夏の富士山奥庭で亜高山帯の野鳥観察

Report by 吉成才丈 / 2021年8月21日~22日

真夏の暑さとは無縁の富士山五合目・奥庭ですが、直前の天気予報は雨…。少しでも好転することを願いつつ、新宿のバスターミナルを出発しました。途中、富士山の姿が見えてきてほっとしましたが、やはり厚い雲が気になります。今回は1泊2日の短い行程なので、できるだけよい条件で..と富士山に祈りながら向かいました。

車窓の富士山
車窓の富士山

昼すぎに奥庭荘に到着すると天気は曇りで、時折、陽も差し始めるという好条件。標高も2,200m近くあるので気温も20度ほどと涼しく、下界とは異なり快適そのものです。

奥庭荘
奥庭荘

なぜこの奥庭荘を訪ねたかというと、ここには高山では貴重な水場があり、亜高山帯の鳥たちが水を飲んだり水浴びに来る様子が間近で観察できるのです。間近で、ですよ!

ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)

さっそく観察・撮影のスタンバイをすると、ルリビタキやウソ、ホシガラスが水場にやってきてくれました。

ルリビタキ(幼鳥)
ルリビタキ(幼鳥)
ウソ(オス)
ウソ(オス)
ホシガラス
ホシガラス

すこし慣れてくると、皆さんも鳥たちの行動パターンが分かるようになり、水場の前後にとまる木や岩にとまる姿も撮れるようになります。

ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)

そして翌日の午前中も天気はもち、昼頃まで亜高山帯の鳥たちを楽しむことができました。

奥庭の魅力は、夏の暑い時期に亜高山帯の鳥たちが間近で楽しめること。
水場だけならほぼ歩かず、片道約300mの散策路を歩くと景色や野鳥、高山植物などが楽しめ、自分のペースで自由に観察・撮影ができること。体力に自信のない方もOKです。そして雲がかからなければ、夕方には赤く染まる富士山が間近に見えることなど。今回は雲がかかって赤富士は見られませんでしたが、鳴声をたよりにキクイタダキやメボソムシクイを撮影された方もいました。

 

暑さと鳥の端境期で出かける場所も少ないこの時期には、標高が高くて快適な奥庭は最適な鳥見スポットです。来年は、赤く染まる迫力ある富士山もぜひ..。

目の前の富士山の迫力は写真では伝わりません
目の前の富士山の迫力は写真では伝わりません

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年6月18日~24日

4日目は旭岳に向かう前に紋別のオムサロ原生花園に向かいます。オムサロ原生花園では前日撮影が難しかったシマセンニュウやコヨシキリが見られ皆さん楽しまれました。帰る直前には車の横に綺麗なベニマシコのオスが現れ、センダイハギの黄色い前ボケとのコラボレーションで撮影できました。旭岳に向かう途中にはエゾライチョウを探しましたが、残念ながら今回は見られませんでした。

シマセンニュウ
シマセンニュウ
コヨシキリ
コヨシキリ

ベニマシコ昼からはガイドさんと合流し旭岳でギンザンマシコ探しです。残雪の上を歩きながら歩いていくと、カヤクグリやビンズイがあちこちで囀りを響かせています。この時期にはない残雪の上を歩き少々苦労しましたが、観察ポイントに到着し早速ギンザンマシコを探していきますが全く出る気配がありません。16時を過ぎ見られたのはカヤクグリとノゴマとルリビタキ、そしてウソのみです。今日は見られないかなと諦めの気持ちが出てきた頃、ちらっとだけ遠くにギンザンマシコのメスが出てきましたが、すぐにハイマツに隠れてしまいその後見ることはできませんでした。生存確認はできたので、なんとか明日は見つけたいものです。

 

5日目は新型コロナウイルスの影響で早朝ロープウェイは運行しておらず、朝はホテルの周辺でバードウォッチングです。コガラやヒガラ、コルリなどの囀りを聴きながら森に入ります。途中キビタキの声が近くで聞こえ、ダケカンバを見ると綺麗なオスの成鳥がいました。大きく動かずにいてくれたおかげで、皆さんじっくりと観察できたようです。その後帰りの道中では普段あまり姿を見ることがないウグイスを観察することもできました。

ウグイス
ウグイス

9時からは再度旭岳に登りギンザンマシコ探しです。カヤクグリが目の前のハイマツにとまり楽しませてくれましたが、なかなかギンザンマシコは現れず段々と終わりの時間が気になりだします。

カヤクグリ
カヤクグリ

ふと形に違和感を覚えた遠くのハイマツを双眼鏡で覗くとギンザンマシコのオスが!慌てて皆さんと場所を共有し2枚だけ確認写真を撮ると、スッとハイマツから降り、その後は姿を現すことはありませんでした。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

その後終了の時間までギンザンマシコを探している間は、少し離れた看板の上で囀るノゴマを見つけ、静かに寄るとファインダーに入り切らないほど目の前で美声を聞かせてくれました。

ノゴマ
ノゴマ

時間となり下山し、次は十勝岳に移動です。途中北海道を代表するコンビニ、セイコーマートで昼食を買い、到着後綺麗な山を眺めながらピクニック気分でお昼ごはんです。食後は氷河期の生き残りであるナキウサギを探しに行きます。ポイントに到着し、静かに待つとピチッというナキウサギの鳴き声が!途中にはシマリスがそばを通過してくれ、可愛い姿を見せてくれ、ナキウサギもこの流れで見れるかなと期待が高まりましたが、残念ながら今回は出会えませんでした。

シマリス
シマリス

6日目は旭岳からサロベツ原野へ移動です。最初は幌延ビジターセンターのある通称下サロベツでバードウォッチングです。ツメナガセキレイがしきりに姿を見せ、遠くにはチュウヒの姿が見えていました。サロベツ原生花園では今年はシマアオジの姿が確認されておらず、残念ながら出会うことはできませんでしたが、ノビタキやアリスイなどに出会い楽しませてくれました。ホテルでは夕食後窓を開けると付近から「キョキョキョキョ……」とヨタカの声が。その他にもオオジシギやヤマシギなど贅沢な自然のBGMを聞きながら就寝です。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

7日目はツアー最終日です。この日はサロベツ湿原を代表する野鳥ひとつであるアカエリカイツブリを探します。早朝はご希望の方のみで周辺にバードウォッチングです。朝靄の美しい牧草地を見ながら、キャンプ場と沼を散策です。キャンプ場では車から降りるとアカハラの囀りが聞こえ、見上げるとトドマツの梢にシルエットで姿を確認することができました。歩いているとアカゲラが子育てをしており、盛んにヒナが餌をねだり鳴いています。これには親も大忙しで1分おきに餌を運びてんやわんやです。沼では遠くに浮かぶ2羽の鳥が。確認するとアカエリカイツブリ抱卵の準備をしています。朝食後最後のバードウォッチングに出かけ、アカエリカイツブリの距離の近い個体を探します。複数の沼を探すもなかなか見られず、以前繁殖を確認した沼を最後の望みに覗くと、ペアは確認できませんでしたが、アカエリカイツブリの夏羽が見られました。

アカエリカイツブリ
アカエリカイツブリ

今回のツアーでは草原の小鳥から高山の鳥まで様々なものを観察でき、移動は長かったですが有意義な時間を過ごされたのではないでしょうか。この時期は特に草原性鳥類の子育てが見られるのが最大の魅力です。来年もこの時期に行えれば幸いですので是非また北海道の小鳥達に会いにお越し下さい。ツアーにご参加された皆様お疲れさまでした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年6月18日~24日

前日までの予報はすべて雨、ツアー3日目に関しては特に大雨予報という先月のツアーに引き続き天候に不安を覚えていましたが、なんと今回は最初から晴れ間が見える天候に恵まれた状態でツアーがスタートです。

ノビタキ
ノビタキ

中標津空港で合流後、早速野付半島へ向かいます。野付半島ではセンダイハギやエゾカンゾウなどの初夏の花が咲き、色鮮やかな風景が広がります。
野付半島の海浜草原ではノビタキがせっせと雛に餌を運び大忙しです。海沿いではオジロワシが佇み、付近のキタキツネの親子やウミウなどの水鳥を狙っています。
野付半島の名物のひとつでもあるエゾシカも道中オスの群れが見られ、皆さん大興奮でした。

オジロワシ
オジロワシ

野付半島のあとは西遊旅行が運営する羅臼町のゲストハウス、知床サライに向かいます。チェックインし夕食を食べたあと、夜はシマフクロウの観察です。この時期のシマフクロウは雛が巣立ちを迎え、親は餌運びに大忙しなはず……と密かな期待を胸に到着すると、昨日までは全然見られていないと観察場所のスタッフの方から伺い、テンションダウンです。
それでも20時頃に出るかもしれないとのことで、準備をすると、なんとすぐにシマフクロウのオスが出現!全員が不意をつかれ慌てて撮影と観察をします。

オスのシマフクロウ
シマフクロウのオス

見られたー!と喜んでいると、15分後くらい経つとまたオスが現れました。そしてその直後影が動いた?と思うとなんとメスも登場です!この場所のメスはほとんどこの場所に姿は現さず、最後に2羽で見られたのは1月に10秒ほどとのことで、全く予期していなかったペアでの登場に全員が大興奮です!2時間ほどずっとこの場所から離れず、飛んで離れたときにそそくさとこの場所を離れ、いきなり内容の濃い1日目が終了です。

ペアのシマフクロウ
ペアのシマフクロウ

2日目は午前、午後と観光船に乗り海鳥とシャチ探しです。出航してすぐにシャチ発見です。1グループだけではなく、どの方向を向いてもシャチのグループがいます!全体で50頭ほどを観察でき、スパイホップも見せてくれました。

シャチ
シャチ

シャチの周りにはフルマカモメやハシボソミズナギドリの群れもおり、目の前を通り抜け、シャチを見ればいいのか海鳥を見ればいいのかわからない贅沢な状態が終始続きました。

フルマカモメ
フルマカモメ

午後にはフルマカモメが1箇所にかたまりなにかを食べています。写真で確認すると食べているのはオキアミなどの動物性プランクトンのようです。羅臼では毎年フルマカモメを観察できますが、この日は特に多く、珍しい場面を見ることができました。帰りにはオオセグロカモメが堤防の上で巣材を咥えていたり、巣の上で抱卵していたりと、この時期ならではの生態も見られました。

フルマカモメの群れ
フルマカモメの群れ

3日目からは羅臼を離れ、オホーツク海沿岸を北上し私の地元紋別を目指します。知床峠では今回の最大目的のひとつであるギンザンマシコを探す予定でしたが濃霧のため視界がなく、旭岳に期待を託し早々に撤退です。小清水原生花園ではエゾキスゲが見頃を迎え、鳥の姿はあまり見えませんでしたが道路脇で草を喰む馬の姿などを楽しみました。ワッカ原生花園ではノゴマがエゾノシシウドの上にとまり綺麗な声で囀ってくれたり、花の上にいる虫を狩る瞬間を見れたりと、少し歩いただけでしたが様々な鳥たちが楽しませてくれました。

オオジュリン
オオジュリン

シブノツナイ湖ではノビタキ、ツメナガセキレイ、オオジュリン、シマセンニュウ、コヨシキリがそこかしこで見られ、さらに何度も花の上にとまってくれる大サービス!

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ
ノビタキの親子
ノビタキの親子

皆さん見るものが多すぎて前に進みません。この次にコムケ湖も見る予定でしたが、コムケ湖は湖畔にあるワタスゲの群落を観察し、ホテルに向かい終了です。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年5月15日~19日

3日目は天気が回復し、午前中礼文島南部と高山植物の花畑となる桃岩展望台へ。桃岩展望台では、礼文島固有種のレブンコザクラ、そしてハクサンイチゲを観察しながら野鳥を探します。

レブンコザクラ
レブンコザクラ
利尻島をバックに、レブンコザクラとハクサンイチゲ
利尻島をバックに、レブンコザクラとハクサンイチゲ

道中、何度か上空をイスカの群れが飛び、そしてノビタキが道端で姿を見せ楽しませてくれます。ふと大きなシルエットが見え、双眼鏡で覗くとチュウヒでした。旋回し、上空高くどこかへ飛んでいきましたが、ここからサハリンまで渡っていくのでしょうか。桃岩展望台を見たあと、車で戻る際にハイタカ属の姿が。見ると北海道では珍鳥のサシバのオスです。本当に離島は何が出るのかわかりません。

ウトウ
利尻島へ向かう途中に出会ったウトウ

午後からは利尻島へ向かいます。利尻島到着後、早速ガイドさんとともに今回のツアー最大の目的であるクマゲラを探しに行きます。
森の中を歩いているとそばから「ゴッゴッ」と鈍器で殴っているような音が。見ると5mほどのところでクマゲラのメスが木をつついています。皆さん驚きです。

クマゲラ
クマゲラ(メス)

その後今年の営巣木に案内して頂き、静かに抱卵交代する瞬間を待ちます。抱卵していたオスがメスの帰宅が遅いため何度も外を見たり巣のなかで叩いて交代を催促したりとなかなか見ることのできないシーンを観察できました。

 

4日目は、日の出の時間から皆さんの宿のそばにある公園で散策です。「利尻コマ」と呼ばれるだけあって、周辺にはコマドリの声があちこちから響いています。
声の方向を見ているとオスが目線の高さにぴょんと上がり、目の前で囀りを披露してくれました。日本三大鳴鳥の囀りを目の前で聞くと格別です。

コマドリ
コマドリ
コマドリ
コマドリ

そして、そばの草原にはなんとキマユホオジロがいました。以外なところにいる珍鳥の姿に皆さん興奮です。かなり敏感で姿を捉える前にどこか飛んでいってしまうので観察は難しかったですが、ほとんどの方がその姿を見ることができたかなと思います。

キマユホオジロ
キマユホオジロ

朝食後は再度クマゲラ探し、そして利尻島を一周しながらバードウォッチングです。昨日とは違う巣穴に向かいます。ここでも姿を隠し声を出さずに静かに待ちます。
2時間ほど経ち、やっとメスの帰宅です。メスが交代のために巣穴を覗くとオスが飛び出し、目の前を飛んでいってくれました。とても貴重な瞬間でしたね。

クマゲラ(オス)
クマゲラ(オス)

その後は利尻島を巡ります。沓形岬公園では、ノゴマが利尻島背景にこちらを向いて囀りを披露してくれました。

ノゴマ
ノゴマ

オタトマリ沼では、綺麗なチュウサギやダイサギ、そして散策すると夏羽のアカガシラサギを発見し、観察することができました。北海道ではシラサギは基本的に珍鳥、繁殖もしていないのですが、離島では毎年多くのシラサギが見られます。これは離島の特徴の一つです。

チュウサギ
チュウサギ
アカガシラサギ
アカガシラサギ(夏羽)

帰り際、お土産を買うため売店に立ち寄ると、サバクヒタキとシラガホオジロのメスが!一瞬の出来事で見たのはほんの一瞬でしたが、どこにどんな鳥が出るのかは本当にわかりません。

 

最終日も早朝宿のそばの公園で散策です。コマドリは昨日とはうって変わり姿をなかなか現さず、森を歩くとクロジやイスカ、カシラダカが姿を見せてくれました。

クロジ
クロジ
クロジ
クロジ
カシラダカ
カシラダカ

宿へ戻る際には再度キマユホオジロが姿を見せてくれ、そしてマミチャジナイが目の前で採餌していたりと、最後まで楽しませてくれたツアーとなりました。

マミチャジナイ
マミチャジナイ

離島のツアーは本当に何がどこに出るかわからないというのも魅力です。そして利尻島はクマゲラ、コマドリが数多く生息し出会える可能性が高いというのも大きな魅力です。是非また訪れて頂き、今回とは違う魅力を再発見していただけると幸いです。ツアーにご参加された皆様お疲れさまでした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年5月15日~19日

前日までの天気予報では半分以上が雨予報、そして風も強い予報でどんなツアーになるかとドキドキしながらのツアースタートとなりました。

初日は稚内空港で合流後、サロベツ湿原周辺でバードウォッチングです。まず最初に訪れたのは幌延ビジターセンター、通称「下サロベツ」と呼ばれる場所です。

 

ノビタキ
ノビタキ(オス)

木道を歩くとすぐに出会えたのは、北海道を代表する草原性の夏鳥の一種ノビタキです。営巣の準備をしているようで、オスメスがせわしなく飛び交っています。真っ黒で胸のオレンジ色が目立つオスのノビタキに、一気にテンションが上ります。何度もノビタキに足止めをされながらゆっくり歩いていくと、今後は林から美しい囀りが。ノゴマです。一瞬だけ美しい赤い喉を見せてくれましたがすぐにどこかへ行ってしまいました。また利尻、礼文で出会えることに期待です。

その後はレモンイエローのセキレイ、ツメナガセキレイも姿を現してくれました。最初はかなり遠い距離でしたが、帰り際には目の前の低灌木にとまり、しっかりと爪の長いところまで見せてくれたり、一瞬ですがメスも姿が見れたりと楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
姿を見せてくれたツメナガセキレイ

その後、初日の本命であるサロベツ湿原に向かいます。道中で見られた利尻島の景色は、天から光が差し込み幻想的な風景でした。

利尻島
幻想的な利尻島の風景

サロベツ湿原では、時期が少し早いですがシマアオジが一番の目玉、その他にもオオジシギやチュウヒの観察を狙います。木道を歩き探しますが、この日の気温が低かったせいか鳥の活性が低く、全く姿が見えません。やっと見られたノビタキを利尻島背景で観察します。

ノビタキ
ノビタキ(オス)

シマアオジも渡ってきていないようで観察できませんでしたが、木道が終わる直前に上空から「ジュ~ビヤク!ジュービャク!ブブブブブ!」の音が!オオジシギです。上空で2羽がディスプレイフライトを始めたようで、写真に撮るのは難しかったですが、素敵な求愛行動を観察できました。その後も目の前の湿原をV字飛行する姿が。

チュウヒ
チュウヒ(オス)

チュウヒのオスです。すぐに木の陰に消えていってしまいましたが、サロベツ湿原を代表する草原の鳥たちに出会うことができました。

 

2日目はあいにくの雨ですがフェリーに乗り、一路礼文島へ向かいます。途中の航路ではアカエリヒレアシシギの群れに何度も出会い、中にはハイイロヒレアシシギの綺麗な個体も混ざっていました。

アカエリヒレアシシギ・ハイイロヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギとハイイロヒレアシシギ

観察中突如ぴょんぴょんと跳ねる生き物の姿が。写真を撮るとキタオットセイです。合計で15頭以上いたでしょうか。とても楽しませてくれました。

キタオットセイ
キタオットセイ

礼文島に到着後は北部で探していきます。あいにく島の上部は霧の中。海岸線を中心に探します。途中の海岸にはシノリガモやウミアイサが見られ、じっくりと観察することができました。

シノリガモ
シノリガモ

旧礼文空港にはガンの仲間、亜種オオヒシクイが4羽採餌しています。ここからどこまで渡っていくのでしょう。

北部の桜の名所へ行こうと向かう途中には、上空に大きなシルエットが。オジロワシかな?と双眼鏡を覗くと、この時期には珍しいオオワシの若鳥でした。この鳥がこの時期に見られるチャンスがあるのも、サハリンに近い礼文島ならではです。

オオワシ
オオワシの若鳥

その後は霧が濃く鳥が見えないため撤退、花の名所として特に有名な礼文島の高山植物を見るため高山植物センターへ。

カワラヒワ
カワラヒワ

花を見ていると、お客様から「あれヒメウ?」の声が。
ふと上を見ると、何故かマナヅルが飛んでいます。予期しない場所で予期しない鳥に出会ったため、全員が写真も撮ることができず、ただ呆然と眺めていました。

イワツバメ
道中にいたツバメ

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

立山のライチョウを撮る 5月編

Report by 戸塚学 / 2021年5月15日~16日

眠るオスのライチョウ

3日前から先入りして下見兼自身の撮影をしつつ、微妙な天気予報で晴れなのに晴れなかったりの連続で、やきもきしながら室堂ターミナルでツアー当日11時から待つと1名早く到着して宿に荷物を置いてきたというIさんと合流。今回は珍しく皆さん予定通りの時間に合流です。(大体いつもは1~2時間早く来て周囲をうろうろしてるんですよね(笑))

イワツバメの飛翔

明日から天気が崩れる予報でも、この時間では快晴のいい天気なので屋上でイワツバメの飛翔を30分撮影してもらう。12時30分に宿へ向かって歩き出し、到着後はそのまま食事。ここで簡単な撮影スケジュールとライチョウの行動を説明します。食後は荷物を部屋に置き、施設の説明をしてすぐ撮影開始です。宿から出たところで人が集まっているのを確認。ライチョウのペアがいたので早速撮影してもらったのだが、すぐハイマツに潜ってしまったので他のライチョウを探しに行くことに。

ライチョウのペア
ディスプレイ

今年は4月の時点で雪の量は普通だったのに5月、この時期にしては雪が多い!そのせいかいつもはお立ち台と利用する大岩に上がる個体がいない!それが狙いなので困りものだが。そんなお立ち台を説明しながらライチョウを探すがいない。そこで先ほど見つけた場所に戻るとハイマツに潜って休息するメスを見つけ撮影をしてもらっていると、奥にわずかに移動するオスを発見。進行方向で待つとメスも移動をはじめペアでの撮影がしっかり撮ることができ、みなさんの表情にも余裕が(笑)再びハイマツに潜ってしまったので別の場所へ移動です。

ライチョウのペア
ディスプレイ

ここでもライチョウが出てしまった!いい場所だが突然の霧で真っ白!しばらくすると飛んで行ってしまった。ここらあたりで休憩を予定していたが、反対側でもオスが出て他のオスに対して警戒をしているのか、走り回っている。よく見るとメスもいた。そんな姿を撮影してもらっているともう1羽メスがいることが判明。メス2羽のツーショットまで撮ることができた。これはかなり珍しいシーンなのでしっかりとってもらった。その後メス同士のけんかやオスが1羽のメスに対して追い出し行動をはじめた。さて皆さん撮れたかどうかはわからないがいろんなシーンは堪能ができたはず。霧も濃くなったので一旦宿で休憩。

メスの飛翔
2羽のメス

ここで私的には夕日は無理かなと思っていたが、急に霧がはれたので温かい服を準備してもらいライチョウを探しに行くと、これまたすぐにペアが見つかった。光はいいがロープと岳の支柱が邪魔で苦労する。全然動かないので切り上げて夕日のポイントへ移動しました。

夕焼けの大日岳

ここでは三脚でがっちりと夕日の撮影を予定していたのですが、ものすごい強風でとても三脚を立てられない。(突風で三脚が飛ばされてしまう)そこで手持ちでの撮影をしてもらう。天気の変わり目ということもあったのでしょうが、1年でも数回しか見ることができないほどの夕焼けを寒さに耐えながら大興奮で撮影していただきました。おかげで夕食時間にちょっぴり遅刻(笑)。夜は立山側が曇っていたので星の撮影は中止しましたが、その後晴れたようで。皆さんに声をかけようか悩んだのですが、お疲れのようなのでそのままにしました。

 

2日目は朝5時に雨が降っていれば撮影は中止して6時から朝食。雨の降り具合でそのあとの行動を決めるとしてあった。5時、窓の外は雨が本降りなので撮影は中断。6時に皆さん揃って朝食を摂りました。その後、8時に再度喫茶室に集まっていただき今後の行動を話し合いました。

結果、皆さん帰ると行くことで決まったので荷物をまとめ、降りしきる雨の中出発して脱落者もなく、無事室堂ターミナルに到着。そしてここで解散となりました。

 

4月・5月と1泊2泊でのツアーを各1本ずつ行いましたが、やはり詰め込み過ぎな内容になっていたかな?と感じました。標高が高く酸素が薄いので疲れも平地とは違います。今後は2泊3日とお試し1泊2日を織り交ぜてもいいと感じました。

 

ご参加のみなさま、2日目は大雨&強風で雪の上の歩行と大変でしたが、1日目でがっちりとライチョウと夕日は堪能できたと思います。本当にお疲れさまでした。

残照の立山

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2021年5月6日~11日

 

出発前の予報では、予定通り初日の7日は出航するものの、帰りの日の9日、そしてその次の10日は欠航の可能性が高いようでしたが、ツアーは予定通り行うこととなりました。

 

まずは初日。この日は全国的に暖かくなる予報で、穏やかな中、スタートしました。宿泊先前には昨日まで珍鳥セグロサバクヒタキ♀がいたのですが、渡っていってしまったようで、その姿はありませんでした。残念!

キビタキ(撮影:樽井一郎様)

お昼をとりながら、ダムサイトでヒタキやムシクイの観察です。早速、キビタキ♂が現れました。

なかなか奥から出てきませんでしたが、最終的には目の前で見ることができました。他、エゾムシクイなども見ることができました。

キマユホオジロ(撮影:樽井一郎様)

続いて3の畑です。コウライウグイス情報がありましたが、現れず。小休憩をしたあと、お花畑と呼ばれる畑へ。道中、現れたのは珍鳥キマユホオジロです。草地にいて、なかなかじっくりと観察撮影できずにいたところ、珍鳥コホオアカも登場。なんと珍鳥2羽並んでの採餌を見ることができました。さすが飛島ならではの光景です。肝心のお花畑は、お目当てのシマノジコはいなくなっていたようです。その後、マミジロキビタキやムギマキ情報があったので立ち寄りましたが、残念ながら見られず。最後は校庭で、コホオアカ、ホオアカ、ノジコなどを見て、この日を終えました。

 

2日目。朝食前に校庭に行きました。風がやや強いです。鳥影はあまりなく、種類も昨日とあまり変わり映えしませんでした。そんな中、寺島の住人、ハヤブサが現れ、小鳥たちは一斉に藪へと消えました。朝食後はカラスバトに挑戦です。とあるポイントで待つことしばし。「グルル……グルル……」と飛翔時に発する独特の鳴き声を出しながら、カラスバトが現れ、枝に止まりました。ちょっと枝被りながらも姿が見えるところに止まってくれ、全員姿を見ることができました。

 

アマツバメとウミネコの営巣地を見たあとは、ハヤブサです。子育て中と思われるハヤブサ。苦労の末、こちらも見ることができました。今度は畑を回ります。しかし、晴れ続きなので鳥影はまばらです。離島の宿命です。ムギマキのさえずりや綺麗なオオルリを確認したくらいでした。お昼になり、ダムサイトで昼食をとりながら、鳥待ちです。ここでも現れる鳥たちは昨日と変わり映えしませんでした。どうにも、うまくいきません。すると、オジロビタキ♂情報が入ったので、現場へ向かいました。

コサメビタキ(撮影:浅井賢治様)

現場到着。複数のコサメビタキを中心に、キビタキ、センダイムシクイ、エゾムシクイなどがフライングキャッチをしている姿がありました。

ムギマキ(撮影:浅井賢治様)

目の前まで飛んできては虫を捕らえ、翻って戻っていきます。軽業です。すると、ムギマキ♂が現れました。しかし、全員ゆっくりと見ることはできず、どこかへ行ってしまいました。また、肝心のオジロビタキ♂も見当たらず。小休止を挟み、山グランドでムギマキを探します。複数いるとの情報です。探し始めて間もなく、まずは1羽目。♀の若い個体のようです。それにしても、止まったと思うとすぐに飛んで、なかなか思うように観察できません。そうこうしているうちに、2羽目、♂の若い個体が出てきました。しかし、これもじっとしてくれません。今度は♂の成鳥が来ました。少なくとも3羽はいたようで、なんとかじっくり見ることができました。

 

続いてはヘリポートです。休憩しながら鳥待ちしていると、またムギマキが出てきました。綺麗な個体です。今年はムギマキの当たり年のようです。鼻戸崎も鳥影は少なかったものの、珍鳥シマゴマが鳴いてくれたので、藪から出てくることを祈りつつ、しばし待ちました。3度鳴いてくれたものの、結局、現れず。最後は校庭です。朝よりもさらに鳥影は減り、ホオアカを見た程度で2日目を終えました。

 

3日目。早朝は自由行動とし、みなさん、それぞれに楽しまれたようです。朝食中に「本日の定期船は海上荒天のため、欠航となりましたのでお知らせします」の島内アナウンスが流れました。1泊の延長を余儀なくされました。朝食後、1の畑でムギマキ♂を見て、西にある御積島が見える展望台へ寄り、2の畑へ行きました。オオルリ、キマユムシクイ、キマユホオジロがいました。3の畑でトイレ休憩をした時に、上空をツミが通過していきました。そのうが膨らんでいたので、食事直後のようでした(この時刻のちょっと前に、違う場所でツミがアカハラを捕食した場面を撮影した別のバーダーがいて、どうやら同一個体のようです)。この日は林道を歩くことにしました。しかし、全く鳥影なしでした。

オジロビタキとムギマキ(撮影:吉田徹様)

昨日、ムギマキやムシクイがたくさんいた四谷ダムへ向かいました。昨日同様、コサメビタキやムギマキ、ムシクイ類がたくさん出てきました。珍鳥オジロビタキ♂、発見です。時折「ジジジジ……」と鳴いては、比較的近くまできました。オジロビタキの後ろにムギマキが止まった場面も。楽しく、あっという間の時間を過ごしました。

カラフトムジセッカ(撮影:吉田徹様)

法木では、珍鳥カラフトムジセッカが道路に出てくる場面に遭遇しました。山グランドやヘリポートでムギマキ♂なども見ました。鼻戸崎ではコルリ♀、カラスバトを観察。最後は校庭へ行きましたが、いい鳥はいませんでした。

チゴモズ(撮影:簗川堅治)

4日目。この日も残念ながら欠航です。希望者のみ、案内することとなりました。朝、ヘリポートへ行ってみると、5月下旬に出るチゴモズがもう来たという情報が入りました。しばしチゴモズ待ちです。結果として、出たは出たのですが、一部の方だけが見れたようです。それでも、珍鳥コウライウグイスが飛んできて、みなさん騒然となった場面もありました。続いて珍鳥アカガシラサギ情報が入り、今度はそれを探します。しかし、残念ながら会えず。最後は再びチゴモズ狙いでヘリポートへ。到着早々、チゴモズに出会うことができました。

 

島流しに遭い、2日も延泊となったツアーでしたが、みなさんそれぞれにいい鳥に出会え、楽しいひとときを過ごすことができたようです。離島での鳥との出会いは、やはり格別です。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

立山のライチョウを撮る 4月編

Report by 戸塚学 / 2021年4月23日~24日

白いオスのライチョウ

スタートの前日に立山側から約1時間早く到着すると連絡を受けていたので、1時間早く集合場所で合流。いったん外に出て二人がサングラスを付けていなかったので装着をお願いするが、持ってきていないというので、急遽売店で購入していただく。4~6月の高山帯の紫外線は平地の比ではなく、危険なので私の案内の時は必ず絶対条件としています。一旦雪目になってしまうとひどい場合は1週間目が見えなくなることもあるのでどうしても安全のためには従っていただくことにしている。

さて雪道を歩きながら約20分かけてみくりが池温泉に到着。1時間早いので食事の前に朝見つけておいたライチョウを撮影に行くことに。ポイントに到着すると白いライチョウのオスは「待っていました」というようにハイマツの下から動き出し、何とか撮影できました。その後は人が入れないエリアに移動してしまったので食事に行きましょうかと伝え歩き出す。とその時、別のオスが同じ場所から出てきたので慌ててこちらも撮影してもらう。この個体も私たちが入ることができないエリアに移動してしまった。昼飯前のライチョウもとりあえず撮れたので心にも余裕ができた状態で昼食を食べながら簡単なミーティングとライチョウの行動と撮影のコツを伝え、宿の施設の案内をする。本来ならこのまま日没まで撮影なのだが「ライチョウがよく活動をする15時まで休憩したい」という希望で休憩決定。

オコジョ
オコジョ

15時宿のフロントに集合してポイントを巡ります。近場のポイントにライチョウが見当たらないので少し離れたポイントへ。到着すると白いライチョウのペアがいたが、どちらもハイマツの中でまったり。いなければ探すが、いるのだから待つことに。1時間待つとようやく動き出し、なんと山をバックにペアを撮影することができた!再びハイマツに隠れてしまったので夕日のポイントへ移動するとここにも白いオスがいた。夕陽と絡むことを祈ったがそこまではうまく事は運ばなかった。

夕食後は月明かりに照る立山の撮影をするか聞いてみると、少し雲が出ていてあまりいい条件ではないのでパス!ということで初日は終了しました。

 

2日目は5時に集合してライチョウを探してポイントを巡るが見当たらない。途中小鳥の羽が散乱している場所をお客様に見ていただき「状況から猛禽ではなくオコジョかテンかもしれませんね」と説明をしてしばらく歩くとお客様から「あっ、オコジョ!」と叫び声。まさかと思いながらも指さす方向を見ると、いた!なんとその後、私たちの目の前の岩の周辺を出たり入ったりを繰り返す。撮影をしようとしてもすばしこくってかなり苦戦するがなんとか撮影することができた。いやぁ~早起きは三文以上の得になってしまった。お客様は撮影ができなかったようだが、この距離でしっかり見られただけでも超ラッキーだ。なんといっても20年通っている私でさえこれで6度目なんです。

ライチョウのペア

朝食を食べた後は荷物整理をして8時に出発。昨日のペアがいたポイントまで移動するとすでにカメラマンがライチョウの周りに集まっていたので探す手間が省けた。今日もハイマツに入って動かないので動くのを待つことに。その間に立山の上にハロが出ていたのでそちらも撮影してもらいながらライチョウが動くのを待つと1時間ぐらいで動き出してくれ今日もばっちりと撮影することができた。

立山とライチョウのペア

1時間早くスタートしたということでもないが目的の白いライチョウがしっかりと撮ることができたので早めに下山したいということで、食事を済ませ1時間早い便で一緒に下山しました。

ライチョウはあまり天気がいい日中は暑さが苦手なのでハイマツの下に潜って外に出てこないことが多く、2日間の好天はうれしいような、困ったような(笑)天気だったが、無事白いライチョウのオスとメス、ペアまで撮ることができました。他にもイワツバメ・イワヒバリ・カヤクグリも姿を見せましたが、撮影は白いライチョウだけでいいようでした。

地獄谷雲煙とオスのライチョウ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員