渡り鳥の楽園・春の与那国島【前編】

Report by 簗川堅治 / 2022年3月23日~26日

 

飛行機は20分遅れで与那国島に到着しました。春の琉球らしく(?)ぐずついた天気の中、スタート。まずは、好調のムクドリ類を抑えに久部良集落へ。到着早々、強風の中、バライロムクドリ成鳥を見ることができました。与那国島でもなかなか成鳥は見られません。しかし、ちょっと見ただけで飛んでいき、周囲を探すも見つからず。小休止を兼ねて久部良ミトへ。すると今度はヤツガシラが飛び出し、全員で観察。アマサギやシロガシラも複数いました。

ヤツガシラ(撮影:簗川)
ヤツガシラ

続いて祖納へ。集落を歩き回るも、小雨が降ってきたので退散。インドハッカを見た程度でした。田んぼでは、複数のタカブシギ、コチドリ、アマサギなどを見て、比川へと向かいました。

比川ではセイタカシギやシラサギ類の群れなどを見て、久部良へ戻りました。

セイタカシギ(撮影:簗川)
セイタカシギ

雨も上がったので集落を歩いて、バライロムクドリを探しました。ほどなく、ムクドリの群れにいるバライロムクドリ、カラムクドリ、ギンムクドリを発見し、時間を掛けてじっくりと楽しみました。

ムクドリ類(撮影:浅井賢治様)
ムクドリ類(撮影:浅井賢治様)

バライロムクドリの分布の西端が、今、世界中で心配されているウクライナの南東部、一躍有名になったマリウポリ辺りです。ロシアの侵攻で逃げてきたのか?と冗談にならない思いが巡りました。

バライロムクドリ(撮影:浅井賢治様)
バライロムクドリ(撮影:浅井賢治様)

2日目。夜明け前に出発して、祖納へ向かう林道を走りました。独特の「ファッ、ファッ……ファッ、ファッ……」というオオクイナの声を聞くことができました。道路に降りていたヤマシギも何度か飛びました。ヒヨドリの亜種タイワンヒヨドリやメジロの亜種リュウキュウメジロが鳴き始め、騒がしくなってきたところで祖納到着です。

 

まずは田んぼを見ました。早速、ツバメチドリを発見。疲れていたのか、じっとしています。何とも言えない独特の顔。コチドリ、タカブシギもいました。ムネアカタヒバリ、ツメナガセキレイが飛んできました。

ツバメチドリ(撮影:浅井賢治様)
ツバメチドリ(撮影:浅井賢治様)

朝食後、久部良集落と久部良バリを回りました。久部良バリでムナグロの群れとツメナガセキレイを見て、集落ではムクドリの群れにバライロムクドリ、カラムクドリも発見。まだいてくれたようです。

ムナグロ(撮影:浅井賢治様)
ムナグロ(撮影:浅井賢治様)

また、やたら人馴れしているアカモズの亜種シマアカモズをじっくりと観察しました。

アカモズの亜種シマアカモズ(撮影:浅井賢治様)
アカモズの亜種シマアカモズ(撮影:浅井賢治様)

港でハクセキレイの亜種ホオジロハクセキレイ、そして亜種タイワンハクセキレイを見ていたら、いつの間にかヤツガシラがいました!大人気のヤツガシラ、みなさん、気分も高まります。しきりに地面をつついて採餌しています。ウグイスの亜種チョウセンウグイスはさえずりのみでしたが、聞くことができました。その後は久部良ミトへ移動し、アカガシラサギ夏羽も見ることができました。

アカガシラサギ(撮影:浅井賢治様)
アカガシラサギ(撮影:浅井賢治様)

祖納へ行く途中、水の張った田んぼでは、たくさんのセイタカシギ、タカブシギに混じって、ツルシギとオジロトウネンがいました。川の藪ではコムシクイの地鳴きが聞こえていました。

セイタカシギ(撮影:上山功夫様)
セイタカシギ(撮影:上山功夫様)

再び祖納です。オウチュウ情報があった場所でしばらく探しましたが、出会えず。タイワンハクセキレイ、ホオジロハクセキレイ、チョウゲンボウ、インドハッカなどで楽しみました。田んぼへ移動し、オジロトウネンを観察したあと、オウチュウ発見!全員で堪能することができました。お気に入りの場所からフライング・キャッチを繰り返して虫を捕っていました。

オウチュウ(撮影:上山功夫様)
オウチュウ(撮影:上山功夫様)

続いて東崎。マミジロタヒバリ、ムネアカタヒバリがいましたが、じっくり見る前に飛ばれてしまい、残念。比川に行く途中、ヤツガシラ情報の場所に行くものの、こちらは出会えず。

 

比川では、普段はあまりよく見られないシロハラクイナを見ることができました。森林公園で休憩し、最後は観光で日本最西端の西崎へ行き、この日を終えました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

春の奄美大島でバードウォッチング三昧

Report by 吉成才丈 / 2022年3月17日~20日

<1日目>

予定通りに空港で集合。ローカルコンビニで軽い昼食をとった後、空港近くの港や海辺を観察しました。港にはめぼしい鳥の姿はありませんでしたが、潮が引いた海岸ではサルハマシギやトウネン、ムナグロ、オオメダイチドリなどのシギ・チドリが観察されました。
その後は建物で繁殖中のルリカケスをチェックし、早めにホテルにチェックイン。
そう、この夜はナイトツアーが控えているので、夜の準備をする必要があったのです。

早めの夕食をとった後に再出発し、夜の林道を巡るツアーに参加しました。直前まで雨が降っていて心配しましたが、林道のナイトツアーは雨上がりが一番よいコンディションなんだそうです。出発早々、日本で一番美しいというアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルなどが出現し、幸先の良いスタートとなりました。

アマミハナサキガエル(撮影:藤塚裕美様)

そろそろ鳥も..と期待していると、林道脇にアマミヤマシギも登場してくれました。2羽で並ぶ姿も見られましたが、オス・メスの識別は難しそうでしたね。
そしてナイトツアーの主役といえば、やはりアマミノクロウサギですね。この日は成獣から幼獣まで、いろいろな個体に出会うことができました。また、道路沿いにある巣穴も教えてもらい、アマミノクロウサギの生態を垣間見ることができました。

アマミヤマシギ(撮影:藤塚裕美様)
アマミノクロウサギ(撮影:藤塚裕美様)

 

主役も登場して満足していると、多くの人にとっては嬉しくない、あの危険ないきものも登場しました。「水たまりは危ない..」と脅かされましたが、どうやら脅しではなく、本当に危ないと身をもって感じることができましたね。(ハブやヒメハブの画像は出さないでおきます)
めったにできない体験に興奮しながらホテルに戻りました。

 

<2日目>

この日は暗いうちに出発し、地元のガイドさんに案内されて金作原に向かいました。金作原は奄美大島の中でも亜熱帯植物の原生林が残る自然ゆたかなエリアで、まさに奄美大島を象徴するスポットなのです。あいにくの雨模様で鳥の姿は少なかったのですが、アカヒゲやオオトラツグミの鳴声も聞かれ、奄美大島の自然を肌で感じることができました。

午後は名瀬から南の方面に向かい、森や草地、水辺の鳥をチェックしながら移動。オーストンオオアカゲラのドラミングのほか、カラスバトやズアカアオバトの鳴声、ササゴイ、クロサギ、ミサゴなどの姿を確認しました。昨夜は遅く、今朝も早かったので、この日も早めにホテルに戻ってお休みいただきました。

<3日目>

昨日も暗いうちに出発したのですが、この日はもっと早い時間に出発して、未明から明け方の観察を行いました。夜の鳥のメインターゲットは、初日のナイトツアーでは後ろ姿しか見られなかったリュウキュウコノハズクです。林道に入るとあちこちから鳴き声が聞こえ、姿もバッチリ確認することができました。全長20cmくらいしかない小さなフクロウは、本当にかわいいですよね。
リュウキュウコノハズクは耳で探し、目ではアマミヤマシギを探しながら、ゆっくりゆっくりと車を走らせてもらうと、道路脇にアマミヤマシギも発見。

リュウキュウコノハズク(撮影:藤塚裕美様 )
アマミヤマシギ(撮影:藤塚裕美様)

そして夜明け頃にはオオトラツグミの声も聞くことができ、未明時の探鳥は充実していました。
ホテルでの朝食後には、また別のスポットを訪ねてみました。小学校のグランド(というより草も生えている庭)では、ムクドリやツグミに混じってギンムクドリが採餌してました。
グランド際のアマミシジュウカラを見ていると、校舎のすぐ近くから、牛のようなカラスバトの声が..。まさかと思って探してみると、カラスバトが飛んで木の中に入りました。角度を変えて木の中を探すと、かろうじて頭だけ見ることができました。
それにしても、海沿いの学校なのに、ギンムクドリやカラスバトがいる学校なんて、すばらしいですよね。ちなみに登校日ではなかったので、学校にはだれもいませんでした。

ギンムクドリ(撮影:藤塚裕美様)
カラスバト

そして、奄美の知人に紹介してもらった場所に行ってみると、聞いていたとおりにルリカケスが近くで出迎えてくれました。ここは斜面上部に建物があるため、目線や眼下にルリカケスを見ることができるんですね。

ルリカケス(撮影:藤塚裕美様)

また道路際の斜面では、今回は姿はあきらめかけていたアカヒゲのオスが出現。ルリカケスに続いて大興奮でした。
午後は耕作地に立ち寄ると、予想していなかった暗色のサシバがいきなり出迎えてくれました。すぐに飛び立つと一気に移動し、その後は見つからなかったため、そのまま渡って行ったのかもしれません。とてもラッキーでした!

アカヒゲ(撮影:藤塚裕美様)
サシバ(暗色型)

<4日目>

最終日の朝は、ホテルの敷地でのんびり観察しました。近くで繁殖するルリカケスは定期的に現れ、駐車場のごみ箱などにもとまったりします。見ることすら大変だった過去があるとは思えない光景でした。

チェックアウト後には近くにクロサギでもいないか..と、海辺を流してもらいました。すると、岩にとまっているウミウを発見。しかしよく見ると、同じ岩にクロサギが座っていました。そう、陸から離れた海面に突き出した岩で抱卵していたのです。陸地からは適度な距離があったため、ちょっと観察させてもらいました。

 

クロサギ黒色型(撮影:藤塚裕美様)

また、もう少し進んだ海岸では、クロサギの白いタイプも発見。白いクロサギなんて紛らわしいですが、奄美大島には両方のタイプがいます。目の前を何度か飛んでくれたため、皆さん写真もバッチリ撮れたようです。

クロサギ白色型(撮影:藤塚裕美様)

そして空港近くの耕作地でサシバやシロハラクイナなどを観察し、ランチタイムには奄美パークで自由行動としました。銘々が田中一村の美術館を見たり敷地内で探鳥したりして楽しみ、奄美空港で解散しました。

今年はどこも冬鳥が少なく、奄美大島も例外ではありませんでしたが、いろいろな鳥たちに出会うことができ、ぐ~っと濃縮された4日間でした。

(観察種数60種)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

冬の九州縦断 越冬珍鳥を求めて【前編】

Report by 簗川堅治 / 2022年2月13日~17日

冬の九州と言えば、憧れの珍鳥オンパレードですが、今冬は珍鳥どころか、普通種ですら少ない異常事態です。

 

1日目。集合前までは雨だったものの、空港を出発する頃には上がり、いいスタートを切りました……と言いたいところでしたが、最初に訪れた一ツ瀬川河口では名物のクロツラヘラサギの姿はなく出鼻をくじかれました。マガモ、ヒドリガモ、コガモ、そしてミサゴなどを見て早々に引き上げ、次の場所に向かいました。

オシドリ

トイレ休憩をした道の駅では、越冬ツバメがすいすいと飛んでいました。さすが宮崎県です。

珍鳥コウライアイサのポイントに到着です。出迎えたのは200羽ほどのオシドリの群れ。かわいらしい声で「クエッ」と鳴いています。ここでもミサゴが飛んでいました。ヤマセミは声のみ。マガモやヒドリガモ、キンクロハジロはいますが、肝心のコウライアイサが見つかりません。場所を変えながら探しましたが、とうとう見つけることはできませんでした。残念!

クロツラヘラサギ

2日目。昨日の挽回をすべく、まずは海沿いの調整池へ。早速、ツクシガモとクロツラヘラサギがたくさんいました。つがいなのか、お互いに羽繕いをするクロツラヘラサギもいました。そして、ほどなくしてソリハシセイタカシギも見つかりました。今冬、全国的に当たっているソリハシセイタカシギ。ここにもいたんですね。ヨシ原ではツリスガラとオオジュリンの声もしています。ハヤブサが上空を通過したと思ったら、対岸にはオオタカの姿が。次々と出てくる鳥たちで忙しい時を過ごしました。

ソリハシセイタカシギ(撮影:上山功夫様)

続いては、外海に行かないと見られないカツオドリを陸地から、しかも至近距離で見られるポイントへ。カツオドリは我々の目の前で何度もダイビングしては、魚を捕っていました。顔が水色の♂もいます。

カツオドリ(撮影:上山功夫様)

この日最後は出水市のツルです。まずはソデグロヅルのポイントへ。あっさり見れました。隣の田んぼではカナダヅル、そしてクロヅルもいました。一ヶ所でナベ、マナ、カナダ、クロ、そしてソデグロを見ることができました。

ソデグロヅル(撮影:上山功夫様)
クロヅル(撮影:上山功夫様)

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

珍鳥が渡る交差点!秋の与那国島5日間【前編】

Report by 大西敏一 / 2021年10月1日~5日

 

沖縄県にはずっと非常事態宣言が出ていてツアーの開催が危ぶまれていましたが、9月末で解除になるというニュースが飛び込み、ほっと胸を撫で下ろしての実施となりました。

以前は春秋冬と幾度も探鳥に訪れていましたが、久方ぶりの与那国島です。聞くところによると道路事情にさほど変わりはありませんが、大きな自衛隊の駐屯地が出来上がり、鳥のポイントだったゴミ捨て場が無くなるなど様々と環境に変化があるようです。また、多くの水田は放棄されて草地に置き換わり、2期作もやらなくなったせいで湿地環境がほとんど無い様子で以前とは鳥を見るポイントも変わっているようでした。予報では10月1日からの5日間はほぼ晴天です。さあ、どういう探鳥になるのか期待半分、不安半分の始まりとなりました。

 

ツアー1日目

今回は現地集合、現地解散の探鳥です。台風の接近で参加が危ぶまれた方もいらっしゃいましたが、誰ひとり欠けること無く全員が集まれたのはツアーの成功を暗示しているようでした。皆さん思い思いに昼食を済ませてから宿で合流し出発です。集合前にサンコウチョウやアカチョウビンの鳴き声、中にはアサクラサンショウクイ!を観察された方もいらっしゃいました。これは否が応でも期待が膨らみます。

アサクラサンショウクイ(撮影:早川弘美さま)

まずは比川へ向かいました。島には北東部に祖納、南部に比川、西部に久部良と3つの集落があり、比川は一番こじんまりしている集落です。テレビドラマのDr.コトーの撮影地で一躍有名になった地でもあります。

Dr.コトーの建物

水田に水が無いせいで水路などに水辺の鳥たちの姿がありました。セイタカシギが出迎えてくれて、ゴイサギは隠れるようにそっといます。よく見るとオジロトウネンやヒバリシギ、アカアシシギの姿も。顔の黄色い今年生まれのホオジロハクセキレイなどを見ながら幼鳥と成鳥の違いなどを観察しました。

セイタカシギ(撮影:伊原やよいさま)
アカアシシギ

浜へ出てシギチ探しをしたあとはベニバトのポイントを経由して田原川へ。セイタカシギやインドハッカなどを観察していると目の前を色鮮やかな鳥が飛びました。キンバトの雄です。すぐ近くの林へ飛び込みましたが、その後姿を表すことはありませんでした。近くの農耕地ではツメナガセキレイがわらわらといます。キガシラセキレイの姿はないようです。お客さんの二人が電線に止まるクロヒヨドリを見つけたようですが、タッチアンドゴーですぐに飛去してしまったとのことで、残念。田原川では小鳥の塒入りを待ちましたが、結果はシロガシラばかりでめぼしい鳥は現れず、クイナ類の声も聞けませんでした。やはり環境が変わったせいでしょうか寂しい限りです。遠くの電線に止まる塒入り前のカラムクドリを見ていると「チュッ チュッ」と上空をセジロタヒバリが飛びます。その辺の畑に降りてくれないかなあと言いながら日の入りを迎え、初日の探鳥は終了しました。夕食後に鳥合わせを行い、本日54種の確認となりました。

探鳥風景
ツメナガセキレイ(撮影:早川弘美さま)

ツアー2日目

今日は日の出の時間に合わせて弁当持参で東崎(あがりざき)へ出発です。着いた頃には丁度水平線から太陽が登ったところでした。遠く西表島を右手に見ながら登る朝陽の下で食べる朝食は格別です。放牧地ではオオチドリやマミジロタヒバリを期待しましたが、ムナグロとツメナガセキレイのみでした。

東崎の日の出
与那国馬

食事後は祖納(そない)へ向かいました。浦田墓地では草むらから飛び出すアカガシラサギを発見。磯に降りたのを観察していると上空をムネアカタヒバリが飛びます。岩礁にはメダイチドリとムナグロもいるようです。本来は祖納の集落の中も探鳥ポイントの一つなのですが、緊急事態宣言が開けたとはいえ、今回は各集落の中を探鳥することは見送りました。その後、比川へ。水路のシギが増えています。3羽になったヒバリシギが割と近く、トウネンも一緒にいたので2種の幼鳥の違いをじっくりと観察しました。

アカガシラサギ冬羽(撮影:早川弘美さま)
ヒバリシギ幼鳥(撮影:早川弘美さま)

林道ではゆっくりと車で流しながら鳥を探します。この時期ならブッポウソウがいるはずと思っていると電線に止まるブッポウソウを発見。皆さん撮影タイムです。公園の広場でチゴハヤブサやコサメビタキを見ているともうお昼の時間です。昨日から島の飲食店はようやく再開した様子でした。テーブルを一人ずつのパーテションで仕切ったコロナ対策がしっかりしているお店を見つけ、皆で与那国そばをいただきました。

ブッポウソウ幼鳥(撮影:早川弘美さま)
与那国そば

食後は再び山へ。狙いはハイイロオウチュウやキンバトです。広場で鳥を待っていると上空にはハリオアマツバメやチゴハヤブサが飛びます。林の中を探索していると「コウモリ!」の声。よく見ると大きなコウモリが梢にぶら下がっています。ヤエヤマオオコウモリです。鳥ではありませんが今回これも見ておきたかった動物です。「顔がタヌキみたい」などと言いながらじっくりと堪能した後はアヤミハビル館へ向かいました。

ヤエヤマオオコウモリ

アヤミハビルとは与那国の言葉で世界最大級の蛾であるヨナグニサンのことです。「アヤミ」は「模様のある」、「ハビル」は「蝶」を意味します。同館はヨナグニサンの生態や亜熱帯の自然の素晴らしさを体感できる施設で、与那国島の動植物や人々とヨナグニサンの関わりなどを学ぶ貴重な機会となりました。鳥だけじゃなくこういったツアーも良いねと参加者の皆さんも喜んでおられました。

アヤミハビル館・玄関
アヤミハビル館・館内

館を出たあとは耕作地のツメナガセキレイの大群などを見ながら、久部良ミトゥに到着。久部良ミトゥは久部良集落の東側にある大きな湿地(池)で、水路で久部良漁港とつながっています。

久部良ミトゥ

着くといきなりアカガシラサギが飛び出します。この時期は冬羽で地味ですが、飛ぶと翼の白と背面のあずき色とのコントラストが綺麗です。池の奥では70羽ほどのダイサギ、アマサギ、コサギの群れが休んでいました。飛来したクロハラアジサシの群れの中にハジロクロハラアジサシが1羽混ざっていました。ここではコホオアカ、ムジセッカ、コヨシキリなどの新顔も出てくれました。シロガシラが増えてきてどこかでねぐらを取っているようでした。

コホオアカ(撮影:早川弘美さま)

日がかなり傾いたので本日締めの西崎(いりざき)へと向かいます。夕方、西崎にいると上空を鳴きながら渡っていく小鳥たちを見られることも多いので、夕陽とセットで期待します。与那国島での夕陽は水平線に沈むのでなく、はるか台湾の山並みに沈んでいきます。素晴らしい景色とかすかに聞こえる小鳥の声を聞きながら2日目の探鳥が終了となりました。夕食後に鳥合わせを行い、本日は58種の確認となりました。

西崎の日の入り
最西端の碑

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

初夏の石垣島でツルクイナ、オリイヤマガラに挑戦【後編】

Report by 簗川堅治 / 2021年6月4日~6日

 

ツアー2日目

なんと台風が近づいているようです。荒れる前に、まずはツルクイナのポイントへ。しかし、残念ながら鳴かず飛ばず。その替わり(?)クロハラアジサシが6羽、現れてくれました。台風の強風を逃れてきたのでしょうか?

クロハラアジサシ(撮影:荒井隆之さま)

一旦、ホテルへ戻り、朝食をとって再出発。ところが段々雨も風もひどくなってきたため、平田原でセイタカシギの群れやオグロシギを見て、ホテルへ戻り待機することにしました。

セイタカシギ(撮影:荒井隆之さま)

幸いにも台風の勢力は弱く、しかも足早に通り過ぎていきました。再再出発です。再び平田原へ。ムラサキサギが飛んできました。降り立った位置がよく見えないので移動すると、なんとタマシギのつがいがいました、これはラッキー!こちらをやや気にしているのか、段々と遠ざかっていきました。ムラサキサギの存在を忘れてしまうほど、みなさん、タマシギに夢中でした。他、セイタカシギの群れ、シロハラクイナの親子などを観察しました。

タマシギ(撮影:荒井隆之さま)

台風は過ぎ去ったとはいえ、いい天気ではなく、時々雨です。今日も(オリイ)ヤマガラに挑戦することはできなさそうです。しかし、こんな時は日中でもツルクイナのチャンスなので、またツルクイナのポイントへ移動です。いい条件ではあり、いかにも出そうでしたが、残念ながら出ませんでした。

カンムリワシ(撮影:大塚敦雄さま)

気を取り直して、バンナ公園へ。到着早々、カンムリワシが目の前に!一同、大興奮です。しばし、カンムリワシを満喫しました。(リュウキュウ)アカショウビン、(リュウキュウ)サンコウチョウ、そしてズグロミゾゴイも出てきました。(チュウダイ)ズアカアオバトがアカギ実を食べにやってきたり、あずまやにリュウキュウコノハズクがいたりと、忙しく、かつ、幸せな時間を過ごしました。

ズグロミゾゴイ(撮影:大塚敦雄さま)
(チュウダイ)ズアカアオバト(撮影:大塚敦雄さま)

他にリュウキュウコノハズクや(イシガキ)シジュウカラなどを見て、夕方、またまたツルクイナのポイントへ。今度は声をちょっとだけ聞くに留まりました。やはり手強いです。

最後は数百羽のリュウキュウツバメのねぐらを見て、2日目を終えました。

 

 

ツアー3日目 

朝食前にツルクイナですが、まずは平田原に行ってリュウキュウヨシゴイを狙います。早速、草の上にいるリュウキュウヨシゴイの♂がいました。綺麗です。

リュウキュウヨシゴイ(撮影:大塚敦雄さま)

気をよくしてツルクイナのポイントへ。地上にいる所をぜひ見たいものです。固唾を飲んで、じっと待ちます……しかし、姿も声も確認できないまま時間切れとなりました。残念!

朝食後、新川川河口でアオアシシギを見たあと、オオアジサシのポイントへ。飛んでます、飛んでます。ちょっと遠いですが、複数のオオアジサシの黒い頭と黄色い嘴が確認できます。時折、近くに飛んでくる個体もいました。大きいです。

オオアジサシ(撮影:荒井隆之さま)

今日も天候が悪く、於茂登岳の(オリイ)ヤマガラのポイントへは行けないため、登山口周辺で探しましたが、そう簡単には出ません。林道では、(リュウキュウ)キビタキのさえずりが聞こえましたが、生い茂った葉の陰で見ることはできませんでした。

そろそろ時間がなくなってきました。ここで石垣島では珍しいカイツブリの親子を観察しました。ヒナはだいぶ大きくなっていましたが、まだまだかわいいです。最後は空港近くでカタグロトビです。しかし、またあっという間に林の陰へ消えてしましました。

 

梅雨時期なので天候が不順で思うように行かず、(オリイ)ヤマガラは見るどころか、ポイントにさえ行けませんでした。それでも難関のツルクイナを全員が見ることができたのは、非常に大きな成果です。それ以外にも、南西諸島ならではのたくさんの鳥たちに会えた3日間でした。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

初夏の石垣島でツルクイナ、オリイヤマガラに挑戦【前編】

Report by 簗川堅治 / 2021年6月4日~6日

 

梅雨真っただ中の石垣島で、観察難易度が極めて高いツルクイナに挑戦するコアなツアーです。そして、もうひとつ、ヤマガラの亜種オリイヤマガラも石垣島では観察難易度が高いのですが、これにも挑戦!

 

天気予報ではツアー開始頃から雨でしたが、実際には曇りで経過しました。ただ、於茂登岳は雨雲がかかっていたため、この日の(オリイ)ヤマガラ挑戦は諦めました。

まずは空港そばの海岸に行きました。アジサシ狙いでしたが、黒いクロサギがいたくらいでした。その他、南西諸島ならではの(イシガキ)ヒヨドリ、(オサ)ハシブトガラス、(リュウキュウ)メジロなどを観察しました。地元では「ユーナ」と呼ばれるビーチハイビスカスがきれいでした。

続いてお馴染みのカタグロトビです。「いたっ!」と思ったら、すぐ林陰に入ってしまい、それっきりでしたが、シロハラクイナやシロガシラを観察しました。シロハラクイナはどこにでもいて、ちょくちょく目の前には出てきますが、撮影となるとなかなか難しく、厄介な南西諸島の鳥です。

リュウキュウコノハズク(撮影:大塚敦雄さま)

今度は森へ。早速、2ヶ所でのリュウキュウコノハズクと(リュウキュウ)アオバズクを観察しました。夜とはひと味違う印象です。(リュウキュウ)アカショウビンの声もします。その後は、また海岸へ出て、白いクロサギ2羽とシロチドリ2羽を観察しました。白いクロサギも南西諸島ならではです。

クロサギ白色型(撮影:荒井隆之さま)

また森林へ移動し、待つことしばし。来ました!(リュウキュウ)アカショウビンです。すぐそばで餌を探しています。燃えるような赤い色、そして(リュウキュウ)アカショウビンの特徴の体上面の紫色がとてもきれいです。みなさん、夢中でシャッターを切っています。その後は一部の人のみでしたが、カンムリワシ、オオクイナも観察できました。

(リュウキュウ)アカショウビン(撮影:大塚敦雄さま)

夕方になり、いよいよツルクイナに挑戦です。とあるポイントで、ひたすらじっと待ちます。シロハラクイナや(リュウキュウ)アカショウビン、シロガシラなどが鳴いています。カルガモや(オサ)ハシブトガラスが飛ぶ度に、一瞬、ドキッとします。そして、待機してから約40分、飛んできました、ツルクイナです!それもずいぶんと高い所をゆっくりと飛んで、こちらに向かってきました!これはラッキー!♂の赤い額板がわかるほど、よく見えました。残念ながカメラを構えた頃には後ろ姿でしたが、それでも初日であっさりと目標達成です!

ムラサキサギ(撮影:荒井隆之さま)

気分よくホテルへ向かう途中では、これまた時期的になかなか見られないキンバトとムラサキサギのきれいな姿を見ることができ、上出来な初日となりました。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

夏の仲ノ御神島&石垣島アジサシ観察

Report by 五百澤日丸 / 2021年7月15日~7月18日

ツアー下見のため、4日前から石垣島に入って島内を細かく見て回りました。何度も来ている石垣島ですが、毎年同じ場所にいるとは限りません。環境の改変によって、ポイントも大きく変わるので、ツアー直前の下見は非常に大切です。心配していた海況も、非常に穏やかでクルーズ船の航行には問題が無いことを確認し、胸をなでおろしました。

 

初日、石垣空港で参加者の皆様と無事に合流しました。皆さん、挨拶もそこそこに開口一番「船は大丈夫ですか!?」でした。海況は穏やかで問題が無いことをお伝えすると、仲ノ御神島クルーズに2回行こうとして、2回とも欠航で悔しい思いをしているので心配されていたとのことでした。

 

潮の時間がちょうど良く、引き始めで干潟が拡がりつつある状況を生かして、まずは海岸へ向かいます。7月中旬にもなると、シギ・チドリ類が増え始める頃です。干潟には、トウネン、キアシシギ、アカアシシギ、キョウジョシギ、オオメダイチドリ、ダイゼンなどの姿が見られました。今回のメインとなる、アジサシ類はエリグロアジサシとコアジサシが干潟に降りて休んでいました。強い陽射しの中、真っ白い姿は暑さを忘れさせてくれるほど美しかったです。

エリグロアジサシ
エリグロアジサシ(撮影:長谷川誠様)
クロアジサシ
クロアジサシ(撮影:長谷川誠様)

続いて住宅地にある林、水田地帯、その他のポイントを巡り、リュウキュウアカショウビン、シロハラクイナ、ムラサキサギ、移入種で世界的に分布を拡げつつあるカバイロハッカなどを確認して、この日は明日に備えてホテルへ入りました。

 

翌朝、外は今日もいい天気です。皆さんの体調も万全です。朝食後、ホテルから歩いてクルーズ船へ向かいました。すでにクルーズ船のスタッフの方は準備して待っていました。以前にもお世話になった船長さんと挨拶し、今日は穏やかな海況であるとのことで、参加者の皆さんのテンションもあがります。

仲ノ神島遠景(船上より)
仲ノ神島遠景(船上より)(撮影:長谷川誠様)

石垣港を就航して、リーフ内を滑るように船は進みます。竹富島や黒島などを見ながら、所々にある灯浮標にとまるオオアジサシ、エリグロアジサシなどを観察しました。リーフを出ると、さすがにうねりが出てきます。それでも今日はかなり穏やかな方です。遠くに仲ノ御神島が見えてくると、周辺の海域にはアナドリ、クロアジサシ、カツオドリなどが飛び始めます。やがて仲ノ御神島が目の前に迫ってくると、たくさんのカツオドリが船の上に集まってきました。ごく近くを大きなカツオドリが飛ぶと迫力があります。その表情もはっきりと分かります。

仲ノ神島近景(船上より)
仲ノ神島近景(船上より)(撮影:長谷川誠様)

波の少し穏やかな場所へ入り、聳える岩壁を見上げると、白っぽいカツオドリがいます。例年、白い綿羽に覆われたカツオドリのヒナがたくさんいる時期なので、「白いのはカツオドリの幼鳥です」と説明して、双眼鏡を覗いてびっくり!しました。なんと、アオツラカツオドリの成鳥でした。それもあちこちにいます!私を含め、船上は騒然となりました。数えること、最大同時64羽のアオツラカツオドリを確認しました。これは国内でも最大級の数です。巣は確認出来なかったので、これから繁殖するのか、たまたまやってきたものなのかわかりませんでした。

アオツラカツオドリ
アオツラカツオドリ(撮影:長谷川誠様)

島を1週しながら、一番波がおだやかな場所へ行きます。セグロアジサシ、マミジロアジサシ、クロアジサシが無数に舞い、夢のようなひとときを楽しみます。島の北東側でアンカーをおろし、しばし、観察を楽しみます。斜面を飛ぶ白いカツオドリがいます。「こちらにもアオツラがいますね・・・」と、言いかけてまたしてもびっくり!しました。なんと尾が白いのです。「アカアシカツオドリです!」と、またしても予想外の展開に、皆さんと再び大興奮となりました。飛んできたアカアシカツオドリがとまった木には12羽のアカアシカツオドリがとまっているではありませんか!それも巣があり抱卵中?の個体もいます。茶色いのは幼鳥ではなく、褐色型のようです。さあ、次はネッタイチョウ類!と、期待しながら待ちますが、残念ながらそれらは出ませんでした。それでもアオツラカツオドリとアカアシカツオドリがたくさん見られただけでも十分贅沢な瞬間でした。こうしているうちに、あっという間に蛙時間となりました。アジサシ類とカツオドリ類の大コロニーの島、仲ノ御神島をあとに、心地よい疲労感の中、船は一路石垣島へと向かいました。

アカアシカツオドリ
アカアシカツオドリ(撮影:長谷川誠様)

翌日は、石垣島内の各ポイントを巡ります。穏やかな海だったとはいえ、やはり揺れない陸地は快適です。島の各ポイントを巡り、カンムリワシ、シロハラクイナ、リュウキュウツバメ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、オオアジサシ、クロハラアジサシなどを観察しました。今年は、石垣島で繁殖するアジサシ類は例年よりも少なくて、やや物足りない状況でした。ちょっと残念ですが、これも自然界のことです。来年に期待したいところです。

カンムリワシ
カンムリワシ(撮影:長谷川誠様)
ズグロミゾゴイ
ズグロミゾゴイ(撮影:長谷川誠様)
リュウキュウアオバズク幼鳥
リュウキュウアオバズク幼鳥(撮影:長谷川誠様)

最終日、皆さんにどこで何を目的に回るか相談して、そのリクエストに応える形にしました。まだ行っていない地域を中心に出現する可能性がある、オニカッコウのポイントのほか、リュウキュウアカショウビン、オリイヤマガラ、カタグロトビなどを探しました。時間があまりなかったので、粘ることは出来ず、全部は見られませんでしたが、それなりに楽しむことができました。

リュウキュウアカショウビン
リュウキュウアカショウビン(撮影:長谷川誠様)

とにかく暑くて大変でしたが、最大の目的である、チャーター船で行く仲ノ御神島クルーズが欠航することなく、無事に終了することが出来たのはなによりでした。やはり石垣島は何度来ても素晴らしいところでした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年5月15日~19日

3日目は天気が回復し、午前中礼文島南部と高山植物の花畑となる桃岩展望台へ。桃岩展望台では、礼文島固有種のレブンコザクラ、そしてハクサンイチゲを観察しながら野鳥を探します。

レブンコザクラ
レブンコザクラ
利尻島をバックに、レブンコザクラとハクサンイチゲ
利尻島をバックに、レブンコザクラとハクサンイチゲ

道中、何度か上空をイスカの群れが飛び、そしてノビタキが道端で姿を見せ楽しませてくれます。ふと大きなシルエットが見え、双眼鏡で覗くとチュウヒでした。旋回し、上空高くどこかへ飛んでいきましたが、ここからサハリンまで渡っていくのでしょうか。桃岩展望台を見たあと、車で戻る際にハイタカ属の姿が。見ると北海道では珍鳥のサシバのオスです。本当に離島は何が出るのかわかりません。

ウトウ
利尻島へ向かう途中に出会ったウトウ

午後からは利尻島へ向かいます。利尻島到着後、早速ガイドさんとともに今回のツアー最大の目的であるクマゲラを探しに行きます。
森の中を歩いているとそばから「ゴッゴッ」と鈍器で殴っているような音が。見ると5mほどのところでクマゲラのメスが木をつついています。皆さん驚きです。

クマゲラ
クマゲラ(メス)

その後今年の営巣木に案内して頂き、静かに抱卵交代する瞬間を待ちます。抱卵していたオスがメスの帰宅が遅いため何度も外を見たり巣のなかで叩いて交代を催促したりとなかなか見ることのできないシーンを観察できました。

 

4日目は、日の出の時間から皆さんの宿のそばにある公園で散策です。「利尻コマ」と呼ばれるだけあって、周辺にはコマドリの声があちこちから響いています。
声の方向を見ているとオスが目線の高さにぴょんと上がり、目の前で囀りを披露してくれました。日本三大鳴鳥の囀りを目の前で聞くと格別です。

コマドリ
コマドリ
コマドリ
コマドリ

そして、そばの草原にはなんとキマユホオジロがいました。以外なところにいる珍鳥の姿に皆さん興奮です。かなり敏感で姿を捉える前にどこか飛んでいってしまうので観察は難しかったですが、ほとんどの方がその姿を見ることができたかなと思います。

キマユホオジロ
キマユホオジロ

朝食後は再度クマゲラ探し、そして利尻島を一周しながらバードウォッチングです。昨日とは違う巣穴に向かいます。ここでも姿を隠し声を出さずに静かに待ちます。
2時間ほど経ち、やっとメスの帰宅です。メスが交代のために巣穴を覗くとオスが飛び出し、目の前を飛んでいってくれました。とても貴重な瞬間でしたね。

クマゲラ(オス)
クマゲラ(オス)

その後は利尻島を巡ります。沓形岬公園では、ノゴマが利尻島背景にこちらを向いて囀りを披露してくれました。

ノゴマ
ノゴマ

オタトマリ沼では、綺麗なチュウサギやダイサギ、そして散策すると夏羽のアカガシラサギを発見し、観察することができました。北海道ではシラサギは基本的に珍鳥、繁殖もしていないのですが、離島では毎年多くのシラサギが見られます。これは離島の特徴の一つです。

チュウサギ
チュウサギ
アカガシラサギ
アカガシラサギ(夏羽)

帰り際、お土産を買うため売店に立ち寄ると、サバクヒタキとシラガホオジロのメスが!一瞬の出来事で見たのはほんの一瞬でしたが、どこにどんな鳥が出るのかは本当にわかりません。

 

最終日も早朝宿のそばの公園で散策です。コマドリは昨日とはうって変わり姿をなかなか現さず、森を歩くとクロジやイスカ、カシラダカが姿を見せてくれました。

クロジ
クロジ
クロジ
クロジ
カシラダカ
カシラダカ

宿へ戻る際には再度キマユホオジロが姿を見せてくれ、そしてマミチャジナイが目の前で採餌していたりと、最後まで楽しませてくれたツアーとなりました。

マミチャジナイ
マミチャジナイ

離島のツアーは本当に何がどこに出るかわからないというのも魅力です。そして利尻島はクマゲラ、コマドリが数多く生息し出会える可能性が高いというのも大きな魅力です。是非また訪れて頂き、今回とは違う魅力を再発見していただけると幸いです。ツアーにご参加された皆様お疲れさまでした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!