韓国最大のクロハゲワシ越冬地と越冬する鳥たち【前編】

Report by 戸塚学 / 2024年1月12日~16日

 

なかなか参加者が集まらなかったのですが、現地通訳兼コーディネーターの朴さんから「まずやってみないと」という事で参加者3名、ガイド1名での催行となりましたが全日晴れで超少人数でのツアーは大成功だったと思います。

<1日目>

全員関空出発で、夕方釜山空港に到着だったのでまっすぐホテルへ向かいました。

<2日目>

クロハゲワシの給餌は10時からなので、8時にホテル隣のオモニ食堂で伝統的?韓国朝食をとって9時20分に出発です。遅いと思うだろうが現場まですぐなので十分間に合うのだ。現場近くになるとすでにクロハゲワシが飛んでいる姿が目に入ります。到着をして車の外に出るとすでに空いっぱいに怪鳥クロハゲワシが舞っています。観察用のテント内からエサに向って降りるクロハゲを狙いますが、風が向かい風なのですべてお尻向きなのが悔しい。次々と舞い降りるクロハゲワシであっという間に田が埋め尽くされる光景は圧巻です。時々餌を奪い合うために大騒ぎをすると砂ぼこりがこちらに来るので、これはマスクが必要だと実感!

空いっぱいに舞うクロハゲワシ
空いっぱいに舞うクロハゲワシ
クロハゲワシで田が埋め尽くされる
クロハゲワシで田が埋め尽くされる
クロハゲワシ群れ
クロハゲワシ群れ

光りがどうしても逆光側になるのでテントから外に出て光がいい場所に移動してから再び撮影続行です。3年前では考えられないぐらい近くまで来るので迫力満点!風も若干変わったことで降下してくる姿も撮影ができます。気がつけば12時を過ぎています。おなかを満たしたクロハゲワシたちは三々五々飛び立ち、半分以上が飛び立つとこれはこれで個体個体を撮影がしやすくなっていい感じ。予定時間をオーバーしましたが十分撮影を満喫できました。

クロハゲワシ
クロハゲワシ
降下するクロハゲワシ
降下するクロハゲワシ
クロハゲワシ
クロハゲワシ

昼食にサムゲタンを食べて午後のポイントに移動ですが、いつも行くポイントが昨年鳥インフルエンザで閉鎖されていたので今年は順天湾というところへ行きました。ここはナベヅルの越冬地で道路わきからはナベヅル、ヒシクイ、マガンの群れが見られ時折空をオオノスリやチョウゲンボウ、ハイイロチュウヒ、ノスリが飛んでいます。ここも残念ながら光が悪くなんともなりません。それでも順光側を飛ぶナベヅルやガン類の撮影を楽しみました。自然観察公園になっていて入場料を払うと園内に入れるのですが、時間がないのが悔しい。ここは1日中いたいなぁと思える雰囲気でした。夕食を食べてホテルに向かいました。

ナベヅル
ナベヅル
ヒシクイ
ヒシクイ

<3日目>

この日も前日と同じルーティーンでクロハゲワシのポイントへ向かうと???クロハゲワシもカラスもいない?アオサギの群れが畔にずらりと並んでいるだけ?お客さんはどんどん入るがクロハゲワシが集まらない・・・エサはあるのに。よく見るとまだビニールから出してない。これが原因か。暇なので給仕場の裏を覗くと参加者が「ギンムクドリが電線にとまっている」というので見てみるとムクドリと一緒にいます。石垣島で見ることはあってもまさかこんなところで見られるなんて!私も負けじと双眼鏡を覗くと???ヤツガシラが木の枝にとまっている!急いでみんなに知らせて説明をすると、先ほどの参加者が「こっちにもいます!」というのでそれを撮影しているともう1羽出てきて合計3羽も狭いエリアにいるではありませんか!畑で採餌したあとすべて飛び去りそれっきり姿を見せることはありませんでした。ギンムクドリがよく出る場所を観察しているとどうやら生ごみ置き場に集まっているようでした。そこで撮影と観察をしているとシロガシラがいるじゃありませんか!私はギンムクドリとシロガシラという沖縄の常連さんをこんな北の大地で見られるとは思いませんでした!

沖縄の常連ギンムクドリが!
沖縄の常連ギンムクドリが!
シロガシラ
シロガシラ

さて主役たちですがどうやら日曜日でお客さんや子供たちにレクチャーをしてから給餌を始めるようでエサを包んであるビニール袋を剥がすとすぐにカラスたちが集まってきます。その光景をどこかで見ていたようでクロハゲワシも集まってきますが、私たちは次のポイントへ移動するためここでタイムアップ!ただし昨日がっちりとクロハゲワシの撮影ができたので今日ができなくても大丈夫そうでした。それ以上にヤツガシラとギンムクドリが見られた方がよかったようです。次のポイントまで移動してここで昼食を食べ、そのままコウライバトの撮影を楽しみました。撮影をしているとそれまでのんびりとくつろいでいたハトたちがいきなり釣り鐘堂に飛び込んで行きます。おかしいなぁと思ったらオオタカ2羽が上空を飛んでいます!納得。ここでは昨年コイカルとオナガがたくさんいて撮影もできたのですが、今回は見当たらず残念です。この後は約2時間ほど、高速道路を走りホテルへ向かいました。

コウライバト
コウライバト
オオタカが上空を飛んでいた..!
オオタカが上空を飛んでいた..!

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

宮城県で冬鳥を楽しむ!
伊豆沼・蕪栗沼の水鳥と仙台湾の海鳥

Report by 田野井博之 / 2024年1月17日~20日

1日目
暖冬の影響で雪もなく、暖かい晴天の中でのスタートです。
ガン類のねぐら入りを観察するまで少し時間がありましたので、まずはカリガネを探すことにしました。毎年カリガネが越冬しているエリアへ行くと、すぐに家族と思われる群れを発見。晴天のおかげで、カリガネの特徴でもある金色のアイリングがとても綺麗でした。

田んぼで休むカリガネ

その後はガン類のねぐら入りを観察するために伊豆沼へ。観察ポイントに着いて周辺のマガンの群れをチェックすると、ハクガンが4羽混ざっていました。次第に暗くなり、16時30分を過ぎると次第にマガンの群れが沼へと戻り始め、日没後の17時頃にピークを迎えました。着水する際にヒラヒラと高度を下げる落雁と呼ばれる光景があまり見られなかったのは少し残念でしたが、無数のマガンが鳴きながら頭上を通過する光景は何度見ても壮観です!次々と帰ってくるマガンを見ていると、100羽を超すハクガンの群れも帰ってきました。マガンが湖面で鳴き交わす様子を見つつ、この日の観察を終えました。


2日目
夜明け前にホテルを出発し、ガン類のねぐら立ちを観察するために伊豆沼へ向かいました。曇天のため朝焼けの中での飛び立ちという光景には恵まれませんでしたが、ゴォーという音を立てて飛び立つマガンの群れに圧倒されます。

マガンのねぐら立ち


朝食後は昨日に続いてカリガネのいるエリアへ。この日もすんなりとカリガネが見つかり、前日よりも近い距離でじっくり観察することができました。

続いてはハクガンを探すことに。すると、こちらもあっさりと80羽ほどの群れが見つかりました。よく見ると、アオハクガン(ハクガンの青色型)も2羽混じっていました!ハクガンの渡来数の増加とともにアオハクガンの記録も増えてきていますが、まだまだ個体数も少なく観察も容易ではないので、とても嬉しい発見でした。

ハクガンとマガン
ハクガンに混じるアオハクガン(中央)

 

午後は蕪栗沼へ。堤防を歩きながら鳥を探します。沼にはオオハクチョウやヒシクイ、オナガガモのほか、毎年越冬しているヘラサギと宮城県では珍しいクロツラヘラサギも見られました。ヨシ原ではベニマシコやオオジュリンの鳴き声、そして低空を飛ぶチュウヒも見られました。

この日の最後は毎年シジュウカラガンの群れが見られているエリアへ。こちらも着いてすぐに80羽ほどの群れが見つかり、マガンとともに採餌する様子を観察することができました。

シジュウカラガン


3日目
当初の予定ではチャーター船で海鳥を見る予定でしたが、強風予報のため急遽予定を変更し、南三陸町の志津川湾へコクガンを見に行くことにしました。志津川湾はコクガンの餌となる海草のアマモが豊富なため、毎年たくさんのコクガンが越冬しています。
ポイントに到着すると、すぐに15羽ほどのコクガンを見つけました。ひたすらアマモを食べています。また、オオバンが食べるアマモのおこぼれをいただく労働寄生という行動もあちらこちらで見られました。海上を見ると、さらに200羽ほどのコクガン、ウミアイサやミミカイツブリ、ワシカモメなどが見られました。

コクガン

皆さんにコクガンを満足するまで観察していただいた後は、仙台近郊のカモ類が飛来する沼へ向かいました。今冬は暖冬の影響もあり越冬するカモ類は例年より少なめでしたが、マガモやオナガガモ、コハクチョウの群れのほか、ミコアイサやトモエガモを見ることができました。

 

ミコアイサ
トモエガモ

 

4日目
この日はツアーのメインでもあるチャーター船からの海鳥観察です!前日の強風も収まり、晴天の中での出港となりました。
まずは毎年ウミスズメやアビ類が見られるエリアに到着すると、この日もウトウやウミスズメの小さな群れ、アビ、アカエリカイツブリなどが見られました。そして、とても驚いたことにウミバトが出現!宮城県では何度か記録がありますが、仙台湾の奥部では初めての記録かもしれません。

ウトウ
ウミバト

ゆっくりと船を進めていくと、今度はアビ類の数百羽の群れが海面に浮いていました。ほとんどはシロエリオオハムでしたが、オオハムやアビ、そしてミツユビカモメも混じっていました。

オオハムの群れ(アビとシロエリオオハムも混じる)

その後もウミスズメやアカエリカイツブリ、アビ類を見ながら移動し、出港から3時間を過ぎたころ、ついにマダラウミスズメを2羽見つけました!この2羽は潜水して探餌していましたが、どんどん移動していき見えなくなりました。そこで、見えなくなった方へ船を進めていくと、次々とマダラウミスズメが出現!最終的には20羽をカウントしました。私の過去の観察では、1回の乗船で2羽か3羽が見られれば上出来という出現状況でしたので、これほどの数が見られるとは思いもしませんでした。仙台湾がマダラウミスズメにとって重要な越冬地であるということを改めて認識しました。

マダラウミスズメ

マダラウミスズメが予想外に多く見られた一方で、暖冬による影響からかクロガモやビロードキンクロなどの海ガモ類は例年よりもかなり少なめでした。

ビロードキンクロ

その後はウミスズメやカンムリカイツブリなどを見ながら帰路につき、無事にツアー終了となりました。4日間、大変お疲れさまでした。

 

この記事を書いた人

田野井博之 たのい ひろゆき
1985年生まれ。小学生の時に野鳥の観察を始める。東北地方を中心に鳥類調査に携わりつつ、関心のある海鳥やシギ・チドリ類、チュウヒなどを見るため全国各地へ。特に海鳥の識別や生態に強い興味を持ち、国内外を問わず観察を続けている。

渡りの本流!韓国・春の離島【後編】

Report by 大西敏一 / 2023年4月25日~30日

 

ツアー3日目

朝目覚めると快晴で風は収まり、波も穏やかです。思わず一人でガッツポーズをしてしまいました。朝食でも皆さん心なしか嬉しそうです。出航が決定し、ホッとした気持ちでチェックアウトを済ませ、港へ向かいました。船に乗り込むと7割程度の乗船率。途中、2つの島を経由して2時間ほどで目的の島に到着です。一昨日から入島している韓国の鳥友からの情報だとホオジロ類が山ほどいるとのこと。宿へ向かう途中、電線に止まっているアカハラツバメを見つけ皆さんと観察。今回は諸事情から2箇所に分かれての宿泊となりましたが、島の宿で各部屋ともトイレ・シャワー付きなのは有り難かったです。

 

はやる気持ちで観察道具をセットし、昼食までの2時間ほど探鳥へ。まずは集落裏の鳥の多いポイントへ行くと、歩くたびに草地からもの凄い羽音を立てて鳥が飛び立ちます。コホオアカとシベリアアオジの大群です。その数、数百!キマユホオジロもめちゃくちゃいます。その一角だけでもそれぞれ1000羽以上はいたと思います。アトリも何百もの数が入っていて、真っ黒な頭にオレンジの胸の雄にドキッとさされます。菜の花には夏羽のノビタキの雄やホオアカが止まっています。背後の林からはカラアカハラやシロハラの囀りが聞こえ、オオルリやキマユムシクイがあたりを飛びます。広葉樹の梢を見るとコイカルの群れが目に入りました。皆さん鳥が多すぎて何を見ていいのかわからない状態で嬉しい悲鳴をあげている様子。と、草むらから少し大きめの鳥が飛び出しました。「コマミジロタヒバリ!」韓国でもレアな部類に入る鳥です。草むらの中でなかなか全身を現さず、そのうち潜って見えなくなってしまいました。遠く飛ぶことをしなかったのでまた出会えるでしょう。

コホオアカの群れ
コホオアカの群れ

島の風景
島の風景

鳥の多いポイント
鳥の多いポイント

 

昼食はユッケジャンと肉鶏タン。午後からの探鳥は東屋の近くで綺麗なコルリの雄が我々を出迎えてくれました。エンベリザとアトリの群れをやり過ごし、歩を進めると聞き覚えのある声がします。声の主はシロガシラでした。今日1日で30羽ほど確認しましたが、この鳥は韓国で分布を広げている代表種で、この島でも繁殖している可能性があります。シベリアジュリンの雌雄を見ながら魚醤タンク置き場へ向かいます。タンクに群がるハエなどの昆虫を狙って多くのセキレイ類を始めとする小鳥が付く場所です。そこではタイワンハクセキレイがそこかしこにいて、真っ赤なムネアカタヒバリの姿も。シマゴマを狙いに峠に向かうと大型ツグミが大合唱していました。カラアカハラがあたりを飛び、時折木に止まるので雌雄や成幼の識別点の説明ができました。ここではアカハラ、クロツグミなど6種の大型ツグミ、ノゴマ、マミジロキビタキなどを確認しましたがシマゴマは鳴き声のみでした。珍しかったのはエゾムシクイで韓国では超レアです。私も20年間で2回しか見たことがありません。それを観ていると、よく似た「ピッ」という声を発しながらひっきりなしにムシクイ類が通過します。今度はアムールムシクイです。忙しい鳥見であっという間に時間が過ぎていきます。これぞ渡りの本流、離島での鳥見です。宿へ戻ると山からコノハズクとアオバズクの声が聞こえてきました。夕食は牛プルコギ。島に渡れたこととコマミジロタヒバリに皆さんと乾杯しました。鳥合わせをすると本日の出現種は72種となりました。

タイワンハクセキレイ雄
タイワンハクセキレイ雄

アムールムシクイ(撮影:藤田明嗣さま)
アムールムシクイ(撮影:藤田明嗣さま)

探鳥風景
探鳥風景

 

ツアー4日目

天候は晴れ。風が幾分吹いています。朝探(朝の探鳥のこと)は6時から開始です。集合前に上空をミサゴとハヤブサが舞っています。昨日一番鳥の多かった菜の花畑に行くとムジセッカが複数囀っています。小さな学校の校庭にはコホオアカやシベリアアオジが群れていて、シロハラホオジロもいます。昨日韓国の鳥友がヒメコウテンシを見た場所をチェックしましたが既に抜けたようでした。残念。広場で鳥を待っていると、どこからかコウライウグイスの声が。「あそこにいます!」五百澤さんがスカイラインの木の中にいるのを発見し、鳴いている場面をプロミナーでじっくり観察できました。広場は小さな人工池があり、珍鳥がでるポイントです。今は水が抜けていますが、雨水が溜まるので鳥が集まります。ぱらぱらといるビンズイを丹念にチェックしているといました!ヨーロッパビンズイです。我々が観察していると韓国のバーダーも到着し、興奮しています。こちらでもそう簡単には見られない種なのです。朝食のため宿に戻る途中、逃げないマミジロキビタキの雄がいてなかなか戻れません。朝食はクロソイの焼き物が出てきました。基本、韓国の食事は野菜や魚中心でヘルシーです。

 

午前の探鳥に出発すると道端には鳥影が多く、シロハラホオジロが増えている感じです。島に鳥が入ってきたのを実感する瞬間です。昨日まで大騒ぎしていたコホオアカやキマユホオジロ、シベリアアオジは、皆さんにはもう普通種になっています。その後、菜の花畑でコマミジロタヒバリを再発見し、今度は姿が見えて大サービス。コイカルも群れで止まっていて雌雄の違いを見比べることが出来ました。島には天然記念物になっている常緑樹の小山がありそちらへ行ってみることに。ヒメイソヒヨがよく出るポイントもあります。木道を歩き、鳥を探しながら登ります。途中、踊り場で一休みしていると上空を小鷹が飛びます。ツミかと思いきや翼先が黒い。アカハラダカです。山頂に着き、昨日鳴いていたコノハズクを探しましたが確認はできずでした。下山後は東屋でまったりと鳥を見ます。歩いての探鳥も良いですが、1箇所留まっていると結構色々なものが見れたりします。その後、発電所脇の草地ではコジュリンの雄やノジコを見ました。

コマミジロタヒバリ
コマミジロタヒバリ

コウライウグイス
コウライウグイス

コイカル雄(撮影:藤田明嗣さま)
コイカル雄(撮影:藤田明嗣さま)

シロハラホオジロ雄(撮影:藤田明嗣さま)
シロハラホオジロ雄(撮影:藤田明嗣さま)

 

昼食を終え、午後からの探鳥は東屋を拠点に周辺をウロウロと探します。朝より逃げない鳥が増えています。採餌に夢中なチョウセンウグイスやケラを捕まえて格闘中のマミジロキビタキの雄が目の前に現れたりとなかなか楽しい。ツグミ類の多かった場所に行くと今度はムシクイ類がたくさんいます。多くはキマユムシクイでしたが、アムールムシクイやヤナギムシクイも出現し、「ムシクイロードだね」と皆さん。その他、クロウタドリの雌、オオヨシキリ、ノゴマなども確認できました。探鳥を終えて宿へ戻ると裏山の稜線にチゴハヤブサが止まっていました。

 

本日の夕食は焼肉、サムギョプサルです。食後にはコピ(コーヒー)を飲みますが、韓国では砂糖とミルクが入りのとても甘いやつを飲みます(最近の若者はブラックが増えているとか)。最初は「そんな甘いのはちょっと」と敬遠していた皆さんもいつの間にか虜になっています。韓国に来るとこれを飲まないと食事が終わった気がしなくなります。面白いですね。食事後の鳥合わせでは78種を観察していました。

キマユムシクイ(撮影:伊藤紀子さま)
キマユムシクイ(撮影:伊藤紀子さま)

ヨーロッパビンズイ(撮影:藤田明嗣さま)
ヨーロッパビンズイ(撮影:藤田明嗣さま)

ラをくわえるマミジロキビタキ雄
ラをくわえるマミジロキビタキ雄

 

ツアー5日目

朝、霧が立ち込めるなか、港にはモンゴルカモメが佇んでいました。この天候で多くの鳥が島に入ってきている様子ですが、朝食後には島を離れなければなりません。朝探でホオジロ類の同じ顔ぶれなどを見ながら歩いているとコウライウグイスの声がします。他にもカラアカハラ、クロツグミ、シロハラが合唱し、シマゴマも鳴いています。霧の中で聞く鳥たちの声はとても幻想的です。と、目の前をヨタカが横切ります。まだまだ面白くなりそうなところでいつも終了です。後ろ髪を引かれながら島を後にし、本土へ戻ります。昼食は海鮮カルグクス。2日目の店よりあっさりしていたかな。

 

午後は車を北へ走らせチョンスマンへ。冬はガンカモ類やハクチョウ、ツルなど多くの鳥たちで賑わう探鳥地として有名な所です。この時期シギチも面白く、このあたりは砂質の干潟もあるのでクンガンとは少し違った種類も期待できます。予想通り干潟にはミヤコドリやオバシギ、キョウジョシギ、チュウシャクシギなどが多く、フラッグ付きのオオソリハシシギも見られました。干潟にいる白いサギを見るとすべてカラシラサギでした。流石は韓国、7羽もいます。シギチドリを堪能したあと、上流の観察舎がある場所へ移動し、カモ類などを観察し、本日の探鳥は終了しました。

 

今日の宿泊地はインチョン。ラストナイトの夕食は韓国の伝統料理・サムゲタン(参鶏湯)。丸鶏の中に高麗人参やもち米、ナツメ、松の実などを詰めて煮込んだ薬膳料理です。今回は全体的に気温が低かったので、探鳥で冷えた体には嬉しい食事です。食後に鳥合わせを行い、本日は84種となりました。

カラシラサギ
カラシラサギ

オバシギ
オバシギ

 

ツアー6日目

朝食はホテルでのバイキング。久しぶりに洋食も嬉しい。最終日の探鳥はクロツラヘラサギとモンゴルカモメの繁殖地へ向かいます。今回は飛行機の関係で午前のみの探鳥になりますが十分に楽しめます。ホテルから40分ほどで現地に到着。調整池の中洲には人工の円形の小島が2つあり、そこでクロツラヘラサギが営巣しています。ただいま繁殖期の真っ只中で、幾つかは雛が孵っています。小さなヘラを持った幼鳥の姿がとてもキュートでした。同じ場所にはモンゴルカモメも営巣していて、こちらも幼綿毛でもふもふの雛の姿が見られました。両種とも今年の繁殖は早いようです。目の前に出てくるガルマエナガを見ているとヨシ原からカモの群れが飛び出しました。アカツクシガモです。池脇の林ではカササギが営巣中でキマユムシクイやシベリアアオジなどの姿も。2時間ほどの探鳥を終え、昼食へ。空港近くの滑走路が見渡せるカフェで韓国冷麺とキンパ(韓国海苔巻き)をいただきました。食事後空港へ向かい、全員でチェックインを済ませ、今回のツアーは無事終了となりました。

㉖アカツクシガモ(撮影:藤田明嗣さま)
アカツクシガモ(撮影:藤田明嗣さま)

営巣中のクロツラヘラサギ
営巣中のクロツラヘラサギ

都会の中の繁殖地
都会の中の繁殖地

今回のツアーでは156種を観察できました。島での滞在は1日短くなってしまいましたが、それでも十分渡りの本流を実感していただけたかと思います。離島は欠航のリスクがあり、渡れないこともしばしばあります。しかし、一度離島マジックを体験してしまうと病みつきになるのがこのツアー。リピーターの方が多いのも頷けます。来年は別の島へ行くことも考えています。今回ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。

この記事を書いた人

大西 敏一 おおにし としかず
1961年生まれ。大阪府在住。野鳥歴45年。フリーランスとして鳥類調査をメインに執筆、講演、ツアーガイドなどに携わる。離島の渡りに関心があり、韓国の島嶼にも長年通い続けている。シギ・チドリ類やムシクイ・ヨシキリ類などが好み。主な著書に「日本の野鳥590/650」(平凡社)、「世界のカワセミハンドブック」(文一総合出版)などがあり、協力図書も多い。

沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【沖縄編】

Report by 簗川堅治 / 2023年4月3日~7日

アカヒゲは奄美大島などに生息する亜種アカヒゲと沖縄本島などに生息する亜種ホントウアカヒゲの2つの亜種があります。現在は亜種ですが、近いうちに別種になる見込みとのことで企画したツアーです。こんな風変わりなツアーは、ガイド簗川の得意分野です(笑)

 

1日目。沖縄本島からスタートです。まずは超有名な三角池へ行きました。お馴染みのクロツラヘラサギの群れに、これまたお馴染みのヘラサギの姿も。

 

クロツラヘラサギ(撮影:河田様)

セイタカシギがパラパラとして、アオアシシギが飛んできます。遠くにいるのはオジロトウネンとヒバリシギ。電線ではシロガシラと亜種リュウキュウハシブトガラスがやかましく鳴いています。

今度は一気に北上して、やんばるへ。とあるポイントで亜種アカヒゲとヤンバルクイナを待ちます。亜種リュウキュウサンショウクイ、亜種リュウキュウメジロなどが鳴いていますが、アカヒゲは姿どころか、声もせず。ヤンバルクイナは声のみ確認して、この日は終わりました。

 

2日目。沖縄とはいえ、やや肌寒い朝です。

早朝に出やすいヤンバルクイナを求めて、日の出時刻前に出発。道路を横切る個体を2羽、そしてリュウキュウイノシシを4頭見ることができました。

朝食後、アカヒゲのポイントへ。アカヒゲを見る前にノグチゲラが目の前の枯れ木に飛んできました!これはラッキー!どうも巣作り中のようで、穴の中から「コンコン、コンコン…」と音がします。影響を与えないように距離をとり、短時間の観察です。

 

ノグチゲラ(撮影:塚本雄次様)

肝心のアカヒゲはいるにはいるものの、なかなか出てきてくれませんでした。しかし、♂♀を見て、しかも♂が水浴びをしたシーンを撮影した方がいました!

 

亜種ホントウアカヒゲ♀(撮影:河田様)

④亜種ホントウアカヒゲ♂(撮影:河田様)

道の駅で昼食をとり、止まっているリュウキュウツバメを撮影していたところ、その光景を見た一般観光客が「何なに?」と言わんばかりに集まり、一般観光客もスマホなどでリュウキュウツバメの撮影をし始めました(笑)

 

リュウキュウツバメ(撮影:河田様)

その後は、シギチなど水辺の鳥を求めて付近の田んぼに行くも、成果は上がらず。それもそのはず、その辺りは以前とは比べ物にならないくらい環境が変わってしまい、シギチが立ち寄る場所ではなくなったようです。午前中、アカヒゲやノグチゲラを見逃した人がいたので、再びそのポイントへ。しかし、なかなかいい成果を得られないまま、この日は時間切れとなりました。

 

3日目。沖縄本島最終日です。でも、時間があまりありませんので、夜明け前から行動し、ヤンバルクイナ探しに。実績のあるポイントで待つも現れず。ただし、道路に出てくる個体は数回見ることができました。朝食後は小一時間の勝負!アカヒゲのポイントで、どうにかアカヒゲの♂を見ることができましたし、サンショウクイの亜種リュウキュウサンショウクイをやっとじっくり見ることができました。

亜種ホントウアカヒゲ♂(撮影:塚本香代様)

亜種リュウキュウサンショウクイ(撮影:河田様)

 

さぁ今度は奄美大島に向かうために那覇空港へ車を走らせます。やんばるは、やや肌寒かったものの、那覇は暑い!空港で昼食を済ませ、奄美大島へ飛び立ちました。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の交差点・春の与那国島【後編】

Report by 簗川堅治 / 2023年3月28日~31日

3日目。久部良の学校グランドで亜種ホオジロハクセキレイやムネアカタヒバリなどを見たあと、久部良バリへ行きました。駐車場に着いた、まさにその時、海側からちょうど今島に渡ってきたかのようにヤツガシラが目の前のアダンに止まり、サービス満点!またまた大盛り上がり!

 

ヤツガシラ

久部良バリをあとにし、観光を兼ねて西崎へ行き、自衛隊駐屯地の前を通り、カタブル浜へ。残念ながら、シギチの仲間はお留守でした。

今度は比川の集落を歩き、鳥を探し始めた途端、すぐそばの木からクロウタドリ♂が飛び出し、木立ちの中へ。しばらく待っていると、畑などに何度か出てきてくれました。♀も出てきました。ヤツガシラといい、クロウタドリといい、なかなかいいタイミングです。

 

クロウタドリ

この日の昼食は弁当にしたので、森林公園で鳥待ちしながら弁当開きをしました。しかし、これといった鳥は出ませんでした。

再び久部良へ戻り、学校のグランドでかなり赤くなったムネアカタヒバリやハクセキレイの各亜種をじっくり観察。亜種メンガタハクセキレイっぽい個体がいましたが、どうも交雑種っぽい感じでした。

亜種メンガタハクセキレイの交雑種?

ムネアカタヒバリ夏羽

学校付近でギンムクドリ、ムクドリを見て、三度、学校グランドを見ていたら、ヤツガシラ登場!何度見ても大盛り上がり!きっと今朝、久部良バリで見た個体でしょう。けっこうな時間、みんなで楽しみました。

 

ヤツガシラ

今度は観光です。チィンダバナ、アヤミハビル館、軍艦岩、立神岩、人面岩に行きました。

その後、警戒心が強いアカツクシガモをなんとかじっくり観察。最後は、久部良ミトでサギ類やセイタカシギを見て、3日目終了しました。

 

アカツクシガモ

 

4日目。最終日はあまり時間がありません。まずは有志で夜明け前に久部良ミトへ行きました。ゴイサギの声から始まり、ヒヨドリ、シロガシラ、メジロ、ノゴマ、そしてオオクイナが鳴き出しました。明るくなり、ダイサギなどのサギ類も見えてきました。

朝食を済ませ、残り2時間の探鳥です。昨日、ヤツガシラがいたアヤミハビル館に行こうとしたら、その入り口で正面からヤツガシラが飛んできました!電線に止まり、草地に降りましたが、すぐ飛んでいってしまいました。

 

今度は未だ出ていないオオチドリ狙いで東崎へ。しかし、相変わらずツメナガセキレイやムネアカタヒバリくらいでした。最後の望み、浦野墓地へ行く途中、時々オオチドリが出る畑を通っていったその時、ついにオオチドリ発見!9回裏で見事逆転した気分です!思う存分、観察撮影しました。そこにはムネアカタヒバリやとてもきれいな亜種マミジロツメナガセキレイもいました。そうこうしているうちに、オオチドリは突然飛んでいきました。

 

オオチドリ

最後は、祖納の集落のパン屋さんでそれぞれパンを買い、空港で解散しました。

 

全体的には種類も個体数も少なかった与那国島ですが、ここならではの鳥たちに出会えた4日間でした。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・2本目】

report by 吉成才丈 2022年12月12日~16日

 

1日目
鹿児島空港に集合し、専用車で出水方面に向かいました。昼過ぎに出水に到着し、ツル探しからはじめました。まずはカナダヅルを見つけるもこの日は遠く、クロヅルやソデグロヅルを探しつつ、マナヅルやナベヅルをじっくり観察・撮影して頂くことにしました。

水を飲むマナヅルの家族群
水を飲むマナヅルの家族群

採餌していたナベヅル
採餌していたナベヅル

 


2日目

薄暗いうちに干拓地に到着し、まずは朝焼けとツルを観察しました。朝焼けをバックに飛翔するツルは美しく、皆さん夢中でシャッターを切っていました。

朝焼けとツル
朝焼けとツル

採餌するツル
採餌するツル

朝焼けのあとは、やはり電線にとまるコクマルガラスを狙いました。この日も、淡色タイプのシロマルに出会えました。

ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)
ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)

その後、観察センターの屋上でツルを観察していると、道路の陰に見え隠れするクロヅルを発見。じっと待っていると、他のツルから外れて全身が見える位置に移動してきました。今年はツルの数が少ないので、出会えるかどうかはタイミング次第なんですね。

クロヅル
クロヅル

クロヅルが出てくるのを待っているとハヤブサも出現し、耕作地で採餌していたカモ類は大騒ぎしていました。

ハヤブサ
ハヤブサ

その後は河川沿いを散策し、ツリスガラやホオアカなどを狙いました。ツリスガラはヨシ原で鳴声がしたあと、比較的近くに現れてくれました。とても小さな鳥で、現れた時にはまったく鳴かなかったので、皆さんに確認してもらう迄に時間がかかりましたが、なんとか全員で観察することができました。

ツリスガラ
ツリスガラ

ホオアカもコンクリート護岸にとまり、河川ではミサゴの水浴びも観察されました。飛翔を見ることが多いミサゴだけに、水の中にいる姿は珍しいですね。

水浴びするミサゴ
水浴びするミサゴ

午後は山に入り、ダムや渓流を観察しました。相変わらずオシドリは警戒心が強く、ダムの水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが見られました。薄暗い水際のオシドリを探していると、クマタカが滑翔で尾根陰入るところが一瞬だけ観察できました。そしてヤマセミのポイントに近づくと、流木にとまっているヤマセミを発見。ヤマセミは飛び立って枯木にとまったので、皆さんに教えながらスコープに入れようとしましたが、またすぐに飛び立ち、岬の裏側に入ってしまいました。また帰り際には、橋を渡るときにヤマセミの鳴声と飛翔する姿を確認。なんと2羽が一緒に、川の上流方向へ飛翔していきました。夕方には干拓地に戻り、ヘラサギ類やタゲリなどを観察しました。

ヘラサギ
ヘラサギ

タゲリ
タゲリ

3日目
この日も薄暗いうちに干拓地に到着しましたが、あいにく雲が厚く、朝焼けも月も見ることができませんでした。今日はダメかと残念に思いながら車中待機していると、右側に座っていた方が「ソデグロヅル…?」と呟きました。なんでも、白い大きなツルが降りてきたというので確認すると、まさかのソデグロヅルでした。
ソデグロヅルは、昨年は目立つところにずっといて見やすかったのですが、今年はなかなかじっくり見られないということだったので、一転して大逆転の幸運が転がり込んできたことになります。天気が悪かったため他に観察者もおらず、しばらく独占的に観察させてもらいました。

マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)
マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)

昼前のフェリーに乗るため早々に出水を発ち、熊本に向かいました。島原に向かうフェリーでは、出港前から乗船客のエビせんを求めるユリカモメで賑わっていました。どれほどの数のユリカモメがいたのかわかりませんが、出港後にはたくさんのユリカモメが船の後を着いてきました。

船についてくるユリカモメ
船についてくるユリカモメ

出港後には堤防で休むカツオドリの大群も観察しましたが、この日は船の近くを飛翔する個体もいました。

海上を飛翔するカツオドリ
海上を飛翔するカツオドリ

諫早の干拓地には広大な耕作地やヨシ原がありますが、ヨシ原ではハイイロチュウヒやオオジュリンなど、耕作地ではホシムクドリやチョウゲンボウなどが観察されました。

ハイイロチュウヒの幼鳥
ハイイロチュウヒの幼鳥

ホシムクドリ
ホシムクドリ

 

4日目
朝は再び諫早干拓地を訪ねました。ヨシ原周辺ではコチョウゲンボウやノスリなどの猛禽類を確認。コチョウゲンボウは、草地すれすれで小鳥を狙う様子も観察されました。

コチョウゲンボウ
コチョウゲンボウ

ノスリ
ノスリ

午後は佐賀の東与賀へ移動し、満潮時の干潟を観察。この日は満潮でも潮位が高くなく、広大な干潟にシギ・チドリ類やツクシガモ、ズグロカモメなどが点在していました。

干潟に点在する水鳥
干潟に点在する水鳥

スグロカモメ
スグロカモメ

干潟からホテルへ向かう途中の街中では、出会う機会がめっきり減ったカササギを発見。電線や家の屋根などにとまる様子が観察されました。

 

5日目
昨日カササギが見られたので予定を変更し、まずは調整池に向かいました。数千羽のトモエガモは健在で、大きな塊が水面に広がっていました。

飛び立ったトモエガモの大群の一部
飛び立ったトモエガモの大群の一部

ここでは1周3km弱の舗装道を散策し、トモエガモの大群を堪能するとともに、オオタカなどの猛禽類やオオジュリンなどの小鳥も観察しました。その後は河川を遡上し、清流でカワセミやイカルチドリ、カワガラスなどを観察。道の駅で地域クーポンを使用して頂き、解散地である福岡空港へ向かいました。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・1本目】

report by 吉成才丈 2022年12月7日~11日

 

1日目
福岡空港に集合し、専用車で有明海方面に向かいました。

途中、高速道のサービスエリアで昼食をとり、まずは調整池で鳥見を開始。昨年は数羽しかいなかったのに、今年はトモエガモが5,000羽以上も滞在しており、その数の多さに圧倒されました。

トモエガモの大群
トモエガモの大群

 

これだけカモがいるのですから、ハイイロチュウヒやオオタカなどの猛禽類も出現して楽しめたのですが、車に戻る際には、もっと嬉しいカササギの鳴き声を確認。
カササギは福岡や佐賀、長崎あたりに生息しているのですが、とくに佐賀周辺では個体数が減少傾向にあって出会えないときもあるので、慎重に近づいて観察しました。地上や樹上でエサを獲る様子もじっくり撮影でき、見られてホッとするとともに、その美しさを満喫できました。

採餌中のカササギ
採餌中のカササギ

その後は東与賀干潟へ行きましたが、干潮の時間帯であったため、広大な干潟をご覧いただいてホテルに向かいました。

 

2日目
午前中は、満潮の東与賀干潟でシギ・チドリ類などの水鳥を観察しました。昨日と違って鳥も近く、ハマシギの群れやダイシャクシギ、アカアシシギ、ツクシガモ、ズグロカモメなどの水鳥を見ていると、ハマシギの群れが一斉に飛び立ちました。ハマシギの群れは動きもシンクロしており、一斉に向きを変えたりする様子を楽しみました。やはり、日本を代表する東与賀の干潟は広大で素晴らしい環境ですね。

一斉に飛び立ったハマシギ
一斉に飛び立ったハマシギ

 

ダイシャクシギやツクシガモ
ダイシャクシギやツクシガモ

この日も高速道で昼食をとり、午後は諫早の干拓地へ向かいました。干拓地のヨシ原ではハイイロチュウヒやチュウヒ、コチョウゲンボウが飛び回り、耕作地ではタゲリやホシムクドリ、ホオアカ、水路ではクサシギなどを観察しました。またヨシ原ではタヌキを、耕作地ではイノシシも確認し、哺乳類も楽しめました。

チュウヒ
チュウヒ

 

ミヤマガラスとホシムクドリ
ミヤマガラスとホシムクドリ

3日目
朝方は再び干拓地を訪ね、セイタカシギやカワセミ、チョウゲンボウなどを観察。そして昨日に続き、耕作地ではイノシシを発見。昨日は走り去る後ろ姿でしたが、この日は近くでじっくり観察できました。

耕作地に現れたイノシシ
耕作地に現れたイノシシ

その後は島原からフェリーに乗り、船上でも鳥見を行いました。船が出ると、乗船客が与える餌を目当てに集まったユリカモメの群れがすぐ目の前に出現し、美しい雲仙岳をバックに飛び回る姿を楽しみました。

ユリカモメと雲仙岳
ユリカモメと雲仙岳

 

そして入港直前には、堤防の上で休む約600羽のカツオドリも観察できました。これだけの数が集まるのはすごいことだと思います。

堤防で休むカツオドリの一部
堤防で休むカツオドリの一部

 

フェリーを降りると一気に出水まで移動し、夕方のわずかな時間でしたが、干拓地のツルを観察しました。ナベヅルやマナヅルを見逃すことはないのですが、この日のうちに他のツルを見られると気が楽になるので探すと、カナダヅル2羽を発見できました。

カナダヅル
カナダヅル

 

4日目
ツルは早朝に給餌されるため、朝方にもっとも活発に動きます。この日は薄暗いうちに到着し、朝焼けや月をバックに飛翔するツルを狙いました。天気にも恵まれ、ほぼ満月という絶好の条件であったため、朝日の方向を狙ったり、反対側に出ている月の周辺を狙ったりという嬉しい忙しさを体験できました。まだ薄暗いうちには、カラスに突っかかられてコミミズクも出現しました。

月とツル
月とツル

 

 

朝焼けのツル
朝焼けのツル

ツルの動きが落ち着くと、つぎはコクマルガラスを狙いました。ちょうどこのタイミングでミヤマガラスの群れが電線に集まるのですが、その中にコクマルガラスも混じります。遠くからでもコクマルガラスの白いタイプ(通称シロマル)が見えていたので、苦労することなく全身が見えている状態で撮影できました。

コクマルガラス(左)とミヤマガラス
コクマルガラス(左)とミヤマガラス

電線の役割は電気を流すだけではないようで、同じ並びの電線にはニュウナイスズメの群れもとまっていました。雌雄同じ模様のスズメとは違い、ニュウナイスズメはオスとメスとで模様が異なり、とてもかわいい鳥です。

電線関連の鳥を観察後には、ツリスガラやホオアカを狙って河川沿いを散策しました。鳴き声は聞こえるものの、なかなか姿を現さなかったツリスガラでしたが、車に戻る寸前にようやく姿を確認できました。他に川沿いでは、ハマシギやミサゴ、ノスリ、オオジュリンなども出現しました。

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメ

 

午後には山間部のダムに向かい、ヤマセミやクマタカなどを狙いました。解放水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが休んでいました。水際の薄暗いところが好きなオシドリはもっとも警戒心が強く、かなり遠くても人間の姿が見えただけで飛ぶこともありました。残念ながら、クマタカやヤマセミには出会えませんでしたが、カケスやイカルなどの声も確認しました。夕方には再び干拓地に戻り、マナヅルやナベヅルもじっくり観察しました。

ミサゴ
ミサゴ

マナヅル
マナヅル

ナベヅル
ナベヅル

5日目
この朝も夜明け前に干拓地に到着し、朝のツルを観察しました。この日は月は雲に隠れ、朝焼けの状況も昨日とは異なり、日々の変化も体験できました。今年はツルが少ないのですが、朝の採餌の密集度は迫力があります。遠いところに撒かれたエサから食べ始め、徐々に人間に近づいてきます。

朝の採餌の様子
朝の採餌の様子

 

一旦ホテルに帰って朝食後にチェックアウトし、再び干拓地でツルやヘラサギ類などを観察しました。出水といえばツルの越冬地として有名ですが、他の鳥も多く、ヘラサギ類は道路のすぐ近くで休んだり、三面張りの水路で採餌したりしていて驚かされます。

ヘラサギ
ヘラサギ

時間いっぱいまで出水の鳥たちを堪能し、解散地の鹿児島空港に向かいました。今年は鳥インフルエンザの影響でツルは少なかったですが、ツル以外の小鳥や猛禽類も楽しめました。撮影主体のツアーではありませんでしたが、冬の九州は被写体が多く、参加された皆さんも、たくさん撮影されたことと思います。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

秋の石垣島・西表島 珍鳥とオリイヤマガラに挑戦!【後編】

Report by 簗川堅治 / 2022年11月18日~22日

3日目。この日は昼の船で西表島へ行くため、石垣島での探鳥時間があまりありません。まずは未だ出会えていないオニアジサシを求め行ってみましたが、あえなく撃沈です。もう、抜けてしまったのかもしれません。移動した田んぼでは、まだコハクチョウがいました。アカモズの亜種シマアカモズや石垣島では珍しいオシドリの姿も見ることができました。その後、オニアジサシがいそうな場所に行ってみたものの、やはりいません。

オシドリ(撮影:上山功夫様)

石垣島をあとにし、船で西表島へ入りました。狙いはヤマガラの亜種オリイヤマガラです。日本とは思えないジャングル感満載の西表島。オリイヤマガラに会えるでしょうか?

物静かな林道をひたすら歩いて、オリイヤマガラを探します。たまに出てくるのはメジロの亜種リュウキュウメジロ。そして、シジュウカラの亜種イシガキシジュウカラです。サンショウクイの亜種リュウキュウサンショウクイも上空を飛んで行きます。しかし、オリイヤマガラだけは出てきてくれませんでした。残念!

 

4日目。今日もオリイヤマガラに挑戦です。その前に牧場を覗いたら、電線に小さなハトを発見!ベニバト♂です!やっと出会えました。

 

イシガキシジュウカラやリュウキュウメジロなどを見ながら、オリイヤマガラのポイントで定点をしました。すると、「ツーツーツー」とオリイヤマガラの声が聞こえてきました。林のやや奥の方で動いていますが、なかなかこちらに来てくれません。ほどなくして、鳴き止みました。15分ほど待つと、また声がしました。近づいてきたので、チャンス到来!…と思ったら、一気に頭上を越えて行ってしまいました。なんてこった!時間切れになり、あえなく退散。残念過ぎます。航路では、立標に止まるカツオドリを数羽、見ることができました。

イシガキシジュウカラ(撮影:上山功夫様)

再び、石垣島です。まずは未だ出会えていないオニアジサシへ。しかし、今日もダメです。田んぼで、またコハクチョウやセイタカシギ、ツルシギなどを見て、ガンを見に行きました。ところが、こちらもお留守。サシバの暗色型を探すも、こちらもダメ。ズグロミゾゴイ、さらにオニアジサシが出そうな場所を回りましたが、立て続けにダメ。ついていません。

 

最後はカタグロトビに挑戦。ようやくホバリングしているカタグロトビを発見!それを見ていたら、隣の縄張りのカタグロトビでしょうか、もう1羽現れました。ちょっと得した気分です。カタグロトビは終始ホバリングしながら探餌していました。気分よく、この日を終えることができました。

カタグロトビ(撮影:上山功夫様)

5日目。最終日です。約3時間しかありません。まずは公園でイヌビワに集まるシロガシラやイシガキヒヨドリ、そしてヤエヤマオオコウモリを間近に観察しました。車に戻ろうとしたら、ムクドリの群れが飛んできました。なんとカラムクドリとギンムクドリ!これはちょっとラッキー!

カラムクドリ(撮影:上山功夫様)

続いて、またまたオニアジサシへ、しかし、またしてもお留守です。田んぼを回り、コハクチョウなどを見てから、ガンを見に行きました。なんにもいなかったので帰ろうとしたら、長い首が2つ、畦の陰から出ています。ヒシクイとハイイロガンでした!マガンとカリガネはいませんでしたが、ハイイロガンはまだいて、さらにヒシクイが入ってきたようです。

亜種ヒシクイとハイイロガン(撮影:上山功夫様)

今度は山の鳥を求めて、バンナ公園へ。ズグロミゾゴイとサシバをじっくりと観察しました。目的だったリュウキュウサンショクイやズアカオアバトはお預け。

ズグロミゾゴイ(撮影:上山功夫様)

最後の望み、オニアジサシへ。ちょうど頭上を通過していくのをなんとか確認できました。

天気が良すぎて、目的のアサクラサンショクイやミドリカラスモドキなどの珍鳥は出ませんでしたし、オリイヤマガラもじっくりと見ることはできませんでした。しかし、思いもよらぬ色々な珍鳥を見ることができた5日間でした。参加者のみなさん、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!