沖縄本島と奄美大島で2つのアカヒゲを見る旅【沖縄編】

Report by 簗川堅治 / 2023年4月3日~7日

アカヒゲは奄美大島などに生息する亜種アカヒゲと沖縄本島などに生息する亜種ホントウアカヒゲの2つの亜種があります。現在は亜種ですが、近いうちに別種になる見込みとのことで企画したツアーです。こんな風変わりなツアーは、ガイド簗川の得意分野です(笑)

 

1日目。沖縄本島からスタートです。まずは超有名な三角池へ行きました。お馴染みのクロツラヘラサギの群れに、これまたお馴染みのヘラサギの姿も。

 

クロツラヘラサギ(撮影:河田様)

セイタカシギがパラパラとして、アオアシシギが飛んできます。遠くにいるのはオジロトウネンとヒバリシギ。電線ではシロガシラと亜種リュウキュウハシブトガラスがやかましく鳴いています。

今度は一気に北上して、やんばるへ。とあるポイントで亜種アカヒゲとヤンバルクイナを待ちます。亜種リュウキュウサンショウクイ、亜種リュウキュウメジロなどが鳴いていますが、アカヒゲは姿どころか、声もせず。ヤンバルクイナは声のみ確認して、この日は終わりました。

 

2日目。沖縄とはいえ、やや肌寒い朝です。

早朝に出やすいヤンバルクイナを求めて、日の出時刻前に出発。道路を横切る個体を2羽、そしてリュウキュウイノシシを4頭見ることができました。

朝食後、アカヒゲのポイントへ。アカヒゲを見る前にノグチゲラが目の前の枯れ木に飛んできました!これはラッキー!どうも巣作り中のようで、穴の中から「コンコン、コンコン…」と音がします。影響を与えないように距離をとり、短時間の観察です。

 

ノグチゲラ(撮影:塚本雄次様)

肝心のアカヒゲはいるにはいるものの、なかなか出てきてくれませんでした。しかし、♂♀を見て、しかも♂が水浴びをしたシーンを撮影した方がいました!

 

亜種ホントウアカヒゲ♀(撮影:河田様)
④亜種ホントウアカヒゲ♂(撮影:河田様)

道の駅で昼食をとり、止まっているリュウキュウツバメを撮影していたところ、その光景を見た一般観光客が「何なに?」と言わんばかりに集まり、一般観光客もスマホなどでリュウキュウツバメの撮影をし始めました(笑)

 

リュウキュウツバメ(撮影:河田様)

その後は、シギチなど水辺の鳥を求めて付近の田んぼに行くも、成果は上がらず。それもそのはず、その辺りは以前とは比べ物にならないくらい環境が変わってしまい、シギチが立ち寄る場所ではなくなったようです。午前中、アカヒゲやノグチゲラを見逃した人がいたので、再びそのポイントへ。しかし、なかなかいい成果を得られないまま、この日は時間切れとなりました。

 

3日目。沖縄本島最終日です。でも、時間があまりありませんので、夜明け前から行動し、ヤンバルクイナ探しに。実績のあるポイントで待つも現れず。ただし、道路に出てくる個体は数回見ることができました。朝食後は小一時間の勝負!アカヒゲのポイントで、どうにかアカヒゲの♂を見ることができましたし、サンショウクイの亜種リュウキュウサンショウクイをやっとじっくり見ることができました。

亜種ホントウアカヒゲ♂(撮影:塚本香代様)
亜種リュウキュウサンショウクイ(撮影:河田様)

 

さぁ今度は奄美大島に向かうために那覇空港へ車を走らせます。やんばるは、やや肌寒かったものの、那覇は暑い!空港で昼食を済ませ、奄美大島へ飛び立ちました。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の交差点・春の与那国島【後編】

Report by 簗川堅治 / 2023年3月28日~31日

3日目。久部良の学校グランドで亜種ホオジロハクセキレイやムネアカタヒバリなどを見たあと、久部良バリへ行きました。駐車場に着いた、まさにその時、海側からちょうど今島に渡ってきたかのようにヤツガシラが目の前のアダンに止まり、サービス満点!またまた大盛り上がり!

 

ヤツガシラ

久部良バリをあとにし、観光を兼ねて西崎へ行き、自衛隊駐屯地の前を通り、カタブル浜へ。残念ながら、シギチの仲間はお留守でした。

今度は比川の集落を歩き、鳥を探し始めた途端、すぐそばの木からクロウタドリ♂が飛び出し、木立ちの中へ。しばらく待っていると、畑などに何度か出てきてくれました。♀も出てきました。ヤツガシラといい、クロウタドリといい、なかなかいいタイミングです。

 

クロウタドリ

この日の昼食は弁当にしたので、森林公園で鳥待ちしながら弁当開きをしました。しかし、これといった鳥は出ませんでした。

再び久部良へ戻り、学校のグランドでかなり赤くなったムネアカタヒバリやハクセキレイの各亜種をじっくり観察。亜種メンガタハクセキレイっぽい個体がいましたが、どうも交雑種っぽい感じでした。

亜種メンガタハクセキレイの交雑種?
ムネアカタヒバリ夏羽

学校付近でギンムクドリ、ムクドリを見て、三度、学校グランドを見ていたら、ヤツガシラ登場!何度見ても大盛り上がり!きっと今朝、久部良バリで見た個体でしょう。けっこうな時間、みんなで楽しみました。

 

ヤツガシラ

今度は観光です。チィンダバナ、アヤミハビル館、軍艦岩、立神岩、人面岩に行きました。

その後、警戒心が強いアカツクシガモをなんとかじっくり観察。最後は、久部良ミトでサギ類やセイタカシギを見て、3日目終了しました。

 

アカツクシガモ

 

4日目。最終日はあまり時間がありません。まずは有志で夜明け前に久部良ミトへ行きました。ゴイサギの声から始まり、ヒヨドリ、シロガシラ、メジロ、ノゴマ、そしてオオクイナが鳴き出しました。明るくなり、ダイサギなどのサギ類も見えてきました。

朝食を済ませ、残り2時間の探鳥です。昨日、ヤツガシラがいたアヤミハビル館に行こうとしたら、その入り口で正面からヤツガシラが飛んできました!電線に止まり、草地に降りましたが、すぐ飛んでいってしまいました。

 

今度は未だ出ていないオオチドリ狙いで東崎へ。しかし、相変わらずツメナガセキレイやムネアカタヒバリくらいでした。最後の望み、浦野墓地へ行く途中、時々オオチドリが出る畑を通っていったその時、ついにオオチドリ発見!9回裏で見事逆転した気分です!思う存分、観察撮影しました。そこにはムネアカタヒバリやとてもきれいな亜種マミジロツメナガセキレイもいました。そうこうしているうちに、オオチドリは突然飛んでいきました。

 

オオチドリ

最後は、祖納の集落のパン屋さんでそれぞれパンを買い、空港で解散しました。

 

全体的には種類も個体数も少なかった与那国島ですが、ここならではの鳥たちに出会えた4日間でした。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の交差点・春の与那国島【前編】

Report by 簗川堅治 / 2023年3月28日~31日

春の琉球らしく、ぐずついた天気の中、条件付きで飛んだ飛行機は無事到着しました。まずはムクドリ類を求めて比川へ。しかし、見当たらなかったので、とりあえず昼食をとりました。その後、雨が上がっている隙に集落内を歩き、ムクドリ類を探していたら、コホオアカやクロウタドリが現れました!比較的じっくりと観察。

 

クロウタドリ

今度は久部良へ移動し、ムクドリ類を発見!100羽ほどのギンムクドリにカラムクドリ数羽、ホシムクドリ2羽が混じっていました。中学校のグランドではマミジロタヒバリ、亜種ホオジロハクセキレイの姿がありました。

 

ムクドリ類の群れ

次は祖納へ。小学校のグランドでヤツガシラを発見!樹上休んで、その後、地面で採餌する姿を観察撮影しました。大盛り上がりです!近すぎて車外には出られなかったので、座席を替わりながら撮影大会となりました。

 

ヤツガシラ

田んぼではハクセキレイの亜種ホオジロハクセキレイ、亜種タイワンハクセキレイ、そして亜種シベリアハクセキレイがいました。ツバメチドリもいました。

 

 

亜種シベリアハクセキレイ
ツバメチドリ

この日の最後は、オオノスリとアカツクシガモを待ちましたが、現れず。明日に持ち越しです。

2日目。夜明け前に出発し、林道へ。狙いのオオクイナ、リュウキュウコノハズクの声はしなかったものの、車中からヤマシギ1羽とミゾゴイ2羽をじっくりと観察できました。その後、アカツクシガモ3羽とオオノスリ1羽も何とか見れました。

 

ヤマシギ
ミゾゴイ

朝食後は東崎に行き、多数のツメナガセキレイとムネアカタヒバリ1羽を観察しました。

 

亜種ツメナガセキレイの群れ

その後、祖納の集落を歩くも、インドハッカを見た程度。昨日、ヤツガシラを見た場所にも行きましたが、お留守。なかなかぱっとしません。

昼食を挟んで、比川へ行き、集落を歩きました。耕作放棄地にコホオアカが5羽以上いて、チュウジシギらしいジシギも観察しました。狙いのムクドリ類は、今日も現れず。ただ、最後にヤツガシラが飛び立ち、後ろ姿のみ見れました。

今度は祖納の田んぼで主にハクセキレイの各亜種を観察し、この日も亜種シベリアハクセキレイが1羽、亜種タイワンハクセキレイが2羽、亜種ホオジロハクセキレイが複数いました。そして、オジロトウネンの姿も。

 

オジロトウネン

最後は違う田んぼで土砂降りの雨の中、アメリカウズラシギの夏羽を見て、この日を終えました。

 

アメリカウズラシギ夏羽

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簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 【2本目】

Report by 戸塚学 / 2023年4月9日~12日

世界遺産になってからの初めての奄美大島ツアー2本目。
1本目と打って変わり天気は基本晴れ。奄美大島とは思えないほど乾燥した空気でさわやかな気候に戸惑いましたが、最終日は雨上がりの蒸し暑い奄美大島本来の空気を感じられたと思います。1本目に続き2本目も予定をしていた種類を2日目でほぼクリア!残念だったのはナイトツアーでアマミノクロウサギ以外は出現率が低く、リュウキュウコノハズクは見られただけ、アマミヤマシギに至っては出現すらないというのは残念な状況でしたが、それも自然相手のことなので仕方がありませんが、他の固有種の鳥たちはがっつりと撮影ができたようでみなさま笑顔でお帰りいただきました。

 

絶景

1日目

空港へ到着するとすでにほとんどのみなさんが到着されていました。全員そろったのでジャンボタクシーに乗り込み現場へ向かいます。まずは森に入る前に注意事項を伝えて、各ポイントを廻りました。とりあえずはアカヒゲから狙いましょうと話して歩きはじめると私の足元から何か「コツコツ」という音が???下の草むらに目を移すと?オオアカゲラが!慌てて、そして静かに離れ参加者のみなさんに手招きして撮影を楽しんでもらいます。かなり愛想のいいメスでしっかりと撮影をすることができました。アカヒゲポイントに行く前に思わぬうれしいハプニングでした。

 

さてアカヒゲポイントへ到着するもさえずりは聞こえて来ません。静かにさえずりが始まるまで待つこと10分、さえずりが始まりました。声のする方へ移動しながらじっと目を凝らしながら待ちます。手前の低木の葉の奥に小さな黒い塊を見つけたので双眼鏡で覗くとアカヒゲのオスです。みなさんを集めて場所の説明をするのですが、だいたい1ヶ所に1人しか見えるすき間が無いので苦労します。あちこち探して、撮影できるすき間を探してなんとか全員確認はできたようでほっとします。あとはさえずった後に移動するので同じように探して撮影をしてもらいました。

 

アカヒゲ

 

次は問題のオオトラツグミです。ポイントに到着した時に「ぼ~っと」周囲を見てください。じっと1点を凝視しても見つかりません。動いたらオオトラツグミですから撮影してくださいと伝えました。何度も出てくれるのですがこれがやはり手強い。それでもとりあえず全員撮れたとのことでほっとします。ルリカケスは目視となんとなく枝被りしつつも撮影はできたようなので明日以降に持ち越しという事で終了しました。

 

オオトラツグミ

 

2日目

5時にホテルを出発して薄暗い森を進み絶景ポイントで朝陽を待ちます。その後はここでお弁当を食べて出発です。まずは人でごった返す前にオオトラツグミを狙います。近くにルリカケスがやって来るのでなんだろうと見ていると木の洞に入った?その後落ち葉をくわえて入った?2羽で入った?どうやら巣を造っているようです。あまりこちらを気にはしていないようなのでこちらも刺激をしないようにオオトラツグミを待ちます。やはり5回ほど出るも近くに来ない。あと1回来たらポイントを移動しましょうと言った後、来た!どんどん近づきこちらの前に!いやぁ~ついてるわ。

 

大満足でアカヒゲポイントへ移動します。こちらも昨日同様アカヒゲが良く出てくれます。昨日の「ちょっとだけよ」ストレスも完全に吹き飛んだようです。そして水場の近くでルリカケスを待ちますがなかなか下に降りてくれません。そのうちチャンスがあるから後回しにしましょうと歩き出すとまたしても私の足元で「コツコツ」黒い頭が上下しています。オーストンオオアカゲラです。今日は昨日よりも長時間移動をしながらしっかりと近くで撮影を楽しめました!残念なのはオスも近くに飛んできたのに撮影ができなかったこと。二兎ならぬ二鳥を追うもの一鳥も得ずを実感してしまった。この日は夜にナイトツアーがあるので12時に終了して夜まで休憩にします。

 

オーストンオオアカゲラ・♀

 

21時30分ホテルのフロントに集合してナイトツアーのジープを待ちます。少し早い時間に到着したので乗り込み出発です。コースの入り口でナイトツアーの注意事項や説明を聞いてジープが走り出すとすぐにヒメハブを発見!

 

ヒメハブ

 

その後は道路が乾燥しているせいかカエルが見つかりません。イシカワガエルに出会えるか少し心配になります。そんな心配をよそに次々とアマミノクロウサギが出てくれますが、あまりじっとしてくれず撮影に苦労します。

 

アマミノクロウサギ・仔ウサギ

 

そしてリュウキュウコノハズクは鳴いてはいますが、なかなか発見できません。ようやく見つけたのですが、小さいし木の枝のこぶにしか見えないので、説明中に飛ばれてしまい・・・それっきり見つけることはできませんでした。期待しているアマミヤマシギも出ません。一番期待のダートコースもクロウサギは出ますがヤマシギはさっぱり・・・痛い。乾燥&気温が低いことが関係しているのか?それともすれ違った一般観光客の2台の車が来たせいかわからなかった。今回のナイトツアーは生き物の少ない結果となってしまった。

 

3日目

昨夜が遅かったのでこの日はゆっくりと9時に出発します。アマミヤマシギ・リュウキュウコノハズクは夜しか期待できないので諦めるとしても他はすでにいい感じに撮れています。ので、今日は自分の「狙いたいものをがっつり狙う」日にします。私は各ポイントを廻りアドバイスしたり、探す手伝いをしつつポイントを移動する作戦です。これのいいところは少人数とはいえ6人でぞろぞろ歩いたり、待ったりするよりもより少人数の方が撮影チャンスが高くなるのです。お昼を挟んで約9時間たっぷり時間を取ったことでしっかりと撮影できたとみなさん満足顔でした!

 

4日目

夜にしっかり降った雨がまだ少し残っているようでしたが、現場手前では止んでしまいました。しかしちょっと気になるのは標高が高いので「霧」が気になります。予想通り標高が上がると車のヘッドライトに霧が反射してほとんど前が見えません。ノロノロ運転で進んでゆくとドライバーさんが「ハブよ!」と車を停めて道路わきを逃げて行くハブを見ることができましたが・・・。ちょっぴり心配になります。ようやく到着です。まずは荷物を降ろして雨がしのげる庇の下で待機しますがキリが濃すぎるし夜明け前で暗い。霧のせいで視界は悪いし、何よりもハブを見ちまったのでうかつに森を歩けません。6時を過ぎるとだいぶ明るくなったのでお弁当を食べます。そして6時30分移動開始です。絶景ポイントは景色も足場周辺も視界があるのでここで1時間待機。ようやく視界が開けてきたので昨日同様各自好きなポイントで撮影をしてもらいます。

 

9時を過ぎると一気に霧がはれてきました。絶景ポイントではルリカケスが群れで飛びまわったり、リュウキュウサンショウクイ、カラスバトも確認できました。

 

ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス

リュウキュウサンショウクイ

カラスバト

 

残念ながらサシバの渡りはピークを過ぎてしまったようで1羽だけ確認ができました。他にもリュウキュウメジロ・アマミシジュウカラ・アマミヤマガラも出てくれ撮影もできました。森の中では二ホンミツバチの分蜂を一部の参加者と見ることもできました。そしてオオアカゲラはなぜか私が遭遇するのはメスばかり!

 

リュウキュウメジロ

 

時間になったので空港に向かいます。しっかり撮れてハイテンションで明るい車内となるはずが、みなさん疲れて眠りこけたまま空港到着してしまいました(笑)そしてそれぞれ帰路に付かれました。ご参加していただいたみなさまお疲れまでした!

 


撮影できた鳥・生き物
アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・シロハラ・アトリ・オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ズアカアオバト・ルリカケス・アマミノクロウサギ・ヒメハブ・シリケンイモリ・二ホンミツバチ
見られた鳥・生き物
リュウキュウツミ・リュウキュウキジバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・ダイサギ・リュウキュウハシブトガラス・アカハラ・アマミトゲネズミ・クマネズミ(外)

 

声が聞かれた
アオバズク・カラスバト・リュウキュウコノハズク

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 【1本目】

Report by 戸塚学 / 2023年4月5日~8日

世界遺産になってからの初めての奄美大島ツアー。2年連続で新型コロナの影響もあり中止になっていたため、ある意味手探りな部分もありました。予定していた場所が現地ガイドと一緒でないと立ち入り禁止等の新ルールに戸惑いましたが、メインにしていた場所にもオオトラツグミが定着してくれたことで2日目にしてすべての撮影予定種を撮影でき、あいにくな天気であったもののナイトツアーもジープを利用することでスムーズな撮影ができました。またマングース・ノネコの駆除が上手く行っているようで過去最高の生き物との遭遇と撮影を楽しめました。

ルリカケス

1日目

天気予報では曇り時々雨がなんとか晴れています。
みなさん飛行機の到着時間の関係で予定時間よりも早く奄美空港に到着していたようで集合時間前に集まられていたので、ジャンボタクシーの到着とともにポイントへ移動します。ここでは今回一番難しく苦労するであろうオオトラツグミがあっけらかんと到着早々に撮影することができました。引き続きアカヒゲポイントへ移動するとこれまたすぐ近く!最短では1.5mのところまで来ることも!!!近すぎても撮影には向かないのでアカヒゲが移動して枝や木の倒木に上がったところをがっつり撮影することができました。早々に手強い2種を撮影できたことで余裕ができるのですが、一番たくさんいて撮りやすいはずのルリカケスがなかなか撮影させてくれません。以前水浴びをする鉄板のポイントも今年は下見時を含めちっとも水浴びをしてくれずちょっと困りますが、まだ時間はたっぷりあるので明日以降に期待だ!

オオトラツグミ

2日目

天気予報よりも少しマシな小雨&曇り。5時出発だったので到着してもまだ暗く明るくなるまで待機をしてある程度視界がとれるようになってからお弁当を食べるが・・・そのボリュームにびっくり!おむすび2つくらいかなと思ったが夕食用と勘違いするボリューム!ただしおいしいから許すしかない(笑)
薄暗い中、森の中を歩いてアマミヤマシギを探します。しかし・・・いません。そうなればオオトラツグミを狙うしかありません。約3時間待って5回ほど出現してくれたので移動します。そしてアカヒゲポイントへ行くとこれまた大サービスで撮影をさせてくれました。

アカヒゲ

さて残るはルリカケス。下見の時によく出ていた場所で待つと終了時間前に出てくれてこれまた大サービスで撮影させてくれます。12時で切り上げなので「名残惜しいですが」と参加者のみなさんを駐車場に促し歩き出すと、ルリカケスが飛び去った森に何かが?飛んで来て木の幹にとまった?オーストンオオアカゲラだ!静かにそれでいて小走りに近づき撮影をします。メスでしたがしっかりと撮影できちょうど飛び去ると12時ジャスト!タクシーに乗り込むと雨が降り出す。みなさんもってるわ!夜はナイトツアーがあるのでお弁当を買ってホテルで時間まで休憩です。

ルリカケス
オーストンオオアカゲラ

21時45分ホテルのロビーにナイトツアーのスタッフがお迎えに来たのでジープに乗って出発です。ポイントは時間予約制なのでゲートインまで準備をします。いざ入るとすぐに水路にヒメハブ!すごい擬態で絶対自分では見つけられない。他にもアマミハナサキガエルが道路上を飛び跳ねます。5分も進むといきなりアマミノクロウサギが出現!その後も結構な出現率ですが子供が多い。初めは数を数えていたがあまりにも出るのでもうやめた!フロントガラスを倒し、幌を外しているのでどのポジションからも撮影できるのがこのツアーの一番のいいところだろう。満月は雲に隠れているが時々明るくなる。そのためか森の奥からオオトラツグミの美声が響き渡ります。寝ている姿を探すも姿は見当たりませんでした。私たちが一番期待するアマミヤマシギは気づくと飛ばれることが多くちょっぴりストレスがたまりだしていたが、出現率が上がれば確もが上がるので撮影がスムーズにできるようになりみなさん余裕が出てきます。

アマミノクロウサギ
アマミヤマシギ

残るはリュウキュウコノハズクですが、とにかく小さく木のちょっとしたこぶに見えるので、説明してもなかなか見つけられず「あそこ、ほらあそこ」と説明をしているとも1羽が飛んで来て求愛給餌した!給餌した個体はすぐに飛び去り、エサをもらった個体も食べ終わると飛び去ったため私も撮影ができなかったがこんなシーンを見られただけでもラッキーだ。その後電線にとまった姿は近くで撮影できた。電線を伝わり歩くアマミケナガネズミも撮影できたし、道路わきを飛び跳ねるアマミトゲネズミも見られたし想像以上の出来だったと思います。ホテルに戻ると1時を過ぎていましたがこれで文句を言う参加者はいないだろう(笑)

リュウキュウコノハズク
アマミケナガネズミ

3日目

昨夜が遅かったので今日はのんびりスタート。みなさんに「朝食バイキング期待してね」と伝えてあったがアイスクリームの位置を教えることを忘れたのが失点だ。9時スタートで出発するも外は雨と霧。風も強く外に出る気になれない。前2日でほぼ予定している鳥の撮影もできているし昨夜の疲れもあるので管理棟の休憩室で13時30分までのんびりしていただき、雨・霧が収まった来たので森に入り撮影をします。17時まででしたが少し寒いし暗いのでジャンボタクシーの到着を待って早々に帰路につきました。

朝の風景

4日目

天気は晴れ!朝食のお弁当は「減らして」とお願いしてあったのでちょうどいいかちょっと多めな感じ。今日は予定していた場所ではないので、ジャンボタクシーは送迎のみ。なので荷物をまとめ置きしておき私は荷物番をしながら待機。みなさんすでに勝手知ったる森の中なので自由に散策と撮影を楽しんでもらいます。荷物を置いた場所の近くがとても見晴らしがいい場所なのでここでルリカケスとサシバが飛翔する姿を狙ってもらいます。
終了時間が近づいてきたのでジャンボタクシーにこちらへ迎えに来てもらおうと駐車場に行くがなかなか来ない。私も着ていた雨具の上下をザックにしまおうとみなさんのもとに戻ると、オオアカゲラのメスが近くで採餌していた!最後の最後まで引き当てるとはさすがです。12時になったので駐車場に行くとジャンボタクシーが待っていました。ドライバーさんに車を回していただきピックアップ。空港へ向かいます。ここでお別れですが、帰宅するのは1名だけであとは全員後泊するとのことで、やはりここまで来たのだからなぁと納得して終了となりました。

サシバ
リュウキュウサンショウクイ

 


撮影できた鳥・生き物
サシバ・アマミヤマシギ・リュウキュウコノハズク・アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・シロハラ・オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ルリカケス・アマミノクロウサギ・アマミケナガネズミ・ヒメハブ・アマミハナサキガエル

 

見られた鳥・生き物
リュウキュウツミ・リュウキュウキジバト・ズアカアオバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・ダイサギ・リュウキュウハシブトガラス・アマミトゲネズミ・クマネズミ(外)・イシカワガエル・シリケンイモリ

 

声が聞かれた
アオバズク・カラスバト

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【後編】

Report by 戸塚学 / 2023年1月10日~13日


<3日目>

この日も6時に集合して夜明け前に出発です。しかし気温は-11度と暖かい。ポイントは昨日よりも人が少ない。地元や常連さんは良く知っている。それでも現場にいなければチャンスはないので撮影をしてもらいました。結果はやっぱりでしたが、まぁ自然相手ですのでこれも仕方がないことです。

朝食後は宿のオーナーがエゾリスとエゾモモンガが出るかも?という場所へ案内をしてもらいお昼まで粘ってみました。残念ながらエゾリスは姿を現さなかったのですが、エゾモモンガは1度だけちょろっと出てきて用便を済ませる瞬間を撮ることができました。

一瞬だけ姿を現したエゾモモンガ
一瞬だけ姿を現したエゾモモンガ


昼食後は伊藤タンチョウサンクチュアリーで撮影後、夕日のポイントへ移動します。ここにはバードテーブルが設置してあるので集まる小鳥も撮影できます。運が良ければと思っていたシマエナガが3回も来てくれて、タンチョウと小鳥で大忙しの時間を堪能できました。

シマエナガ
シマエナガ
 

<4日目>

最終日も6時に集合して夜明け前に出発です。気温は-11度・・・期待は薄いなとポイントへ向かうと停まっている車は少ないのに橋の上は人でいっぱい!どうやら韓国のグループのようで、すでにインバウンドが始まっていたのかと驚いた。来年以降はどうなるかとちょっぴり心配になる。

それでもすき間はあるのでその間から数人に狙ってもらい、残るメンバー空いている右端でスタンバイしまました。するとどうでしょう、この場所だとタンチョウの群れと色づく川面を絡められることがわかり、左にいた人たちを呼び寄せ撮影をしてもらいます。途中ヤマセミが頭上を飛ぶ姿を見送ることもできてラッキーでした。

朝焼けに色づく川面とタンチョウの群れ
朝焼けに色づく川面とタンチョウの群れ

 

太陽が昇ると韓国のグループがいなくなったことに気がついたので、左の方へ移動しながら観察するとすると・・・右からの場所からは見えないところにタンチョウの群れが!その周囲に先ほどまでなかった霧氷がびっしりと着き太陽の光に輝いてる!大急ぎでみなさんを呼びに行き、「早く撮って!!!」と私一人が騒いでみなさんに撮ってもらいます。とにかく太陽の位置+気嵐+タンチョウの位置この3つが揃うタイミングは短時間なので時間勝負!おかげで間に合いました。参加者の一人がこのシーンに感動して涙を流しているのを見た隣の白人がそれを見て驚いている状況はちょっぴり面白かった。

太陽の光に輝く霧氷とタンチョウ
太陽の光に輝く霧氷とタンチョウ

 

朝食後は荷物をまとめてホテルに置いてもらい、伊藤タンチョウサンクチュアリーで最後の撮影です。タンチョウの白い息やダンスを狙ってもらい時間いっぱい楽しんでいただきました。予想外の早朝のシーンを堪能できたことで、みなさん笑顔で空港に向かい解散となりました。

タンチョウの白い息
タンチョウの白い息

 


撮れた鳥&哺乳類
ハイタカ・オジロワシ・オオワシ・ノスリ・タンチョウ・エゾフクロウ・アカゲラ・シジュウカラ・ヒガラ・ハシブトガラ・シマエナガ・シロハラゴジュウカラ・エゾシカ・エゾモモンガ・エゾリス

観れた鳥&哺乳類

カワアイサ・キジバト・ヒヨドリ・スズメ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヤマセミ・ダイサギ

その他
キタキツネ・エゾタヌキ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2023年1月10日~13日

 

昨年好評だったこともあり、今年も催行されたタンチョウ撮影三昧。タンチョウは鶴居村にはいるので撮影には困らないのですが、問題は天気と気温。今年は思ったほど気温が下がらずやきもきしましたが最終日には予想外にいい状況になりました!

<1日目>

空港に到着した4名をピックアップしたのち、先入りでホテルに泊まっている2名をピックアップして3日間滞在するホテルへ向かいます。まず不要な荷物をホテルに置き、近くのコンビニでお昼ご飯を買って伊藤タンチョウサンクチュアリーへ向かいました。

午後の給仕時間が14時という事もありタンチョウたちはまったりしています。現地で地元のカメラマン仲間と雑談しながらここ最近の状況などの情報を収集します。彼の話ではここ最近は南風ばかりだし雪も降らないので今日の北風はラッキーだよと言う。また晴れているのに風で運ばれた雪も煌めきながら舞う中のタンチョウの撮影はなかなかできないのでしっかりと撮ってもらいました。

晴れた空にタンチョウが舞う
晴れた空にタンチョウが舞う
ハイタカ
ハイタカ


給仕時間が終わりしばらくすると北風が強くなってきたかなと思ったら・・・タンチョウが一気に飛び出し空はタンチョウだらけに!30年以上通っているがこんなことは初めて!びっくりなシーンに当たったことをみなさんに熱く伝えました。

タンチョウが一気に飛び出した!


さて時間は14時40分・・・ツルはねぐらに戻ってしまい夕日絡めのシーンは狙えそうもない。お迎えの時間まで1時間あるので寒い中待つのも意味がないのでみなさんに状況を説明してホテルまで歩いて戻り、この日はここで終了となりました。

<2日目>

6時に集合して夜明け前に出発です。ポイントに着くと人が少ない!まだインバウンドに新型コロナの影響が出ていると実感。先客のすき間に入り陣取ってもらい撮影を楽しみました。川面が赤く染まるシーンなどは撮ることができたのですが、木々の枝に霧氷がほとんど着かずちょっとがっかりでした。ツルではないけれど、太陽が昇りうっすらと霧氷の付いた枝を輝かせるシーンはとても美しいので皆さんに伝えて撮ってもらいました。

早朝の霧氷の景色
早朝の霧氷の景色


朝食後はサンクチュアリで撮影をします。この日は無風に近く弱い南風・・・パッとしませんがそれでも飛翔するシーンや林バックで煌めく白い息を狙ってもらいました。

林をバックにタンチョウを撮影
林をバックにタンチョウを撮影
白い息を吐くタンチョウ
白い息を吐くタンチョウ
 


午後はホテルで昼食を食べたのち宿のオーナーの案内でエゾフクロウを狙いに行きました。いてくれればいいなと現地に行くといました!1羽ですが、いてくれてよかった。寝ているフクロウなのでしっかりと撮影したことを確認して移動します。

寝ているエゾフクロウ
寝ているエゾフクロウ


時間的に伊藤サンクチュアリーに戻らず、夕陽のポイントへ向かいました。風が弱くコースが悪くイマイチでしたが、夕陽が沈んだ後に群れで飛んでくれたシーンはとても良かった。薄暗くなるまで粘った甲斐がありました。

夕陽の中ねぐらに帰るタンチョウ
夕陽の中ねぐらに帰るタンチョウ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・2本目】

report by 吉成才丈 2022年12月12日~16日

 

1日目
鹿児島空港に集合し、専用車で出水方面に向かいました。昼過ぎに出水に到着し、ツル探しからはじめました。まずはカナダヅルを見つけるもこの日は遠く、クロヅルやソデグロヅルを探しつつ、マナヅルやナベヅルをじっくり観察・撮影して頂くことにしました。

水を飲むマナヅルの家族群
水を飲むマナヅルの家族群

採餌していたナベヅル
採餌していたナベヅル

 


2日目

薄暗いうちに干拓地に到着し、まずは朝焼けとツルを観察しました。朝焼けをバックに飛翔するツルは美しく、皆さん夢中でシャッターを切っていました。

朝焼けとツル
朝焼けとツル

採餌するツル
採餌するツル

朝焼けのあとは、やはり電線にとまるコクマルガラスを狙いました。この日も、淡色タイプのシロマルに出会えました。

ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)
ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)

その後、観察センターの屋上でツルを観察していると、道路の陰に見え隠れするクロヅルを発見。じっと待っていると、他のツルから外れて全身が見える位置に移動してきました。今年はツルの数が少ないので、出会えるかどうかはタイミング次第なんですね。

クロヅル
クロヅル

クロヅルが出てくるのを待っているとハヤブサも出現し、耕作地で採餌していたカモ類は大騒ぎしていました。

ハヤブサ
ハヤブサ

その後は河川沿いを散策し、ツリスガラやホオアカなどを狙いました。ツリスガラはヨシ原で鳴声がしたあと、比較的近くに現れてくれました。とても小さな鳥で、現れた時にはまったく鳴かなかったので、皆さんに確認してもらう迄に時間がかかりましたが、なんとか全員で観察することができました。

ツリスガラ
ツリスガラ

ホオアカもコンクリート護岸にとまり、河川ではミサゴの水浴びも観察されました。飛翔を見ることが多いミサゴだけに、水の中にいる姿は珍しいですね。

水浴びするミサゴ
水浴びするミサゴ

午後は山に入り、ダムや渓流を観察しました。相変わらずオシドリは警戒心が強く、ダムの水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが見られました。薄暗い水際のオシドリを探していると、クマタカが滑翔で尾根陰入るところが一瞬だけ観察できました。そしてヤマセミのポイントに近づくと、流木にとまっているヤマセミを発見。ヤマセミは飛び立って枯木にとまったので、皆さんに教えながらスコープに入れようとしましたが、またすぐに飛び立ち、岬の裏側に入ってしまいました。また帰り際には、橋を渡るときにヤマセミの鳴声と飛翔する姿を確認。なんと2羽が一緒に、川の上流方向へ飛翔していきました。夕方には干拓地に戻り、ヘラサギ類やタゲリなどを観察しました。

ヘラサギ
ヘラサギ

タゲリ
タゲリ

3日目
この日も薄暗いうちに干拓地に到着しましたが、あいにく雲が厚く、朝焼けも月も見ることができませんでした。今日はダメかと残念に思いながら車中待機していると、右側に座っていた方が「ソデグロヅル…?」と呟きました。なんでも、白い大きなツルが降りてきたというので確認すると、まさかのソデグロヅルでした。
ソデグロヅルは、昨年は目立つところにずっといて見やすかったのですが、今年はなかなかじっくり見られないということだったので、一転して大逆転の幸運が転がり込んできたことになります。天気が悪かったため他に観察者もおらず、しばらく独占的に観察させてもらいました。

マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)
マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)

昼前のフェリーに乗るため早々に出水を発ち、熊本に向かいました。島原に向かうフェリーでは、出港前から乗船客のエビせんを求めるユリカモメで賑わっていました。どれほどの数のユリカモメがいたのかわかりませんが、出港後にはたくさんのユリカモメが船の後を着いてきました。

船についてくるユリカモメ
船についてくるユリカモメ

出港後には堤防で休むカツオドリの大群も観察しましたが、この日は船の近くを飛翔する個体もいました。

海上を飛翔するカツオドリ
海上を飛翔するカツオドリ

諫早の干拓地には広大な耕作地やヨシ原がありますが、ヨシ原ではハイイロチュウヒやオオジュリンなど、耕作地ではホシムクドリやチョウゲンボウなどが観察されました。

ハイイロチュウヒの幼鳥
ハイイロチュウヒの幼鳥

ホシムクドリ
ホシムクドリ

 

4日目
朝は再び諫早干拓地を訪ねました。ヨシ原周辺ではコチョウゲンボウやノスリなどの猛禽類を確認。コチョウゲンボウは、草地すれすれで小鳥を狙う様子も観察されました。

コチョウゲンボウ
コチョウゲンボウ

ノスリ
ノスリ

午後は佐賀の東与賀へ移動し、満潮時の干潟を観察。この日は満潮でも潮位が高くなく、広大な干潟にシギ・チドリ類やツクシガモ、ズグロカモメなどが点在していました。

干潟に点在する水鳥
干潟に点在する水鳥

スグロカモメ
スグロカモメ

干潟からホテルへ向かう途中の街中では、出会う機会がめっきり減ったカササギを発見。電線や家の屋根などにとまる様子が観察されました。

 

5日目
昨日カササギが見られたので予定を変更し、まずは調整池に向かいました。数千羽のトモエガモは健在で、大きな塊が水面に広がっていました。

飛び立ったトモエガモの大群の一部
飛び立ったトモエガモの大群の一部

ここでは1周3km弱の舗装道を散策し、トモエガモの大群を堪能するとともに、オオタカなどの猛禽類やオオジュリンなどの小鳥も観察しました。その後は河川を遡上し、清流でカワセミやイカルチドリ、カワガラスなどを観察。道の駅で地域クーポンを使用して頂き、解散地である福岡空港へ向かいました。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。