根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ

Report by 今堀魁人 / 2024年6月14日~19日

1日目

14時半頃に中標津空港で集合しツアースタートです。初日は最初に野付半島へ行きました。野付半島まで行く道中ではすぐにタンチョウを発見!

タンチョウ
タンチョウ

その後は野付半島に入りすぐに綺麗なベニマシコを撮影。そして近距離でオジロワシが見られました。

オジロワシ
オジロワシ

野付半島の奥ではこの時期では珍しいまだツノを落とさず付けているエゾジカのオスを発見。センダイハギとのコラボレーションが美しかったです。あっという間に時間はタイムアップ。

エゾジカ
エゾジカ

夕食後はシマフクロウを狙います。出ないなーと待っているとタイムアップギリギリにメスが登場!良かったです!

シマフクロウ
シマフクロウ

2日目

翌日はシャチクルーズからスタートです。霧に包まれていましたが出て数分でシャチの群れに囲まれました。その後終始シャチを観察し、目の前に出たりと色々楽しませてくれました。

シャチ
シャチ

午後はウトロと知床峠の頂でギンザンマシコ探し。ウトロではクマゲラに出会えました。近距離で見ることは難しく、今回は本当にラッキーでした。そして頂上に行くとすぐに本命のギンザンマシコが!数度見ると今度は後ろから声が?なんと目の前!みなさん持っていますね!

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

3日目

早朝からギンザンマシコを探しに峠へ出発しましたが濃霧で何も見えず。早々に旭岳に賭け撤退。朝食後、ここからはバードウォッチャーのドライバー、佐藤さんと共に紋別方面へと出発です。風の強いオホーツクではアマツバメやノビタキ、ベニマシコなどを狙いながら観察していきますが、とにかく暑い。この時期では珍しい28℃まで気温が上がり、私と鳥たちはバテ気味。少し出が悪かったですが、ホオアカなども囀る姿を見せてくれました。色々と観察をしているとあっという間に時間は過ぎ、後半は少し巻き気味で宿にチェックインです。明日が草原性の小鳥観察の本番。楽しみましょう!

アマツバメ
アマツバメ
ホオアカ
ホオアカ

 

4日目

早朝シブノツナイ湖でバードウォッチングです。早朝は観察最難関のエゾセンニュウが霧の中ちらっと見えました。

エゾセンニュウ
エゾセンニュウ

午後はオムサロ原生花園に行きました。オムサロでは、ノゴマやノビタキが見られるも鳥の姿が少なく、日暮れは再度コムケ湖方面へ。この時期ならではのワタスゲや偶然出会ったミヤコドリを見ながら再度シブノツナイ湖へ。ツメナガセキレイがずっと長時間観察させてくれたりといい天気の中楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

5日目

シブノツナイ湖からスタートです。早朝鳥を探すと、全員には姿を見せることができませんでしたが、マキノセンニュウの姿も!他にもアオバトやウグイスなど、さまざまな小鳥に会えました。

マキノセンニュウ
マキノセンニュウ
アオバト
アオバト

そして再度ギンザンマシコチャンスを手にするべく、一路北海道の最高峰・旭岳へ。到着後、展望台でずっと探すと、遠くにギンザンマシコの姿が!一度潜ったところで全員集合。もう一度出てくれーと思っているとさっきよりも近いところで出てくれました。他にもカヤクグリが出てくれましたが、雷雲が近づいており、危険と判断し下山。下山後は日本で最も遅い桜も見ることができました。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

6日目

最終日もギリギリまでギンザンマシコを見るために旭岳に向かいます。

北海道の最高峰・旭岳へ
北海道の最高峰・旭岳へ

到着した時から天気は昨日と変わり山頂が見えます。これは見えるかも。と期待しましたが、待てど暮らせど姿は見えず。途中ルリビタキやカヤクグリは姿を見せてくれましたがギンザンマシコは姿を見せてはくれませんでした。

カヤクグリ
カヤクグリ

それでも今回6日間で合計63種を観察し、本当に多くのこの時期らしい鳥を観察することができました。この翌週には鳥はぱったりと姿を消し、子育てに奮闘していたので最高のタイミングでした。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原

Report by 今堀魁人 / 2024年5月18日~22日

1日目

初日13時に稚内空港を出発しツアースタートです!
最初は空港すぐそばのメグマ沼へ。風が強く、なかなか鳥が出てきてくれない中、到着直後にはオジロワシが目の前を飛んでくれました。風に逆らい、ゆっくりと止まっているかのように飛んでくれたのでじっくり見ることができました。ノビタキも一瞬出てきてくれました。

オジロワシ
オジロワシ
ノビタキ
ノビタキ

その後はサロベツ湿原に移動です。木道を歩いてもなかなか鳥が見られませんでしたが、道中ちらっとだけツメナガセキレイの姿が!この道北を代表する夏鳥の一種です。次の兜沼へ行く道すがらアカエリカイツブリの繁殖地へ。遠かったですが、近年激減しているこの鳥を見ることができ一安心しました。

アカエリカイツブリ
アカエリカイツブリ

兜沼では最初から最後までツツドリが遊んでくれました。なかなか見えないところに止まるので右に行ったり左に行ったりと隙間を探しての観察でした。

ツツドリ
ツツドリ

 

2日目

翌日は航路探鳥からスタートです。航路ではウトウがパラパラとあまり多くの鳥は飛びませんでしたが、序盤にはトドが泳いでいたり、後半には上空をチュウシャクシギの群れが渡っていきました!シギチドリが海を超えロシアへ渡る姿を見られるのは稚内航路ならではですので、ここから数千キロ離れた繁殖地へ向かう貴重な姿だったかと思います。

チュウシャクシギの群れ
チュウシャクシギの群れ

到着後はお昼を食べ、ガイドの渡辺さんと共にメインのクマゲラを見にいきます。ポイントに到着し、じっと待っていると、巣穴からメスの顔が!そろそろ来るかな?と期待して待ちますが、そこから1時間半が経過。まだか?と足のしびれの限界を感じながら待っていると遠くからクマゲラの声が! 近くまで帰ってきてくれましたが、警戒したのか巣のある木にはオスは止まらず、痺れを切らして先にメスが飛んで行ってしまいました。

巣穴から顔を出したクマゲラのメス
巣穴から顔を出したクマゲラのメス

帰りはコマドリ探し。藪の中にちらっと見えましたね。

コマドリ
コマドリ

3日目

早朝の公園観察からスタートです。鳥を探しましたが寒さのせいか動きがあまりなく、なかなか多くの鳥は見られませんでした。午前中には再度別の巣でクマゲラを観察です。到着早々クマゲラの声が聞こえ、見ていると20分で抱卵交代に来てくれました。しかし抱卵中のオスが出ず、入っているにも関わらず巣に潜るというハプニングもありました。

クマゲラ
クマゲラ

その後は雨模様の中利尻島を一周。近距離でアカエリヒレアシシギやイスカに出会うことができました。特にイスカは本当に逃げず、貴重な瞬間でした。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ
イスカ
イスカ

夕方には再度コマドリの撮影チャレンジ。あそこ!ここ!一瞬でなかなか難しいですね。

コマドリ
コマドリ

4日目

再度利尻の森のバードウォッチングからスタートです。まずはコマドリ再チャレンジ!2時間ほど待っていると、ここに出るよーと伝えていたソングスポットに出てきてくれ、ほっと一安心しました。

コマドリ
コマドリ

午前はクマゲラ再チャレンジ。今回はやっと放卵交代の2ショットを見ることができました。そして森を回るとガイドの渡辺さんと友達のクマゲラが登場!近距離でその姿を見せてくれました。

クマゲラのツーショット
クマゲラのツーショット

午後にはフェリーで利尻島から礼文島へ。礼文島ではさまざまな小鳥を狙いますが、草刈り中だったりと中々姿が見えません。久種湖ではアカモズを撮影できました。そして森の中のポイントへ行くとなんとコウライウグイスが!全員にしっかり見せることができず悔しいですが、こんな鳥が見られるのが離島の魅力です。明日は最終日です!

コウライウグイス
コウライウグイス

5日目

ついに最終日です。早朝は希望者のみでコウライウグイスを再チャレンジ!見つけたい!と頑張りましたが、強風のせいもあり見つけることは叶わず。なかなか難しいですね。
帰りの船はこの強風のせいで道中大きく揺れる可能性が高い上、波が高すぎて鳥が見られないため船内で寝ながらの移動。私は潮風でビシャビシャ、鼻血で鼻を赤くしながら外で観察しましたが、観察できたのは遥か遠くを飛ぶ合計4羽のハシボソミズナギドリと思われるミズナギドリ類、ウトウが3羽、そして爆風にゴミのように飛ばされながら必死に短時間船へ退避したカラフトムシクイのみでした。こんな人も恐れる天気の中たった数グラムの小さな鳥が海を渡っていると考えるとロマンがあります。

強風に煽られるカラフトムシクイ
強風に煽られるカラフトムシクイ
カラフトムシクイ
退避中のカラフトムシクイ

今回は少し渡りの鳥は少なかったかもしれませんが、一発逆転の鳥がいつ現れるか分からないという離島のポテンシャルは少し感じていただけたかなと思います。ぜひまた来年お越しください!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

立山のライチョウを撮る 【2024年4月編】

Report by 戸塚学 / 2024年4月22日~24日

今年は2月の気温が高く、3月の気温が低いという変な気候だったこともあり雪がどうなっているかが心配だった。感じとしては2週間ほど季節が進んだ感じで雪も緩く歩くのに苦労をすることになったが、ストックを携行していただいたおかげで事故やけがは防げたと思う。ライチョウの動きは気温のせいか非常に活発で喧嘩や飛ぶ姿を撮ることができみなさん大変満足をされていました。天気も初日のスタート時が霧になったほかは、比較的良い方に転びラッキーだった。最終日は1日雨の予報で、時々かなり激しく降るため7時に終了をしましたが、前日までにしっかりと撮影ができたことでみなさんからのクレームもありませんでした。

<1日目>

いつもは1~2日先入りして自分の取材をしてライチョウたちの動きを掌握しておくのですが、今年はスケジュールの関係で当日現場に入ることにしましたが、とんでもない状況に焦りました。10時に到着しましたが、乗れる時間が13時40分!室堂ターミナル到着が14時50分とギリギリで到着。おまけにターミナルは外人で溢れかえっています。これは想像以上の状況でした。すぐにカメラを出していただき、宿に向かう途中にライチョウが出れば撮ってもらうようにします。宿の少し前のハイマツ帯にカメラマンが3人ほどいたので「ライチョウがいるな」とわかったので霧の中メスの撮影をしてもらいます。あまりいい状況ではないのですが、初めて見る白いライチョウを撮りたいという想いをむげにはできません。

宿に入って館内の案内を済ませたあと、不要な荷物を部屋に置いてもらいすぐに撮影に出ます。宿の前にいたオスを狙っていると別のオスが飛んで来ていきなり追いかけっこが始まりました。それらを撮ってもらっていると取っ組み合いのけんかに発展!まさかこの時期にここまで激しい喧嘩をするとはびっくりです。

ライチョウの喧嘩
ライチョウの喧嘩

みなさんに撮影ができたか聞くと「しっかり撮れた!」との反応にほっとしました。その後もオスの撮影を楽しみました。一旦夕食を食べたのち、すぐに撮影に戻り日没まで撮影を楽しみました。夜は残念ながら霧が出てしまったので夜の撮影は中止になりました。

休息するライチョウ
休息するライチョウ

<2日目>

朝は5時30分からスタートです。天気は曇りですが、その分ライチョウたちの動きが良く朝飯前のひと撮影を楽しんでいただきました。7時過ぎに各自で朝食をとってもらい、9時から再びライチョウを探します。宿の前ばかりではつまらないので少し離れた場所へ行く事にします。途中の見晴らしがいい場所でみなさんに待機していただき、私だけがライチョウを探しに行きます。ライチョウがいればストックを大きく振る、いなければ戻るという事を伝えました。いつもライチョウが縄張りを持っているハイマツ帯に近づくとオスが鳴きながら飛び立ち、対岸のハイマツ帯に飛んだのを確認。落ち着いていたのでストックを振ってみなさんに合図を送りました。それを確認したようでこちらに向かって歩いて来るのが確認できました。

ライチョウ飛翔
ライチョウ飛翔
ライチョウ飛翔
ライチョウ飛翔

私はライチョウのとまっている場所へ向かい「さて、何処から撮影するのがいいかな?」と考えていると?何かがライチョウの奥を移動します。黒い小さなものと白いもの?が一瞬見えました。それらを見ていると白いものと黒いものが同一のものだとわかりました。それは「オコジョ」です!以前見た時はこの時期には茶色の夏毛だったのでまさか白い姿を見られるとは驚きです!みなさんの到着を待ちオコジョの出現を伝えました。とはいえ目の前に白いライチョウがいるのでオコジョも気になりますが、ライチョウも気になるという事っでみなさんは撮影をしていただき私はオコジョを探しましたがとうとう出ることはありませんでした。

 

もう1羽のオスが現れ飛んで行ってしまったのですが、向かいのハイマツ帯の中にメスを見つけたのでそれを撮ってもらいます。みなさんが撮影をしている間に私は別のライチョウを探しに行きますが・・・いなかったのでみなさんの元に戻り一緒にメスのお立ち台撮影をしました。

ライチョウお立ち台
ライチョウお立ち台

途中にカヤクグリの撮影をしていると上空をアマツバメとイワツバメが飛んで行きます。また移動をすることにします。昨日夕方ライチョウがいた場所へ探しに行きますが、ライチョウは見当たりませんがイワヒバリが飛んできたのでしっかりと撮影をしてもらいました。やはり雪が少なく植生が出ている場所が多いせいか、もうイワヒバリが出るとは!その後もウソの鳴き声と飛んで行く姿を確認しました。

イワヒバリをみつけた!
イワヒバリをみつけた!

少し早いですがみなさん結構疲れているので休憩と食事にしました。15時に宿を出てライチョウを探しますが、陽が出ているせいかライチョウの動きが良くありません。それでも16時30分を過ぎるころから急に動きが活発になり追いかけっこを3~4羽でやっていたりします。夕食時間ギリギリまで撮影を楽しみました。おいしい食事をゆっくりと楽しみたいのですが、やたらと元気なライチョウが出まくるし、天気も良く夕陽や夕焼けと絡んだライチョウの撮影が控えているのでそんなことを言ってる場合ではありません!

鳴くライチョウ
鳴くライチョウ

食事後はライチョウの群れや、夕陽と絡んだ撮影まで楽しむことができました!さてここで終わりではありません!20時に満月に近い月が立山の尾根から上がっているので、夜間撮影です。露出やフレーミングを変えながら月光に照らされる風景を撮影してもらいました。明日は雨予報なのでちょっとオーバー目なスケジュールになりましたがみなさん満足をされていたようです。

ライチョウと夕焼け
ライチョウと夕焼け
月夜の風景を撮影
月夜の風景を撮影

<3日目>

天気予報は雨ですが、ここは標高2400m。雪になる可能性も捨てられません。そこで6時に集合していただき雪なら食事を摂ってそのまま撮影に出ることに。雨ならば7時で終了という事にしていました。5時に目が覚めてしまったので、外に出るとしっかりと雨が降っている。気温も高くこれは絶対雪にはならないと判断したので、そそくさと温泉に入りに行きました。6時に集合してみなさんに食事後7時に終了することを伝えました。帰りの便が10時を過ぎるとインバウンド団体で込み合いターミナルで待たされる危険性もあるので、延泊の方と夜行バスで帰られる方を残して雨が小降りになった時を狙って帰っていただきました。最終日は残念でしたが、私も経験をしたことのない4月のツアーになりました。今まではこの時期のんびり、まったりとする姿がほとんどでしたのである意味ラッキーだっと思います。

まったりライチョウ
まったりライチョウ

撮れた鳥
ライチョウ・カヤクグリ・イワヒバリ
観られた鳥や獣
イワツバメ・アマツバメ・ウソ・白いオコジョ・ハシブトガラス

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

韓国最大のクロハゲワシ越冬地と越冬する鳥たち【後編】

Report by 戸塚学 / 2024年1月12日~16日

<4日目>

この日は2か所のワシミミズクポイントを巡ります。1ヶ所目は光が悪くなかなか厳しい状況のなか、昨日とは違う参加者がすぐにワシミミズクを発見!凄く見つけにくい場所なのに・・・ガイド失格や(笑)光がイマイチなので一応撮影してもらった後、もう1ヶ所へ一旦行く事にします。こちらはほぼ鉄板な場所なので軽い気持ちだったのに・・・探しても見当たりません。最近この場所はカメラマンがたくさん来て必要以上に近づくのでどこかへ行ってしまった可能性もあります。葦原ではカシラダカ、ミヤマホオジロ、ベニマシコ、ダルマエナガ、カササギを見ることができました。帰り際に参加者が「あの猛禽は?」と指をさすとそこにはクロハゲワシが飛んでいました。もう一度気を取り直してワシミミズクがいた場所へ行くとまだいました!今度は若干光が良くなっていたのでリベンジ撮影を楽しみました。それにしても北風が強くて寒いので北上してきたんだなぁと実感します。

ワシミミズク
ワシミミズク
ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ

この後は夕方に36万羽と言われるトモエガモが集結する場所へ向かいます。ただ時間が早いので干潟で観察と撮影です。ズグロカモメ、ユリカモメ、セグロカモメっぽいのはモンゴルか?ダイシャクシギかホウロクシギも遠く陽炎の中に揺らめいています。干潟の杭にオジロワシとハヤブサもいます。カモ類はマガモとツクシガモは何とか確認できるが他は遠くてわからない。この上流域でトモエガモが集まり乱舞するというので一番いい場所を探すのですが、どうやら対岸に来てしまったようで再び移動です。この時対岸には数名の人しかいなかったのですが現地に来ると道路わきに車がたくさん停まっています。堤防に上がると目の前に広がるトモエガモの大群!これだけでも圧巻なのにこれが頭上で乱舞するなんて想像すると鼻血が出そうだ(笑)。空腹なのか一部のトモエガモたちが河川敷に上がり草を貪り食っているのでそちらも撮影してもらいます。ふと周りを見るとずいぶんと人が集まっているなと思うと・・・パトカーが来て「車をどかせ」とサイレンを鳴らし拡声器で呼びかけるが誰も動きません。恐るべし韓国人(笑)17時まで粘ったのだが、飛ばないの切り上げて移動を始めるとパトカーが2台追加で来ていた!これは来年どうなる事やら。ここ数年の間に韓国でも野鳥カメラマンが爆発的に増えているようで、いずれ日本のようになるのかなと感じさせられました。

トモエガモの大群!
トモエガモの大群!
トモエガモの大群
トモエガモの大群
トモエガモ
トモエガモ

<5日目>

帰国までのギリギリまで撮影を楽しむためクロツラヘラサギの繁殖地へ行くと・・・池が凍結している!そのせいか繁殖用の人工島にクロツラヘラサギが1羽もいない!!!セグロカモメ系が飛んでいる以外、ツクシガモ、ホシハジロ、マガモ、カルガモが見られるだけ。さてどうしたものかと思っていても仕方ないので「ここの葦原にはダルマエナガが多いので探しましょう!」と伝えると小鳥の声がそこら中から近づいてきたと思ったら混群に取り囲まれているではありませんか!アトリ、シメ、コイカル、シロガシラ、キクイタダキ、スズメ、シジュウカラ、エナガ、シマエナガ、ヒガラ、ダルマエナガ!私はパニックになっていて見落としたがヒゲガラまでもいたようです。これがほぼ1時間私たちの周りから動かなかったのだから超ラッキーとしか言いようがない。日本では考えられないが、シマエナガとエナガを同時に見られるなんて!小鳥たちが去ってしまって静かになったので、少々時間は早いのですが心地よい放心状態のまま仁川空港に向かい帰国の途に就きました。

アトリ
アトリ
エナガ
エナガ
シマエナガまで!
シマエナガまで!

参加していただいたみなさまお疲れさまでした、超少人数でゆっくりとした日程と朴さん厳選の食事も堪能できて超ラッキーなツアーになったと思います。

【撮れた鳥&哺乳類】
クロハゲワシ・ワシミミズク・オジロワシ・ノスリ・オオノスリ・ハイイロチュウヒ・オオタカ・ハイタカ・チョウゲンボウ・ヒシクイ・オオヒシクイ・マガン・トモエガモ・ユリカモメ・ズグロカモメ・ドバト・コウライバト・カササギ・ヒガラ・シジュウカラ・エナガ・シマエナガ・シロガシラ・ダルマエナガ・ジョウビタキ・ギンムクドリ・カシラダカ・ミヤマホオジロ・アオジ・コイカル

【見られた鳥&哺乳類】
ハヤブサ・チュウヒ・ツクシガモ・マガモ・ホシハジロ・オナガガモ・カルガモ・カワアイサ・マガモ・カンムリカイツブリ・カワウ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・クロツ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

クマゲラの棲む利尻島・礼文島とサロベツ湿原【後編】

Report by 今堀魁人 / 2023年5月14日~18日

3日目

早朝はホテル近くの公園でバードウォッチングです。探しに行きますが渡り鳥がそこまで入ってきていないのか鳥は少なく、途中街頭の上にモズのオスが止まっているのを見ながらホテルに戻りました。

モズ(オス)
モズ(オス)

朝食後は昨日とは別ポイントでクマゲラを観察します。到着し、カメラで撮影しようと準備をするとクマゲラの声が!静かにしているとオスが戻り、あっさりと抱卵交代をしてメスが飛び去っていきました。

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

昨日とのギャップにみんな驚きです。帰りには目の前でシマリスやゴジュウカラも姿を見せてくれ、楽しく撮影をしながら次のポイントへ。

シマリス
シマリス

次は島を一周回っていきながら小鳥を探していきます。途中立ち寄ったキャンプ場では離島ならではのマミジロキビタキがお出迎え。きれいなレモンイエローのお腹とたんぽぽとのコラボで皆さん熱心に撮影されていました。

マミジロキビタキ
マミジロキビタキ

その後別なポイントでノゴマを発見。チラチラと出たり入ったりを繰り返しながらなんとか撮影ができました。そんなノゴマを見たあとに別なポイントに立ち寄ると全く逃げないノゴマも発見!杭の上で座っていたのを見ると、もしかすると渡ってきたばかりなのかもしれません。

ノゴマ
ノゴマ

その後は北海道銘菓白い恋人で有名なオタトマリ沼へ。売店のソフトクリームを食べながら鳥を探していると何やら聞き覚えのある声が。探してみると、コイカルのオスです!偶然そこで採餌していたのでしょうが、慌てて全員を呼び撮影と観察開始です。高いところで採餌していたため見にくかったですが、途中から道路と同じ高さで観察でき、葉を丸めて食べる面白い採餌方法を見せてくれました。

コイカル(オス)
コイカル(オス)

その脇では満開のエゾノコリンゴでヒガラがごはんタイム。これまた美しい光景でした。

ヒガラとエゾノコリンゴの花
ヒガラとエゾノコリンゴの花

夕方は別なクマゲラポイントで再度挑戦です。じっとしながら、私とガイドさんは足元のネマガリタケを取りながら待っていると帰ってきてくれました。この木は枯れ木ということもあり見やすいですが、警戒心は今回のツアー中見たクマゲラの中でもダントツに強く、個体差でどれだけ警戒心が違うのかわかったかなと思っています。

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

ホテル帰宅後は宿のそばを歩く亜種マミジロツメナガセキレイをお客様の一人が発見し、各々観察しながらこの日は終了です。

マミジロツメナガセキレイ
マミジロツメナガセキレイ

4日目

利尻島最終日です。この日も早朝公園へ出かけますがめぼしい鳥はおらず。ウグイスがきれいな声を響かせていました。

ウグイス
ウグイス

午前中もう一度昨日のクマゲラのポイントへ。到着してから1時間ほど待つとメスが帰ってきてくれました。毎回そうですが、抱卵交代はたった数秒。一瞬の隙を逃さず撮影できたでしょうか?

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

午後にはフェリーに乗って礼文島へと渡ります。途中の航路ではウトウとアカエリヒレアシシギがお出迎えをしてくれました。アカエリヒレアシシギの群れにハイイロヒレアシシギがいないかと探しましたが残念ながら見当たらず。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ

入島後は島の北部をめぐります。走っていると道路脇に飛ぶ鳥が。車を停めてもらい確認すると、打ち上がったアマモにトウネンとアカエリヒレアシシギが集まっていました。きっと海藻の隙間にヨコエビなどの餌があるのでしょう。特に普段は水に浮いてばかりいるアカエリヒレアシシギの水かきを見られる貴重な機会となりました。

アカエリヒレアシシギとトウネン
アカエリヒレアシシギとトウネン

その奥には岩礁で寝ているゴマフアザラシが。時たま波を浴びていますが気にせず寝ている姿が可愛く、顔も見せてほしかったのですがあまりこちらは向いてくれず。シャイなのでしょうか。

ゴマフアザラシ
ゴマフアザラシ

道中ドライバーさんからレブンアツモリソウが咲いているとお話があり、急遽そのポイントへ連れて行ってもらいました。普段は6月上、中旬で咲くはずの花が今年の異常な暑さで5月に咲いたそうです。現場に行くと2~3輪だけ咲いているかと思ったら半分近くが咲いておりとても可憐な姿を見せています!フレッシュなレブンアツモリソウは貴重で、とてもいい出会いだったのではないでしょうか。

レブンアツモリソウ
レブンアツモリソウ

 

5日目

ツアーも最終日です。天気は残念ながら悪いですが外からは鳥の声が聞こえます。早朝はホテルの裏の山をちょっと散策していきます。歩いていると道路脇からうるさいと感じるほどの声量で鳴くコマドリの声が。探せど見つからず、数か所目でやっと樹上に止まる姿が。

コマドリ
コマドリ

観察しますがなかなか枝が被り見にくい場所に。そのうち移動してしまい、私達も先に進んでいきます。道路を歩いていると聞き覚えのある声とともに黒い影が。なんとクマゲラです!礼文島では推定生息数が10羽程度と言われており、撮影はできませんでしたが貴重な個体に出会えました。山に行くとまた近くでコマドリの鳴き声が聞こえます。そーっと下を覗くときれいな個体が鳴いていました!交代で観察と撮影を行いながら朝食の時間が迫り、後ろ髪を引かれながらこの場をあとにします。

コマドリ
コマドリ

ホテルに戻る途中、最後に残った1名のお客様とお話をしていると民家の木からアリスイの声が。声だけ聞いて見ないわけにはいかないので探しますが枝が混んでいてなかなか見つからない。ただ段々と声の位置が高くなり、よーく見ると最後は松のてっぺんで鳴いてくれました。

アリスイ
アリスイ

最後の観察場所もフェリーも濃霧に泣かされ鳥は見えず。早朝が最後のバードウォッチングとなりましたが今回のツアーでも様々な道北らしい、離島らしい鳥に会えるそんなツアーとなりました。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻島・礼文島とサロベツ湿原【前編】

Report by 今堀魁人 / 2023年5月14日~18日

1日目

初日は稚内空港からスタートです。最初は空港そばのメグマ沼へ。観察していると夏の北海道を代表する鳥のひとつ、ノビタキとツメナガセキレイがお出迎えしてくれました。少し距離はありましたが、幸先の良いスタートです。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

サロベツ湿原に向かうと、寒さと風の影響かほとんど鳥の姿は見えず。入り口でベニマシコのメスがヤナギを啄んでいる姿を全員で観察し、声は聞こえど姿を探す難しさを体感できました。

ベニマシコ(メス)
ベニマシコ(メス)

その後移動中には酪農家の家の脇からチュウヒが突然出現!
きっとこの近くで繁殖しているオスのチュウヒでしょう。ここ近年急激に数を減らしているチュウヒ。無事に子育てできることを願うばかりです。

チュウヒ(オス)
チュウヒ(オス)

夕方は兜沼へ。駐車場そばではカケスが姿を見せてくれました。北海道は本州の亜種カケスと違い、亜種ミヤマカケスで可愛い顔をしていることもあり、人気の野鳥です。なかなかうまく姿を見せず少し苦労しましたが、無事皆さん観察できたようです。

ミヤマカケス
ミヤマカケス

さて移動しようと思ったら今度は地面を歩く鳥が。なんとヤマシギです!ここでは初めての出会い。いてもおかしくない環境ですが、夕方で人の出入りも少なかったためかペアで行動し、最後まで比較的近くで観察・撮影させてくれました。

ヤマシギ
ヤマシギ

 

2日目

本日はこのツアーのメインとなるクマゲラを求めてフェリーで利尻島へ。航路では鳥の影が薄く、序盤にシロエリオオハムと遠くにウトウがチラホラと飛ぶだけ。

シロエリオオハム
シロエリオオハム

着岸直前には利尻では必ず見られるウミウのコロニーを見ながらいざ入島!ガイドさんの車に乗せてもらい、ポイントへと移動します。

ウミウコロニー
ウミウコロニー

ポイントへ歩いて到着し、息を潜め待っていると目的のクマゲラが穴から顔を出しました。前頭部が黒いためメスのようです。

クマゲラメス
クマゲラメス

この時期は抱卵中のため、最小限の影響で住むよう配慮しながらの撮影です。基本クマゲラは1時間半から2時間の感覚で抱卵交代を行っており、2時間待てばオスが帰ってくるだろうと待っていましたが2時間経っても現れず。そのうち雨も降り出しますが一向に声も気配もしません。これ以上待つのは人間も限界でかつクマゲラにも影響を与えてしまうということで今日は撤退です。

クマゲラメス
クマゲラ(メス)

途中目の前をうろちょろしてくれたヒガラが一時待ち時間を楽しませてくれましたが、クマゲラの全身見る機会は明日にお預けとなりました。

ヒガラ
ヒガラ

 

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

夏の富士山・奥庭で亜高山帯の野鳥と
大磯海岸でアオバト観察

report by 吉成才丈 2023年8月21日~23日

 

1日目

今回は全員が新宿のバスターミナルに集合し、乗り換えなしのバスで、標高約2,300mの富士山五合目に向かいました。この暑い時期ですからね、高速道路上のバス停にとまる以外はダイレクトに現地に行くことができるので、本当に便利で快適です。

ほぼ予定通りに奥庭荘に着くと、さっそくかぶりつきで撮影する方、まずは昼食をとる方など、銘々で自由に行動していただきました。奥庭では散策もできますが、歩く距離も短く散策路も整備されていて危険は少ないため、各自で思い思いに行動できるのも魅力の一つだと思います。

水場
水場

水場では、ウソやルリビタキ、ヒガラ、キクイタダキ、メボソムシクイなどがパラパラと出てきてくれました。最短だと、鳥までは10mもない条件なので、手持ちの撮影システムで撮られていた方でも、バッチリと写っていると思います。この日の午後だけでも十分満足という声も聞こえるほど、小鳥たちは、かなりの頻度で出てきてくれました。

ウソ(HO様撮影)
ウソ(HO様撮影)

キクイタダキ(HO様撮影)
キクイタダキ(HO様撮影)

奥庭荘は山小屋なので、お風呂もシャワーもありません(涼しいので汗もかかず、朝晩は肌寒いほど)。夕食もまだ明るい時間の16時30分と早いのですが、食事の内容は山小屋とは思えないほど豪華です。

豪華でボリュームのある夕食
豪華でボリュームのある夕食

夕食を終えても明るいので、奥庭荘のご主人が散策路を案内してくれました。あいにく、西の空の雲が厚かったので富士山は赤く染まりませんでしたが、間近に見える富士山山頂も楽しめました。そして夜になると、雲の合間から星空も見えました。最近のスマホは性能がよく、星空も簡単に撮れてしまうのですね。2枚とも、iPhoneで撮影した画像です。

富士山と星空
富士山と星空

星空
星空

 

2日目

明け方は晴れており、富士山の稜線から昇るご来光も見ることができました。

日の出
日の出

昨日同様、この日も小鳥たちはよく出てきてくれました。昨日は出てこなかったルリビタキのオスも何度もやってきましたが、オスだけでも3個体いるような印象でした。本当に、ルリビタキのオスは美しいですね。

ルリビタキのオス(HO様撮影)
ルリビタキのオス(HO様撮影)

メボソムシクイ(左)、ルリビタキ(右)
メボソムシクイ(左)、ルリビタキ(右)

左からヒガラ、ウソ、メボソムシクイ
左からヒガラ、ウソ、メボソムシクイ

この日の午前中は奥庭荘で楽しみ、昼食後には、翌日のアオバト観察に備えて大磯方面へ移動しました。

 

3日目

あいにく、この日の天気予報は曇りベースの雨…。天候の回復を願い、まだ薄暗いうちにホテルを出発し、大磯・照ヶ崎海岸に到着。到着時から少し降りましたが、階段下のわずかなスペースで雨宿りしていると次第に雨が上がり、なんと晴れ間まででてきました。アオバトも飛来はするものの、なにかに警戒してなかなか岩場に降りません。また、飛来してくる方向の山はかなり雨が降っていたようで、晴天時よりはアオバトの個体数は少ないようでした。でもそのうち徐々に岩場に降りるようになり、海水を飲む様子なども観察できました。

飛来してきたアオバト
飛来してきたアオバト

海水を飲むアオバト
海水を飲むアオバト

波で飛び上がったアオバト(HO様撮影)
波で飛び上がったアオバト(HO様撮影)

そして、海水を飲んでいたアオバトが一斉に飛び立つと、ハヤブサの幼鳥が登場しました。アオバトを襲う様子は見られませんでしたが、やはりどこかに潜んでいたようですね。

ハヤブサ幼鳥
ハヤブサ幼鳥

最終日は雨予報でハラハラしましたが、昨年は快晴でかなり暑かったことを考えると、今年は過ごしやすくて助かった面もあります。観察を終えると、チェックアウト時間を延長していたホテルに戻って解散しました。きっと皆さん、シャワーを浴びてお帰りになられたことと思います。標高2,300mの亜高山の鳥と海岸のアオバトという面白い組み合わせですが、今年もバラエティに富んだ鳥見が楽しめました。

 

(観察種数27種)

 

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【後編】

Report by 戸塚学 / 2023年6月17日~22日

6月20日(火) 4日目

今日も天気はいいです!早めに朝食を食べて相泊港まで移動します。ここからはヒグマウォッチングツアーです。初めに見つけたヒグマは遠くてパス。2回目に見つけたクマは待っていると海岸まで出てくれたので撮影をすることができました。船長が「別のクマを探そう」と岬近くに行くと・・・一目7頭のヒグマです!そのうちの1頭が2頭のこどもを連れていたので9頭のヒグマを見渡すことができました。まずは親子を狙います。昆布の茂った海は光の関係で緑色に染まりとてもきれいなので意識して撮影をしてもらいます。

ヒグマ
ヒグマ

ヒグマの親子
ヒグマの親子

次は兄弟だと思うと船長が言う2頭のクマを狙います。大きな石をひっくり返すと「ごとん!」という音がこちらまで聞こえる近さはライブ感たっぷりです。その後も帰る途中にクマが出てくれるたびに船長が近づいてくれるのですが、午後の船の時間もあるので寄らずに戻ってもらいました。

下船後はすぐ羅臼港へ向けて移動します。途中港近くのコンビニでお弁当を買ってもらいギリギリで乗船ができました。岸近くはさほど波に翻弄されることが無かったのですが、沖に出ると結構なうねりが激しくシャチを狙うのに苦労しました。残念なのはこの日のシャチの群れはあまり船と遊んでくれないのでチャンスが少なかった。それでも初シャチのお客様は喜んでおられました。

シャチ
シャチ

残念なのはうねりが強いので予定より早めに終了となったので道の駅で買い物をしてもらいます。この夜もシマフクロウを狙ったのですが、残念ながら出ませんでした。シマフクロウがメインならば朝まで粘ってもいいのですが、他のスケジュールもあるので仕方がありません。

6月21日(水) 5日目

この日も快晴です!風も弱く絶好なコンディション。早めに並び全員で船の前の部分でスタンバイします。参加者のみなさんはわかっていないようなので、とにかく海からの風景を撮ってね!携帯で動画も撮ってね!と言います。じつはこのコンディションは年に数回しかないくらいなのです。船のガイドさんも「今月はこの風景は初めてです!」と言っています。さてこの日は海鳥たちが比較的多く、ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、フルマカモメが船の近くを飛んで行きます。時折ずんぐりむっくりなウトウも見られました。

ハシボソミズナギドリ
ハシボソミズナギドリ

ずんぐりむっくりなウトウ
ずんぐりむっくりなウトウ

フルマカモメ
フルマカモメ

驚いたのはクロアシアホウドリが近くで撮影ができたこととアホウドリの幼鳥も近くで撮影できたのですが、少し遠目に発見したアホウドリの成鳥に寄ってもらいたかったのですが、シャチが遠くで出ているという事で船長はそちらを優先します。仕方がない、私たちのメンバーもやはりシャチは撮りたいはずだから。しかしシャチは日露中間線よりもロシア側で手も足も出せません・・・運が良ければアホウドリの成鳥のところに行くかなと期待したが、たぶん飛んで行ってしまったのか見つけられませんでした。

アホウドリ幼鳥
アホウドリ幼鳥

遠くにいたアホウドリ成鳥
遠くにいたアホウドリ成鳥

港に戻る間も生き物を探します。運よくイシイルカが出てくれたのでみなさん必死に撮影をされていました。下船後はお弁当を買っていただき知床峠でギンザンマシコを狙いますが・・・出ません。そのうち飽きてしまったようで「もう原生花園に移動したい」という要望も出ましたが「14時までがんばろう!」と説得しました。結局時間までにギンザンマシコは出ませんでしたが、ウソ、ビンズイは見ることができました。時間になったので原生花園に移動してノビタキ、ホオアカを撮っていただきホテルに向かいました。夕食はホテルについていないので今回の旅の成果に居酒屋で祝杯をあげました。

ノビタキ♂
ノビタキ♂

ノビタキ♀
ノビタキ♀

6月22日(木) 6日目

朝は朝食の関係で8時に出発します。小清水原生花園でノビタキ、ホオアカの撮影をしていただきながら放牧している馬や乱舞するエゾシロチョウ、動物ではありませんがエゾスカシユリやエゾキスゲ、ハマナスなどのお花を撮影していただきました。網走湖湖畔での野鳥撮影よりも風景を撮りたいというリクエストで空港に送迎するまでしっかりと風景撮影を楽しんでいただき無事解散となりました。5泊6日と長丁場ではありましたが、終わってみればあっという間でした。みなさまお疲れさまでした!

ホオアカ
ホオアカ


撮れた鳥
アホウドリ・クロアシアホウドリ・ハシボソミズナギドリ・フルマカモメ・アオサギ・タンチョウ・カッコウ・アマツバメ・オオジシギ・ミツユビカモメ・オオセグロカモメ・ウミネコ・ケイマフリ・ウトウ・エトピリカ・オジロワシ・ショウドウツバメ・シマセンニュウ・コヨシキリ・ノビタキ・ホオアカ・アオジ・オオジュリン・エゾシカ・キタキツネ・エゾヒグマ・ラッコ・シャチ・イシイルカ

見れた鳥・声を聞けた鳥
ヒドリガモ・マガモ・オナガガモ・キンクロハジロ・スズガモ・クロガモ・シノリガモ・ウミアイサ・カンムリカイツブリ・キジバト・アオバト・シロエリオオハム・カンムリウミスズメ・ウミウ・ヒメウ・ツツドリ・トビ・ハイタカ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒガラ・シジュウカラ・ヒバリ・ウグイス・エゾムシクイ・シマセンニュウ・エゾセンニュウ・コムクドリ・スズメ・ニュウナイスズメ・ハクセキレイ・ビンズイ・カワラヒワ・ベニマシコ・ウソ・ウソ

他の生き物
ヒグマ(撮)・ラッコ(撮)・エゾシカ(撮)キタキツネ(撮)・イシイルカ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員