珍鳥が渡る交差点!秋の与那国島5日間【後編】

Report by 大西敏一 / 2021年10月1日~5日

 

ツアー3日目

島の朝はゆっくりです。この時期の日の出は6時半頃。朝食を7時にとって出発です。宿の前が小・中学校なので朝食までの30分を利用して散歩がてら久部良バリまでを往復するプチ朝探へ。途中、学校脇の電線に止まっている3羽のカラムクドリが見られました。

カラムクドリ(撮影:早川弘美さま)

島での探鳥は各所にあるポイントを丹念に回るスタイルです。平地では歩きながら探鳥をしたいところですが、今年は予想を上回る暑さで、島の人が「これまでで一番暑い」というほどです。なので灼然の炎天下を延々と歩くのは諦めて、ここという場所を効果的に歩きました。今日こそは皆さん一番のリクエスト、セジロタヒバリとハイイロオウチュウを狙います。

島ではツメナガセキレイが一番目につきます。次に多いのは留鳥組のシロガシラ。次いでヒヨドリやアカモズとなります。島のヒヨドリはタイワンヒヨドリという亜種、アカモズはシマアカモズという亜種なのがいかにも与那国的です。

シロガシラ
タイワンヒヨドリ
シマアカモズ

比川ではいつもの顔ぶれに、ハマシギとジシギ類が加わっていました。顔つきや羽衣などからチュウジシギと思われましたが念のために尾羽も確認しOK。与那国岳に向かう林道を歩いていると蝶の姿が目に付きます。オオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラ、ツマベニチョウ、ウスキシロチョウ、ベニモンアゲハ、ミカドアゲハなどが沢山飛んでいて、一時は蝶の撮影会に。ここではエゾビタキ、コサメビタキ、オオルリなどのヒタキ類やブッポウソウもチラホラと現れました。ブッポウソウは昨日よりも増えていて5羽以上はいましたが、どれも今年生まれの幼鳥でした。

チュウジシギ(撮影:早川弘美さま)
エゾビタキ(撮影:伊原やよいさま)
オオルリ雄若鳥(撮影:早川弘美さま)

今日のお昼はピクニックランチ。といっても売店で買ったパンなどですが、自然の中で食べるのはなぜか違って美味しいのです。遠くの梢に止まるブッポウソウを見ながらお昼のひと時を過ごしました。

与那国島ならではのシュモクザメを模った手作りパン

午後からは目標の2種に絞って探鳥を進めることに。両種のいそうな場所を狙ってこまめに探していると、いました!セジロタヒバリです。地面で餌を採っていると、すぐにキセキレイがやってきて飛ばされてしまいます。炎天下の中、粘り強く待ち続け、ようやくじっくりと観察できました。カメラの方も無事シャッターに収めることが出来て喜んでおられました。

セジロタヒバリ(撮影:早川弘美さま)

次はハイイロオウチュウを求めて探します。島で一番の巨木「ドゥナンタギノアグ」(オオバアコウ)の場所でオオルリ、エゾビタキ、サメビタキ、コムシクイ、南牧場でマミジロタヒバリ、久部良ミトゥではヨシゴイなどを見ながらお目当てのものを探します。と林縁から飛び出す1羽の鳥が。ハイイロオウチュウです。まずは飛ばさないように遠目から観察していると盛んにフライキャッチして虫を食べています。そのうち向こうから飛んできて近くの電線に止まりました。皆さんここぞとばかりのシャッターチャンスです。プロミナー組はドアップで観察。わずかの時間ですが本種を堪能することが出来て皆さん大満足の様子でした。

ハイイロオウチュウ(岡本圭祐さま)
コムシクイ(撮影:早川弘美さま)
島一番の巨木「ドゥナンタギノアグ」(撮影:門永洋子さま)

宿に帰る前に立ち寄った久部良漁港でクロハラアジサシを観察し、3日目の探鳥を終了しました。夕食後に鳥合わせと皆さんからの質問を受ける形でちょっとした識別講座を行い、本日56種の確認となりました。

クロハラアジサシ(撮影:伊原やよいさま)

ツアー4日目

今朝も久部良バリまでの散策で始まり、アカガシラサギやツメナガセキレイなどを観察。今日の朝食は洋食で皆さん嬉しい様子。まずは北牧場を覗きます。牧場へ向かう小道を歩いていると、ちょうど朝イチの飛行機が来る時間です。滑走路の端で待機していると、晴天をバックに頭上をかすめて着陸するシーンが見られとても感激しました。牧場内はツメナガセキレイが多く、ムナグロも沢山います。マミジロタヒバリを見つけ観察していると「ツグミみたいなのがいます」の声。見ると胸がよだれかけ状に赤く、腹の白い鳥が。すぐに飛びましたが上面は綺麗なスレート色でした。ノドアカツグミの雄です。その後、飛去した方向を捜索しましたが出会いは一瞬の出来事でした。

マミジロタヒバリ(撮影:早川弘美さま)

祖納のゴミ捨場跡地をチェックしたあと、東へ車を走らせ鳥を探します。丹念に電線をチェックしていると再びハイイロオウチュウを発見。昨日とは場所も違い、体色にも違いがあるので別個体です。ここでも良い感じの距離で観察ができました。島を半周回る形で鳥を探し、途中の小さな貯水池ではカイツブリ、セイタカシギ、コアオアシシギ、チュウジシギなどを確認。ヒバリシギは冬羽に換羽しているのがいて幼羽との違いをゆっくり観察できました。

コアオアシシギ

昼食と少しの休憩を挟んで探鳥の再開です。比川でアカガシラサギをゆっくり観察したあと、山へ向かいます。遊歩道で鳥を探している時にお客さんの一人がヨナグニサンの繭を発見。当たり前ですがアヤミハビル館で見たものそのものです。よくもまあこんなのを見つけたものだと皆さん感心しきりでした。その後、ラッキーなことにヨナグニカラスバトが飛ぶところが見られました。

ヨナグニサンの繭
アオムネスジタマムシ(撮影:門永洋子さま)
アオミオカタニシ(撮影:門永洋子さま)

山を離れ、平地へと移動し、各所のポイントを回りましたが、昨日のセジロタヒバリの姿は既になく、新しい種にも出会わず顔ぶれは同じでした。夕方の久部良ミトゥは塒入り前のシロガシラがうるさく騒いでいます。セイタカシギは8羽に増えていて、クロハラアジサシの小群が上空を舞っています。近くのさとうきび畑でキガシラセキレイを探していると黒く大きなものが林に飛び込んだとのこと。「オオコウモリかもしれませんよ」と話しているとお客さんが木にぶら下がっているのを見つけられたところで本日の探鳥は終了となりました。夕食後に鳥合わせと今日もプチ識別講座を。実際の音源を聞きながら、見た目での識別が難しい種などの識別を学びました。本日の確認種は60種でした。この3日間、リュウキュウコノハズクの声を聞こうと真っ暗な中を久部良ミトゥ近くまで歩いてみましたが、結局声は聞けませんでした。新しく建った自衛隊の施設が影響しているのかもしれませんね。

宿の夕食

ツアー5日日

いよいよ今日が最終日です。朝の散歩探鳥ではチュウシャクシギ、ケリ(昔は南西諸島では珍しかったが最近は時々記録されます)、ムナグロをゆっくり観察。夕日の見える丘では海上からセジロタヒバリ5羽の群れが鳴きながら飛来し、島内へ飛んでいきました。

今日は昼前のフライトなので探鳥の時間はそれほどありません。皆さんのリクエストから北牧場と森林公園を小1時間ほど探鳥することに。北牧場ではマミジロタヒバリ、ハヤブサなどをじっくり見て、森林公園ではアカヒゲの囀りを聞くことが出来ました。公園近くの林内でオオゴマダラとリュウキュウアサギマダラが鈴なりになっている木があり、皆さん感動しておられました。

ハヤブサ(撮影:早川弘美さま)
オオゴマダラの群れ

終了時に東の外れでベニバトの情報が舞い込みましたが、時間切れのため残念でした。空港で搭乗手続きを済ませたあとで鳥合わせを行い、5日間のバードウォッチングの旅が終了となりました。

今回はずっと晴天続きで鳥影が薄く、毎日30度超えの猛暑の中での探鳥になりました。また、水のある水田が無いなど環境的に厳しいこともありましたが、終わってみれば出現種は91種とまずまずの結果でした。お目当てのハイイロオウチュウとセジロタヒバリをじっくりと観察・撮影を出来たのは何よりで、色々と厳しい条件下でもやはり与那国島は珍鳥の渡る交差点なのだと思わせてくれるツアーでした。ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

珍鳥が渡る交差点!秋の与那国島5日間【前編】

Report by 大西敏一 / 2021年10月1日~5日

 

沖縄県にはずっと非常事態宣言が出ていてツアーの開催が危ぶまれていましたが、9月末で解除になるというニュースが飛び込み、ほっと胸を撫で下ろしての実施となりました。

以前は春秋冬と幾度も探鳥に訪れていましたが、久方ぶりの与那国島です。聞くところによると道路事情にさほど変わりはありませんが、大きな自衛隊の駐屯地が出来上がり、鳥のポイントだったゴミ捨て場が無くなるなど様々と環境に変化があるようです。また、多くの水田は放棄されて草地に置き換わり、2期作もやらなくなったせいで湿地環境がほとんど無い様子で以前とは鳥を見るポイントも変わっているようでした。予報では10月1日からの5日間はほぼ晴天です。さあ、どういう探鳥になるのか期待半分、不安半分の始まりとなりました。

 

ツアー1日目

今回は現地集合、現地解散の探鳥です。台風の接近で参加が危ぶまれた方もいらっしゃいましたが、誰ひとり欠けること無く全員が集まれたのはツアーの成功を暗示しているようでした。皆さん思い思いに昼食を済ませてから宿で合流し出発です。集合前にサンコウチョウやアカチョウビンの鳴き声、中にはアサクラサンショウクイ!を観察された方もいらっしゃいました。これは否が応でも期待が膨らみます。

アサクラサンショウクイ(撮影:早川弘美さま)

まずは比川へ向かいました。島には北東部に祖納、南部に比川、西部に久部良と3つの集落があり、比川は一番こじんまりしている集落です。テレビドラマのDr.コトーの撮影地で一躍有名になった地でもあります。

Dr.コトーの建物

水田に水が無いせいで水路などに水辺の鳥たちの姿がありました。セイタカシギが出迎えてくれて、ゴイサギは隠れるようにそっといます。よく見るとオジロトウネンやヒバリシギ、アカアシシギの姿も。顔の黄色い今年生まれのホオジロハクセキレイなどを見ながら幼鳥と成鳥の違いなどを観察しました。

セイタカシギ(撮影:伊原やよいさま)
アカアシシギ

浜へ出てシギチ探しをしたあとはベニバトのポイントを経由して田原川へ。セイタカシギやインドハッカなどを観察していると目の前を色鮮やかな鳥が飛びました。キンバトの雄です。すぐ近くの林へ飛び込みましたが、その後姿を表すことはありませんでした。近くの農耕地ではツメナガセキレイがわらわらといます。キガシラセキレイの姿はないようです。お客さんの二人が電線に止まるクロヒヨドリを見つけたようですが、タッチアンドゴーですぐに飛去してしまったとのことで、残念。田原川では小鳥の塒入りを待ちましたが、結果はシロガシラばかりでめぼしい鳥は現れず、クイナ類の声も聞けませんでした。やはり環境が変わったせいでしょうか寂しい限りです。遠くの電線に止まる塒入り前のカラムクドリを見ていると「チュッ チュッ」と上空をセジロタヒバリが飛びます。その辺の畑に降りてくれないかなあと言いながら日の入りを迎え、初日の探鳥は終了しました。夕食後に鳥合わせを行い、本日54種の確認となりました。

探鳥風景
ツメナガセキレイ(撮影:早川弘美さま)

ツアー2日目

今日は日の出の時間に合わせて弁当持参で東崎(あがりざき)へ出発です。着いた頃には丁度水平線から太陽が登ったところでした。遠く西表島を右手に見ながら登る朝陽の下で食べる朝食は格別です。放牧地ではオオチドリやマミジロタヒバリを期待しましたが、ムナグロとツメナガセキレイのみでした。

東崎の日の出
与那国馬

食事後は祖納(そない)へ向かいました。浦田墓地では草むらから飛び出すアカガシラサギを発見。磯に降りたのを観察していると上空をムネアカタヒバリが飛びます。岩礁にはメダイチドリとムナグロもいるようです。本来は祖納の集落の中も探鳥ポイントの一つなのですが、緊急事態宣言が開けたとはいえ、今回は各集落の中を探鳥することは見送りました。その後、比川へ。水路のシギが増えています。3羽になったヒバリシギが割と近く、トウネンも一緒にいたので2種の幼鳥の違いをじっくりと観察しました。

アカガシラサギ冬羽(撮影:早川弘美さま)
ヒバリシギ幼鳥(撮影:早川弘美さま)

林道ではゆっくりと車で流しながら鳥を探します。この時期ならブッポウソウがいるはずと思っていると電線に止まるブッポウソウを発見。皆さん撮影タイムです。公園の広場でチゴハヤブサやコサメビタキを見ているともうお昼の時間です。昨日から島の飲食店はようやく再開した様子でした。テーブルを一人ずつのパーテションで仕切ったコロナ対策がしっかりしているお店を見つけ、皆で与那国そばをいただきました。

ブッポウソウ幼鳥(撮影:早川弘美さま)
与那国そば

食後は再び山へ。狙いはハイイロオウチュウやキンバトです。広場で鳥を待っていると上空にはハリオアマツバメやチゴハヤブサが飛びます。林の中を探索していると「コウモリ!」の声。よく見ると大きなコウモリが梢にぶら下がっています。ヤエヤマオオコウモリです。鳥ではありませんが今回これも見ておきたかった動物です。「顔がタヌキみたい」などと言いながらじっくりと堪能した後はアヤミハビル館へ向かいました。

ヤエヤマオオコウモリ

アヤミハビルとは与那国の言葉で世界最大級の蛾であるヨナグニサンのことです。「アヤミ」は「模様のある」、「ハビル」は「蝶」を意味します。同館はヨナグニサンの生態や亜熱帯の自然の素晴らしさを体感できる施設で、与那国島の動植物や人々とヨナグニサンの関わりなどを学ぶ貴重な機会となりました。鳥だけじゃなくこういったツアーも良いねと参加者の皆さんも喜んでおられました。

アヤミハビル館・玄関
アヤミハビル館・館内

館を出たあとは耕作地のツメナガセキレイの大群などを見ながら、久部良ミトゥに到着。久部良ミトゥは久部良集落の東側にある大きな湿地(池)で、水路で久部良漁港とつながっています。

久部良ミトゥ

着くといきなりアカガシラサギが飛び出します。この時期は冬羽で地味ですが、飛ぶと翼の白と背面のあずき色とのコントラストが綺麗です。池の奥では70羽ほどのダイサギ、アマサギ、コサギの群れが休んでいました。飛来したクロハラアジサシの群れの中にハジロクロハラアジサシが1羽混ざっていました。ここではコホオアカ、ムジセッカ、コヨシキリなどの新顔も出てくれました。シロガシラが増えてきてどこかでねぐらを取っているようでした。

コホオアカ(撮影:早川弘美さま)

日がかなり傾いたので本日締めの西崎(いりざき)へと向かいます。夕方、西崎にいると上空を鳴きながら渡っていく小鳥たちを見られることも多いので、夕陽とセットで期待します。与那国島での夕陽は水平線に沈むのでなく、はるか台湾の山並みに沈んでいきます。素晴らしい景色とかすかに聞こえる小鳥の声を聞きながら2日目の探鳥が終了となりました。夕食後に鳥合わせを行い、本日は58種の確認となりました。

西崎の日の入り
最西端の碑

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年5月15日~19日

前日までの天気予報では半分以上が雨予報、そして風も強い予報でどんなツアーになるかとドキドキしながらのツアースタートとなりました。

初日は稚内空港で合流後、サロベツ湿原周辺でバードウォッチングです。まず最初に訪れたのは幌延ビジターセンター、通称「下サロベツ」と呼ばれる場所です。

 

ノビタキ
ノビタキ(オス)

木道を歩くとすぐに出会えたのは、北海道を代表する草原性の夏鳥の一種ノビタキです。営巣の準備をしているようで、オスメスがせわしなく飛び交っています。真っ黒で胸のオレンジ色が目立つオスのノビタキに、一気にテンションが上ります。何度もノビタキに足止めをされながらゆっくり歩いていくと、今後は林から美しい囀りが。ノゴマです。一瞬だけ美しい赤い喉を見せてくれましたがすぐにどこかへ行ってしまいました。また利尻、礼文で出会えることに期待です。

その後はレモンイエローのセキレイ、ツメナガセキレイも姿を現してくれました。最初はかなり遠い距離でしたが、帰り際には目の前の低灌木にとまり、しっかりと爪の長いところまで見せてくれたり、一瞬ですがメスも姿が見れたりと楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
姿を見せてくれたツメナガセキレイ

その後、初日の本命であるサロベツ湿原に向かいます。道中で見られた利尻島の景色は、天から光が差し込み幻想的な風景でした。

利尻島
幻想的な利尻島の風景

サロベツ湿原では、時期が少し早いですがシマアオジが一番の目玉、その他にもオオジシギやチュウヒの観察を狙います。木道を歩き探しますが、この日の気温が低かったせいか鳥の活性が低く、全く姿が見えません。やっと見られたノビタキを利尻島背景で観察します。

ノビタキ
ノビタキ(オス)

シマアオジも渡ってきていないようで観察できませんでしたが、木道が終わる直前に上空から「ジュ~ビヤク!ジュービャク!ブブブブブ!」の音が!オオジシギです。上空で2羽がディスプレイフライトを始めたようで、写真に撮るのは難しかったですが、素敵な求愛行動を観察できました。その後も目の前の湿原をV字飛行する姿が。

チュウヒ
チュウヒ(オス)

チュウヒのオスです。すぐに木の陰に消えていってしまいましたが、サロベツ湿原を代表する草原の鳥たちに出会うことができました。

 

2日目はあいにくの雨ですがフェリーに乗り、一路礼文島へ向かいます。途中の航路ではアカエリヒレアシシギの群れに何度も出会い、中にはハイイロヒレアシシギの綺麗な個体も混ざっていました。

アカエリヒレアシシギ・ハイイロヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギとハイイロヒレアシシギ

観察中突如ぴょんぴょんと跳ねる生き物の姿が。写真を撮るとキタオットセイです。合計で15頭以上いたでしょうか。とても楽しませてくれました。

キタオットセイ
キタオットセイ

礼文島に到着後は北部で探していきます。あいにく島の上部は霧の中。海岸線を中心に探します。途中の海岸にはシノリガモやウミアイサが見られ、じっくりと観察することができました。

シノリガモ
シノリガモ

旧礼文空港にはガンの仲間、亜種オオヒシクイが4羽採餌しています。ここからどこまで渡っていくのでしょう。

北部の桜の名所へ行こうと向かう途中には、上空に大きなシルエットが。オジロワシかな?と双眼鏡を覗くと、この時期には珍しいオオワシの若鳥でした。この鳥がこの時期に見られるチャンスがあるのも、サハリンに近い礼文島ならではです。

オオワシ
オオワシの若鳥

その後は霧が濃く鳥が見えないため撤退、花の名所として特に有名な礼文島の高山植物を見るため高山植物センターへ。

カワラヒワ
カワラヒワ

花を見ていると、お客様から「あれヒメウ?」の声が。
ふと上を見ると、何故かマナヅルが飛んでいます。予期しない場所で予期しない鳥に出会ったため、全員が写真も撮ることができず、ただ呆然と眺めていました。

イワツバメ
道中にいたツバメ

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!