の美しい夕日

6月18日(日) 2日目

天気は最高で予定通り早朝観察&撮影を楽しみます。ハイド(観察小屋)近くでコヨシキリがさえずっているので、ハイドに入り窓を開けるとめっちゃ近い!逃げないのでしっかりと撮影を堪能できました。またオジロワシのペアが近くで飛翔したり、とまってくれたりとサービス満点の早朝となりました。

コヨシキリ
コヨシキリ

オジロワシのペア
オジロワシのペア

落石ネイチャークルーズはやや波は高いが出航という事で海へ出ますが、波よりもうねりがあり鳥たちを探すのも苦労します。そんな中でガイドさんが飛び回るエトピリカを成鳥見つけてくれたので撮影していると・・・着水!ゆっくり近づいてゆくと、なんとエトピリカからこちらに近づいて来るではありませんか!おまけに海上に漂う枝などを巣材として集めていることに集中しているので、こちらはほぼ無視。おかげでみなさんしっかりと撮影をすることができました。光もいいし近いしこんなことはないよと私が一人で興奮して熱くしゃべくっていました。

枝を集めるエトピリカ
枝を集めるエトピリカ

エトピリカ
エトピリカ

近くにいるはずの10数頭を超えるラッコの群れは波が高くて見つけられませんでしたが、若い2頭は何とか撮影ができたと思います。下船後は道の駅でランチをするのですが、根室名物という事で「エスカロップ」をみんなで食べました。

若い2頭のラッコ
若い2頭のラッコ

午後はどうするかをみなさんに聞くと「霧多布のラッコはもういい」という事で、走古丹でキタキツネの子ぎつねとタンチョウの親子を探すことになりました。残念ながら大人のキタキツネはちょくちょく見られるのですが、下見で見つけた巣穴の4頭の子ぎつねには出会う事はできませんでした。タンチョウの親子ははじめ見つけられませんでしたが、さすが熟練のバードウォッチャーでもあるドライバーさんが見つけてくれて何とか撮影をすることもできました。

タンチョウの親子
タンチョウの親子

時間があれば野付半島にも行く予定でしたが明日は野付半島での観察と撮影にしっかり時間をかけることができるので、この日は早めに切り上げて宿の向かいにある温泉を楽しんでいただきました。

6月19日(月) 3日目

予定より1時間遅く出発して、コンビニで朝食を買い込んで野付半島に向かいましたが・・・天気は晴れているのですが、風が強く寒い=小鳥の出現率が下がるのでターゲットをエゾシカに切り替えて群れを見つけては車を停めて撮影を楽しみます。

エゾシカ
エゾシカ

エゾシカ
エゾシカ

10時を過ぎたところで気温も上がり風も弱まったので花と小鳥を歩きながら撮影を進めます。ここで電話が鳴り尾岱沼の外洋クルーズが波が高いために欠航という電話でした。風は弱まったと思ったのですが、どうやら位置的に風が弱くなっていただけで全体的には風は弱まっていなかったようでした。予定を一気に変更してまず、標津の町までランチを食べに行きました。その後は今日から泊まる宿へ電話をして早めにチェックインすることを伝えました。時間はたっぷりあるので下見で見つけたショウドウツバメのコロニーでみなさん撮影を楽しみました。

ショウドウツバメのコロニー
ショウドウツバメのコロニー

羅臼に移動して早めに宿へ入り休憩。そして夕食をとり、18時30分シマフクロウを狙いに行きました。1度でも出れば23時、出なければ0時まで粘ることにして頑張りましたが、結局1度も出ることが無く引き上げると10分後に出たらしい!悔しい。

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年6月11日~16日

 

6月11日(土) 1日目 曇りのち雨

集合時間にみなさん間に合ったので専用車に乗り、雨が降る前に霧多布に向かいました。出発時は曇りだったのですが、目的地に近づくにつれて雨が降り出します。霧多布岬は霧の中で視界がききません。当然ラッコの親子の姿を見ることも不可能なので残念ですが宿に向かう事にしました。途中オジロワシがテトラポットにとまっていましたが、写真的にイマイチだったので停まらずに通過させてもらうことにした。移動途中にタンチョウがいる場所を通過するので、いないかなと探していると廃校になった小学校にいました。車外に出ると逃げてしまうので、車内から撮影をしてもらいました。この日は雨が止まなかったのでここで終了となりました。

 

6月12日(日) 2日目 曇りのち大雨

晴れていれば4時30分や5時からスタートしたいところですが、曇っていて暗かったので6時から宿の前で撮影開始です。タンチョウのペアが風連湖にいたのでセンダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮ってもらったり、草むらでさえずる小鳥をさがして撮影しました。

センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影

風連湖にいたペアのタンチョウ
風連湖にいたペアのタンチョウ

朝食後に車へ荷物を積み込んでいると道路の対岸に真赤なベニマシコのオスが出たので、居合わせたみなさんは撮影を楽しまれたのですが、遅れた2名が撮影できなかったのが悔しかった。

オスのベニマシコ
オスのベニマシコ

落石港へ向かう途中に立派な木にとまるオジロワシのペアがいたので、ゆっくり静かに近づくが全く逃げる気配がないので、橋の上からがっちりと撮影することができました。

オジロワシ
オジロワシ

落石クルーズは少し波が心配でしたが無事出航することができました。初めはウトウがちらほら出ますが、波があるので船が揺れる、揺れる!そのため撮影の難しいこと。

ウトウ
ウトウ

ふと上を見上げるとずんぐりむっくりの鳥が飛んできました。(ずんぐりむっくり・ウトウよりも高い場所を飛ぶ???)気が付きましたが咄嗟で声が出ません!「エトピリカ!」と叫ぶと幸か不幸かあまりにも近くを飛んでいたのでみなさんが見上げた時にはすでに後ろ姿を見送るだけになってしまったが、ここ数年数を減らしているので観られただけでも超・ラッキーという事になります。

エトピリカ
エトピリカ

その後はガイドさんが若いツノメドリを見つけてくれて何とか撮影もできました。今年はチシマウガラスが多く見られるというのでその岩場へ。揺れる船上からの撮影はなかなか難しいですが、しっかり撮れたとのではと思う。参加者の皆さんはピンと来てないようだったので説明をしっかりしておく。この鳥は滅多に見られないし、夏羽なんて超レアなんだよと(笑)

ツノメドリ
ツノメドリ

チシマウガラス
チシマウガラス

その後はラッコがいる岩場へ行くと、まず親子が見られました。自分的にはこれでラッコはOKだったのですが、その後に海藻に身体を巻き付けた10数頭のラッコの群れに遭遇!これはまるでカリフォルニアじゃないか!こんなことは初めてで私自身が興奮をしてしまいました。

海藻に身体を巻き付けたラッコ
海藻に身体を巻き付けたラッコ

10数頭のラッコの群れに遭遇!
10数頭のラッコの群れに遭遇!

周辺ではケイマフリがちらほら出てくれたので撮影もできたと思います。港に入る手前でトウゾクカモメが出現。撮影はできなかったと思いますが、本来ならば沖合にいる鳥なので港近くで見られただけでもラッキーです。

ケイマフリ
ケイマフリ

本当にラッキーだったのはこの後かもしれません。船から降りて車に乗った瞬間から雨が降り出しました。結局、宿に入るまでこれが降り続けることになるとは。宿に戻る途中にある、走古丹、野付半島を雨の中で生き物を探しますが、結果はパッとしません。それでも走古丹でエゾタヌキを見られたことは個人的にラッキーでした。何しろ溜めフンは見たことがあったのですが、生きてる姿は初めてだったからです。宿に到着後は、宿の向かいにある天然温泉へ希望者だけ入浴をしてもらい楽しんでいただきました。

6月13日(月) 3日目 雨のち曇り

雨が降ってなければ5時出発の予定でしたが、雨が降っていたので6時出発に変更しました。野付半島ではシカの食害で一番撮影がしやすい場所の草が減ってしまい、小鳥たちが巣造りができないため数が激減しているようでさっぱり!それでも何とか花が咲いている別ポイントで歩きながら撮影をしてもらいましたが、気温が低いので小鳥たちが花に上がってきません。気温が低いのでエサの虫が地面近くにいるためです。それでもカッコウだけは周囲を飛び回ってくれるのでこの場所はまだ多くの小鳥たちが繁殖していることがわかりました。しかしここで小鳥たちのアップが撮れないのが悔しい限りです。

エゾシカ
エゾシカ

カッコウ
カッコウ

2時間もするとみなさん寒さで疲労困憊している様子なので一旦トドワラのネイチャーセンターで休憩をしてもらうことにした。到着と同時に私の電話が鳴る。嫌な予感がする。やはり尾岱沼のクルーズだ。「本日は波が高いので船は出ない」と伝えられる。困った!野付もダメ、船もダメ、天気もダメの八方塞がりの中、急遽地元の知人にこの周辺でいいポイントはないかとメールで聞くと近くにある公園を教えてもらった。合わせて翌日予約してあるシマフクロウが撮影できる宿にも電話をして今日、空きがあれば入れるかと聞くと大丈夫という事で、ほっとする。今日の船は乗れないがシマフクロウのチャンスが1回増えたことを伝えるとみなさんの表情が穏やかになった。

休憩後は知人に教えてもらった公園へ行き撮影を楽しむ。草原・湿地・森林と狭いながらに多様な環境があることでいろんな鳥たちを楽しむことができました。園内にはクマが出るようで公園事務所でクマ鈴を借りて散策します。クマ本体には出くわさなかったが「うんち」を観察することができました。夜も撮影があるので早めに宿に入り夕食まで各自での休憩にしました。宿は西遊旅行社の所有の宿「知床サライ」です。夕食は羅臼と思えないほどの手の込んだおしゃれな料理で、夜の撮影が無ければもっとエンジョイができたのではとちょっぴり残念な気分になってしまいました。

シマフクロウは、今年はヒナが2羽いてひんぱんにエサを捕りに来るという事で、ペアでの出現が19時50分、20時50分と続いたがその後は出現が無く、予定どおり23時に終了としました。(出なかった場合は12時まで粘る予定でした)

獲物を捕らえたシマフクロウ
獲物を捕らえたシマフクロウ

シマフクロウ
シマフクロウ

 

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戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の道東でバードウォッチング三昧!【後編】

Report by 吉成才丈 / 2022年2月8日~13日

 

4日目
この日の朝は、風連湖の凍結した湖面でのワシ撮影からスタートです。うす暗いうちから周辺にスタンバイするワシの姿がありましたが、給餌の時間が迫ると飛来する個体も増えてきました。そして待望のお食事タイムが到来すると、ワシの乱舞が始まりました! ワシが飛翔するたびに、皆さんの夢中でシャッターを切っていたようです。

オジロワシとオオワシ
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)

オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)

オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)

迫力あるワシを堪能した後は、森に入って小鳥を狙いました。すると、前日までは1時間に1度しか飛来しなかったというシマエナガが、なんと出ずっぱり! 写真もバッチリお撮り頂けました。参加者の皆さん、もってますね!

シマエナガ(大野一郎様 撮影)
シマエナガ(大野一郎様 撮影)

シマエナガ(森久美子様 撮影)
シマエナガ(森久美子様 撮影)

シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)

シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)

午後は周辺の港をめぐり、美しいカモたちを狙いました。今年は冬鳥が少なく、道東のカモたちも例外ではありませんでしたが、コオリガモやクロガモなどもゲットできました。

コオリガモ(森久美子様 撮影)
コオリガモ(森久美子様 撮影)

クロガモ(大野一郎様 撮影)
クロガモ(大野一郎様 撮影)

5日目
この日は落石ネイチャークルーズの午前便に乗船。幸いにも海は穏やかで、ウミバトやケイマフリなどの海鳥を堪能することができました。やはり、海鳥は船に乗ると近くで観察できますね。

ウミバト(大野一郎様 撮影)
ウミバト(大野一郎様 撮影)

ケイマフリ(大野一郎様 撮影)
ケイマフリ(大野一郎様 撮影)

シノリガモ(大野一郎様 撮影)
シノリガモ(大野一郎様 撮影)

そして愛くるしいラッコも登場。お約束のポーズで貝を割る仕草のほかに、子供を抱いた個体も見られました。

ラッコ(森久美子様 撮影)
ラッコ(森久美子様 撮影)

午後は羅臼までロングドライブし、夕食後にシマフクロウにトライ。最近は朝方に出るということで、残念ながらこの日は、早い時間帯には出でくれませんでした。明日は日の出前からワシのクルーズなので、早めに切り上げました。

6日目
いよいよ最終日です。今朝は早起きして真っ暗な内に宿を出て、羅臼港へ向かいました。流氷ウォッチングのクルーズ船に乗り込み、流氷に向けて出港。流氷の近くに船を停めて夜明けを待ち、美しい朝焼けとワシを堪能しました。この美しい景色と迫力満点のワシを見たら、寒さも忘れてしまいますよね。

オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)

オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)

オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)

オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)

そして、この旅の最後に訪れたのが野付半島です。野付半島ではユキホオジロが時折観察されているのは知っていましたが、今回は滞在時間も短いため、正直なところ見られるとは思いませんでした。でも、残り時間が15分もない頃、偶然に偶然が重なって見られちゃったんです。じっくり観察や撮影ができずに残念でしたが、我々を見送るように、すぐに遠くへ飛んで行ってしまいました。

今回は鳥見に特化したコースを設定してもらったため、かなり効率的に見られたと思います。

ユキホオジロ(大野一郎様 撮影)
ユキホオジロ(大野一郎様 撮影)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

冬の道東でヒメクビワカモメとワタリガラスを探す旅

Report by 簗川堅治 / 2022年1月7日~10日

北海道には憧れの鳥たちがたくさんいます。ヒメクビワカモメは冬の筆頭かもしれませんし、ワタリガラスも上位に入るでしょう。その2種に的を絞ったツアーです。

 

1日目。天候が荒れていれば、ヒメクビワカモメの期待が高まりますが、残念ながら荒れてはくれませんでしたので、ヒメクビワカモメの可能性はほとんどなくなりました。この時期の北海道は、まだ日の入り時刻が早く、16:00です。集合後は一刻も早く移動して、鳥を見る時間に当てたいところです。しかし、こともあろうに飛行機の到着が30分遅れ、この日の観察時間は30分程度しかなくなりました。ワタリガラスのポイントで待つも、もうねぐら入りしてしまったのか、ワタリガラスも他のカラス類も見ることができませんでした。明日にお預けです。

 

2日目。今日も朝からいい天気ですので、ヒメクビワカモメは期待できません。それでも念のため、ポイントに行ってみました。案の定、ヒメクビワカモメどころか、他のカモメ類すらいません。それどころか、いつもたくさんいるオオワシ、オジロワシ、オオハクチョウすらいない有様です。今シーズンは、全国的に冬鳥が芳しくないのですが、北海道も同じようです。そんな状況下で、わずかなカワアイサやクロガモ、コオリガモなどを観察し、次のポイントへ向かいました。

 

ポイントで出迎えてくれたのは、ワタリガラス!……ではなく、なんとクマタカでした。若い個体が木に止まって探餌をしているようです。

クマタカ
クマタカ(撮影:山本尚佳様)

周りにはカラスが群れていたので、ワタリガラスが入ってないか期待するもいませんでした。その後も、ハシブトガラス、ハシボソガラスは出るものの、ワタリガラスは出ず、時間切れ。海上もシノリガモがいた程度でした。

シノリガモ(撮影:山本尚佳様)

次のポイントに移動です。移動途中、カラス群れをチェックするもハシボソガラスでした。ワシで有名な羅臼到着です。しかし、ここもワシがほとんどいません。一体、どうしたのでしょうか?異常事態な感じです。まずはたくさんのカモメ類の群れを観察。ほとんどはオオセグロカモメでしたが、ワシカモメ、シロカモメ、カモメ、ユリカモメが混じっていました。オオハクチョウやシノリガモなどもいました。

 

とある場所で定点観察をしました。

クナシリを望む(撮影:山本尚佳様)

ホオジロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、シロエリオオハムなど見ながら、ワタリガラスが出るのをひたすら待ちます。

ホオジロガモ(撮影:山本尚佳様)

ワタリガラスっぽい個体も出ますが、どれも違いました。なかなか手強いです。ついにここでも時間切れ。移動しながら、カラス群れをチェックすましたが、ハシブトガラスのみ。

 

3日目。ワタリガラス探しは小休止し、根室半島を回って他の鳥を楽しむことにしました。ところが羅臼同様、いつもはたくさんいるワシがほとんどいません。港にも海鳥がいません。納沙布岬もヒメウばかりで、お馴染みのチシマウガラスが来ていないようです。がっかりです。それでも強風の中、がんばってハイドに入り、海鳥を探しました。数羽のアカエリカイツブリやシノリガモを見ることができました。

アカエリカイツブリ(撮影:大林修文様)

気を取り直し、仕切り直しの意味からも、道の駅で早めの昼食をとることとしました。ここはワシがたくさんいますので、まずはそれを見ることにした、ちょうどその時、「コロロロロ、コロロロロ…」と聞き覚えのある独特のカラスの声!そうです、ワタリガラスです!真上を鳴きながら旋回し、氷上に降り立ちました。周りにいるハシブトガラスよりも明らかに大きく、喉の羽毛ザクザクしているのがはっきりとわかります。全員でじっくりと観察撮影することができました。

ワタリガラス(撮影:大林修文様)

ワタリガラスとハシブトガラス、ハシボソガラス(撮影:大林修文様)

その後は、2ヶ所のワタリガラスのポイントを回りましたが、残念ながら現れず。それでも気分のいい思いで宿に向かいました。途中、ケアシノスリが目の前に現れ、思わぬ収穫となりました。

ケアシノスリ(撮影:簗川)

4日目。朝からいい天気です。まずは火散布沼でタンチョウ、オオハクチョウ、ヨシガモなどを観察しました。タンチョウとオオハクチョウの組み合わせもなかなかです。

オオハクチョウとタンチョウ(撮影:大塚敦雄様)

最後は昨日ワタリガラスが出た道の駅で、ワタリガラス狙いです。たくさんのオジロワシ、そしてオオワシを楽しみながら、ワタリガラスの登場を待ちました。

オジロワシとオオワシ(撮影:大塚敦雄様)

オジロワシ(撮影:大塚敦雄様)

しかし、残念!今日は出てくれませんでした。

 

ヒメクビワカモメにはかすりもしませんでしたが、ワタリガラスはじっくりと観察することができました。それにしても、今季の鳥の少なさには閉口です。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!