やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2024年9月8日~11日

下見中に熱帯低気圧が発生してツアー期間中すべて雨予報でしたが、不思議と撮影時間には雨が止みヤンバルクイナに関しては昼夜を問わずしっかりと撮影ができてみなさまとても満足をされていました。残念なのは天気のせいか、アカヒゲの出現が極めて少なく結局撮影ができませんでした。ノグチゲラも同様でしたが、最終日の朝ヤンバルクイナを待っているポイントで偶然撮影ができたのはラッキーでした。時間調整用のシギ・チドリのポイントは水が無くなり壊滅状態、干潟は悪天候で行く事ができなかったのは残念でしたが全体的にはメインのヤンバルクイナがしっかりと撮れたことで昨年よりは1日増やしたことで大成功だと言っていいでしょう。

<1日目>

13時に無事みなさん集合されたので、専用車で宿へ向かいました。本来なら喜如嘉へシギ・チドリを狙いに行くのですが今年の喜如嘉は耕作放棄地が目立ち、鳥たちがさっぱりなのでパスしました。宿へ荷物を降ろしてすぐにヤンバルクイナのポイントへ向かいます。30分ほど待っていると出てくれました。時間的に違う場所へすぐ移動して待つ事10分、予想通り川をゆっくり渡る姿を撮影することができました。

川を渡るヤンバルクイナ
川を渡るヤンバルクイナ

宿へ戻りすぐに食事を食べていただき、20時からは夜の撮影レクチャーです。昨年はここでヤンバルクイナとリュウキュウコノハズクが撮れたので期待をしましたが、残念ながら撮影はできませんでしたが撮影の方法は習得していただけたようです。

<2日目>

5時30分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、まだ暗い中さっそく1羽が出現します。しかしすぐにいなくなってしまいました。ポイントでアカヒゲが出てくれることを期待しましたが、声のみ。その後待ちくたびれていると、ヤンバルクイナは音もなく現れ撮影ができました。

ヤンバルクイナ
音もなく現れたヤンバルクイナ

雨風が激しいので一旦宿に戻り建物の庇からヤンバルクイナを待ちますが出ないまま11時になったので町に昼食と明日の朝食の買い出しを出かけました。その時参加者から「天気が悪いのでヤンバルクイナ生態展示館クイナの森」へ行きたいとリクエストが出たので食後はそちらでヤンバルクイナの「クー太」君を見に行きましたが、眠っていてこちらに出てくれません。ようやく出てくれても今度はアクリル板の前でまた寝てしまう(笑)手強い!ほかにも資料展示があるのを見て宿に向かい、休憩に入りましたが風雨がまったく収まる気配がないので夕方と夜を中止にいたしました。

 

<3日目>

5時30分に出発。昨日より早い準備を完了。風が強いのでシートは張らずにそのまま静かに待ちます。シートが無いのでちょっと警戒をしないかと不安を感じましたが、3回ポイントでのんびりする姿を撮影することができました。ダメ元で時間まで川沿いのポイントへ移動しますがヤンバルクイナは出ませんでしたが、みなさんトビハゼやコメツキガニやシオマネキを撮って楽しんでおられました。

雨の止み間を活かして宿に併設されている観察路で生き物を探します。昨年はアカヒゲもノグチゲラもよく出てくれたのですが、この日は風が強いせいか出が悪いです。鳥はさっぱりでしたが、オキナワキノボリトカゲ・シリケンイモリ・ヤンバルヤマナメクジ・リュウキュウアオヘビを観察撮影ができました。11時に食事に向かう途中いつもリュウキュウツバメとツバメがとまっている電線にとまっていれば撮影をする予定でしたが、1羽もいません。風が強すぎたせいでしょう。

リュウキュウアオヘビ
リュウキュウアオヘビ
オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ

食事後は近くの田んぼでセイタカシギとタカブシギを撮った後、夜もあるのでお昼寝タイムです。15時45分にヤンバルクイナを探しに行きますが、今日はいつもと違いなかなかポイントへ出てくれません。それでも17時30分近くに2回出てくれ、道路を渡る姿も確認できました。最後は川へ移動します。すぐに出たので期待をするとすぐに草むらに隠れてしまいました。15分過ぎた時でしょうか1名の方が高速連写で何かを撮っています?他の方もカメラを構えています。私の位置からは何も見えないので車の影に隠れてドライバーさんに「出てる?」と聞くと出てないよの答え。よく見るとレンズはかなりの下?後で聞くとカニを撮っていたようです「騙された!爆」

もう一度いつもの場所へ戻るとすぐにヤンバルクイナが出てくれました。みなさんに場所を小声で伝え、狙ってもらいます。ヤンバルクイナは採餌しながら川の中に移動してあちこち歩き廻った後、水浴びをゆっくりとしてくれました!

川を渡るヤンバルクイナ
川を渡るヤンバルクイナ
水浴びをするヤンバルクイナ
水浴びをするヤンバルクイナ

夕食時間もあるのでヤンバルクイナが草むらに入ると同時に宿へ向かいました。夕食後は20時に夜の生き物探しに出発です。走り出してすぐに1羽のヤンバルクイナを見つけたのですが時間が早い事と近すぎたことで逃げられてしまった。その後はさっぱりでちょっと焦りが出ます。それでもオリイオオコウモリのいるポイントへ向かい撮影をしてもらいました。下見ではここにリュウキュウオオコノハズクがいたので期待をしましたが見つかりません、残念!集落内からはリュウキュウアオバズクの鳴き声が聞こえますが集落内なので探しに行くのはやめました。

リュウキュウオオコノハズク
下見では観察できたリュウキュウオオコノハズク

さて再び移動しながら生き物を探すと森の奥からリュウキュウコノハズクの「コホッコホッ」の鳴き声が!鳴きまねをして近くまで来てくれることを期待しましたが来てくれませんでした。さてここからがえらいことになります。もう眠っているヤンバルクイナだらけ!いた!ここにもいた!と6羽までは確認して撮影をしていましたが、その後は角度が悪い、止まり位置が悪いと撮影をせず移動という贅沢すぎる状況です。ペアのとまりも確認できた時だけは撮影に熱が入りました。その後も3羽ほどは見つけたと思いますが全部で10羽以上発見しました。下見の2日は1羽しか見られなかったのに信じられない夜です。

ヤンバルクイナ!いた!
ヤンバルクイナ!いた!
ペアのヤンバルクイナ
ペアのヤンバルクイナ

*ヤンバルクイナの夜間撮影は10分以内で通常5分を目安にストレスを極力かけないようにしています。その後はフクロウ類の発見はないまま終了となり11時過ぎには宿に戻りました。

 

<4日目>

5時30分に出発してルーティーンで鳥たちを待ちます。ヤンバルクイナはなぜか出ません。ポイントの奥からはノグチゲラやアカヒゲの声は聞こえますが姿は見えず。ヤンバルクイナはその後出てくれましたのでほっと一息。1名の方が「カニが撮りたいから行っていいか?」と言われたのでヤンバルクイナも今までしっかり撮れているのでOKを出しました。彼女が出ていて10分もしたでしょうか?参加者の男性が上にカメラを向けています。そのあたりを見ていると黒い鳥が木の幹にとまっています・・・ノグチゲラです!めっちゃ近いのでみなさんに「ノグチゲラだから撮って!」と伝えました。結構長く出ていてくれみなさん撮れたと喜んでいます。最初に狙っていた方が「これノグチゲラだよね?」とモニターに映っている鳥はイソヒヨドリのメス?どうやら2羽出ていて私はイソヒヨドリに気がついていなかったようで、彼は本命ではないものをずって撮ってしまっていたようでした。

ノグチゲラ
ノグチゲラ
イソヒヨドリ
イソヒヨドリ

その後はシギ・チドリを狙う予定が2か所とも激しい雨風で外に出られそうもないのでそのまま空港に向かい終了となりました。

今回は過去最高というか私もびっくりするくらいのヤンバルクイナとの遭遇&撮影ができただけでなく最後はノグチゲラのサービスもありフクロウ類やアカヒゲは残念でしたが120点の内容だったと思います。


撮れた鳥
ヤンバルクイナ・セイタカシギ・タカブシギ・ノグチゲラ・リュウキュウヒヨドリ・リュウキュウメジロ・リュウキュウコゲラ・リュウキュウシジュウカラ・スズメ・イソヒヨドリ・オキナワキノボリトカゲ・シリケンイモリ・リュウキュウアオヘビ・ヤンバルヤマナメクジ
オリイオオコウモリ

見れた鳥・さえずりが聞けた鳥
ミサゴ・カラスバト・ズアカアオバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・リュウキュウアカショウビン・カワセミ・ツバメ・リュウキュウツバメ・リュウキュウサンショウクイ・ホントウアカヒゲ・ウグイス・リュウキュウハシブトガラス・クマネズミ・リュウキュウヤマガメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋の奄美大島 アカハラダカの渡りと奄美固有種

Report by 簗川堅治 / 2024年9月21日~24日

アカハラダカの渡り敵期に時期を設定し、奄美大島の固有種も楽しむツアーです。昨年、一昨日年も同じ時期に設定し、タイミングよくアカハラダカの群れを楽しむことができました。さて、今年は……?

 

1日目

直前の天気予報では、どうもずっと雨マークで並んでいたので不安な中スタートしました。まずは現地ガイドさんと合流し、ちょうど見易いオオトラツグミがいるとのこでその場所へ向かいました。雨の心配はなさそうです。到着早々、難なくオオトラツグミに出会えました!改訂されたばかりの日本鳥類目録第8版ではトラツグミの亜種から別種ミナミトラツグミの亜種に変更されたので、すでに見てる方もライファーの方も1種増えたことになります。

オオトラツグミ
オオトラツグミ

その後は小鳥類はイマイチだったので、ナイトウォッチングに備えて、早めにホテルへ入りました。夕食後、ナイトウォッチング・スタートです。早速、電線で眠るルリカケスを筆頭に、アマミノクロウサギ7頭、アマミヤマシギ1羽、ズアカアオバト2羽、リュウキュウコノハズク8羽などを次々と見て、この日を終えました。

ルリカケス
ルリカケス

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ

 

2日目

天気も風向きもイマイチなようですが、まずはアカハラダカ狙いでポイントへ。ルリカケスが何羽も飛び交う中、アカハラダカが舞うのを待ちました。すると、はるか遠くにアカハラダカ1羽!その後も遠くに3羽飛ぶものの遠すぎます。結局、大きな群れもなければ、近くを飛ぶこともなく、残念な結果となりました。

続いて訪れた森も期待外れ。昼食をとろうとした店もいっぱいで入れず。なかなかうまくいきません。ちょうど干潮時だったので海岸へ行き、キョウジョシギ、チュウシャクシギ、メダイチドリ、そして白いクロサギなどを楽しみ、やっと鳥を見た感じになりました。

クロサギ白色型
クロサギ白色型

その後はまたオオトラツグミを見て、アカヒゲも何とか少し見ることができました。

夜はまたナイトウォッチングです。昨晩同様にたくさんの鳥に出会えた他、雨も少し降ったためアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルなどの奄美固有種にも出会えました。

アマミイシカワガエル
アマミイシカワガエル

アマミノクロウサギ
アマミノクロウサギ

 

3日目

今日も天気予報はイマイチ。アカハラダカはお預けです。まずは奄美唯一の田んぼで探鳥です。セイタカシギ、タカブシギ、クサシギ、リュウキュウツバメなどを楽しみ、森へと場所を変えました。

リュウキュウツバメ
リュウキュウツバメ

この日の森ではアカヒゲとズアカアオバトを比較的よく見れ、オオトラツグミもばっちりです。しかし、オーストンオオアカゲラは、ガイド簗川が見たに過ぎませんでした。

アカヒゲ
アカヒゲ

オーストンオオアカゲラ
オーストンオオアカゲラ

昼食後は畑です。ムナグロの群れを見ていたらツバメチドリが2羽混じっていて、さらに見ていくと、なんとコシャクシギが1羽混じっているではないですか!一気に盛り上がりました!気分良くホテルへ戻ることができました。

コシャクシギ
コシャクシギ

4日目

最終日です……が、残念ながら今日も天気が悪くアカハラダカはお預けです。森へ行き、まだ見ぬオーストンオオアカゲラを探すも、結局は声のみ。オオトラツグミは この日も見れ、しっかりときれいな歌声も披露してくれました。最後はコシャクシギ狙いで畑へ行くもムナグロ少しとツバメチドリがいただけでした。

ツバメチドリ
ツバメチドリ

残念ながら天気に恵まれず、アカハラダカの群れの渡りはお預けとなりましたが、それでも奄美固有の鳥や動植物園に出会えた4日間でした。参加者のみなさん、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原

Report by 今堀魁人 / 2024年5月18日~22日

1日目

初日13時に稚内空港を出発しツアースタートです!
最初は空港すぐそばのメグマ沼へ。風が強く、なかなか鳥が出てきてくれない中、到着直後にはオジロワシが目の前を飛んでくれました。風に逆らい、ゆっくりと止まっているかのように飛んでくれたのでじっくり見ることができました。ノビタキも一瞬出てきてくれました。

オジロワシ
オジロワシ

ノビタキ
ノビタキ

その後はサロベツ湿原に移動です。木道を歩いてもなかなか鳥が見られませんでしたが、道中ちらっとだけツメナガセキレイの姿が!この道北を代表する夏鳥の一種です。次の兜沼へ行く道すがらアカエリカイツブリの繁殖地へ。遠かったですが、近年激減しているこの鳥を見ることができ一安心しました。

アカエリカイツブリ
アカエリカイツブリ

兜沼では最初から最後までツツドリが遊んでくれました。なかなか見えないところに止まるので右に行ったり左に行ったりと隙間を探しての観察でした。

ツツドリ
ツツドリ

 

2日目

翌日は航路探鳥からスタートです。航路ではウトウがパラパラとあまり多くの鳥は飛びませんでしたが、序盤にはトドが泳いでいたり、後半には上空をチュウシャクシギの群れが渡っていきました!シギチドリが海を超えロシアへ渡る姿を見られるのは稚内航路ならではですので、ここから数千キロ離れた繁殖地へ向かう貴重な姿だったかと思います。

チュウシャクシギの群れ
チュウシャクシギの群れ

到着後はお昼を食べ、ガイドの渡辺さんと共にメインのクマゲラを見にいきます。ポイントに到着し、じっと待っていると、巣穴からメスの顔が!そろそろ来るかな?と期待して待ちますが、そこから1時間半が経過。まだか?と足のしびれの限界を感じながら待っていると遠くからクマゲラの声が! 近くまで帰ってきてくれましたが、警戒したのか巣のある木にはオスは止まらず、痺れを切らして先にメスが飛んで行ってしまいました。

巣穴から顔を出したクマゲラのメス
巣穴から顔を出したクマゲラのメス

帰りはコマドリ探し。藪の中にちらっと見えましたね。

コマドリ
コマドリ

3日目

早朝の公園観察からスタートです。鳥を探しましたが寒さのせいか動きがあまりなく、なかなか多くの鳥は見られませんでした。午前中には再度別の巣でクマゲラを観察です。到着早々クマゲラの声が聞こえ、見ていると20分で抱卵交代に来てくれました。しかし抱卵中のオスが出ず、入っているにも関わらず巣に潜るというハプニングもありました。

クマゲラ
クマゲラ

その後は雨模様の中利尻島を一周。近距離でアカエリヒレアシシギやイスカに出会うことができました。特にイスカは本当に逃げず、貴重な瞬間でした。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ

イスカ
イスカ

夕方には再度コマドリの撮影チャレンジ。あそこ!ここ!一瞬でなかなか難しいですね。

コマドリ
コマドリ

4日目

再度利尻の森のバードウォッチングからスタートです。まずはコマドリ再チャレンジ!2時間ほど待っていると、ここに出るよーと伝えていたソングスポットに出てきてくれ、ほっと一安心しました。

コマドリ
コマドリ

午前はクマゲラ再チャレンジ。今回はやっと放卵交代の2ショットを見ることができました。そして森を回るとガイドの渡辺さんと友達のクマゲラが登場!近距離でその姿を見せてくれました。

クマゲラのツーショット
クマゲラのツーショット

午後にはフェリーで利尻島から礼文島へ。礼文島ではさまざまな小鳥を狙いますが、草刈り中だったりと中々姿が見えません。久種湖ではアカモズを撮影できました。そして森の中のポイントへ行くとなんとコウライウグイスが!全員にしっかり見せることができず悔しいですが、こんな鳥が見られるのが離島の魅力です。明日は最終日です!

コウライウグイス
コウライウグイス

5日目

ついに最終日です。早朝は希望者のみでコウライウグイスを再チャレンジ!見つけたい!と頑張りましたが、強風のせいもあり見つけることは叶わず。なかなか難しいですね。
帰りの船はこの強風のせいで道中大きく揺れる可能性が高い上、波が高すぎて鳥が見られないため船内で寝ながらの移動。私は潮風でビシャビシャ、鼻血で鼻を赤くしながら外で観察しましたが、観察できたのは遥か遠くを飛ぶ合計4羽のハシボソミズナギドリと思われるミズナギドリ類、ウトウが3羽、そして爆風にゴミのように飛ばされながら必死に短時間船へ退避したカラフトムシクイのみでした。こんな人も恐れる天気の中たった数グラムの小さな鳥が海を渡っていると考えるとロマンがあります。

強風に煽られるカラフトムシクイ
強風に煽られるカラフトムシクイ

カラフトムシクイ
退避中のカラフトムシクイ

今回は少し渡りの鳥は少なかったかもしれませんが、一発逆転の鳥がいつ現れるか分からないという離島のポテンシャルは少し感じていただけたかなと思います。ぜひまた来年お越しください!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【奄美編】

Report by 簗川堅治 / 2024年4月3日~7日

<4日目>
空模様が気になる中、アカヒゲやルリカケス、オーストンオオアカゲラなどを求めて出発しました。現地は時折、小雨が降るあいにくの天候です。まずはオーストンオオアカゲラです。巣作り中のようで、待っていれば見られそうだったので、粘って待った方は撮影ができました。

オーストンオオアカゲラ(撮影:K.I様)
オーストンオオアカゲラ(撮影:K.I様)

続いてアカヒゲです。複数が間近でさえずってはいるものの、高い所ばかり。苦戦を強いられます。さらにこれまた巣作り中のルリカケスを見て、その後は自由時間とし、各自お目当ての鳥で楽しんでもらいました。

 

昼食後は、またアカヒゲ、オーストンオオアカゲラ、ルリカケスを始め、固有亜種アマミシジュウカラやアマミヤマガラなどにも挑戦しまし、みなさん、それなりの成果があったようです。

 

アカヒゲ(撮影:高橋浩様)
アカヒゲ(撮影:高橋浩様)

ルリカケス(撮影:K.I様)
ルリカケス(撮影:K.I様)

最後はズアカアオバトの出るポイントへ。シマグワを食べに来る複数のズアカアオバトを難なく見ることができました。

 

<5日目>
最終日です。また森へ行き、残された時間を各々過ごしました。

アマミコゲラ(撮影:高橋浩様)
アマミコゲラ(撮影:高橋浩様)

ズアカアオバト(撮影:高橋浩様)
ズアカアオバト(撮影:高橋浩様)

今回のツアー、飛行機の遅延はありましたが、沖縄本島では亜種ホントウアカヒゲを、奄美大島では亜種アカヒゲを見ることができました。参加者のみなさん、5日間にわたり、朝早くから夜遅くまで大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【沖縄編】

Report by 簗川堅治 / 2024年4月3日~7日

昨年も行ったツアー第2弾です。アカヒゲは奄美大島などに生息する亜種アカヒゲと沖縄本島などに生息する亜種ホントウアカヒゲの2つの亜種があります。現在は亜種ですが、近いうちに別種になる見込みとのことで企画したツアーです。

 

<1日目>
沖縄本島からスタート。まずは順調な滑り出しです……と言いたいところでしたが、この日に起きた台湾の地震で沖縄地方に津波警報などが出て、沖縄発着の飛行機が大幅に乱れました!ツアー参加のみなさんも遅れに遅れながらも、那覇に着きました。しかし、無事集合し空港を出発したのは20時過ぎ。この日はホテル入りで終わりました。

 

<2日目>
早朝からアカヒゲ狙いです。ノグチゲラの巣作り、越冬した?ササゴイなどを見ながら、無事アカヒゲの♂♀を見ることができました。

ノグチゲラ(撮影:K.I様)
ノグチゲラ(撮影:K.I様)

ホントウアカヒゲ(撮影:高橋浩様)
ホントウアカヒゲ(撮影:高橋浩様)

午後は金武町です。シギチは少なく、お目当てのリュウキュウヨシゴイも出なかったものの、アマサギ、シロハラクイナ、ツバメチドリ、そしてシマキンパラなど沖縄らしい鳥たちを見ることができました。

アマサギ(撮影:K.I様)
アマサギ(撮影:K.I様)

シマキンパラ(撮影:K.I様)
シマキンパラ(撮影:K.I様)

この日の夜は、宿のナイトハイクで樹上で寝る2羽のヤンバルクイナを見られた方々もいました。

ヤンバルクイナ(撮影:高橋浩様)
ヤンバルクイナ(撮影:高橋浩様)

<3日目>
沖縄本島最終日です。でも、時間があまりありませんので、夜明け前から行動し、アカヒゲとヤンバルクイナ探しに。実績のあるポイントで待つも現れず。ただし、道路に出てくるヤンバルクイナは見ることができました。

朝食後は奄美大島に向かうために那覇空港へ車を走らせます。やんばるは、やや肌寒かったものの、那覇は暑い!三角池にちょっと寄り道し、アオアシシギ、コアオアシシギ、リュウキュウツバメなどを見て、空港で昼食を済ませ、奄美大島へ。しかし、ここでも飛行機問題!使用飛行機の到着が遅れ、結局、奄美大島に着いた頃には探鳥時間がなくなり、すぐに宿入りでした。ついていません。

夕食後はナイトウォッチングです。地元ガイドさんの同行の元、林道を走らせます。霧が立ち込め、なかなか苦戦しながらも結果的にはたくさんのアマミヤマシギ、アマミノクロウサギに出会えました。また、イシカワガエルやヒメハブ、アマミトゲネズミなど、たくさんの奄美の生き物にも出会え、とてもいい夜になりました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2024年1月7日~10日

 

好評のこのツアーも今年で3年目。今年は過去最高な出来だったと思います。全日晴れと予想以上に気温も下がり霧氷が朝陽に輝く情景はもちろんダイヤモンドダストまで撮影できるチャンスに恵まれました。

<1日目>

昨年も参加された方が2名、このツアー初参加が3名の5名での開催になりました。空港と先入りの方をホテルでピックアップして現地に向かいます。

天気は快晴でまだ道路わきの木々の枝に霧氷が残り、陽光に輝いています。今回泊まるホテルTAITOに不要な荷物を置いてすぐにタンチョウサンクチュアリーへ向かいます。コンビニで買ったお昼ご飯を食べながらしっかりと撮影をしていただきました。残念なのは風向きが悪くこちらに向かって飛んでくれないのが悔しい。ただし今年は珍しくマナヅルが1羽来ていてるのでこちらを撮れたのはラッキーでした。夕方は夕鶴を狙えるポイントへ向かってチャンスを待ちますが・・・残念ながら不発で終わってしまいましたが、まだ初日です。残りの日に期待をすることにしてホテルに戻りました。

タンチョウサンクチュアリー
タンチョウサンクチュアリー
タンチョウ
タンチョウ
一羽のマナヅルと出会えました
一羽のマナヅルと出会えました
一羽のマナヅルと出会えました
一羽のマナヅルと出会えました

<2日目>

TAITOのオーナー和田さんから「明日は天気がよさそうだから5時30分に出発しよう!」と提案をされていたのでまだ暗い中の出発です。さほど冷えてる感じはなかったのですが、晴れています。現場に到着するとまだ辺りは真っ暗です。私たち以外にほとんど人がいないのでいいポイントを確保できました。空には細い月が浮かび、川面には月の光の帯と星が映り込んでいましたのでそれらも撮っていただきました。徐々に明るくなるタイミングで撮影を楽しんでいただきながらアドバイスを伝えました。

タンチョウのねぐら
タンチョウのねぐら
タンチョウのねぐら
タンチョウのねぐら

本来は午後エゾフクロウポイントへ行く予定でしたが、和田さんの提案でそのままエゾフクロウの撮影を楽しみました。ペアが並んでいる姿を期待しましたが、今年も1羽だけ。それでもしっかりと楽しむことができました。

エゾフクロウ
エゾフクロウ

一旦ホテルに戻り、凍える身体で朝ご飯を食べると元気のいい参加者はすぐにホテルの庭に来るエゾリスを撮るために飛び出してゆきましたが、残念ながら撮影はできなかったようです。しかし日中は昨日と風が反対側から吹くのでこちらに向かって来るタンチョウを撮影するチャンスに恵まれたのですが、すぐ頭の上を飛ぶので望遠では撮れません!レンズの選択が難しく皆さんの歓喜と嘆きの声が交互に響きます。(笑)昨日同様今日も各自コンビニで買ったお弁当を食べながらの撮影を楽しみました。

真上を飛んでいったタンチョウ
真上を飛んでいったタンチョウ

夕方移動をして希望者だけタンチョウの飛翔を狙いつつ小鳥の撮影を楽しみます。ここではエサ台がありシマエナガ、シジュウカラ、ハシブトガラ、ミヤマカケス、アカゲラの撮影を楽しみました。太陽と飛翔を絡めた撮影はイマイチでしたが、十分楽しめた1日だと思います。

シマエナガ
シマエナガ
ハシブトガラ
ハシブトガラ
アカゲラ
アカゲラ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

クマゲラの棲む利尻島・礼文島とサロベツ湿原【後編】

Report by 今堀魁人 / 2023年5月14日~18日

3日目

早朝はホテル近くの公園でバードウォッチングです。探しに行きますが渡り鳥がそこまで入ってきていないのか鳥は少なく、途中街頭の上にモズのオスが止まっているのを見ながらホテルに戻りました。

モズ(オス)
モズ(オス)

朝食後は昨日とは別ポイントでクマゲラを観察します。到着し、カメラで撮影しようと準備をするとクマゲラの声が!静かにしているとオスが戻り、あっさりと抱卵交代をしてメスが飛び去っていきました。

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

昨日とのギャップにみんな驚きです。帰りには目の前でシマリスやゴジュウカラも姿を見せてくれ、楽しく撮影をしながら次のポイントへ。

シマリス
シマリス

次は島を一周回っていきながら小鳥を探していきます。途中立ち寄ったキャンプ場では離島ならではのマミジロキビタキがお出迎え。きれいなレモンイエローのお腹とたんぽぽとのコラボで皆さん熱心に撮影されていました。

マミジロキビタキ
マミジロキビタキ

その後別なポイントでノゴマを発見。チラチラと出たり入ったりを繰り返しながらなんとか撮影ができました。そんなノゴマを見たあとに別なポイントに立ち寄ると全く逃げないノゴマも発見!杭の上で座っていたのを見ると、もしかすると渡ってきたばかりなのかもしれません。

ノゴマ
ノゴマ

その後は北海道銘菓白い恋人で有名なオタトマリ沼へ。売店のソフトクリームを食べながら鳥を探していると何やら聞き覚えのある声が。探してみると、コイカルのオスです!偶然そこで採餌していたのでしょうが、慌てて全員を呼び撮影と観察開始です。高いところで採餌していたため見にくかったですが、途中から道路と同じ高さで観察でき、葉を丸めて食べる面白い採餌方法を見せてくれました。

コイカル(オス)
コイカル(オス)

その脇では満開のエゾノコリンゴでヒガラがごはんタイム。これまた美しい光景でした。

ヒガラとエゾノコリンゴの花
ヒガラとエゾノコリンゴの花

夕方は別なクマゲラポイントで再度挑戦です。じっとしながら、私とガイドさんは足元のネマガリタケを取りながら待っていると帰ってきてくれました。この木は枯れ木ということもあり見やすいですが、警戒心は今回のツアー中見たクマゲラの中でもダントツに強く、個体差でどれだけ警戒心が違うのかわかったかなと思っています。

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

ホテル帰宅後は宿のそばを歩く亜種マミジロツメナガセキレイをお客様の一人が発見し、各々観察しながらこの日は終了です。

マミジロツメナガセキレイ
マミジロツメナガセキレイ

4日目

利尻島最終日です。この日も早朝公園へ出かけますがめぼしい鳥はおらず。ウグイスがきれいな声を響かせていました。

ウグイス
ウグイス

午前中もう一度昨日のクマゲラのポイントへ。到着してから1時間ほど待つとメスが帰ってきてくれました。毎回そうですが、抱卵交代はたった数秒。一瞬の隙を逃さず撮影できたでしょうか?

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

午後にはフェリーに乗って礼文島へと渡ります。途中の航路ではウトウとアカエリヒレアシシギがお出迎えをしてくれました。アカエリヒレアシシギの群れにハイイロヒレアシシギがいないかと探しましたが残念ながら見当たらず。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ

入島後は島の北部をめぐります。走っていると道路脇に飛ぶ鳥が。車を停めてもらい確認すると、打ち上がったアマモにトウネンとアカエリヒレアシシギが集まっていました。きっと海藻の隙間にヨコエビなどの餌があるのでしょう。特に普段は水に浮いてばかりいるアカエリヒレアシシギの水かきを見られる貴重な機会となりました。

アカエリヒレアシシギとトウネン
アカエリヒレアシシギとトウネン

その奥には岩礁で寝ているゴマフアザラシが。時たま波を浴びていますが気にせず寝ている姿が可愛く、顔も見せてほしかったのですがあまりこちらは向いてくれず。シャイなのでしょうか。

ゴマフアザラシ
ゴマフアザラシ

道中ドライバーさんからレブンアツモリソウが咲いているとお話があり、急遽そのポイントへ連れて行ってもらいました。普段は6月上、中旬で咲くはずの花が今年の異常な暑さで5月に咲いたそうです。現場に行くと2~3輪だけ咲いているかと思ったら半分近くが咲いておりとても可憐な姿を見せています!フレッシュなレブンアツモリソウは貴重で、とてもいい出会いだったのではないでしょうか。

レブンアツモリソウ
レブンアツモリソウ

 

5日目

ツアーも最終日です。天気は残念ながら悪いですが外からは鳥の声が聞こえます。早朝はホテルの裏の山をちょっと散策していきます。歩いていると道路脇からうるさいと感じるほどの声量で鳴くコマドリの声が。探せど見つからず、数か所目でやっと樹上に止まる姿が。

コマドリ
コマドリ

観察しますがなかなか枝が被り見にくい場所に。そのうち移動してしまい、私達も先に進んでいきます。道路を歩いていると聞き覚えのある声とともに黒い影が。なんとクマゲラです!礼文島では推定生息数が10羽程度と言われており、撮影はできませんでしたが貴重な個体に出会えました。山に行くとまた近くでコマドリの鳴き声が聞こえます。そーっと下を覗くときれいな個体が鳴いていました!交代で観察と撮影を行いながら朝食の時間が迫り、後ろ髪を引かれながらこの場をあとにします。

コマドリ
コマドリ

ホテルに戻る途中、最後に残った1名のお客様とお話をしていると民家の木からアリスイの声が。声だけ聞いて見ないわけにはいかないので探しますが枝が混んでいてなかなか見つからない。ただ段々と声の位置が高くなり、よーく見ると最後は松のてっぺんで鳴いてくれました。

アリスイ
アリスイ

最後の観察場所もフェリーも濃霧に泣かされ鳥は見えず。早朝が最後のバードウォッチングとなりましたが今回のツアーでも様々な道北らしい、離島らしい鳥に会えるそんなツアーとなりました。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻島・礼文島とサロベツ湿原【前編】

Report by 今堀魁人 / 2023年5月14日~18日

1日目

初日は稚内空港からスタートです。最初は空港そばのメグマ沼へ。観察していると夏の北海道を代表する鳥のひとつ、ノビタキとツメナガセキレイがお出迎えしてくれました。少し距離はありましたが、幸先の良いスタートです。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

サロベツ湿原に向かうと、寒さと風の影響かほとんど鳥の姿は見えず。入り口でベニマシコのメスがヤナギを啄んでいる姿を全員で観察し、声は聞こえど姿を探す難しさを体感できました。

ベニマシコ(メス)
ベニマシコ(メス)

その後移動中には酪農家の家の脇からチュウヒが突然出現!
きっとこの近くで繁殖しているオスのチュウヒでしょう。ここ近年急激に数を減らしているチュウヒ。無事に子育てできることを願うばかりです。

チュウヒ(オス)
チュウヒ(オス)

夕方は兜沼へ。駐車場そばではカケスが姿を見せてくれました。北海道は本州の亜種カケスと違い、亜種ミヤマカケスで可愛い顔をしていることもあり、人気の野鳥です。なかなかうまく姿を見せず少し苦労しましたが、無事皆さん観察できたようです。

ミヤマカケス
ミヤマカケス

さて移動しようと思ったら今度は地面を歩く鳥が。なんとヤマシギです!ここでは初めての出会い。いてもおかしくない環境ですが、夕方で人の出入りも少なかったためかペアで行動し、最後まで比較的近くで観察・撮影させてくれました。

ヤマシギ
ヤマシギ

 

2日目

本日はこのツアーのメインとなるクマゲラを求めてフェリーで利尻島へ。航路では鳥の影が薄く、序盤にシロエリオオハムと遠くにウトウがチラホラと飛ぶだけ。

シロエリオオハム
シロエリオオハム

着岸直前には利尻では必ず見られるウミウのコロニーを見ながらいざ入島!ガイドさんの車に乗せてもらい、ポイントへと移動します。

ウミウコロニー
ウミウコロニー

ポイントへ歩いて到着し、息を潜め待っていると目的のクマゲラが穴から顔を出しました。前頭部が黒いためメスのようです。

クマゲラメス
クマゲラメス

この時期は抱卵中のため、最小限の影響で住むよう配慮しながらの撮影です。基本クマゲラは1時間半から2時間の感覚で抱卵交代を行っており、2時間待てばオスが帰ってくるだろうと待っていましたが2時間経っても現れず。そのうち雨も降り出しますが一向に声も気配もしません。これ以上待つのは人間も限界でかつクマゲラにも影響を与えてしまうということで今日は撤退です。

クマゲラメス
クマゲラ(メス)

途中目の前をうろちょろしてくれたヒガラが一時待ち時間を楽しませてくれましたが、クマゲラの全身見る機会は明日にお預けとなりました。

ヒガラ
ヒガラ

 

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!