秋の石垣島で
アカハラダカ・カンムリワシ・ムラサキサギを狙う

Report by 戸塚学 / 2022年9月23日~25日

 

台風14号の影響で、下見の出発が1日遅れたものの無事石垣島へ入ることができた。現地の方たちから情報が入るものの・・・シギやチドリが少ない。どうやら抜けたようだ。

ツアーは23日~25日なのでまだ時間があるものの24・25日が雨予報。ところが23日に天気予報が一気に変わり前日の晴れ!特に24日は今年初めての大当たり!他にも連日鳥たちの撮影を堪能できてみなさま大満足の3日間となりました。

 

*本文中「リュウキュウ○○」という表記を「R」に省略させていただきます。

<1日目>

空港に時間通りみなさん集合されたので、専用車でまずは前日から出ているソリハシセイタカシギ(アボセット)の出ている田へ直行します。少し遠いのですが、超珍鳥なので時間をかけてしっかりと撮影を楽しんでいただきました。他にも周辺の田をゆっくりと車で流しながらシギやチドリを堪能します。途中数は減りましたが、まだクロハラアジサシやハジロクロハラアジサシが飛んでいるので、車から降りて撮影を楽しみました。

クロハラアジサシ
クロハラアジサシ

カンムリワシが飛んできたのですが、すぐに飛んで行ってしまったことで撮影ができず悔しい思いもしましたが次回のチャンスという事で引き続き時間いっぱいまで鳥たちを探しては撮影を繰り返しました。一旦18時にホテルに戻り、各自食事をとっていただいた後、ナイトサファリは19時30分から開始です。現地ガイドさんの案内で、Rアオバズク、Rコノハズク、ヤエヤマオオコウモリを無事撮影ができたので別の場所へ。

ヤエヤマオオコウモリ
ヤエヤマオオコウモリ
リュウキュウコノハズク
リュウキュウコノハズク

この場所は遊歩道を歩きながら生き物を探すスタイル。外来種のオオヒキガエルやサソリモドキ、オカヤドカリ、各種ゴキブリ、Rアオヘビも撮影しました。鳥はRコノハズク、ズグロミゾゴイの成鳥が撮れたのはラッキーでした!

オオヒキガエル
オオヒキガエル
ズグロミゾゴイ
ズグロミゾゴイ
リュウキュウアカショウビン
リュウキュウアカショウビン

<2日目>

7時にホテルを出発して展望台を目指します。アカハラダカはだいたい8時から10時の間に飛ぶのですが、少し早めに来て場所の説明や光の回り方、アカハラダカの出現の仕方を説明して待ちました。チョウゲンボウが皮切りに飛び出した後、ズアカアオバトがとまっているのを発見して撮影をすることができました。

ズアカアオバト
ズアカアオバト

風もいい、晴れているというベストコンディション。そして今年はまだアカハラダカの大きなあたりが無いので「今日が当たるかも・爆発ですよ!」なんて冗談交じりに参加者の皆さんには話していたのが、本当になっちゃった!パラパラ飛んできたかなと思ったら頭上でタカ柱!遠くに見つけたタカ柱が上空高くに消えたかと思ったらいきなり目の前にジャンジャン飛んできたりとみなさん大興奮!

タカ柱
タカ柱
アカハラダカ♀
アカハラダカ♀
アカハラダカ♂
アカハラダカ♂
アカハラダカ♂
アカハラダカ♂
アカハラダカ♂
アカハラダカ♂

この時一番驚いたのはカンムリワシが目線でこちらに向かって飛んできたこと!こんなことは滅多にないし、私も初体験で焦ってしまった。

カンムリワシ
カンムリワシ

9時30分を過ぎた頃には渡りも落ち着いてきたのでシベリアムクドリ・カラムクドリが出ているポイントへ早めに移動。現地に着くと知り合いの現地ガイドさんがいて、いろいろと教えてもらい大助かり。おかげでシベリアムクドリ・カラムクドリは撮れました。

シベリアムクドリ
シベリアムクドリ

11時~15時まで休憩を入れてあるので、ここで一時解散です。この状況でみなさん歩いてホテルまで戻るわけもないので、好きなだけここで撮影をしてもらう事にしました。ただ水分補給だけは忘れないように伝えて私はホテルへ戻りました。さて皆さんの撮影結果はRサンコウチョウ、サメビタキ、シロガシラ、オサハシブトガラス、イソヒヨドリが撮れたと後から報告をいただきました。

シロガシラ
シロガシラ

15時専用車で再び田んぼを巡る旅です。もしかしてアボセットが昨日より近い場所にいるかもと行くと・・・本当にいた!昨日よりも撮りやすく近くて、がっつり撮影ができました!「とまっているカンムリワシ~」というリクエストで探すが見つからない。かわりにツメナガセキレイ、アカガシラサギ、ムラサキサギを撮ることができてみなさん満足そうです。時間になったのでホテルに戻りました。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ
アカガシラサギ
アカガシラサギ
ムラサキサギ
ムラサキサギ

<3日目>

ホテルの前の電線にツバメがとまっていた。朝日に照らされ若干赤っぽく見えていた。何気なく双眼鏡で見ると???Rツバメだった。今回ツバメは多かったがRツバメは見られなかったので急に撮影大会になってしまった。

リュウキュウツバメ
リュウキュウツバメ

とはいえいつまでも撮影していては本命がおろそかになるので、展望台へ向かいます。みなさんの期待が高まるも昨日のようにアカハラダカが爆発しません。時折近くに出てもそういう時に限って太陽が雲に隠れてしまう。この日はアカハラダカ以外にチョウゲンボウ・チゴハヤブサ・ハヤブサを見ることができました。残念ながら昨日を超える渡りは望めませんでした。10時なったので田んぼ巡りを開始です。やはり今日も「とまってるカンムリワシ~」というリクエストでカンムリワシを探します。飛んでいる姿を確認できたが見失ってしまった・・・残念。そんな時ドライバーさんが「あのスプリンクラーの上は違うかな?」と指さす先に、いた!カンムリワシです。ちょっと距離はあったがしっかりとその雄姿を撮影ができました。

その後も田を巡り最後まで撮影を楽しみます。12時近くになったので空港近くの田に移動します。運が良ければ何か入っていないかなと思っているとまたしてもドライバーさんが「あれ、何?」と指さす先にムラサキサギの成鳥が!みなさん夢中で撮っていると、突然ムラサキサギは飛び立った!時計を見ると12時30分まるで時計を持っているかのような行動です。本当に最後の最後まで撮影を堪能して空港で無事終了解散となりました。

みなさまお疲れさまでしたね、それにしても超ツキまくりの3日間でした。

リュウキュウツミ
リュウキュウツミ
シマアカモズ
シマアカモズ

 


撮れた鳥
ズグロミゾゴイ・アカガシラサギ・アマサギ・ダイサギ・チュウサギ・コサギ・アオサギ・ムラサキサギ・カルガモ・アカハラダカ・Rツミ・カンムリワシ・ハヤブサ・チョウゲンボウ・チゴハヤブサ・シロハラクイナ・バン・コチドリ・トウネン・ヒバリシギ・エリマキシギ・アカアシシギ・コアオアシシギ・アオアシシギ・クサシギ・イソシギ・タシギ・(チュウシャクシギ?)・セイタカシギ・ソリハシセイタカシギ・クロハラアジサシ・ズアカアオバト・Rコノハズク・Rアオバズク・Rアカショウビン・ツメナガセキレイ・シロガシラ・Rサンコウチョウ・シマアカモズ・イソヒヨドリ・サメビタキ・セッカ・カラムクドリ・シベリアムクドリ・オサハシブトガラス

 

観られた鳥・さえずり
Rヨシゴイ・シマアジ・コガモ・ムナグロ・ツバメチドリ・ハジロクロハラアジサシ・Rキジバト・キセキレイ・Rサンショウクイ・Rヒヨドリ・Rメジロ

 

その他
ヤエヤマオオコウモリ・サキシマキノボリトカゲ・サツマゴキブリ・サソリモドキ・オオヒキガエル・Rアオヘビ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2022年9月11日~13日

 

台風11号が去った9月7日から下見に入ると、同日夕方台風12号が発生!本島直撃の予報が出て催行可能か?中止か?のギリギリまでバタバタしましたが飛行機も飛びスタートしましたが、結果的には台風12号はそれて天気的にも野鳥的にも恵まれました。
今回のレポートで使用する写真はツアー中に撮影したもの以外、下見時に撮影したものを利用しております。理由は基本が車内からの撮影が多く、お客様の撮影を優先するため私の撮影ができないことが多いのでご理解いただければと思います。

<1日目>

13時に無事みなさん集合されたので、専用車でまずは喜如嘉の農地でシギ・チドリの撮影を楽しみました。下見の時はたくさん入っていたのですが、かなり抜けてしまったのは残念でした。

タカブシギとコアオアシシギ
タカブシギとコアオアシシギ ※下見時に撮影


下見の時に夕方ヤンバルクイナが出るポイントを見つけたので、宿に荷物を降ろし17時30分~18時30分ヤンバルクイナの撮影に出ました。下見の時はひんぱんに&のんびりとヤンバルクイナが出ていた場所で目隠し用のシートを張り待ちました。ですが、この日は1度道路を通過したのみで出てきません・・・おかしいなぁと思ったら、見えない場所に先客がいて観察をしていた影響かもしれない?とりあえずは数羽のヤンバルクイナを見ることはできたものの、撮影的にはあまり良くなかった。
夜は翌日の夜間撮影のためにライトを木の葉や枝にライトを当てて高感度での撮影やスローシャッターの撮影のレクチャーをしたのち宿周辺を約1時間散策しました。

<2日目>

5時30分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、車の前からではなく、車の後ろから現れ、参加者の方へ移動します。ところが6人のオーラが強すぎたか?途中で引き返しそれっきり戻ってこなかった。この場所ではアコウの木に実が成っているのでメジロ、ズアカアオバト、ヒヨドリがやって来ますが、私の位置からは撮影ができない。しかし一部の方は撮影ができたようです。ヤンバルクイナを近くで観察はできたのですが撮影はイマイチだったようです。

リュウキュウメジロ
リュウキュウメジロ ※下見時に撮影

その後はゆっくりと車で流しながら生き物探しをするとヤンバルクイナ1羽が道路の斜面にいましたが車に気が付き草むらへ消えていったしまった。昨年アカヒゲ&リュウキュウアカショウビンがいたポイントで朝食&休憩です。蝶が好きな方は蝶を撮影できたと喜んでいました。「ホントウアカヒゲはたくさんいるし、どこにでもいるので出れば人を気にしないので簡単に撮れるんですヨ」と伝えると本当に近くでオス・メスが出て撮影できました。

ホントウアカヒゲ
ホントウアカヒゲ ※下見時に撮影

宿に戻り、ここから周辺を歩いて生き物探しをします。ホントウアカヒゲは声はすれども姿は見れずでしたが、ノグチゲラが2羽で喧嘩しながら近くにとまりました!しかしなんともならないブッシュの中でシルエット劇場になってしまいました。トレッキングコースではすでに時間が遅いのでセミの鳴き声が森に響き渡るだけで生き物が見つかりません。あと少しで終了という場所でキノボリトカゲが2頭出たので撮影を楽しんでもらいました。

オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ

この後は夕方まで休憩としていました。休憩時間中も一部の方は宿の周辺で撮影を楽しまれたようで、スコールの後にホントウアカヒゲがばっちり撮れた!という方もいました。

17時30分に集合して昨日のポイントへ向かいます。この日は先客もいなかったようで期待も高まります。目隠しシートを張りスタンバイすると2羽のヤンバルクイナが道を渡って行きました。そのうちの1羽が道路わきをゆっくりとエサを探してこちらに向かって移動をしてきます。車が通過しても全く動じません!とうとう私たちのまえまで来て、私たちの存在に気が付くと、何気ないふりをしてゆっくりと草むらの中へ消えて行きました。もう出ないと思われるし暗くなってきたので切り上げました。

ヤンバルクイナ
夕方に現れたヤンバルクイナ

夕食後は夜間撮影です。ゆっくりと車を走らせながらライトで生き物を探しますがなかなか見つかりません。ようやく飛翔するリュウキュウコノハズクやリュウキュウアオバズクが出ても近くにとまってくれません。集落内の公園へリュウキュウオオコノハズクを探しに行くも見当たりません。

リュウキュウオオコノハズク下見
リュウキュウコノハズク ※下見時に撮影

何気なく帰り際ライトを当てた木の枝にヤンバルクイナのペアが!みなさんに声をかけて「すぐに撮って!」と撮ってもらいました。普段なら眠っていると動かないのですが、満月近くの月が明るいせいか、すぐに動き出してしまったのでここで中止にします。そう、嫌がったら終了としています。&集落内なので「ヤンバルクイナをいじめている」と集落の方に思われるのも困るのでみなさんにも理解していただきました。その後も探すがフクロウ類が見当たりません。ようやく見つけたヤンバルクイナもやはりすぐに動き出し撮影ができませんでした。結局残念な夜間撮影になってしまった。

ヤンバルクイナ夜下見
ヤンバルクイナ ※下見時に撮影

<3日目>

5時30分に出発。昨日より早い準備を完了。後部ハッチを開けて風通しがいいようにします。昨日はこれをしなかったので蒸し暑くて大変だった。待つ事10分、車の前の耕運機の横から出現!昨日と違い、この日はゆっくりとこちらに近づき採餌を繰り返し、しっかりと撮影できたようです。このポイントの凄いことは近いと3m!超望遠レンズだとヤンバルクイナがはみ出しちゃう。ヤンバルクイナは一旦車の後ろ方向に消えていった。その後一度現れるがすぐに草陰へ。しばらくすると2羽で現れ近づいてくるが、こちらの殺気を感じてか?奥へ入ってしまいそれっきりだったので終了して、昨日朝食を食べた場所で朝食&休憩したのち宿へ戻り荷物を車に積み込むみシギ&チドリの撮影で喜如嘉へ。

ヤンバルクイナ朝
ヤンバルクイナ

途中下見の時に見つけたクロハラアジサシのポイントへ立ち寄りましたが、抜けたようでいなかった。喜如嘉もパッとせず早々に切り上げ、時間調整用の三角池へ向かいます。時間調整用に立ち寄ったのですが、クロツラヘラサギが4羽近くにいたので早速撮影してもらいました。

クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギ

他にはアオアシシギ・アカアシシギが対岸に群れていましたが、少し遠い。20分ほどすると潮が引いて干潟が出始めた水路に移動を始めます。撮影ができそうだったのでみなさんに声をかけてそちらに静かに移動します。干潟にとまるキアシシギ、アカアシシギを近くでばっちりと撮ることができました!喜如嘉を早めに切り上げての移動は正解でした。空港まではすぐ近くで余裕綽々で最後の最後まで撮影を楽しむことができました!


撮れた鳥
クロツラヘラサギ・コサギ・アマサギ・ヤンバルクイナ・コチドリ・ヒバリシギ・アカアシシギ・アオアシシギ・キアシシギ・コアオアシシギ・タカブシギ・セイタカシギ・ズアカアオバト・ツメナガセキレイ・リュウキュウヒヨドリ・ホントウアカヒゲ・オキナワシジュウカラ・リュウキュウコゲラ・リュウキュウメジロ・リュウキュウハシブトガラス・アカマタ・オキナワキノボリトカゲ

見れた鳥・さえずりが聞けた鳥
クロサギ・チュウサギ・ダイサギ・カルガモ・バン・イソシギ・チュウシャクシギ・ジシギSP・リュウキュウキジバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・カワセミ・ノグチゲラ・ツバメ・リュウキュウサンショウクイ・リュウキュウサンコウチョウ・イソヒヨドリ・ウグイス・セッカ・スズメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

夏の小笠原でゆったり探鳥入門

Report by 吉成才丈 / 2022年9月2日~7日

 

<1日目>
竹芝桟橋を出港したおがさわら丸が横須賀沖にさしかかると、オオミズナギドリが増えはじめました。そして外洋にでるとアナドリも出始め、本格的に海鳥観察をスタートしました。

おがさわら丸デッキでの観察
おがさわら丸デッキでの観察

初日はオオミズナギドリが中心で、アナドリやシロハラトウゾクカモメ、アカアシカツオドリなども出現しましたが、遠い個体が多かったため、じっくり見られたのはオオミズナギドリだけだったかと思います。海鳥を覚えるには、まずオオミズナギドリをじっくり見ることが大事です。

2日目は、オオミズナギドリがほぼ見られなくなる替わりにオナガミズナギドリが出てきますので、初日は基本種をばっちりご覧いただきました。

オオミズナギドリ
オオミズナギドリ

 

<2日目>
日の出の少し前にデッキの扉が開き、薄暗い時間帯から観察を開始しました。まだ暗く、撮影できない時間帯にアオツラカツオドリが出現。

夜明け
夜明け

その後はオナガミズナギドリやアナドリ、カツオドリに交じり、オガサワラミズナギドリやオガサワラヒメミズナギドリ、ハグシロハラミズナギドリなども出現しましたが、肉眼で識別できる距離ではなく、写真判定でようやくわかる程度でした。

オガサワラミズナギドリ
オガサワラミズナギドリ

父島に着くと、ははじま丸に乗り継ぎ、海鳥観察を再スタートしました。ははじま丸はおがさわら丸より小さいため海鳥までの距離も近く、双眼鏡で識別できる距離でオナガミズナギドリやアナドリを観察。

オナガミズナギドリ
オナガミズナギドリ

ちょっとレアなクビワオオシロハラミズナギドリも観察し、母島が近づくと、恒例のカツオドリ祭りが始まりました。

クビワオオシロハラミズナギドリ
クビワオオシロハラミズナギドリ

カツオドリは、船に驚いて海面近くに出てきたトビウオを狙って船と並走するのですが、冗談ではなく、本当に触れそうな近さまで接近してくれます。そして、トビウオを見つけたカツオドリは降下して海面に飛び込むのですが、いつ訪れるかわからないシャッターチャンスを待ち、皆さんは並走するカツオドリをファインダーで追い続けました。

トビウオを探すカツオドリ
トビウオを探すカツオドリ

トビウオを狙ったカツオドリ
トビウオを狙ったカツオドリ

母島の港に着くと、迎えに来ていたそれぞれの宿にチェックイン。一息ついたのちに専用車に迎えに来てもらい、この日は港周辺のポイントを軽く巡り、ハハジマメグロやメジロなどを観察しました。ハハジマメグロは集落にもいますが、鳴声がわかると比較的簡単に探せます。

世界で母島周辺にのみ生息するハハジマメグロ (森久美子様 撮影)
世界で母島周辺にのみ生息するハハジマメグロ(森久美子様 撮影)

ゲットウの花に来たメジロ(森久美子様 撮影)
ゲットウの花に来たメジロ(森久美子様 撮影)

<3日目>
まずは日の出頃に出発し、朝食前の朝探で畑周辺をチェックしました。狙いは、早朝の時間帯に出会うことが多いオガサワラカワラヒワとアカガシラカラスバトでしたが、カワラヒワは声のみ、カラスバトは飛翔が見られたのはお1人だけでした。朝食後には、母島の自然や植物のレクチャーを受けながら北港方面に移動。午後は沢沿いやダム周辺を探鳥し、渡ってきていたオオバンなども観察しました。そしてグランドでは、ヤツガシラを発見。母島でヤツガシラに出会うとは思いませんでしたが、この鳥は何度であっても興奮しますね。

ヤツガシラ(森久美子様 撮影)
ヤツガシラ(森久美子様 撮影)

ヤツガシラ(森久美子様 撮影)
ヤツガシラ(森久美子様 撮影)

しかし、それ以上に興奮したのがオガサワラノスリとの出会いでした。いつもなら簡単に、それも比較的近い距離で出会えるのですが、今回は遠くを飛翔する1羽が確認されただけでした。ところが、オガサワラノスリとの出会いを熱望されていた方が、電柱にとまる個体を発見。慎重に近づいてもらうと、予想外の至近距離で観察することができました。

オガサワラノスリ
オガサワラノスリ

<4日目>
今日は午後の便で父島に戻る予定でしたが、まさかのははじま丸欠航が決まり、母島にもう1日滞在することになりました。早朝は昨日に続き、オガサワラカワラヒワとアカガシラカラスバトを狙いました。カワラヒワは気配もありませんでしたが、参加者のお1人が、林内でカラスバトらしき鳥2羽を目撃。慎重に林内をのぞき込むと、アカガシラカラスバト2羽が樹上にとまっていました。朝の林内なので薄暗かったのですが、比較的見やすい父島での鳥見ができない今回は、これが唯一のチャンスになる可能性が高かったため、頑張って撮影頂きました。

アカガシラカラスバト
アカガシラカラスバト

朝食後には南崎の林内やグランドを、昼食後には畑や港などを訪ね、ゆっくり島内を巡りました。

ハハジマメグロ(森久美子様 撮影)
ハハジマメグロ(森久美子様 撮影)

<5日目>
今日はおがさわら丸の出航日でしたが、ははじま丸は予定通り、昼12時の出航が決まりひと安心..。早朝は最後のカワラヒワ狙いで出かけましたが、やはり出会うことができませんでした。朝食後のわずかな時間はハハジマメグロやヤツガシラを堪能しましたが、最後の最後で、なかなか姿を見せなかったハシナガウグイスが姿を見せてくれました。何度か丸見えになる状態ででてきたので、皆さんもバッチリ撮影できたと思います。

ハシナガウグイス(森久美子様 撮影)
ハシナガウグイス(森久美子様 撮影)

ははじま丸では、往きと同じくアナドリやオナガミズナギドリなどが近くを飛びましたが、きれいなアカアシカツオドリも船と並走してくれました。

アカアシカツオドリ
アカアシカツオドリ

父島到着後はおがさわら丸に乗り込み、小笠原海域での最後の海鳥観察に臨みました。恒例のお見送り後には、オナガミズナギドリやアナドリ、クロアジサシなども姿を見せて見送ってくれました。

恒例のお見送り
恒例のお見送り

<6日目>
最終日も日の出の少し前にデッキが解放され、薄暗いうちからスタンバイしました。明るくなると、遠くに青ヶ島が見えてきました。

クビワオオシロハラミズナギドリやカワリシロハラミズナギドリなども遠くに飛ぶなか、オオミズナギドリの数が徐々に増えてきました。オナガミズナギドリがオオミズナギドリに変わることで帰ってきたことを実感していると、アカアシカツオドリの集団が近づいてきました。白い個体や暗色タイプの成鳥、若鳥など、いろいろなタイプの個体が入り混じっており、合計で8羽くらいいたようです。ここまで様々な個体が入り混じる群れに出会ったことはなく、興味深い出会いでした。

アカアシカツオドリの集団
アカアシカツオドリの集団

船の北上に伴い、八丈島や御蔵島、三宅島、大島が見えてきました。大島沖を過ぎるころには浮上した潜水艦が目の前を横切り、東京湾に入るころに一旦、ご挨拶をして解散しました。観光客の多くは母島を訪ねることはありませんが、逆に言えば、母島はたくさんの自然で溢れており、固有種のハハジマメグロやオガサワラカワラヒワなどの希少な種が生息しています。

 

今回は、想定外のははじま丸欠航で母島に3泊することになりましたが、母島を隅々まで巡ることができ、貴重な体験ができたと思います。

 

(観察種数45種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

山形・天童でチゴハヤブサの親子を観る(2本目) 

Report by 簗川堅治 / 2022年8月21日~22日

 

2本目です。1本目と打って変わって、暑い日になりました。これでは観察も大変ですし、そもそも鳥の動きがなくなることから、1日1ヶ所での観察ではなく、2ヶ所を回ることとしました。

 

1ヶ所目。到着早々、梢に止まるチゴハヤブサを発見。♀親です。辺りをキョロキョロ見渡して、餌をさがしているようです。巣立った幼鳥の姿はありません。きっと暑いので日陰に潜んでいるのでしょう。しばらくすると、餌をとった♀親が巣の中に。どうやら、日陰の巣に幼鳥がいたようです。その後も♀親はしきりに餌を運んでは、幼鳥に与えていました。餌はアブラゼミ、ミンミンゼミ、オニヤンマのようでした。

給餌するチゴハヤブサの♀親
給餌するチゴハヤブサの♀親

 

幼鳥も時折、飛んでくれました。

飛ぶチゴハヤブサの幼鳥.
飛ぶチゴハヤブサの幼鳥.

 

2ヶ所目に移動しました。やはりまだ暑いのか、幼鳥は日陰に止まっています。運よく、陽の当たる場所に止まってくれたこともありました。

チゴハヤブサの幼鳥
チゴハヤブサの幼鳥

近距離だったため、幼鳥の特徴である眼の周りと、ろう膜が水色なのがはっきりとわかります。

この場所は、先に訪れた所よりも給餌回数は少なめながら、ゆっくりと楽しめました。

 

2日目。新たな場所、3ヶ所目に行ってみました。ここも街中です。到着早々、親子で飛んでくれ、止まりました。しばらくして親も発見。

見張るチゴハヤブサの親
見張るチゴハヤブサの親

 

他の2ヶ所よりは、鳥までの距離が近いのが、ここのいいところです。堪能していると、近所の人たちのラジオ体操の時間になったので退散し、次の場所へ向かいました。この日2ヵ所目は前日来た場所です。朝のわりには、あまり動きはありませんでしたが、♂♀幼鳥をじっくり観察しました。

 

街中の猛禽、チゴハヤブサ。いかがだったでしょうか?暑い中、参加者のみなさん、ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

山形・天童でチゴハヤブサの親子を観る(1本目) 

Report by 簗川堅治 / 2022年8月20日~21日

 

毎年恒例のツアーですが、昨年はチゴハヤブサの繫殖率が過去最も悪かったため中止となりました。今年は順調ですべての営巣地でツアー前に無事巣立ちました。初日は全国的にぐずついた天気で雨が降るのか心配な中、スタート。結果的には、何とか降らずに済んだのは幸いでした。

 

1ヶ所目に行きました。ほどなく、スギに止まる巣立った幼鳥を見つけました。すでに餌をもらって満腹なのか、じっとしています。

チゴハヤブサの幼鳥
チゴハヤブサの幼鳥

早速、近づいて観察撮影です。今度は別の幼鳥が飛び出して、離れたスギに止まりました。巣立って一週間になり、飛翔力もそれなりになってきたようです。しばらくすると、親が餌を持ってきました。幼鳥は親に比べるとか弱い声で「キィキィキィ……」と鳴きながら、餌乞いします。その後も何度か、親や幼鳥が飛び回りました。

飛ぶチゴハヤブサの親
飛ぶチゴハヤブサの親

この頃は、♀親が餌やりの中心になり、♂はあまり見られなくなることが多いようですが、ここの♂親はじっくりと観察することができました。

チゴハヤブサの親
チゴハヤブサの親

2日目。予報では朝から一日中、晴れとなっていました。朝食前に前日とは別の場所に行きました。ところが途中はけっこうな霧で視界不良です。これは参ったなと思っていましたが、観察場所は霧がかかっておらず、ほっとしました。住宅街の観察場所だったため、細心の注意を払いながらとっておきの場所で観察を始めました。♀親と巣立った幼鳥が3羽、高いヒマラヤスギに止まっていました。しばらく動きがなかったものの、♀親が狩りにいき、セミやトンボを捕ってきては幼鳥に与えるシーンが何度かありました。

セミを食べるチゴハヤブサの幼鳥
セミを食べる幼鳥

育雛中は小鳥を与えることが圧倒的に多いのに対し、巣立ち後はセミやトンボなどの昆虫が多くなります。セミやトンボを食べて腹いっぱいになるのか?と心配になりますが、その心配が無用のようです。元気な幼鳥は、何度か飛び回ってくれました。

 

一泊二日、しかも夕方と早朝のみの観察でしたが、山形の夏の風物詩・チゴハヤブサを堪能できました。参加者のみなさん、ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

夏の富士山・奥庭の野鳥と大磯海岸でのアオバト観察

Report by 吉成才丈 / 2022年8月22日~24日

<1日目>

途中から乗車する方を除き、新宿のバスターミナルに集合。ここから乗り換えなしで、標高約2,300mの富士山五合目まで行かれるのは本当に便利です。

予定より少し遅れて奥庭荘に着き、先着組に様子を聞くと、「この日の午前中はウソが1回出ただけ..」という不安な返答。

奥庭荘の水場
奥庭荘の水場

たしかに、昼食を済ませてじっと待っても、小鳥たちは出てきてくれません。

雨が多いことも影響しているのだろうと思ってさらに待つと、夕方になってようやく、ルリビタキやウソ、キクイタダキなどが出てきてくれました。
頂いた写真はどれもどアップですが、被写体までの近さが感じられますよね。

ルリビタキ(冨安市子様撮影)
ルリビタキ(冨安市子様撮影)

ウソ(冨安市子様撮影)
ウソ(冨安市子様撮影)

奥庭荘は山小屋なので夜間の消灯も早いのですが、早めの夕食後には、ガスの中で赤く染まる富士山も見られました。

ちなみに、奥庭荘の夕食は山小屋にしては豪華でウナギもついており、皆さん驚かれていました。

夕方の富士山山頂付近
夕方の富士山山頂付近

<2日目>

昨夜は時折強い雨が降ったものの、未明には雲がない時間帯もあったようで、素晴らしい星空の写真を撮られていた方がいて驚かされました。

夜明けの富士山の風景も美しく、これだけでも来る価値があると思います。

夜明けの富士山
夜明けの富士山

昨日は水場への飛来が少なくハラハラしましたが、この日は朝からルリビタキやウソ、メボソムシクイ、ヒガラなどがコンスタントに出てくれました。

メボソムシクイ(冨安市子様撮影)
メボソムシクイ(冨安市子様撮影)

光線状態もよく、シャッターチャンスも多かったと思いますが、平地では見慣れないウソの幼鳥はかわいかったですね。

ウソの幼鳥
ウソの幼鳥

そして、水場には降りてきませんでしたが、ホシガラスは近くのカラマツなどにとまってくれました。

ホシガラス(冨安市子様撮影)
ホシガラス(冨安市子様撮影)

奥庭荘の水場はすぐ目の前にあり、最短のポジションだと10mを切るほどの近さなので、観察は双眼鏡でも十分楽しめ、撮影は大砲レンズでなくても大丈夫です。

また奥庭荘の良さは、自分のペースで鳥見や撮影が楽しめる点にもあり、近くの散策路で景色や植物を見ながら鳥を探したり、奥庭荘で頼めるコーヒーを飲みながら座敷で鳥を見ることもできます。

なかには2階の室内から窓を開けて見下ろす方もおり、銘々に亜高山の鳥を楽しんでいただきました。

翌日のアオバト観察に備え、昼食後には大磯方面へ移動しました。

<3日目>

大磯・照ヶ崎海岸のアオバトは早朝からの飛来が多いため早めに現着したものの、すでに10名以上のカメラマンがスタンバイしていました。

アオバトは数羽から30羽ほどの群れがコンスタントに飛来し、磯におりては海水を飲む行動が観察されました。

アオバトの群れ
アオバトの群れ

アオバト
アオバト

海水を飲みに降りたアオバト
海水を飲みに降りたアオバト

しかし、この日はハヤブサ幼鳥が頻繁にアオバトを狙って群れに突っ込み、アオバトも落ち着いて海水を飲んでいられませんでした。

ハヤブサは若く、狩りも未熟なため、なかなかアオバトを捕らえることができません。おかげで(?)、緊迫の狩りの様子を何度も見ることができました。

やっとアオバトを捕らえたと思ったら、その後、海上に獲物を落としてしまいました…

獲物を捕らえたハヤブサ
獲物を捕らえたハヤブサ

アオバト以外にもクロサギやカワセミが出たり、ミサゴが海に飛び込んだりで、あっという間に時間が過ぎていきました。

トビ(冨安市子様撮影)
トビ(冨安市子様撮影)

ミサゴ
ミサゴ

クロサギ(冨安市子様撮影)
クロサギ(冨安市子様撮影)

暑さもあり、アオバトの飛来も少なくなるので早めに切り上げて解散しましたが、皆さん、チェックアウトしていなかった部屋に戻り、シャワーを浴びてお帰りになられたと思います。

大磯のアオバトは早朝の時間帯がよいので奥庭荘と組み合わせてみましたが、環境にも鳥にも変化があり、バラエティに富んだ鳥見ができたと思います。

また、ほぼ歩かずに自分のペースで楽しめるので、のんびり楽しみたい方には最適だと感じました。

(観察種数29種)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年5月14日~16日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今春は……?

 

1日目。一足早く島に入っていたガイドの簗川ですが、なんて言うことでしょう!島に鳥がいません。珍鳥どころか、普通種もいない有様。本当にほとんどいません。原因は晴天続きなことが考えられます。鳥が島に降りるのは、理屈上は天気が悪い時です。大海原を渡っている時に天気が崩れると、緊急避難的に島に降ります。逆に天気がいいと、島には降りませんし、島にいたものは飛び立っていきます。

 

そんな中でのスタートとなりました。何もいない島内をただただ歩くだけの時間が過ぎていきました。ようやく法木でミヤマホオジロ♂とキビタキ♀を見ました。

ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ(撮影・日下部様)

ヘリポートではチゴハヤブサがあっという間に通り過ぎ、サンショウクイが林縁に出てきました。

サンショウクイ
サンショウクイ

鼻戸崎では夕方恒例のアマツバメの乱舞が観察できました。

アマツバメ
アマツバメ(撮影・大林様)

校庭にも寄りました。ここも鳥がいませんでしたが、桜の木の下に鳥影がありました。アカハラです。

アカハラ
アカハラ(撮影・日下部様)

校庭での探鳥
校庭での探鳥

すると今度は冬鳥のジョウビタキ♂の登場です。

ジョウビタキ
ジョウビタキ(撮影・日下部様)

まだいるとは驚きです。帰り道では中村集落でムギマキのさえずりが聞こえてきましたが、姿は見えず。コシアカツバメの声がすると思ったら、上空を飛ぶ姿を確認しました。手前の電線にコシアカツバメがいて、ツバメと並んでいました。

コシアカツバメ
コシアカツバメ(撮影・大林様)

2日目。早朝、カラスバト狙いで定点です。いつもは30分も待っていれば現れて、そこそこじっくりと見られるのですが、ついてない時はついてないらしく、現れてくれませんでした。続いて校庭へと向かいました。今日もジョウビタキがいました。オオルリのさえずりが聞こえてきたので、辺りを見渡すと、いました。

オオルリ
オオルリ

緑に青がきれいです。続いて「ツィー」と小声で飛び出してきたのはマミチャジナイです。

マミチャジナイ
マミチャジナイ(撮影・日下部様)

さて、この日は1便欠航です。朝食後、ウミネコのコロニーを観察し、孵ったばかりのヒナを確認。

ウミネコのコロニー
ウミネコのコロニー(撮影・日下部様)

お隣の崖には、常連のハヤブサが登場。そのうがパンパンに膨れています。

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・日下部様)

鳥は相変わらずしないので、観光がてらに柏木山に登り、御積島を眺めました。

白瀬沢ダムでは、昼食をとりながらセンダイムシクイとオオルリなどが少し観察できました。マミジロのさえずりも聞こえました。

センダイムシクイ
センダイムシクイ(撮影・大林様)

四谷ダムも鳥影はなく、林道を進んで八幡崎へ。すると、2の畑でアカモズの亜種カラアカモズが出たとの情報が入り、戻って再び2の畑へ。島中のバードウォッチャーが集まったかのように人だかりが!探すことしばし、いました、いました、カラアカモズ!

やや遠いものの、いい所に止まっては地面に降りて、餌をとることを繰り返しています。ようやく鳥を見た感が出てきました(笑)

亜種カラアカモズ
亜種カラアカモズ(撮影・日下部様)

3日目、最終日です。今日も鳥はいません。昨日同様、ウミネコのコロニーとハヤブサを観察。

ウミネコの親子
ウミネコの親子(撮影・大林様)

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・大林様)

風もなく天気もいいので、一路、荒崎へ向かいました。御積島を眺めつつ、名物のカンムリウミスズメを探します。ベタ凪なので好都合です。すると、200m程度は離れているものの、6羽のカンムリウミスズメを確認!うち3羽は少し手前にいます。これはラッキーです。御積島とカンムリウミスズメを見ながら昼食をとり、今回のツアーを終えました。

カンムリウミスズメ
カンムリウミスズメ(撮影・大林様)

 

天気が良すぎて生憎、鳥はいませんでしたが、これも離島の宿命です。次回はきっといい鳥に出会えることを期待しながら、解散しました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

鳥取・八東ふるさとの森でアカショウビンを撮る【2本目】

Report by 戸塚学 / 2022年7月11日~13日


<1日目>

天気は予報に反して晴れ。空港でお客様をピックアップし、そのまま現地へ。到着早々、オジサンが呼ぶので行ってみるとコノハズクがいた!前回の組が帰った後に巣箱が見つかったようで・・・あと1日早ければと思ってしまいました。みなさんを連れて現地の説明をして廻ります。その時に先ほどのコノハズクを高台から探すと、枝越しに確認!場所を教えて撮影を楽しんでもらいました。

昼間のコノハズク

続いてアオバズクがいるポイントへ移動します。アオバズクがいる場所を教えると、こちもみなさん必死に撮影をされています。以前ならここでシャッターシャワーが響き渡るのですが、ミラーレスカメラが多いので静か静か(笑)

アオバズク

さて本題のアカショウビンです。昨日2時間出ていた場所へ行き、待ちますが・・・出ない。しかしオオルリが低い場所へ降りてきてくれたことが唯一の救いだったかな?17時になったのでタイムアップ。夕食のために移動しました。

オオルリ

夕食は焼肉です。地場産の野菜と牛・豚・鹿の三種盛。とてもおいしく頂きました。夜はアオバズク組とコノハズク組に分かれて撮影を楽しみました。コノハズク初体験の方の興奮はこちらにも伝わります。アオバズク組ははじめ2名だったので、もう近くで出まくり、飛びまくり、留まりまくりでとても満足されていました。途中からは一般の宿泊者もアオバズクの方に移動をしたためコノハズクの撮影者が減ります。こうなるとやはりプレッシャーが減ったせいか、出が良くなりペアどまりまで撮れてしまいました。22時に小雨がぱらついたのでみなさん切り上げてバンガローへ戻った30分後すごい豪雨になり、ぎりぎりセーフでした!

コノハズクのペアどまり

<2日目>

4時30分いつもなら名物館長の「おはよ~~~」が森に響き渡るのですが、さすがに雨が降っているせいか鳥たちのさえずりはお休みのようです。早朝撮影は誰も出ていなかったようなので朝食をとりました。食べ終わると雨が止んで陽が差し出したのでアカショウビンのポイントへ。しかし出ません・・・。鳴き声もしません・・・。

ブナの森

お昼になったので鹿カツカレーのランチをいただき、休憩をしているとスタッフの方が「アカショウビンが鳴いてるよ」と教えに来てくれたので外へ出てみると鳴いてる!その方向を見ていると・・・何かがこちらに飛んできた。そして頭上を通過した際に黒いシルエットの頭がロケット!アカショウビンだった。これは出るかもと雨の中、建物の庇の下で待つが・・・出ない。出ないまま夕食の時間です。今晩は酒米で作った特性パエリア!おいしく頂いた後は夜の撮影です。昨日とは逆にアオバズク組とコノハズク組が入れ替わって撮影開始。しかし・・・雨が止まないどころか時々土砂降り。傘をさしての撮影はなかなか夜間という事もあって厳しい。それでも22時までみなさん頑張って撮影をされていました。

左:鹿カツカレー 右:特性パエリア

<3日目>

4時40分・・・遠くでアカショウビンの鳴き声が聞こえたと思ったら、バンガローの近くで、大音量で鳴き声が響き渡る!はっきり言ってやかましい(笑)トイレに行くとどうやらアカショウビンは鳴き交わしているようで、まるで合いの手を入れるようにトラツグミの「ヒ~~~~」が聞こえてくる。「これはみんな朝が早いな」と思いながらもうひと眠り。

5時30分にアカショウビンのポイントへ行くと参加者が4名のみ。どうやら一般の方はこの雨で撮影は諦めたようでした。その後に2名の参加者が加わり私たちのグループで貸し切り状態だというのにアカショウビンは出ません。7時になったので朝食を食べに一時中断。

朝食の時に荷物をまとめていただき管理棟へ預け、朝食後も雨の中10時まで粘りますが・・・ダメだった!野鳥ではないのだが、ここのマスコット的存在のアナグマ「はじめちゃん」はこの3日間行方不明。会いたがっていた参加者はがっかりしていたが仕方がないですね。11時に迎えのバスが来たので乗り込み、みなさん無事に駅と空港で解散となりました。
天気予報が当たらない、コノハズクが出たのにアカショウビンは大きな声と飛び去るシルエットだけだったが、それでもみなさん楽しんでいただけたようでなによりでした。

アカショウビン(別日)

撮れた鳥
コノハズク・アオバズク・オオルリ
観られた鳥・さえずり
キビタキ・トラツグミ・キセキレイ・カケス・オオアカゲラ・クロツグミ・ミソサザイ・ジュウイチ・アオバト

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員