冬景色の佐渡でトキを狙う【1本目】

Report by 戸塚学 / 2022年1月31日~2月4日

1日目(1月31日)新潟

時間通り集合を完了したのでまずはトラフズクを探しに行きました。探すと1羽はすぐに見つかったが、顔が見えない!他にいないかと探していると地元の方に「3羽いるよ、ほらこっち、こっちからなら顔が見える」と教えてもらい皆で交代しながら何とか撮影。残り2羽がどこにいるかと探すと・・・初めに見つけた1羽の横に葉に隠れていた。しかしこちらも真下から見上げるような感じで顔が見えない!合計3羽を確認したが撮影可能なのは1羽だったが、とにかく撮影はできたのでOKとする。

トラフズク

引き続き瓢湖へ移動します。昨年の瓢湖は水面のほとんどが結氷していたが、今年は完全解氷状態なのでカモもハクチョウもばらけている。

コハクチョウ
コハクチョウの飛翔

時々カモたちが大騒ぎをするので上空を見るとオオタカ・ハヤブサが飛び交っていました。他にもトビ・チュウヒ・ノスリも確認できた。

オオタカ
ノスリ

天気は曇りちょっぴり晴れと雪という天気で露出が難しい。それでも雪山をバックに飛翔する姿やカモたちを狙う。エサやりの15時になるとこちらに向かって飛んで来るカモたちを狙う。

オナガガモ
アメリカヒドリ

今日はいつもよりがっつりとエサやりをしているようで想像以上の迫力のシーンだった!途中雪が激しく降ってきたので、休憩所で待機していたが、桟橋にスズメがずらりと並んでいるのを見つけ、かわいかったので並んだ“ふくらすずめ”を撮影していただき終了となった。

ふくらすずめ

2日目(2月1日)佐渡島

タクシーで佐渡汽船乗り場へ着いた時は曇っていた。船の窓から見える鳥はセグロカモメ、ユリカモメ、ウミネコ、カワウ。特に撮影に適しているという感じではないのでお客様にはお声掛けをしなかった。佐渡島に近づくにつれてどんどん太陽光が降り注ぎ快晴に!天気予報は曇りだったがまぁいいとするか。お昼に到着したので昼食をどうするかみなさんに聞くと「コンビニで買ってトキを探す!」ということで昼食を買ってGo!すぐにトキを見つけることができました。運よく近くに飛んで来たり、移動中に飛ばない個体もいて車内からも撮影ができた。私は皆さんが撮影できるように一番後ろで撮影の指示を出したり、運転手さんに指示を出すのでなかなかレポートに載せる写真が撮れなかったのですが、まぁ仕方ない。まずは皆さんが満足するのが一番だから。

夕方トキがねぐら入りをするため飛ぶコースのポイントで(ここは三脚可)で待つが・・・飛ばない。16時15分ごろようやく1羽が飛び、枯れ枝にとまるところを遠いが何とか撮影できた。雪も本降りになってきたのでここで終了してホテルに戻る。

3日目(2月2日)佐渡島

朝起きると雪がしっかりと積もっていた。7時出発予定だったが暗いので7時30分に出発に変更。雪が多いせいかトキが見つからない!よく見る田を廻るが、いても遠くて近づけない。あちこち探すと交通量の多い道路わきの田に発見。幸か不幸か?交通量が多い分トキがこちらに警戒しないので近くでゆっくりと撮影ができました。それまでの暗い雰囲気が和んだ~(笑)

トキ

その後は雪が少し溶けたせいか次々とトキが見つかり撮影をすることができました。昨年はピンクのトキが多かったが、今年は2週間ずれたせいかすでに婚姻色のクロが目立つ個体が多かった。11時までに群れで飛ぶ姿も撮れたと車内はGoodな雰囲気。お昼ご飯を食べたあとも同じようなコースを廻りトキの撮影を堪能しました。

トキ
トキの飛翔

夕方は昨日と違う場所へ移動してトキ交流会館へ移動した。ここで飛んで来るトキを待っているとトキ交流会館の職員さんが「ここの前の田んぼに降りたので、車が来たら飛ぶかもしれないから二階から撮ったらいいよ」と建物の中へ案内していただき、なんと!こちらに飛んで来る姿を撮影することができた。杉の林内に侵入して見られなくなったあと、出てくるかも?と待っているとほんとに飛んで来て木の枝にとまった!興奮して撮っているともう2羽飛んで来て合計4羽が同じ木にとまった。信じられないけどこの後参加者から「あ、歩いてる!」と言ったとたん交尾を始めた!
その後、仲睦まじく相互羽繕いを始めてくれた。そんな姿を撮っているとなんとなんと、また交尾を始めた。そしてこの2羽が飛び去る姿を撮影。残る2羽がいつ飛ぶのかなと待っていると終了時間ぴったりに飛び立った!なんとまぁ・・・すごいタイミング。
雪の中のトキ、飛翔、群れ飛翔、交尾・・・アンビリーバボーな1日だった。

トキ

4日目(2月3日)佐渡島

昨日同様7時30分に出発するが、また積雪があったせいでトキが見つからない。昨日結構入っていた田も・・・いない。天気予報通り雪が結構降る中、タクシーの運転手さんの「よく見る」田を廻ってもらったおかげで、1羽愛想のいい時に遭遇し、雪降りの中の姿をしっかりと撮ってもらう。その後も探すが・・・見当たらず。トキ交流会館で飛翔を狙いたいという希望で向かっていると途中の田にいたので撮影してもらった。交流会館では声はすれども姿は見られず・・・ひたすら待つと飛び出してくれた!全員ではないが数名は撮ることができたようでほっとする。

両津港に向かう途中またトキがいたのでちょっぴり撮影して港へ。予定通り到着して新潟港へ到着。専用車で駅に到着してみなさん笑顔で帰路に向かわれました。

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の道東でヒメクビワカモメとワタリガラスを探す旅

Report by 簗川堅治 / 2022年1月7日~10日

北海道には憧れの鳥たちがたくさんいます。ヒメクビワカモメは冬の筆頭かもしれませんし、ワタリガラスも上位に入るでしょう。その2種に的を絞ったツアーです。

 

1日目。天候が荒れていれば、ヒメクビワカモメの期待が高まりますが、残念ながら荒れてはくれませんでしたので、ヒメクビワカモメの可能性はほとんどなくなりました。この時期の北海道は、まだ日の入り時刻が早く、16:00です。集合後は一刻も早く移動して、鳥を見る時間に当てたいところです。しかし、こともあろうに飛行機の到着が30分遅れ、この日の観察時間は30分程度しかなくなりました。ワタリガラスのポイントで待つも、もうねぐら入りしてしまったのか、ワタリガラスも他のカラス類も見ることができませんでした。明日にお預けです。

 

2日目。今日も朝からいい天気ですので、ヒメクビワカモメは期待できません。それでも念のため、ポイントに行ってみました。案の定、ヒメクビワカモメどころか、他のカモメ類すらいません。それどころか、いつもたくさんいるオオワシ、オジロワシ、オオハクチョウすらいない有様です。今シーズンは、全国的に冬鳥が芳しくないのですが、北海道も同じようです。そんな状況下で、わずかなカワアイサやクロガモ、コオリガモなどを観察し、次のポイントへ向かいました。

 

ポイントで出迎えてくれたのは、ワタリガラス!……ではなく、なんとクマタカでした。若い個体が木に止まって探餌をしているようです。

クマタカ
クマタカ(撮影:山本尚佳様)

周りにはカラスが群れていたので、ワタリガラスが入ってないか期待するもいませんでした。その後も、ハシブトガラス、ハシボソガラスは出るものの、ワタリガラスは出ず、時間切れ。海上もシノリガモがいた程度でした。

シノリガモ(撮影:山本尚佳様)

次のポイントに移動です。移動途中、カラス群れをチェックするもハシボソガラスでした。ワシで有名な羅臼到着です。しかし、ここもワシがほとんどいません。一体、どうしたのでしょうか?異常事態な感じです。まずはたくさんのカモメ類の群れを観察。ほとんどはオオセグロカモメでしたが、ワシカモメ、シロカモメ、カモメ、ユリカモメが混じっていました。オオハクチョウやシノリガモなどもいました。

 

とある場所で定点観察をしました。

クナシリを望む(撮影:山本尚佳様)

ホオジロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、シロエリオオハムなど見ながら、ワタリガラスが出るのをひたすら待ちます。

ホオジロガモ(撮影:山本尚佳様)

ワタリガラスっぽい個体も出ますが、どれも違いました。なかなか手強いです。ついにここでも時間切れ。移動しながら、カラス群れをチェックすましたが、ハシブトガラスのみ。

 

3日目。ワタリガラス探しは小休止し、根室半島を回って他の鳥を楽しむことにしました。ところが羅臼同様、いつもはたくさんいるワシがほとんどいません。港にも海鳥がいません。納沙布岬もヒメウばかりで、お馴染みのチシマウガラスが来ていないようです。がっかりです。それでも強風の中、がんばってハイドに入り、海鳥を探しました。数羽のアカエリカイツブリやシノリガモを見ることができました。

アカエリカイツブリ(撮影:大林修文様)

気を取り直し、仕切り直しの意味からも、道の駅で早めの昼食をとることとしました。ここはワシがたくさんいますので、まずはそれを見ることにした、ちょうどその時、「コロロロロ、コロロロロ…」と聞き覚えのある独特のカラスの声!そうです、ワタリガラスです!真上を鳴きながら旋回し、氷上に降り立ちました。周りにいるハシブトガラスよりも明らかに大きく、喉の羽毛ザクザクしているのがはっきりとわかります。全員でじっくりと観察撮影することができました。

ワタリガラス(撮影:大林修文様)
ワタリガラスとハシブトガラス、ハシボソガラス(撮影:大林修文様)

その後は、2ヶ所のワタリガラスのポイントを回りましたが、残念ながら現れず。それでも気分のいい思いで宿に向かいました。途中、ケアシノスリが目の前に現れ、思わぬ収穫となりました。

ケアシノスリ(撮影:簗川)

4日目。朝からいい天気です。まずは火散布沼でタンチョウ、オオハクチョウ、ヨシガモなどを観察しました。タンチョウとオオハクチョウの組み合わせもなかなかです。

オオハクチョウとタンチョウ(撮影:大塚敦雄様)

最後は昨日ワタリガラスが出た道の駅で、ワタリガラス狙いです。たくさんのオジロワシ、そしてオオワシを楽しみながら、ワタリガラスの登場を待ちました。

オジロワシとオオワシ(撮影:大塚敦雄様)
オジロワシ(撮影:大塚敦雄様)

しかし、残念!今日は出てくれませんでした。

 

ヒメクビワカモメにはかすりもしませんでしたが、ワタリガラスはじっくりと観察することができました。それにしても、今季の鳥の少なさには閉口です。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【後編】

Report by 戸塚学 / 2022年1月10日~13日

エゾフクロウ

3日目 曇り~雪~雨~晴れ~曇り

夜中に何回か「ズザァー」という音が外から聞こえ、ずいぶん風が吹いているなぁと思ったのですが、それは風ではなく屋根から雪が落ちる音でした。朝、外を見るとものすごい風と時折雪が降っていました。早朝の撮影は中止にしておいて正解です。朝食を食べたあと撮影に出る予定でしたが、霙が雨に変わったのでお昼まで待機にしました。その間に1時間ほど撮影の講座を開きました。その途中に青空が広がったのですが、まだ道路の除雪も終わっていないようだし、宿のオーナーも除雪で大変そうなので、歩いてゆこうかと考えましたが、結構な距離もあるので安全第一で待機を続行しました。お昼ご飯を済ませたあと、雪も止んでいるので宿のオーナーにエゾフクロウのポイントへ連れて行ってもらいました。道路状況もあるので私が一人で歩いて下見に行き、フクロウを確認できたので宿のオーナーに電話をして参加者の皆さんを連れてきていただきました。本当は1時間ほど時間をとりたかったのですが、諸事情があり30分の撮影でしたが、みなさん堪能できたようです。その後はまだ時間もあるのでタンチョウの撮影をはじめました。到着してすぐは薄日もさし新雪の上のタンチョウはとても美しかったのですが、徐々に暗くなり16時で終了しました。
それにしても鶴居村は比較的穏やかですが、他の地域はかなり被害が出ているようで半日でも撮影ができたことだけでもラッキーだったと思います。

 

タンチョウ
タンチョウ

 

最終日 晴れ

一か八かで晴れてなくても大荒れでなければ撮影に出ると宿のオーナーと打ち合わせをしておいたので6時に出発。空にはまだ星が煌めいている!東の空に雲があるが何とかなりそうだ。しかし気温は-3度くらいで暖かいので霧氷はあきらめなければいけないが、晴れているだけでありがたい。現地に着くとまだ薄暗く先客は0!インバウンドがあった頃を考えれば信じられない。

 

タンチョウのねぐら

霧氷はないが空はほどほどにいい色になり時折マガモが群れで飛び去る。雪裡川の奥にタンチョウの群れが確認できるようになると色づいた川をオオハクチョウが泳ぐ姿を確認できた、南西の空に浮かぶ雲がピンクに染まるが・・・主役がいないのが悔しい。空の色が抜けるころ太陽が昇り、気温が下がりだし手の指先が痛み出すがみなさん必死に撮影を夢中でされていた。8時にお迎えが来たので朝食。予想外の晴れにみなさんうきうきしている雰囲気が伝わってきました。9時にタンチョウの撮影に出ると昨日積もった雪が眩しく美しい。飛翔や鳴き交わしを狙うのですが、ダンスはどうしても群れの奥で・・・難しい!11時30分にお迎えのジャンボタクシーが来たので乗り込み、一旦ホテルに寄り、預けてあった荷物を引き取り無事空港で解散しました。

4日間も私たちの送迎をしていただいたHOTEL TAITOのオーナー和田さんやスタッフのみなさまには感謝感謝です。

 

タンチョウ

撮れた鳥
タンチョウ・エゾフクロウ・オオハクチョウ・シロハラゴジュウカラ・ハシブトガラ
観られた鳥や獣
オオワシ・オジロワシ・コゲラ・アカゲラ・セグロセキレイ・シジュウカラ・ヒヨドリ・イカルチドリ・ヤマセミ・ハシボソガラス・ハシブトガラス
哺乳類:エゾシカ

 


 

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年1月10日~13日

タンチョウ

初日 快晴

天気予報を見ながらドキドキしたが、釧路地方は快晴。今回は愛知県から来ている方が先入りしているのでとまっている宿に2名をピックアップしたのち本日から泊まる宿へ。撮影機材以外の荷物を預かっていただき、伊藤・タンチョウサンクチュアリーへ。天気がいいので存分に撮影を堪能してもらうべく、食事は撮影しながら食べられるようにコンビニで買っていただいた。現地ではどのポイントがいいかの説明をしてあとは自由に撮影をしてもらう。カメラの設定やわからないことがあれば私がうろうろしていて声をかけながらカメラの設定や風を見ながら飛翔を狙うアドバイスをしました。ダンスが撮りたいというリクエストがあったのですが、残念ながらまだ少し時期早いのであとは運に任せるしかないと説明をする。

 

タンチョウの求愛ダンス
タンチョウ
タンチョウ

 

夕鶴を狙うポイントへ早めに移動することにする。理由は最近早い時間にねぐらへ移動するタンチョウがいるということで、夕日までの間はここで青空をバックに飛ぶタンチョウを待つ事に。飛んで来る数とコースもあるので難しいのだが、それでも何とかみなさん撮れたようだ。太陽が沈む林に薄い雲がかかっていないので夕焼けに染まるシルエットの撮影はダメかな?と思えたが、意外にも北側の雲が、それなりに色が付いてくれたので夕焼けチックな撮影ができてラッキーでした。空の色が抜けた17時お迎えの車で宿へ移動。宿は鶴居村で長年タンチョウを撮り続けているプロカメラマンの和田正宏氏の宿で温泉と食事は絶品。みなさんとても喜んでいただけました。

ねぐらへ帰るタンチョウ
ねぐらへ帰るタンチョウ

 

2日目 快晴~くもり~雪

朝は晴れたので6時に出発。タンチョウのねぐらの撮影をしました。刻々と空と川辺の木々の枝に着いた霧氷が色を変えて行く中、かなり遠くにタンチョウの群れを見ることができた。みなさんには今回特別なねぐらの撮影方法をしてもらいました。と、その時大きな鳥が川面に突っ込んだかと思ったら、舞い上がった!オジロワシだ。シャケの死体を狙ったのだろうか?しばらくすると「キャラキャラ」とどこかで聞いた声の中型の鳥が飛んできた?なんとヤマセミた!しばらく橋の上のカメラマンの周囲を飛んだのち下流に消えていった。その後また大型の鳥が出たので観ると今度はオオワシだ!タンチョウのスローシャッターの撮影をしていたせいで慌てて撮影したら、ブレブレだった。まさに二兎追うものは一兎も得ずもだ。

 

タンチョウのねぐら
タンチョウ

 

その後はこちらに向かって飛んで来るタンチョウを狙ってもらうべくカメラの設定を変更してもらう。そしていきなりこちらに向かって飛んできた大型の鳥はタンチョウではなくオオハクチョウだった。8時に迎えの車が来る頃にはみなさん寒さにやられていたようで、ちなみにマイナス20度を下回っていました。9時には出発したかったので朝食を美味しくいただくというより「かっ込む」がふさわしい状況。今日もコンビニで昼食を買っていただき撮影に専念してもらう。太陽は天気予報通り10時には雲から光が漏れる状態になり、12時を過ぎたころには完全に隠れてしまった。14時30分に夕日のポイントで小鳥を狙う予定でしたが、みなさん疲れ果ててしまったようでここで終了して宿へ戻ることになりました。宿に戻り1時間もしないうちに雪が降りはじめました。

 

オオハクチョウ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

3日目は日の出前からメインであるハクガンを探しに行きます。到着後何やら騒がしいと外を見ると、ガンが乱舞しています!

ハクガンとシジュウカラガンの飛翔

降りた沼を見に行くとハクガンとシジュウカラガンが見られました。その後何度も1000羽ほどのハクガンが上空を旋回してくれたり、車内から比較的近距離で観察できたりと、とても贅沢な時間を過ごすことができました。

ハクガンとシジュウカラガン
ハクガンの飛翔

午後は2日目とは別なエゾフクロウのポイントに行きましたが、残念ながら出会えませんでした。公園ではエゾリスがチョロチョロと姿を現し、可愛い姿が見られました。

エゾリス
エゾリス

夕方再度シジュウカラガンを探した時は、朝とは全く違うところにおり、夕方の光の中美しい光景が広がっていました。

シジュウカラガン
夕暮れの空を舞うハクガンとシジュウカラガン

4日目は山にナキウサギを探しに行きました。午前中静かに待っていると、鳴き声とともにちらっと姿を見せてくれました!途中ガサッという音とともに遠くにヒグマの姿を確認したため安全のため下山しました。帰り際車の近くで探すと、ここでも姿を現し皆さん大興奮です。

ナキウサギ
ナキウサギ

山から下山し、午後はエゾリス探しです。イチョウの黄葉の絨毯に佇む可愛らしいエゾリスの姿を見ることができました。

エゾリス

夕方はリクエストのあったエゾライチョウ探しです。写真には撮れませんでしたが、目の前をオスのエゾライチョウが飛んでいくシーンは格好良かったです。日高山脈に沈む夕日を展望台で眺め、この日は終了です。

日高山脈のシルエット

最終日は再度日の出前にハクガンを探しに出発しましたが、何やら沼が静かです。日が昇ると沼には1羽もガンがいません。どうやら一昨日の夕方を最後に、本州へ渡っていってしまったようです。見ることはできませんでしたが、静かになった沼を見て渡っていったハクガンの無事を祈りました。

沼の日の出

最後は帯広市内の公園で小鳥を探します。今回のツアーではまだ観察していなかったアカゲラやハシブトガラ、ゴジュウカラなどの定番の小鳥を間近で観察し、さらにエゾリスも観察できました。

アカゲラ
ハシブトガラ
ゴジュウカラ

今回のツアーでガン類を合計7種観察することができました。日本で見られるガン類の多くを一度のツアーで全て見られるのは渡りのシーズンと、その観察ポイントに簡単に移動できる北海道ならではではないでしょうか。春には残雪の残った風景とともにガンが帰ってきますので、ぜひお迎えをしにまたお越しください。皆様お疲れ様でした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

ツアー初日はあいにくの曇り空ですが、穏やかな風のなかスタートです。集合が予定よりも早くできたため、余った時間で最初に中標津の公園を歩き、現在人気爆発中のシマエナガを探します。落ち葉を踏みしめ、秋を感じながらの散策となりましたが、残念ながらこの時に会うことはできませんでした。

 

気を取り直して野付半島に移動です。今回のツアー最大の目的であるガン類を探します。野付半島は天然記念物にも指定されているコクガンの渡りの中継地として有名で、最大で一度に5000羽前後が見られることもあります。野付湾を見ていると、黒く少し大きめな鳥が何羽も浮いています!車を停め、観察してみると早速目的のコクガンです。距離は遠いですが、ざっと見ただけで周囲に1000羽を超す群れが確認できました。

コクガンの群れ

観察後さらに進んでいくと、ハクチョウが近場に浮いています。今回2種目のガンとなるかなと観察すると、オオハクチョウの群れの中に2羽だけ少し小さく嘴の黄色い模様が丸い個体がいました。コハクチョウです。今回3種目のガン類です。

コクガンと採餌するオオハクチョウ
コハクチョウ

さらに進むと海岸線には冬鳥であるシロカモメがいます。北海道で普通種であるオオセグロカモメとの違いもはっきりと分かり、その大きさもわかって頂けたでしょうか。

シロカモメ

帰り際にはキタキツネやメスシカを追いかけるオスシカも見られ、野付半島を満喫しながら根室へ向かいました。

キタキツネ
メスシカを追いかけるオスシカ

2日目は風蓮湖畔の宿レイクサンセットからスタートです。すぐそばの春国岱に行くと、遠くにタンチョウのペアやオナガガモの群れを観察できました。ここから車で鶴居村へ向かいます。道中少し寄り道をすると、エゾフクロウに出会えました。お昼ごはん中には突如上空をハイタカが旋回し、ゆっくりと姿を見せてくれましたが、この時期はごはん中でも油断禁物と気を引き締めます。

ハイタカ

午後からは鶴居村でタンチョウを観察します。紅葉は最終盤ですが、カラマツの黃葉がまだ残っており、とてもきれいでした!

タンチョウ
タンチョウの飛翔

最後にはペアがダンスもしてくれ、最高のシーンでした。
美しいタンチョウに後ろ髪を引かれながら、十勝へと向かいました。

タンチョウのダンス

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

初冬のみちのく 宮城・山形の海から山まで目指せ120種!

Report by 簗川堅治 / 2021年12月2日~5日

本格的な積雪を前に、冬鳥も揃ったみちのく宮城県、そして山形県で多くの鳥を楽しもうというツアーです。

 

冬型の気圧配置で天候が心配されましたが、ツアー開始前には穏やかになりました。まずはガイド簗川の地元でアオシギです。こちらは難なく観察することができました。しかし、あまりのカモフラージュさに、望遠鏡を使っても「どこ、どこ?」となる場面もありました。さすが、アオシギです!

アオシギ(撮影:高後洋子様)

 

マガモ、コガモ、そして数羽のヨシガモがいる沼をほんの少しだけ観察し、伊豆沼へと向かいました。冬型の気圧配置なので太平洋側は晴れです。伊豆沼ではハクガンを探しましたが、ガンの大きな群れ自体がほとんどおらず、四苦八苦しました。あきらめて移動する時に、遠くで大きな群れが飛び立ちました。と同時に、2羽のハクガンを発見!ところが、段々遠くなり、よく見ないうちに行ってしまいました。残念。

続いてカリガネのポイントに行きました。もうお馴染みの場所です。こちらもいることはいたのですが、遠い。それでも望遠鏡で餌をついばむカリガネの家族を見ることができました。

 

カリガネ

 

最後はもちろん、ガンのねぐら入りです。まずはコチョウゲンボウのねぐら入りを待ちます。いつの間にか現れ止まっていました。♂のようです。今度は、遠くから続々とガンの大群がやってきました。一体、どこにこんなにいたのかと思うくらいです。

場所を変え、さらにねぐら入りの観察です。頭上、そして目の前に次々にガンがやってきます!シジュウカラガンもたくさんいるようです。そして、何かがあったのか、一斉に舞い上がりました。ものすごい数です。上空を一周して、再び沼に舞い降りました。いつもながら、この何万羽というガンのねぐら入りは、本当に感動的です。

 

ツアー2日目

当然、ねぐら立ち観察です。蕪栗沼に行きました。シジュウカラガンの大群が水面見えます。そして、日の出の時刻に地響きを伴い数万羽のガンが飛び立っていきます。ある群れは北東に、またある群れは南東に、南西に…真上も通過し、ただただ「すごい!」の一言です。

シジュウカラガンとマガン

 

朝食後は、昨日、チラッとしか見られなかったハクガンを探しに行きましたが、残念ながら出会えず。再び蕪栗沼に。今度は散策路を歩き、ベニマシコ、ジョウビタキ、シメなどの小鳥類や亜種オオヒシクイやチュウヒを観察しました。

ベニマシコ(撮影:高後洋子様)
オオヒシクイ(撮影:森久美子様)
チュウヒ(撮影:森久美子様)

午後は南三陸でコクガンです。その前に東日本大震災で犠牲になった大川小学校へ立ち寄り、津波のおそろしさ、むごさを実感しました。そんな中、オオワシが真上を通過していきました。

震災直後は、港にたくさんの海藻が生え、コクガンが漁港にたくさん入りました。しかし、港の工事が終わった今は、昔のようにちょっと沖の養殖場にいることが多くなりました。それでも、一ヶ所の漁港で25羽以上のコクガンを比較的近くでじっくり観察することができました。オオワシやワシカモメの姿もありました。

コクガン(撮影:高後洋子様)

ツアー3日目

天気予報通り、朝から雨降りです。雨の中、最上川河口へハクチョウのねぐら立ちを見に行きました。こんな天気の時は、ハクチョウのねぐら立ちもゆっくりなので、日の出時刻を過ぎても飛び立ちません。その代わり、ゆっくりと観察できる利点はあります。ここのところの大雨で増水して中洲がなくなったためか、ハクチョウの数はかなり少なめです。コハクチョウがほとんどなので、亜種アメリカコハクチョウを探しました。それっぽい個体はいましたが、ちょっと黄色部が広めなので、合いの子のようです。

 

朝食後は、海岸沿いを回りました。ヒメウやハマシギなどを観察。その後、田んぼでミヤマガラス、そしてオオワシを見ることができました。柿の実にくるムクドリの群れやツグミなども見ました。レンジャクを期待したものの、残念ながら会えませんでした。

オオワシ(撮影:吉田徹様)

お昼を挟んで、今度は大山上池下池でカモの観察です。しかし、カモは例年よりかなり少なく、ちょっとがっかり。それでも、ここの名物、トモエガモはたくさん見ることができました。その他、ミコアイサ、カワアイサ、ハシビロガモなども見ました。オジロワシもいるはずですが、あちこち探しても見当たらず。

続いて、また海岸です。カモメ類はほとんどおらず、期待はずれな感じはありましたが、ウミウ、スズガモ、そしてシノリガモとウミアイサを楽しむことができました。

シノリガモ(撮影:吉田徹様)

帰り際、オオワシの近くに止まるオジロワシも見られましたし、柿の実のそばでは2羽のオオタカも見ることができました。

オジロワシ(撮影:吉田徹様)

ツアー4日目

最終日です。まずは沼でカモ類です。トモエガモを納得いくまで観察。マヒワ、アトリが上空を通過して行きました。

トモエガモ

今度はスペシャルメニューで、急きょ、鷹匠の家へ訪問し、鷹狩りに使うイヌワシ、クマタカなどをじっくり見せてもらい、目の前のワシとタカに大興奮!そして面白い鷹匠の体験話に思わず笑顔になりました。

 

最後は、初日のアオシギにまた挑戦しましたが、あいにく見ることはできませんでした。残念。

目標の120種には及びませんでしたが、初冬のみちのく宮城・山形の海から山までたくさんの鳥に出会うことができました。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

奥日光で冬鳥観察&会津でヤマセミ撮影にもチャレンジ!

Report by 吉成才丈 / 2021年11月9日~12日

 

初日の11/9は宇都宮駅に集合し、まずは奥日光へ向かいました。現地では、あいにくの雨予報で時折強く雨が降るという悪条件のもと、湯の湖畔や湯滝下、赤沼周辺で探鳥。この日はカワガラスやコガラ、ヒガラなどを観察し、ちょっと早めにチェックインしました。

カワガラス(上山功夫さま撮影)

2日目は天候も回復し、まずは湯滝周辺の川や小さな沢でアオシギ探し。カワガラスやミソサザイが出現するも、アオシギには出会えませんでした。でも散策路の終点近くで、コガラやゴジュウカラ、エナガ、コゲラなどの混群に遭遇。それぞれの種を楽しみながら、木の幹をらせん状に上るキバシリを探すと、運よく2羽を観察することができました。キバシリは。まるでネズミみたいですね。

湯滝
キバシリ(上山功夫さま撮影)

赤沼の木道ではマヒワも観察できましたが、今年の奥日光はズミやナナカマドの実がすくなく、結局、ツグミやウソ、アトリなどには出会えませんでした。

奥日光は湿地も樹林もすばらしく、雄大な景色をみているだけで癒されますので、いろいろな季節に訪ねてみたいですね。この日の午後には会津に移動し、翌日のヤマセミに備えて、早めにお休みいただきました。

戦場ヶ原

さあ3日目は、いよいよこのツアーのハイライト、ヤマセミの観察&撮影にチャレンジです。暗いうちにブラインドに入って静かに待つと、まずは6:15頃に1回目の飛来があり、以降も何度か、とまりや飛翔がありました。距離も近いので興奮しましたが、皆さん、オス・メス2羽のとまり写真もバッチリ撮れたようです。

ヤマセミのオス・メス(上山功夫さま撮影)

そして4日目も、昨日と同様にヤマセミの観察&撮影にチャレンジしました。皆さん、昨日でかなり満足されようですが、まだまだ撮影できるシチュエーションがあります。そう、この日は飛翔やハンティングのシーンも意識して狙って頂きました。この日はヤマセミの動きもよく、予想していた以上の成果があり、皆さんの撮られた写真に驚かされました! 論より証拠、参加された方々の写真をご覧ください。

 

ヤマセミのホバリング(奥田恵子さま撮影)
ハンティング後のヤマセミ(奥田恵子さま撮影)
ハンティング後のヤマセミ(上山功夫さま撮影)

一部しか紹介できませんでしたが、皆さんの写真はいかがでしたか?
本当に、すごいですよね!

 

ここでは、カメラや写真、ヤマセミに精通した地元のヤマセミガイドさんが撮影方法を指導してくれるので、皆さん自身が予想していた以上に撮れちゃうんです。背景もきれいでしょ!

バーダー憧れのヤマセミのいろいろな行動を見ることができ、また撮影まで上手くいき、ヤマセミ主体のツアーは大成功でした。来年は幼鳥が巣立った後の夏、そして紅葉もきれいな今回と同じ時期に計画してみたいですね。

 

(確認種59種)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。