冬の九州鹿児島カツオドリと出水の万羽鶴・撮影三昧

Report by 戸塚学 / 2024年12月10日~14日

今年も鳥インフルエンザの緊急事態で、出水では過去最高の規制が厳しく敷かれ撮影が心配になりました。しかし一昨年よりも被害が少ないが、これ以上被害を拡大させないため動ける場所が少なくなってしまったが、撮影ができる場所で撮影することで定点の良さを実感できたのは良かったと思います。

 

鹿児島では初日は快晴でカツオドリの飛び込みの撮影を楽しむことができました。天気予報では最終日も晴れの予報が曇りから雨になってしまい1時間早めの終了になりましたが、その代わりドライバーさんのプチ鹿児島市内観光を楽しむことができました。

12月10日 1日目 鹿児島市 晴れ

空港で集合後、そのままカツオドリのポイントを目指します。その前に近くにある物産館で食事を各自でしてもらいました。時間があったので物産館に入ると・・・お弁当やお持ち帰りのお寿司の品ぞろえがハンパなく驚いた!これは最終日は食堂ではなく、ここで買ってもらって撮影することを決意(笑)。現場は平日なので釣り客の車が少ない分?カツオドリも少ない?昨年はカンムリカイツブリとハジロカイツブリもいたのですが、この日は見つけられなかった。ミサゴは飛んできますが飛び込んでくれません。14時30分ごろ貨物船が入港してくるとなぜか?アオサギとカツオドリが船にまとわりつくように飛翔しながら港へ入ってきた!ここからカツオドリが20羽以上になったので16時までカツオドリの飛び込みと飛び出しを撮影してもらいました。夕食は駅ビルの飲食街に行ったのですが、どの店も美味しかったので来年もここで各自食べてもらうのが良さそうだと思いました。

カツオドリ
カツオドリ
カツオドリの飛び込み
カツオドリの飛び込み
カツオドリの飛び出し
カツオドリの飛び出し

 

12月11日 2日目 鹿児島市~出水市 曇りのち晴れ

朝は曇り。出水は晴れ予報なので期待をして出発します。出水に近づくと徐々に空は明るくなり到着時には晴れてくれた!まずは観察センターで簡単なレクチャーを受けたのち、建物の2階の展望所で飛翔を狙ってもらいますが・・・時間が遅いのでツルが飛んでくれないのが悩ましい。天気も曇りなのでここで「流し撮り」の撮影練習をしてもらいます。晴れているとNDフィルターを付けないとできないので、これは曇りの天気だからこそできる撮影方法です。みなさん「難しい」と言いながらも真剣に飛翔するツルたちを狙っていました。一旦、お昼になったので切り上げ定食屋に行くが満席で断念。翌日行く予定のうどん屋さんへ行くと何とか入れました!お客様が皆「安くておいしいので明日もここがいい!」というので翌日もここに決定してしまった(笑)。昼食後は東干拓に移動してまず、翌朝撮影する場所で説明をしました。ツル監視所に行くと、監視所前にカナダヅルのペアがいたのでがっつりと撮影をしてもらいました。このカナダヅルのペアが強気で、ナベヅルの家族に対して威嚇や追廻を撮ることができてよかった。

カナダヅル

このポイントでは水路にヘラサギ類がいないか探しますが見当たらない。遠くに見えるツルのねぐらを双眼鏡で見ますが見当たらない・・・いつもなら探しに行けるのに規制で探しに行けないのがつらい。再び観察センター前で夕陽を狙っていると、それまで曇っていた空から夕陽が雲間から光を放ち太陽の姿を拝むことはできないものの、夕焼雲の中を飛翔するツルたちを撮影することができました!

夕焼雲の中を飛翔するナベヅル

12月12日 3日目 出水市 晴れ

6時30分にホテルを出て朝陽狙いのポイントへ移動します。気温が低いので霧が出ているのですが薄っすらなのがさみしい。東の空には雲が無いので朝陽は期待できそうです。それまでは色づいた空を飛翔するツルたちの飛翔をシルエットで狙ってもらいます。朝陽が山から顔を出すとみなさんに「太陽に入るツル」の撮影方法を説明して狙ってもらいます。しかし・・・一番いい時間にツルたちが飛ばない!!!残念。ここで一旦ホテルに戻り朝食にします。ただこの時間がもったいないので来年はポイントにより近いホテルにした方がいいと感じた(規制があるのでホテルからポイントまでのルートがかなり遠回りになるため)。

太陽とナベヅル

9時30分から周囲を探しながら車内から撮影をして観察センターへ。昨日に比べて時間が早いのでツルたちの飛翔がよく見られ青空での撮影を楽しんでもらいます。「きゅ~」とかわいい声が聞こえたので、声のする方を探すとミヤマガラスの群れの端にいました!今回の目玉の一つ、かわいいコクマルガラスです。成鳥は白黒の配色で「パンダガラス」とも呼ばれています。みなさんにしっかりと撮ってもらいました。

コクマルガラス

11時を過ぎるとツルたちも個々に餌場に向かいさみしくなったので、東干拓へ移動します。到着すると水路脇の土手に白い鳥が休んでいます?双眼鏡で覗くとクロツラヘラサギです。車を停めてからしっかりと撮影をすることができましたが、水路の奥を見るとクロツラヘラサギとヘラサギの群れが10羽ほど水中に嘴を突っ込み左右に振って魚を探しています。ただし遠いので一旦カナダヅルを狙ってもらいます。私は時々水路を覗きながらヘラサギ類の動きをチェックします。30分ほどすると採餌をしながらどんどんこちらに向かってきているので、みなさんを呼んで撮影を楽しんでもらいました。ふと時計を見ると13時です!うどん屋さんは14時で閉まってしまうので食事にすることにしました。食事後再び東干拓に戻りますが、ヘラサギたちはねぐらに移動して、カナダヅルのペアも遠くに行ってしまいました。さてどうしようかな?と思っているとヘラサギ類の群れがこちらに向かって飛んできました!青空バックに白い鳥は何と美しい事か!

ヘラサギの飛翔

完全に遠くに飛び去ったので、観察センターへ移動する途中にタゲリを撮影しますが、逆光で厳しい!この日は西の空に雲が無いので夕焼雲は望めませんが、かわりに逆光に輝く2番穂の中のツルたちを狙っても対ます。途中である事に気がつきました!昨日はなかった蜘蛛の糸が逆光で輝いているのが見られたのでできるだけ蜘蛛の樹とナベヅルが絡むシーンを狙ってもらいます。そして最後の最後、この逆光の中ナベヅルのペアが鳴き交わしとディスプレイをしてくれた!まさにアンビリーバボーでした!まさにみなさん持っています!

ナベヅルの鳴き交わし

 

12月13日 4日目 出水市―鹿児島市 晴れのち曇り~雨

天気予報では朝が曇りだったので悩みに悩んだ末、出発を1時間遅らせ、朝食を摂ってからの出発にしたのですが・・・晴れてる!やっちまったが仕方ない。まだ太陽は低い位置なので朝露のついた草を絡めた撮影をしてもらいます。また昨日逆光で苦しんだタゲリもリベンジで撮ることもできました。途中の川の中にセイタカシギがいたのでそちらもしっかり撮ってもらいました。

セイタカシギ

観察センター前の給仕場へ行くとわっさりとツルたちが集まっていたので群れから顔を出す姿を狙ってもらいます。

マナヅルの群れ

群れがばらけ出すと時計はちょうど9時です。ここで終了をして鹿児島へ移動です。カツオドリの撮影前に物産館でお弁当を買ってもらったのですが、全員「お鮨」!味も良く安くて最高でした。みなさん車内で食べている時が天気も良くカツオドリも近くに飛び込んでいたのに、撮影を始めるとだんだんと黒い雲に覆われ・・・13時過ぎには雨が降り出したので少し早いのですが切り上げて、空港に向かいました。途中下道で移動したのでタクシーのドライバーさんが市内の名所などの説明をしてくれて「プチ観光」も楽しむことができました。

 

鳥インフルエンザの影響で出水ではとても厳しい規制でどうしたものかと悩みましたが、ツルたちはいるので、今までとは違う狙い方で楽しむことができる事を再確認しました。カツオドリも相変わらずたくさん見られたことでみなさんとても楽しんでいたと思います。

あとはもう少しプラスアルファを考えたいと思いました。規制によるルートが決まっているために遠回りをすることでホテルとポイントの移動に時間がかかってしまうためホテルをポイント近くにすることで温泉を楽しむことができればと思いました。

撮れた鳥

カンムリカイツブリ・カツオドリ・ヒドリガモ・マガモ・コガモ・ハシビロガモ・オナガガモ・カルガモ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・オオバン・ヘラサギ・クロツラヘラサギ・カナダヅル・マナヅル・ナベヅル・クロヅル・タゲリ・イソシギ・タシギ・セイタカシギ・ミサゴ・トビ・コクマルガラス・ミヤマガラス・モズ・ジョウビタキ・

見られた&声を聞かれた鳥

カワウ・キジバト・ドバト・セグロカモメ・ミヤマガラス・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒバリ・ヒヨドリ・スズメ・ハクセキレイ・キセキレイ・タヒバリ・カワラヒワ・スズメ・ムクドリ・カワセミ・ツグミ・シロハラ・イタチ

 

月とナベヅル

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【後編】

Report by 簗川堅治 / 2024年1月23日~27日

 

<3日目>

朝食前にツルのねぐら立ち観察です。曇り空の中、次々とツルたちが餌場に飛び立っていきます。

今度はミヤマガラスの大群がやってきて、けっこうな数のコクマルガラスが混じっていて、シロマルも数羽確認できました。

ミヤマカケスとコクマルガラス 撮影:浅井様

ホテルへ戻る途中にソデグロヅルを少し見ていきました。

朝食後は、急きょコース変更した諫早に向かうために熊本からフェリーに乗りました。雲仙普賢岳を見ながら、たくさんのユリカモメと戯れ、長崎へ着きました。

諫早干拓到着です。狙いはまずはオオカラモズ。結果的には、色々な所に止まったり、ホバリングしたりするオオカラモズを全員が見ることができました。

オオカラモズ 撮影:浅井様

次は難関のあの鳥。タヒバリを1羽1羽チェックです。しかし、見つけることはできませんでした。諫早を離れる間際に藪藪のなかにいるトラフズクや湾に浮かぶたくさんのトモエガモを見ました。

<4日目>

東よか干潟からスタートです。思ったより潮が満ちてこず、鳥が遠くてイマイチでしたが、ここはいつも格別な場所で素晴らしい光景です。ソリハシセイタカシギなどを見て、次の場所へ移動途中、カササギの巣作りを観察しました。

ソリハシセイタカシギ 撮影:高橋様

今度は珍鳥オオノスリ狙いです。一旦、付近を探したものの見当たらず、ポイントで定点観察です。目の前の草地にはジョウビタキ、ホオジロ、ホオアカ、そしてシベリアジュリンが度々現れ楽しめました。

シベリアジュリン 撮影:高橋様

ハイイロチュウヒ、チョウゲンボウ、そしてコチョウゲンボウも現れました。しかし、肝心のオオノスリが出ません。一旦、運転手さんおすすめのラーメン屋に昼食を食べに行き、再びオオノスリ待ちです。すると今度は遠くに怪しい鳥影。ミサゴに追われるオオノスリ発見!しかし、ものすごく遠い!でも、翼と尾の上面が見え、オオノスリの特徴がわかりました。その後は結局、近くには現れず、この日は終了です。

<5日目>

まずはノスリの一亜種、カラノスリに挑戦です。しかし、探せど探せど、見つかりません。次はオオノスリ。こちらはあっさりと見れました

オオノスリ 撮影:K.S様

飛ぶと翼の白斑と白い尾羽がはっきりと確認できます。

最後の場所に移動中に、これまた運転手さんおすすめのラーメン屋でお腹を満たしました。途中、ツクシガモなどを見ながら、最後の場所でもお目当てのカラノスリは現れず、文字通り“カラ”振りに終わりましたが、またの機会です

ツクシガモ 撮影:K.S様

珍鳥狙いに特化した5日間。特に1、2日目は、九州にしては異例の寒さで貴重な体験をしました。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【前編】

Report by 簗川堅治 / 2024年1月23日~27日

2022年2月の同ツアー以来の九州です。今季はどんな珍鳥に出会えるのでしょうか?

<1日目>

集合の宮崎空港を出発し、最初は珍鳥・キバラガラです。この日から九州は今季一番の寒波に覆われ、寒い中でのスタートです。しかも宮崎は強風!小鳥類観察には不向きな状況です。シジュウカラやヤマガラにちょっと騙されながら、粘り強く探したものの見つかりませんでした。池のカワセミがきれいでした。

カワセミ 撮影:K.S様

気を取り直して、水鳥観察に行きました。

観察風景

こちらは更に強風!そんな中、なんとかヘラサギやクサシギを観察し、再びキバラガラに挑戦しました。しかし、残念な結果に終わりました。宿泊先の霧島市の夜は小雪が舞っていました。

<2日目>

昨日の挽回をすべく、まずは海沿いの調整池へ。お目当てはメジロガモです。♂、♀、そして交雑種?がいる情報でした。それらを探していると、目の前にオニアジサシが飛んできて、しきりに探餌をして、我々の前を行ったり来たり。

オニアジサシ 撮影:上山様

そしてついに魚を捕らえて、海へと消えていきました。肝心のメジロガモは交雑個体がいたのみ…

メジロガモ×ホシハジロ 撮影:簗川

続いては、外海に行かないと見られないカツオドリを陸地から、しかも至近距離で見られるポイントへ。カツオドリはやや遠かったものの、我々の目の前で何度もダイビングしていました。顔が水色の♂もいます。

カツオドリ 撮影:上山様

この日最後は出水市のツルです。まずはソデグロヅルのポイントへ。あっさり見れました。

ソデグロヅルとマナヅル 撮影:上山様

他、カナダヅル、そしてクロヅルも難なく見れました。その他、大群のミヤマガラスとその中に複数のコクマルガラスも観察。シロマルもいます。

続いて、ねぐら入り前に集まったホシムクドリを観察後、今度はツルたちのねぐら入りを見て、この日は終了です。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・2本目】

report by 吉成才丈 2022年12月12日~16日

 

1日目
鹿児島空港に集合し、専用車で出水方面に向かいました。昼過ぎに出水に到着し、ツル探しからはじめました。まずはカナダヅルを見つけるもこの日は遠く、クロヅルやソデグロヅルを探しつつ、マナヅルやナベヅルをじっくり観察・撮影して頂くことにしました。

水を飲むマナヅルの家族群
水を飲むマナヅルの家族群

採餌していたナベヅル
採餌していたナベヅル

 


2日目

薄暗いうちに干拓地に到着し、まずは朝焼けとツルを観察しました。朝焼けをバックに飛翔するツルは美しく、皆さん夢中でシャッターを切っていました。

朝焼けとツル
朝焼けとツル

採餌するツル
採餌するツル

朝焼けのあとは、やはり電線にとまるコクマルガラスを狙いました。この日も、淡色タイプのシロマルに出会えました。

ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)
ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)

その後、観察センターの屋上でツルを観察していると、道路の陰に見え隠れするクロヅルを発見。じっと待っていると、他のツルから外れて全身が見える位置に移動してきました。今年はツルの数が少ないので、出会えるかどうかはタイミング次第なんですね。

クロヅル
クロヅル

クロヅルが出てくるのを待っているとハヤブサも出現し、耕作地で採餌していたカモ類は大騒ぎしていました。

ハヤブサ
ハヤブサ

その後は河川沿いを散策し、ツリスガラやホオアカなどを狙いました。ツリスガラはヨシ原で鳴声がしたあと、比較的近くに現れてくれました。とても小さな鳥で、現れた時にはまったく鳴かなかったので、皆さんに確認してもらう迄に時間がかかりましたが、なんとか全員で観察することができました。

ツリスガラ
ツリスガラ

ホオアカもコンクリート護岸にとまり、河川ではミサゴの水浴びも観察されました。飛翔を見ることが多いミサゴだけに、水の中にいる姿は珍しいですね。

水浴びするミサゴ
水浴びするミサゴ

午後は山に入り、ダムや渓流を観察しました。相変わらずオシドリは警戒心が強く、ダムの水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが見られました。薄暗い水際のオシドリを探していると、クマタカが滑翔で尾根陰入るところが一瞬だけ観察できました。そしてヤマセミのポイントに近づくと、流木にとまっているヤマセミを発見。ヤマセミは飛び立って枯木にとまったので、皆さんに教えながらスコープに入れようとしましたが、またすぐに飛び立ち、岬の裏側に入ってしまいました。また帰り際には、橋を渡るときにヤマセミの鳴声と飛翔する姿を確認。なんと2羽が一緒に、川の上流方向へ飛翔していきました。夕方には干拓地に戻り、ヘラサギ類やタゲリなどを観察しました。

ヘラサギ
ヘラサギ

タゲリ
タゲリ

3日目
この日も薄暗いうちに干拓地に到着しましたが、あいにく雲が厚く、朝焼けも月も見ることができませんでした。今日はダメかと残念に思いながら車中待機していると、右側に座っていた方が「ソデグロヅル…?」と呟きました。なんでも、白い大きなツルが降りてきたというので確認すると、まさかのソデグロヅルでした。
ソデグロヅルは、昨年は目立つところにずっといて見やすかったのですが、今年はなかなかじっくり見られないということだったので、一転して大逆転の幸運が転がり込んできたことになります。天気が悪かったため他に観察者もおらず、しばらく独占的に観察させてもらいました。

マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)
マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)

昼前のフェリーに乗るため早々に出水を発ち、熊本に向かいました。島原に向かうフェリーでは、出港前から乗船客のエビせんを求めるユリカモメで賑わっていました。どれほどの数のユリカモメがいたのかわかりませんが、出港後にはたくさんのユリカモメが船の後を着いてきました。

船についてくるユリカモメ
船についてくるユリカモメ

出港後には堤防で休むカツオドリの大群も観察しましたが、この日は船の近くを飛翔する個体もいました。

海上を飛翔するカツオドリ
海上を飛翔するカツオドリ

諫早の干拓地には広大な耕作地やヨシ原がありますが、ヨシ原ではハイイロチュウヒやオオジュリンなど、耕作地ではホシムクドリやチョウゲンボウなどが観察されました。

ハイイロチュウヒの幼鳥
ハイイロチュウヒの幼鳥

ホシムクドリ
ホシムクドリ

 

4日目
朝は再び諫早干拓地を訪ねました。ヨシ原周辺ではコチョウゲンボウやノスリなどの猛禽類を確認。コチョウゲンボウは、草地すれすれで小鳥を狙う様子も観察されました。

コチョウゲンボウ
コチョウゲンボウ

ノスリ
ノスリ

午後は佐賀の東与賀へ移動し、満潮時の干潟を観察。この日は満潮でも潮位が高くなく、広大な干潟にシギ・チドリ類やツクシガモ、ズグロカモメなどが点在していました。

干潟に点在する水鳥
干潟に点在する水鳥

スグロカモメ
スグロカモメ

干潟からホテルへ向かう途中の街中では、出会う機会がめっきり減ったカササギを発見。電線や家の屋根などにとまる様子が観察されました。

 

5日目
昨日カササギが見られたので予定を変更し、まずは調整池に向かいました。数千羽のトモエガモは健在で、大きな塊が水面に広がっていました。

飛び立ったトモエガモの大群の一部
飛び立ったトモエガモの大群の一部

ここでは1周3km弱の舗装道を散策し、トモエガモの大群を堪能するとともに、オオタカなどの猛禽類やオオジュリンなどの小鳥も観察しました。その後は河川を遡上し、清流でカワセミやイカルチドリ、カワガラスなどを観察。道の駅で地域クーポンを使用して頂き、解散地である福岡空港へ向かいました。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・1本目】

report by 吉成才丈 2022年12月7日~11日

 

1日目
福岡空港に集合し、専用車で有明海方面に向かいました。

途中、高速道のサービスエリアで昼食をとり、まずは調整池で鳥見を開始。昨年は数羽しかいなかったのに、今年はトモエガモが5,000羽以上も滞在しており、その数の多さに圧倒されました。

トモエガモの大群
トモエガモの大群

 

これだけカモがいるのですから、ハイイロチュウヒやオオタカなどの猛禽類も出現して楽しめたのですが、車に戻る際には、もっと嬉しいカササギの鳴き声を確認。
カササギは福岡や佐賀、長崎あたりに生息しているのですが、とくに佐賀周辺では個体数が減少傾向にあって出会えないときもあるので、慎重に近づいて観察しました。地上や樹上でエサを獲る様子もじっくり撮影でき、見られてホッとするとともに、その美しさを満喫できました。

採餌中のカササギ
採餌中のカササギ

その後は東与賀干潟へ行きましたが、干潮の時間帯であったため、広大な干潟をご覧いただいてホテルに向かいました。

 

2日目
午前中は、満潮の東与賀干潟でシギ・チドリ類などの水鳥を観察しました。昨日と違って鳥も近く、ハマシギの群れやダイシャクシギ、アカアシシギ、ツクシガモ、ズグロカモメなどの水鳥を見ていると、ハマシギの群れが一斉に飛び立ちました。ハマシギの群れは動きもシンクロしており、一斉に向きを変えたりする様子を楽しみました。やはり、日本を代表する東与賀の干潟は広大で素晴らしい環境ですね。

一斉に飛び立ったハマシギ
一斉に飛び立ったハマシギ

 

ダイシャクシギやツクシガモ
ダイシャクシギやツクシガモ

この日も高速道で昼食をとり、午後は諫早の干拓地へ向かいました。干拓地のヨシ原ではハイイロチュウヒやチュウヒ、コチョウゲンボウが飛び回り、耕作地ではタゲリやホシムクドリ、ホオアカ、水路ではクサシギなどを観察しました。またヨシ原ではタヌキを、耕作地ではイノシシも確認し、哺乳類も楽しめました。

チュウヒ
チュウヒ

 

ミヤマガラスとホシムクドリ
ミヤマガラスとホシムクドリ

3日目
朝方は再び干拓地を訪ね、セイタカシギやカワセミ、チョウゲンボウなどを観察。そして昨日に続き、耕作地ではイノシシを発見。昨日は走り去る後ろ姿でしたが、この日は近くでじっくり観察できました。

耕作地に現れたイノシシ
耕作地に現れたイノシシ

その後は島原からフェリーに乗り、船上でも鳥見を行いました。船が出ると、乗船客が与える餌を目当てに集まったユリカモメの群れがすぐ目の前に出現し、美しい雲仙岳をバックに飛び回る姿を楽しみました。

ユリカモメと雲仙岳
ユリカモメと雲仙岳

 

そして入港直前には、堤防の上で休む約600羽のカツオドリも観察できました。これだけの数が集まるのはすごいことだと思います。

堤防で休むカツオドリの一部
堤防で休むカツオドリの一部

 

フェリーを降りると一気に出水まで移動し、夕方のわずかな時間でしたが、干拓地のツルを観察しました。ナベヅルやマナヅルを見逃すことはないのですが、この日のうちに他のツルを見られると気が楽になるので探すと、カナダヅル2羽を発見できました。

カナダヅル
カナダヅル

 

4日目
ツルは早朝に給餌されるため、朝方にもっとも活発に動きます。この日は薄暗いうちに到着し、朝焼けや月をバックに飛翔するツルを狙いました。天気にも恵まれ、ほぼ満月という絶好の条件であったため、朝日の方向を狙ったり、反対側に出ている月の周辺を狙ったりという嬉しい忙しさを体験できました。まだ薄暗いうちには、カラスに突っかかられてコミミズクも出現しました。

月とツル
月とツル

 

 

朝焼けのツル
朝焼けのツル

ツルの動きが落ち着くと、つぎはコクマルガラスを狙いました。ちょうどこのタイミングでミヤマガラスの群れが電線に集まるのですが、その中にコクマルガラスも混じります。遠くからでもコクマルガラスの白いタイプ(通称シロマル)が見えていたので、苦労することなく全身が見えている状態で撮影できました。

コクマルガラス(左)とミヤマガラス
コクマルガラス(左)とミヤマガラス

電線の役割は電気を流すだけではないようで、同じ並びの電線にはニュウナイスズメの群れもとまっていました。雌雄同じ模様のスズメとは違い、ニュウナイスズメはオスとメスとで模様が異なり、とてもかわいい鳥です。

電線関連の鳥を観察後には、ツリスガラやホオアカを狙って河川沿いを散策しました。鳴き声は聞こえるものの、なかなか姿を現さなかったツリスガラでしたが、車に戻る寸前にようやく姿を確認できました。他に川沿いでは、ハマシギやミサゴ、ノスリ、オオジュリンなども出現しました。

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメ

 

午後には山間部のダムに向かい、ヤマセミやクマタカなどを狙いました。解放水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが休んでいました。水際の薄暗いところが好きなオシドリはもっとも警戒心が強く、かなり遠くても人間の姿が見えただけで飛ぶこともありました。残念ながら、クマタカやヤマセミには出会えませんでしたが、カケスやイカルなどの声も確認しました。夕方には再び干拓地に戻り、マナヅルやナベヅルもじっくり観察しました。

ミサゴ
ミサゴ

マナヅル
マナヅル

ナベヅル
ナベヅル

5日目
この朝も夜明け前に干拓地に到着し、朝のツルを観察しました。この日は月は雲に隠れ、朝焼けの状況も昨日とは異なり、日々の変化も体験できました。今年はツルが少ないのですが、朝の採餌の密集度は迫力があります。遠いところに撒かれたエサから食べ始め、徐々に人間に近づいてきます。

朝の採餌の様子
朝の採餌の様子

 

一旦ホテルに帰って朝食後にチェックアウトし、再び干拓地でツルやヘラサギ類などを観察しました。出水といえばツルの越冬地として有名ですが、他の鳥も多く、ヘラサギ類は道路のすぐ近くで休んだり、三面張りの水路で採餌したりしていて驚かされます。

ヘラサギ
ヘラサギ

時間いっぱいまで出水の鳥たちを堪能し、解散地の鹿児島空港に向かいました。今年は鳥インフルエンザの影響でツルは少なかったですが、ツル以外の小鳥や猛禽類も楽しめました。撮影主体のツアーではありませんでしたが、冬の九州は被写体が多く、参加された皆さんも、たくさん撮影されたことと思います。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ

Report by 吉成才丈 / 2022年1月16日~20日

1日目:福岡空港~佐賀~東よか干潟

集合地の福岡空港の外は雨…。
でも皆さんが集合して出発するころには晴れ間も見えはじめ、幸先良いスタートとなりました。
まずは佐賀市内のため池から探鳥をスタートすると、トモエガモやカワセミ、ジョウビタキなどが出現。その後は東与賀干潟に向かいましたが、干潟の直前でカササギに遭遇。佐賀では目撃する機会が減っているカササギだけに、じっくり撮影もして頂きました。

カササギ
カササギ

そして東与賀干潟では、潮が引いている時の干潟を見て頂きました。干潟というと、潮が引いている時に鳥を見る印象があるかもしれませんが、水際の汀線がどこにあるか分からいほど広大な干潟が広がっており、シギ・チドリ類やヘラサギ類ははるか彼方…。実はこの周辺は満潮時と干潮時の干満差がとても大きく、最大で6mにもなる日があるのです。この日は下見を兼ねて干潮時の様子をみて頂き、明日の満潮時の状況を想像して頂きました。

東与賀干潟
東与賀干潟

2日目:佐賀~東よか干潟~諫早干拓地~諫早

さあ、今日は東与賀干潟観察の本番です。満潮間近の干潟に着くと、昨日とは打って変わって鳥が近くにいます。この冬は12羽も飛来しているソリハシセイタカシギ、2000羽を超えるツクシガモなどをご覧頂き、ヘラシギやクロツラヘラサギ、ズグロカモメ、ダイシャクシギ、ツルシギなどを1種ずつ確認していきました。

ソリハシセイタカシギ(森久美子様撮影)
ソリハシセイタカシギ(森久美子様撮影)

ヘラサギ(森久美子様撮影)
ヘラサギ(森久美子様撮影)

ツルシギ(森久美子様撮影)
ツルシギ(森久美子様撮影)

すると、いきなりシギ・チドリの大きな群れが、ひとつの生き物のようにうねりながら飛翔しはじめました。その群れはいくつもあり、個体が反転するたびに暗色(背面)と白(腹面)の塊に色が切り替わる様子が観察できました。これだけの数のシギ・チドリが見られる干潟は少なく、日本一とも呼ばれる東与賀干潟の野鳥を堪能できました。

シギ・チドリの群れの飛翔
シギ・チドリの群れの飛翔

この日の午後には諫早の干拓地に移動し、まずはリクエストの多かったタゲリをじっくり撮影して頂きました。耕作地ではホオアカなどもご覧頂き、ヨシ原ではハイイロチュウヒやチュウヒ、コチョウゲンボウなどを狙いました。ハイイロチュウヒのオスは個体数も少なくワンチャンスでしたが、メスタイプは個体数も多く、皆さんもかなり撮影できたと思います。

ハイイロチュウヒのオス(森久美子様撮影)
ハイイロチュウヒのオス(森久美子様撮影)

ハイイロチュウヒのメスタイプ(森久美子様撮影)
ハイイロチュウヒのメスタイプ(森久美子様撮影)

チュウヒ(森久美子様撮影)
チュウヒ(森久美子様撮影)

3日目:諫早~諫早干拓地~熊本~出水

この日の朝には再び干拓地を訪れ、島原発昼頃のフェリーで熊本に渡りました。この航路はたった1時間なのですが、鳥の観察もおもしろいのです。フェリーにはユリカモメやウミネコがついてきますので、雲仙と一緒にスマホでもパチリ!

ユリカモメと雲仙岳
ユリカモメと雲仙岳

海上ではカツオドリも飛翔していますが、岸近くの堤防にはたくさんのカツオドリが休んでいました。その数なんと、200羽以上!

カツオドリ
カツオドリ

そして夕方には、いよいよツルの待つ出水に到着です。今期のツルは5種の飛来が確認されていますが、個体数の少ないツルは1種でも今日中に見ておきたいところです。するとまず、道路のすぐ近くにカナダヅルを発見。皆さん初めての出会いなので真剣に撮影していましたが、ふと目線を遠くにやるとクロヅルも発見。ちょっと写真には遠すぎましたが、車の進行方向に視線を戻すと、9年ぶりに飛来したというソデグロヅルまで見つかってしまいました。カナダヅルやクロヅルは一桁、ソデグロヅルに至ってはたったの1羽しか飛来していないため、ほっと一安心です。ちなみに、個体数のもっとも多いナベヅルは10,000羽以上、マナヅルは1,000羽以上が飛来しているようです。

カナダヅル(森久美子様撮影)
カナダヅル(森久美子様撮影)

ソデグロヅル(森久美子様撮影)
ソデグロヅル(森久美子様撮影)

4日目:出水(出水干拓地)

この日の朝は快晴。運よく月も出ており、まずは月とツルを撮影できました。

月とツル
月とツル

一方、快晴なので朝焼けは短かったですが、朝焼けをバックにツルも少し飛んでくれました。

朝日とツル
朝日とツル

午前中はツルの撮影や周辺の湿地を観察し、午後は少し山の方に遠征してみました。山ではオシドリやシロハラ、カケスなどが観察できました。
夕方には再び出水の干拓地に戻り、ムクドリの仲間やニュウナイスズメなどを求めて周辺を散策しました。ニュウナイスズメは日中は姿が見えないのに、夕方には300羽ほどが集団で観察されました。

カラムクドリ
カラムクドリ

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメ

コクマルガラス
コクマルガラス

5日目:出水~熊本空港

朝は晴れましたが雲も多く、朝焼けの状況は毎日異なりますね。この日は朝の飛翔を見た後にホテルに戻り、朝食後にチェックアウト。わずかな残り時間をツルを見て過ごし、帰路につきました。

撮影をされた方はツルをはじめ、たくさんの種が撮れたと思います。冬の九州は、東与賀でも出水でも10,000羽を超える野鳥が観察できるので、初心者にも最適な探鳥地だと思います。今回は天候にも恵まれ、5日間で102種を記録することができました。冬の九州は楽しいですね!
(観察種数102種)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

渡り鳥の楽園・秋の飛島【後編】

Report by 簗川堅治 / 2021年10月22日~24日

 

ツアー2日目
集合前の時間帯に、おばこ前でシラガホオジロ情報が入ってきました。早速、みんな集合し、難なくシラガホオジロ♂を見ることができました。

朝食後は天気が芳しくなく、結局、出発したのは10時過ぎになりました。集合時、昨日見たハイイロオウチュウを確認。今までとは行動が違い、フライング・キャッチを繰り返しながら、どんどん南へ移動していました。そのうち、またこちらへ戻ってきました。昨日同様、じっくり見ることができました。

校庭ではミヤマホオジロやツグミなど、ヘリポートでは多数のカシラダカやヨーロッパビンズイなどを見ました。

今度は最近よく出ているシロハラホオジロのポイントへ。出てはくるのですが、一瞬だったり、草の陰だったりで、よく見ることはできませんでした。また明日のお楽しみです。
3の畑へ移動です。あまり鳥影はありません。その時、ムジセッカの声がしましたので、粘ります。こちらも草の陰で見づらかったものの、なんとか見ることができました。
宿への帰り際、路上で一生懸命採餌するマヒワに遭遇。疲れ果てているのでしょう、我々には見向きもせずに採餌に夢中で足元までやってきました。無事、越冬地まで渡ってほしいと長いつつ、宿へ帰りました。

 

ツアー3日目
最終日。おばこ前周辺でシベリアジュリン情報があったので探します。しかし、確認できませんでした。校庭へ向かいながら、今日も滞在中のハイイロオウチュウを見てから、ヤマヒバリ情報があった中村集落でそれを探します。残念ながら、これも確認できず。校庭の手前で、やたらと小さいカラスが目の前に現れました。コクマルガラスです。幼鳥のようです。昨日の夕方のマヒワのように、我々を気にすることもなく、採餌に夢中です。この個体も疲れ果てている様子でした。

校庭到着です。でも、目ぼしい鳥はいません。ヘリポートや昨日じっくり見られなかったシロハラホオジロを見に行こうと思っていたところ、突然の雨!大木の下で30分ほど雨宿りをしました。この雨宿りで時間がなくなってしまい、結局、シロハラホオジロの場所へは行けませんでした。

最後にもう一度、ヤマヒバリの現場に差し掛かったと同時くらいにヤマヒバリは飛んでいったようでした。なんてこった。諸事情により、ここで解散とし、粘った方々は無事、ヤマヒバリを見ることができたようです。

例年より鳥は少なめでしたが、秋の飛島を楽しむことができたかと思います。大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!