沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【沖縄編】

Report by 簗川堅治 / 2024年4月3日~7日

昨年も行ったツアー第2弾です。アカヒゲは奄美大島などに生息する亜種アカヒゲと沖縄本島などに生息する亜種ホントウアカヒゲの2つの亜種があります。現在は亜種ですが、近いうちに別種になる見込みとのことで企画したツアーです。

 

<1日目>
沖縄本島からスタート。まずは順調な滑り出しです……と言いたいところでしたが、この日に起きた台湾の地震で沖縄地方に津波警報などが出て、沖縄発着の飛行機が大幅に乱れました!ツアー参加のみなさんも遅れに遅れながらも、那覇に着きました。しかし、無事集合し空港を出発したのは20時過ぎ。この日はホテル入りで終わりました。

 

<2日目>
早朝からアカヒゲ狙いです。ノグチゲラの巣作り、越冬した?ササゴイなどを見ながら、無事アカヒゲの♂♀を見ることができました。

ノグチゲラ(撮影:K.I様)
ノグチゲラ(撮影:K.I様)
ホントウアカヒゲ(撮影:高橋浩様)
ホントウアカヒゲ(撮影:高橋浩様)

午後は金武町です。シギチは少なく、お目当てのリュウキュウヨシゴイも出なかったものの、アマサギ、シロハラクイナ、ツバメチドリ、そしてシマキンパラなど沖縄らしい鳥たちを見ることができました。

アマサギ(撮影:K.I様)
アマサギ(撮影:K.I様)
シマキンパラ(撮影:K.I様)
シマキンパラ(撮影:K.I様)

この日の夜は、宿のナイトハイクで樹上で寝る2羽のヤンバルクイナを見られた方々もいました。

ヤンバルクイナ(撮影:高橋浩様)
ヤンバルクイナ(撮影:高橋浩様)

<3日目>
沖縄本島最終日です。でも、時間があまりありませんので、夜明け前から行動し、アカヒゲとヤンバルクイナ探しに。実績のあるポイントで待つも現れず。ただし、道路に出てくるヤンバルクイナは見ることができました。

朝食後は奄美大島に向かうために那覇空港へ車を走らせます。やんばるは、やや肌寒かったものの、那覇は暑い!三角池にちょっと寄り道し、アオアシシギ、コアオアシシギ、リュウキュウツバメなどを見て、空港で昼食を済ませ、奄美大島へ。しかし、ここでも飛行機問題!使用飛行機の到着が遅れ、結局、奄美大島に着いた頃には探鳥時間がなくなり、すぐに宿入りでした。ついていません。

夕食後はナイトウォッチングです。地元ガイドさんの同行の元、林道を走らせます。霧が立ち込め、なかなか苦戦しながらも結果的にはたくさんのアマミヤマシギ、アマミノクロウサギに出会えました。また、イシカワガエルやヒメハブ、アマミトゲネズミなど、たくさんの奄美の生き物にも出会え、とてもいい夜になりました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【沖縄編】

Report by 簗川堅治 / 2023年4月3日~7日

アカヒゲは奄美大島などに生息する亜種アカヒゲと沖縄本島などに生息する亜種ホントウアカヒゲの2つの亜種があります。現在は亜種ですが、近いうちに別種になる見込みとのことで企画したツアーです。こんな風変わりなツアーは、ガイド簗川の得意分野です(笑)

 

1日目。沖縄本島からスタートです。まずは超有名な三角池へ行きました。お馴染みのクロツラヘラサギの群れに、これまたお馴染みのヘラサギの姿も。

 

クロツラヘラサギ(撮影:河田様)

セイタカシギがパラパラとして、アオアシシギが飛んできます。遠くにいるのはオジロトウネンとヒバリシギ。電線ではシロガシラと亜種リュウキュウハシブトガラスがやかましく鳴いています。

今度は一気に北上して、やんばるへ。とあるポイントで亜種アカヒゲとヤンバルクイナを待ちます。亜種リュウキュウサンショウクイ、亜種リュウキュウメジロなどが鳴いていますが、アカヒゲは姿どころか、声もせず。ヤンバルクイナは声のみ確認して、この日は終わりました。

 

2日目。沖縄とはいえ、やや肌寒い朝です。

早朝に出やすいヤンバルクイナを求めて、日の出時刻前に出発。道路を横切る個体を2羽、そしてリュウキュウイノシシを4頭見ることができました。

朝食後、アカヒゲのポイントへ。アカヒゲを見る前にノグチゲラが目の前の枯れ木に飛んできました!これはラッキー!どうも巣作り中のようで、穴の中から「コンコン、コンコン…」と音がします。影響を与えないように距離をとり、短時間の観察です。

 

ノグチゲラ(撮影:塚本雄次様)

肝心のアカヒゲはいるにはいるものの、なかなか出てきてくれませんでした。しかし、♂♀を見て、しかも♂が水浴びをしたシーンを撮影した方がいました!

 

亜種ホントウアカヒゲ♀(撮影:河田様)
④亜種ホントウアカヒゲ♂(撮影:河田様)

道の駅で昼食をとり、止まっているリュウキュウツバメを撮影していたところ、その光景を見た一般観光客が「何なに?」と言わんばかりに集まり、一般観光客もスマホなどでリュウキュウツバメの撮影をし始めました(笑)

 

リュウキュウツバメ(撮影:河田様)

その後は、シギチなど水辺の鳥を求めて付近の田んぼに行くも、成果は上がらず。それもそのはず、その辺りは以前とは比べ物にならないくらい環境が変わってしまい、シギチが立ち寄る場所ではなくなったようです。午前中、アカヒゲやノグチゲラを見逃した人がいたので、再びそのポイントへ。しかし、なかなかいい成果を得られないまま、この日は時間切れとなりました。

 

3日目。沖縄本島最終日です。でも、時間があまりありませんので、夜明け前から行動し、ヤンバルクイナ探しに。実績のあるポイントで待つも現れず。ただし、道路に出てくる個体は数回見ることができました。朝食後は小一時間の勝負!アカヒゲのポイントで、どうにかアカヒゲの♂を見ることができましたし、サンショウクイの亜種リュウキュウサンショウクイをやっとじっくり見ることができました。

亜種ホントウアカヒゲ♂(撮影:塚本香代様)
亜種リュウキュウサンショウクイ(撮影:河田様)

 

さぁ今度は奄美大島に向かうために那覇空港へ車を走らせます。やんばるは、やや肌寒かったものの、那覇は暑い!空港で昼食を済ませ、奄美大島へ飛び立ちました。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 【2本目】

Report by 戸塚学 / 2023年4月9日~12日

世界遺産になってからの初めての奄美大島ツアー2本目。
1本目と打って変わり天気は基本晴れ。奄美大島とは思えないほど乾燥した空気でさわやかな気候に戸惑いましたが、最終日は雨上がりの蒸し暑い奄美大島本来の空気を感じられたと思います。1本目に続き2本目も予定をしていた種類を2日目でほぼクリア!残念だったのはナイトツアーでアマミノクロウサギ以外は出現率が低く、リュウキュウコノハズクは見られただけ、アマミヤマシギに至っては出現すらないというのは残念な状況でしたが、それも自然相手のことなので仕方がありませんが、他の固有種の鳥たちはがっつりと撮影ができたようでみなさま笑顔でお帰りいただきました。

 

絶景

1日目

空港へ到着するとすでにほとんどのみなさんが到着されていました。全員そろったのでジャンボタクシーに乗り込み現場へ向かいます。まずは森に入る前に注意事項を伝えて、各ポイントを廻りました。とりあえずはアカヒゲから狙いましょうと話して歩きはじめると私の足元から何か「コツコツ」という音が???下の草むらに目を移すと?オオアカゲラが!慌てて、そして静かに離れ参加者のみなさんに手招きして撮影を楽しんでもらいます。かなり愛想のいいメスでしっかりと撮影をすることができました。アカヒゲポイントに行く前に思わぬうれしいハプニングでした。

 

さてアカヒゲポイントへ到着するもさえずりは聞こえて来ません。静かにさえずりが始まるまで待つこと10分、さえずりが始まりました。声のする方へ移動しながらじっと目を凝らしながら待ちます。手前の低木の葉の奥に小さな黒い塊を見つけたので双眼鏡で覗くとアカヒゲのオスです。みなさんを集めて場所の説明をするのですが、だいたい1ヶ所に1人しか見えるすき間が無いので苦労します。あちこち探して、撮影できるすき間を探してなんとか全員確認はできたようでほっとします。あとはさえずった後に移動するので同じように探して撮影をしてもらいました。

 

アカヒゲ

 

次は問題のオオトラツグミです。ポイントに到着した時に「ぼ~っと」周囲を見てください。じっと1点を凝視しても見つかりません。動いたらオオトラツグミですから撮影してくださいと伝えました。何度も出てくれるのですがこれがやはり手強い。それでもとりあえず全員撮れたとのことでほっとします。ルリカケスは目視となんとなく枝被りしつつも撮影はできたようなので明日以降に持ち越しという事で終了しました。

 

オオトラツグミ

 

2日目

5時にホテルを出発して薄暗い森を進み絶景ポイントで朝陽を待ちます。その後はここでお弁当を食べて出発です。まずは人でごった返す前にオオトラツグミを狙います。近くにルリカケスがやって来るのでなんだろうと見ていると木の洞に入った?その後落ち葉をくわえて入った?2羽で入った?どうやら巣を造っているようです。あまりこちらを気にはしていないようなのでこちらも刺激をしないようにオオトラツグミを待ちます。やはり5回ほど出るも近くに来ない。あと1回来たらポイントを移動しましょうと言った後、来た!どんどん近づきこちらの前に!いやぁ~ついてるわ。

 

大満足でアカヒゲポイントへ移動します。こちらも昨日同様アカヒゲが良く出てくれます。昨日の「ちょっとだけよ」ストレスも完全に吹き飛んだようです。そして水場の近くでルリカケスを待ちますがなかなか下に降りてくれません。そのうちチャンスがあるから後回しにしましょうと歩き出すとまたしても私の足元で「コツコツ」黒い頭が上下しています。オーストンオオアカゲラです。今日は昨日よりも長時間移動をしながらしっかりと近くで撮影を楽しめました!残念なのはオスも近くに飛んできたのに撮影ができなかったこと。二兎ならぬ二鳥を追うもの一鳥も得ずを実感してしまった。この日は夜にナイトツアーがあるので12時に終了して夜まで休憩にします。

 

オーストンオオアカゲラ・♀

 

21時30分ホテルのフロントに集合してナイトツアーのジープを待ちます。少し早い時間に到着したので乗り込み出発です。コースの入り口でナイトツアーの注意事項や説明を聞いてジープが走り出すとすぐにヒメハブを発見!

 

ヒメハブ

 

その後は道路が乾燥しているせいかカエルが見つかりません。イシカワガエルに出会えるか少し心配になります。そんな心配をよそに次々とアマミノクロウサギが出てくれますが、あまりじっとしてくれず撮影に苦労します。

 

アマミノクロウサギ・仔ウサギ

 

そしてリュウキュウコノハズクは鳴いてはいますが、なかなか発見できません。ようやく見つけたのですが、小さいし木の枝のこぶにしか見えないので、説明中に飛ばれてしまい・・・それっきり見つけることはできませんでした。期待しているアマミヤマシギも出ません。一番期待のダートコースもクロウサギは出ますがヤマシギはさっぱり・・・痛い。乾燥&気温が低いことが関係しているのか?それともすれ違った一般観光客の2台の車が来たせいかわからなかった。今回のナイトツアーは生き物の少ない結果となってしまった。

 

3日目

昨夜が遅かったのでこの日はゆっくりと9時に出発します。アマミヤマシギ・リュウキュウコノハズクは夜しか期待できないので諦めるとしても他はすでにいい感じに撮れています。ので、今日は自分の「狙いたいものをがっつり狙う」日にします。私は各ポイントを廻りアドバイスしたり、探す手伝いをしつつポイントを移動する作戦です。これのいいところは少人数とはいえ6人でぞろぞろ歩いたり、待ったりするよりもより少人数の方が撮影チャンスが高くなるのです。お昼を挟んで約9時間たっぷり時間を取ったことでしっかりと撮影できたとみなさん満足顔でした!

 

4日目

夜にしっかり降った雨がまだ少し残っているようでしたが、現場手前では止んでしまいました。しかしちょっと気になるのは標高が高いので「霧」が気になります。予想通り標高が上がると車のヘッドライトに霧が反射してほとんど前が見えません。ノロノロ運転で進んでゆくとドライバーさんが「ハブよ!」と車を停めて道路わきを逃げて行くハブを見ることができましたが・・・。ちょっぴり心配になります。ようやく到着です。まずは荷物を降ろして雨がしのげる庇の下で待機しますがキリが濃すぎるし夜明け前で暗い。霧のせいで視界は悪いし、何よりもハブを見ちまったのでうかつに森を歩けません。6時を過ぎるとだいぶ明るくなったのでお弁当を食べます。そして6時30分移動開始です。絶景ポイントは景色も足場周辺も視界があるのでここで1時間待機。ようやく視界が開けてきたので昨日同様各自好きなポイントで撮影をしてもらいます。

 

9時を過ぎると一気に霧がはれてきました。絶景ポイントではルリカケスが群れで飛びまわったり、リュウキュウサンショウクイ、カラスバトも確認できました。

 

ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス

リュウキュウサンショウクイ

カラスバト

 

残念ながらサシバの渡りはピークを過ぎてしまったようで1羽だけ確認ができました。他にもリュウキュウメジロ・アマミシジュウカラ・アマミヤマガラも出てくれ撮影もできました。森の中では二ホンミツバチの分蜂を一部の参加者と見ることもできました。そしてオオアカゲラはなぜか私が遭遇するのはメスばかり!

 

リュウキュウメジロ

 

時間になったので空港に向かいます。しっかり撮れてハイテンションで明るい車内となるはずが、みなさん疲れて眠りこけたまま空港到着してしまいました(笑)そしてそれぞれ帰路に付かれました。ご参加していただいたみなさまお疲れまでした!

 


撮影できた鳥・生き物
アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・シロハラ・アトリ・オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ズアカアオバト・ルリカケス・アマミノクロウサギ・ヒメハブ・シリケンイモリ・二ホンミツバチ
見られた鳥・生き物
リュウキュウツミ・リュウキュウキジバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・ダイサギ・リュウキュウハシブトガラス・アカハラ・アマミトゲネズミ・クマネズミ(外)

 

声が聞かれた
アオバズク・カラスバト・リュウキュウコノハズク

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 【1本目】

Report by 戸塚学 / 2023年4月5日~8日

世界遺産になってからの初めての奄美大島ツアー。2年連続で新型コロナの影響もあり中止になっていたため、ある意味手探りな部分もありました。予定していた場所が現地ガイドと一緒でないと立ち入り禁止等の新ルールに戸惑いましたが、メインにしていた場所にもオオトラツグミが定着してくれたことで2日目にしてすべての撮影予定種を撮影でき、あいにくな天気であったもののナイトツアーもジープを利用することでスムーズな撮影ができました。またマングース・ノネコの駆除が上手く行っているようで過去最高の生き物との遭遇と撮影を楽しめました。

ルリカケス

1日目

天気予報では曇り時々雨がなんとか晴れています。
みなさん飛行機の到着時間の関係で予定時間よりも早く奄美空港に到着していたようで集合時間前に集まられていたので、ジャンボタクシーの到着とともにポイントへ移動します。ここでは今回一番難しく苦労するであろうオオトラツグミがあっけらかんと到着早々に撮影することができました。引き続きアカヒゲポイントへ移動するとこれまたすぐ近く!最短では1.5mのところまで来ることも!!!近すぎても撮影には向かないのでアカヒゲが移動して枝や木の倒木に上がったところをがっつり撮影することができました。早々に手強い2種を撮影できたことで余裕ができるのですが、一番たくさんいて撮りやすいはずのルリカケスがなかなか撮影させてくれません。以前水浴びをする鉄板のポイントも今年は下見時を含めちっとも水浴びをしてくれずちょっと困りますが、まだ時間はたっぷりあるので明日以降に期待だ!

オオトラツグミ

2日目

天気予報よりも少しマシな小雨&曇り。5時出発だったので到着してもまだ暗く明るくなるまで待機をしてある程度視界がとれるようになってからお弁当を食べるが・・・そのボリュームにびっくり!おむすび2つくらいかなと思ったが夕食用と勘違いするボリューム!ただしおいしいから許すしかない(笑)
薄暗い中、森の中を歩いてアマミヤマシギを探します。しかし・・・いません。そうなればオオトラツグミを狙うしかありません。約3時間待って5回ほど出現してくれたので移動します。そしてアカヒゲポイントへ行くとこれまた大サービスで撮影をさせてくれました。

アカヒゲ

さて残るはルリカケス。下見の時によく出ていた場所で待つと終了時間前に出てくれてこれまた大サービスで撮影させてくれます。12時で切り上げなので「名残惜しいですが」と参加者のみなさんを駐車場に促し歩き出すと、ルリカケスが飛び去った森に何かが?飛んで来て木の幹にとまった?オーストンオオアカゲラだ!静かにそれでいて小走りに近づき撮影をします。メスでしたがしっかりと撮影できちょうど飛び去ると12時ジャスト!タクシーに乗り込むと雨が降り出す。みなさんもってるわ!夜はナイトツアーがあるのでお弁当を買ってホテルで時間まで休憩です。

ルリカケス
オーストンオオアカゲラ

21時45分ホテルのロビーにナイトツアーのスタッフがお迎えに来たのでジープに乗って出発です。ポイントは時間予約制なのでゲートインまで準備をします。いざ入るとすぐに水路にヒメハブ!すごい擬態で絶対自分では見つけられない。他にもアマミハナサキガエルが道路上を飛び跳ねます。5分も進むといきなりアマミノクロウサギが出現!その後も結構な出現率ですが子供が多い。初めは数を数えていたがあまりにも出るのでもうやめた!フロントガラスを倒し、幌を外しているのでどのポジションからも撮影できるのがこのツアーの一番のいいところだろう。満月は雲に隠れているが時々明るくなる。そのためか森の奥からオオトラツグミの美声が響き渡ります。寝ている姿を探すも姿は見当たりませんでした。私たちが一番期待するアマミヤマシギは気づくと飛ばれることが多くちょっぴりストレスがたまりだしていたが、出現率が上がれば確もが上がるので撮影がスムーズにできるようになりみなさん余裕が出てきます。

アマミノクロウサギ
アマミヤマシギ

残るはリュウキュウコノハズクですが、とにかく小さく木のちょっとしたこぶに見えるので、説明してもなかなか見つけられず「あそこ、ほらあそこ」と説明をしているとも1羽が飛んで来て求愛給餌した!給餌した個体はすぐに飛び去り、エサをもらった個体も食べ終わると飛び去ったため私も撮影ができなかったがこんなシーンを見られただけでもラッキーだ。その後電線にとまった姿は近くで撮影できた。電線を伝わり歩くアマミケナガネズミも撮影できたし、道路わきを飛び跳ねるアマミトゲネズミも見られたし想像以上の出来だったと思います。ホテルに戻ると1時を過ぎていましたがこれで文句を言う参加者はいないだろう(笑)

リュウキュウコノハズク
アマミケナガネズミ

3日目

昨夜が遅かったので今日はのんびりスタート。みなさんに「朝食バイキング期待してね」と伝えてあったがアイスクリームの位置を教えることを忘れたのが失点だ。9時スタートで出発するも外は雨と霧。風も強く外に出る気になれない。前2日でほぼ予定している鳥の撮影もできているし昨夜の疲れもあるので管理棟の休憩室で13時30分までのんびりしていただき、雨・霧が収まった来たので森に入り撮影をします。17時まででしたが少し寒いし暗いのでジャンボタクシーの到着を待って早々に帰路につきました。

朝の風景

4日目

天気は晴れ!朝食のお弁当は「減らして」とお願いしてあったのでちょうどいいかちょっと多めな感じ。今日は予定していた場所ではないので、ジャンボタクシーは送迎のみ。なので荷物をまとめ置きしておき私は荷物番をしながら待機。みなさんすでに勝手知ったる森の中なので自由に散策と撮影を楽しんでもらいます。荷物を置いた場所の近くがとても見晴らしがいい場所なのでここでルリカケスとサシバが飛翔する姿を狙ってもらいます。
終了時間が近づいてきたのでジャンボタクシーにこちらへ迎えに来てもらおうと駐車場に行くがなかなか来ない。私も着ていた雨具の上下をザックにしまおうとみなさんのもとに戻ると、オオアカゲラのメスが近くで採餌していた!最後の最後まで引き当てるとはさすがです。12時になったので駐車場に行くとジャンボタクシーが待っていました。ドライバーさんに車を回していただきピックアップ。空港へ向かいます。ここでお別れですが、帰宅するのは1名だけであとは全員後泊するとのことで、やはりここまで来たのだからなぁと納得して終了となりました。

サシバ
リュウキュウサンショウクイ

 


撮影できた鳥・生き物
サシバ・アマミヤマシギ・リュウキュウコノハズク・アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・シロハラ・オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ルリカケス・アマミノクロウサギ・アマミケナガネズミ・ヒメハブ・アマミハナサキガエル

 

見られた鳥・生き物
リュウキュウツミ・リュウキュウキジバト・ズアカアオバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・ダイサギ・リュウキュウハシブトガラス・アマミトゲネズミ・クマネズミ(外)・イシカワガエル・シリケンイモリ

 

声が聞かれた
アオバズク・カラスバト

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年5月14日~16日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今春は……?

 

1日目。一足早く島に入っていたガイドの簗川ですが、なんて言うことでしょう!島に鳥がいません。珍鳥どころか、普通種もいない有様。本当にほとんどいません。原因は晴天続きなことが考えられます。鳥が島に降りるのは、理屈上は天気が悪い時です。大海原を渡っている時に天気が崩れると、緊急避難的に島に降ります。逆に天気がいいと、島には降りませんし、島にいたものは飛び立っていきます。

 

そんな中でのスタートとなりました。何もいない島内をただただ歩くだけの時間が過ぎていきました。ようやく法木でミヤマホオジロ♂とキビタキ♀を見ました。

ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ(撮影・日下部様)

ヘリポートではチゴハヤブサがあっという間に通り過ぎ、サンショウクイが林縁に出てきました。

サンショウクイ
サンショウクイ

鼻戸崎では夕方恒例のアマツバメの乱舞が観察できました。

アマツバメ
アマツバメ(撮影・大林様)

校庭にも寄りました。ここも鳥がいませんでしたが、桜の木の下に鳥影がありました。アカハラです。

アカハラ
アカハラ(撮影・日下部様)
校庭での探鳥
校庭での探鳥

すると今度は冬鳥のジョウビタキ♂の登場です。

ジョウビタキ
ジョウビタキ(撮影・日下部様)

まだいるとは驚きです。帰り道では中村集落でムギマキのさえずりが聞こえてきましたが、姿は見えず。コシアカツバメの声がすると思ったら、上空を飛ぶ姿を確認しました。手前の電線にコシアカツバメがいて、ツバメと並んでいました。

コシアカツバメ
コシアカツバメ(撮影・大林様)

2日目。早朝、カラスバト狙いで定点です。いつもは30分も待っていれば現れて、そこそこじっくりと見られるのですが、ついてない時はついてないらしく、現れてくれませんでした。続いて校庭へと向かいました。今日もジョウビタキがいました。オオルリのさえずりが聞こえてきたので、辺りを見渡すと、いました。

オオルリ
オオルリ

緑に青がきれいです。続いて「ツィー」と小声で飛び出してきたのはマミチャジナイです。

マミチャジナイ
マミチャジナイ(撮影・日下部様)

さて、この日は1便欠航です。朝食後、ウミネコのコロニーを観察し、孵ったばかりのヒナを確認。

ウミネコのコロニー
ウミネコのコロニー(撮影・日下部様)

お隣の崖には、常連のハヤブサが登場。そのうがパンパンに膨れています。

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・日下部様)

鳥は相変わらずしないので、観光がてらに柏木山に登り、御積島を眺めました。

白瀬沢ダムでは、昼食をとりながらセンダイムシクイとオオルリなどが少し観察できました。マミジロのさえずりも聞こえました。

センダイムシクイ
センダイムシクイ(撮影・大林様)

四谷ダムも鳥影はなく、林道を進んで八幡崎へ。すると、2の畑でアカモズの亜種カラアカモズが出たとの情報が入り、戻って再び2の畑へ。島中のバードウォッチャーが集まったかのように人だかりが!探すことしばし、いました、いました、カラアカモズ!

やや遠いものの、いい所に止まっては地面に降りて、餌をとることを繰り返しています。ようやく鳥を見た感が出てきました(笑)

亜種カラアカモズ
亜種カラアカモズ(撮影・日下部様)

3日目、最終日です。今日も鳥はいません。昨日同様、ウミネコのコロニーとハヤブサを観察。

ウミネコの親子
ウミネコの親子(撮影・大林様)
ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・大林様)

風もなく天気もいいので、一路、荒崎へ向かいました。御積島を眺めつつ、名物のカンムリウミスズメを探します。ベタ凪なので好都合です。すると、200m程度は離れているものの、6羽のカンムリウミスズメを確認!うち3羽は少し手前にいます。これはラッキーです。御積島とカンムリウミスズメを見ながら昼食をとり、今回のツアーを終えました。

カンムリウミスズメ
カンムリウミスズメ(撮影・大林様)

 

天気が良すぎて生憎、鳥はいませんでしたが、これも離島の宿命です。次回はきっといい鳥に出会えることを期待しながら、解散しました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

秋の烏帽子岳と五島福江で
アカハラダカとハチクマの渡りを観る

Report by 吉成才丈 / 2021年9月16日~20日

バーダーにとって、タカの渡り観察は秋の一大イベントですが、九州西部の渡りは特別ですよね。朝鮮半島を南下してくるアカハラダカに続いてハチクマの渡りピークがくるのですが、今回のツアーはその両方を楽しむ目的で、期日を中間的な時期に設定して出かけてきました。

初日は福岡空港に集合し、専用車で烏帽子岳に向かいました。烏帽子岳で渡りの個体をカウントしていた地元の方に聞いたところ、朝方はアカハラダカが1,000羽ほど渡ったらしいのですが、烏帽子岳に渡ってくる方向の対馬の天候が悪く、我々が到着後のアカハラダカの確認はありませんでした。結局この日は、ハチクマやサシバ、チョウゲンボウ、エゾビタキ、コサメビタキなどを観察しただけで終了しました。

烏帽子岳の観察スポット

2日目は迷走台風がかなり接近するということで、福江島に向かう夕方の高速船も欠航。安全確保のため、泣く泣くホテル待機となりました。

3日目の朝には雨も上がり、高速船ではなくフェリーで福江島に渡りました。長崎港の近くではミサゴやハヤブサ、クロハラアジサシなどが出現し、昨日のうっ憤を晴らすように鳥見を楽しみました。少し沖に出てトビウオが飛び出すと、その直後にはカツオドリも出現。しばらくはトビウオを狙って船についてくれたので、バッチリ全員で楽しめました。

カツオドリ

福江島到着後、午後の早い時間に大瀬崎に到着。ハチクマがパラパラと出現しましたが、夕方になると近くを旋回したりで大興奮。ハチクマ観察のウォーミングアップにちょうどよかったですね。

4日目は薄暗いうちに大瀬崎に到着。先に朝食を済ませようと思いましたが、サンショウクイやハチクマ、ハリオアマツバメなどが続々と出現。ハチクマは海上などの低い位置から浮上して接近、ハリオアマツバメは羽音が聞こえるほど近くを飛翔、サンショウクイは枯れ枝にとまるなど、右に左に、朝食を忘れて盛り上がりました。

大瀬山周辺の朝焼け風景
海上を浮上してくるハチクマ
ハチクマ
サンショウクイ

早朝の賑わいが収まったと思ったら、烏帽子岳で見逃したアカハラダカの大きな群れが出現しました。その数なんと1,300羽。打ち上げ花火が上がったように、上空の大きな丸い塊の中を、アカハラダカがうじゃうじゃと旋回していました。この前日には烏帽子岳でも4,000羽以上が飛翔したようですが、関東なら1羽でただけで大騒ぎするアカハラダカですからね。皆さんも、はるばる遠くから訪れた甲斐があったと感じてくれたはずです。

アカハラダカの大群
アカハラダカ

午後はタカも高く飛び出したので、大瀬崎は切り上げて島内を巡りました。耕作地や河川、池では、台風通過で運ばれたクロハラアジサシやハジロクロハラアジサシを各地で確認しました。一昨日の情報だと100羽近くのヌマアジサシ類がまとめていたようで。この日は電線にとまる様子も見ることができました。他に海岸では、セイタカシギやオオソリハシシギ、ソリハシシギ、トウネン、オオメダイチドリ、メダイチドリ、シロチドリなど、耕作地ではツメナガセキレイやセッカなどを確認しました。

クロハラアジサシ

最終日の5日目も、薄暗いうちに大瀬崎に到着して観察を開始。昨日同様に近くを飛翔するハチクマを堪能しつつ、ハヤブサやブッポウソウ、コムクドリ、イカル、サンショウクイなども観察。この日も朝食のお弁当を食べる間がないほど、早い時間から盛り上がりましたね。

ハチクマの群れ
間近に出現したハチクマ幼鳥
ブッポウソウ

この日は飛行機の便に合わせて11時過ぎまで観察し、福江島での鳥見は終了となりました。今回は台風の影響も受けましたが、終わってみれば、たくさんのハチクマやアカハラダカに出会うことができました。撮影をされた方は、きっと素晴らしいカットがたくさんあったはずです。

秋のタカ渡り観察は台風に遭遇することもありますが、そんなリスクを忘れるほどの魅力があります。タカの識別ができない初心者の方も遠慮せず、ぜひ、こうした歳時記的な鳥見を楽しんで頂きたいと思います。

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。