山形・天童でチゴハヤブサの親子を観る(2023年1本目) 

Report by 簗川堅治 / 2023年8月19日~20日

毎年恒例のツアーです。今年は平年通りの繫殖のようです。とにかく今年は暑い!そして、局所的に大雨になる夏です。結果的には、何とか降らずに済んだのは幸いでした。

 

初日は1ヶ所のみ見に行きました。ほどなく、スギに止まる巣立った幼鳥を見つけました。3羽巣立ったうちの1羽です。暑くて日陰でじっとしています。

日陰に止まる幼鳥
日陰に止まる幼鳥

 

早速、近づいて観察撮影です。親も見張りの枝に止まって、探餌しています。

探餌する成鳥
探餌する成鳥

 

しばらく待っていると、親が餌を運んできました。「キィキィキィ…」と親も子もけたたましく鳴いています。その後もカラスが飛ぶとモビングでスクランブル発進したり、巣立った幼鳥が飛翔練習や採餌練習をする姿を見ることができました。

飛翔する幼鳥
飛翔する幼鳥

 

2日目。朝から曇り空です。まずは昨日とは別の場所、高架鉄塔で繁殖しているつがいに行きました。こちらはまだ巣立っていません。巣には枝移り(と言っても鉄骨)した幼鳥1羽を確認できました。付近には親が止っていました。こちらもカラスにモビングしました。場所を換え、昨日の場所に到着です。今度は違う方向からの観察で、より近い場所での観察です。「キィキィキィ…」と、けたたましい声で出迎えてくれました。色々な所に止まったり飛んだりする巣立った幼鳥4羽と親2羽を堪能しました。

餌をもらった幼鳥
餌をもらった幼鳥
止まる成鳥
止まる成鳥

 

一泊二日、しかも夕方と早朝のみの観察でしたが、山形の夏の風物詩・チゴハヤブサを堪能できました。参加者のみなさん、ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

夏の富士山・奥庭で亜高山帯の野鳥と
大磯海岸でアオバト観察

report by 吉成才丈 2023年8月21日~23日

 

1日目

今回は全員が新宿のバスターミナルに集合し、乗り換えなしのバスで、標高約2,300mの富士山五合目に向かいました。この暑い時期ですからね、高速道路上のバス停にとまる以外はダイレクトに現地に行くことができるので、本当に便利で快適です。

ほぼ予定通りに奥庭荘に着くと、さっそくかぶりつきで撮影する方、まずは昼食をとる方など、銘々で自由に行動していただきました。奥庭では散策もできますが、歩く距離も短く散策路も整備されていて危険は少ないため、各自で思い思いに行動できるのも魅力の一つだと思います。

水場
水場

水場では、ウソやルリビタキ、ヒガラ、キクイタダキ、メボソムシクイなどがパラパラと出てきてくれました。最短だと、鳥までは10mもない条件なので、手持ちの撮影システムで撮られていた方でも、バッチリと写っていると思います。この日の午後だけでも十分満足という声も聞こえるほど、小鳥たちは、かなりの頻度で出てきてくれました。

ウソ(HO様撮影)
ウソ(HO様撮影)
キクイタダキ(HO様撮影)
キクイタダキ(HO様撮影)

奥庭荘は山小屋なので、お風呂もシャワーもありません(涼しいので汗もかかず、朝晩は肌寒いほど)。夕食もまだ明るい時間の16時30分と早いのですが、食事の内容は山小屋とは思えないほど豪華です。

豪華でボリュームのある夕食
豪華でボリュームのある夕食

夕食を終えても明るいので、奥庭荘のご主人が散策路を案内してくれました。あいにく、西の空の雲が厚かったので富士山は赤く染まりませんでしたが、間近に見える富士山山頂も楽しめました。そして夜になると、雲の合間から星空も見えました。最近のスマホは性能がよく、星空も簡単に撮れてしまうのですね。2枚とも、iPhoneで撮影した画像です。

富士山と星空
富士山と星空
星空
星空

 

2日目

明け方は晴れており、富士山の稜線から昇るご来光も見ることができました。

日の出
日の出

昨日同様、この日も小鳥たちはよく出てきてくれました。昨日は出てこなかったルリビタキのオスも何度もやってきましたが、オスだけでも3個体いるような印象でした。本当に、ルリビタキのオスは美しいですね。

ルリビタキのオス(HO様撮影)
ルリビタキのオス(HO様撮影)
メボソムシクイ(左)、ルリビタキ(右)
メボソムシクイ(左)、ルリビタキ(右)
左からヒガラ、ウソ、メボソムシクイ
左からヒガラ、ウソ、メボソムシクイ

この日の午前中は奥庭荘で楽しみ、昼食後には、翌日のアオバト観察に備えて大磯方面へ移動しました。

 

3日目

あいにく、この日の天気予報は曇りベースの雨…。天候の回復を願い、まだ薄暗いうちにホテルを出発し、大磯・照ヶ崎海岸に到着。到着時から少し降りましたが、階段下のわずかなスペースで雨宿りしていると次第に雨が上がり、なんと晴れ間まででてきました。アオバトも飛来はするものの、なにかに警戒してなかなか岩場に降りません。また、飛来してくる方向の山はかなり雨が降っていたようで、晴天時よりはアオバトの個体数は少ないようでした。でもそのうち徐々に岩場に降りるようになり、海水を飲む様子なども観察できました。

飛来してきたアオバト
飛来してきたアオバト
海水を飲むアオバト
海水を飲むアオバト
波で飛び上がったアオバト(HO様撮影)
波で飛び上がったアオバト(HO様撮影)

そして、海水を飲んでいたアオバトが一斉に飛び立つと、ハヤブサの幼鳥が登場しました。アオバトを襲う様子は見られませんでしたが、やはりどこかに潜んでいたようですね。

ハヤブサ幼鳥
ハヤブサ幼鳥

最終日は雨予報でハラハラしましたが、昨年は快晴でかなり暑かったことを考えると、今年は過ごしやすくて助かった面もあります。観察を終えると、チェックアウト時間を延長していたホテルに戻って解散しました。きっと皆さん、シャワーを浴びてお帰りになられたことと思います。標高2,300mの亜高山の鳥と海岸のアオバトという面白い組み合わせですが、今年もバラエティに富んだ鳥見が楽しめました。

 

(観察種数27種)

 

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【後編】

Report by 戸塚学 / 2023年6月17日~22日

6月20日(火) 4日目

今日も天気はいいです!早めに朝食を食べて相泊港まで移動します。ここからはヒグマウォッチングツアーです。初めに見つけたヒグマは遠くてパス。2回目に見つけたクマは待っていると海岸まで出てくれたので撮影をすることができました。船長が「別のクマを探そう」と岬近くに行くと・・・一目7頭のヒグマです!そのうちの1頭が2頭のこどもを連れていたので9頭のヒグマを見渡すことができました。まずは親子を狙います。昆布の茂った海は光の関係で緑色に染まりとてもきれいなので意識して撮影をしてもらいます。

ヒグマ
ヒグマ
ヒグマの親子
ヒグマの親子

次は兄弟だと思うと船長が言う2頭のクマを狙います。大きな石をひっくり返すと「ごとん!」という音がこちらまで聞こえる近さはライブ感たっぷりです。その後も帰る途中にクマが出てくれるたびに船長が近づいてくれるのですが、午後の船の時間もあるので寄らずに戻ってもらいました。

下船後はすぐ羅臼港へ向けて移動します。途中港近くのコンビニでお弁当を買ってもらいギリギリで乗船ができました。岸近くはさほど波に翻弄されることが無かったのですが、沖に出ると結構なうねりが激しくシャチを狙うのに苦労しました。残念なのはこの日のシャチの群れはあまり船と遊んでくれないのでチャンスが少なかった。それでも初シャチのお客様は喜んでおられました。

シャチ
シャチ

残念なのはうねりが強いので予定より早めに終了となったので道の駅で買い物をしてもらいます。この夜もシマフクロウを狙ったのですが、残念ながら出ませんでした。シマフクロウがメインならば朝まで粘ってもいいのですが、他のスケジュールもあるので仕方がありません。

6月21日(水) 5日目

この日も快晴です!風も弱く絶好なコンディション。早めに並び全員で船の前の部分でスタンバイします。参加者のみなさんはわかっていないようなので、とにかく海からの風景を撮ってね!携帯で動画も撮ってね!と言います。じつはこのコンディションは年に数回しかないくらいなのです。船のガイドさんも「今月はこの風景は初めてです!」と言っています。さてこの日は海鳥たちが比較的多く、ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、フルマカモメが船の近くを飛んで行きます。時折ずんぐりむっくりなウトウも見られました。

ハシボソミズナギドリ
ハシボソミズナギドリ
ずんぐりむっくりなウトウ
ずんぐりむっくりなウトウ
フルマカモメ
フルマカモメ

驚いたのはクロアシアホウドリが近くで撮影ができたこととアホウドリの幼鳥も近くで撮影できたのですが、少し遠目に発見したアホウドリの成鳥に寄ってもらいたかったのですが、シャチが遠くで出ているという事で船長はそちらを優先します。仕方がない、私たちのメンバーもやはりシャチは撮りたいはずだから。しかしシャチは日露中間線よりもロシア側で手も足も出せません・・・運が良ければアホウドリの成鳥のところに行くかなと期待したが、たぶん飛んで行ってしまったのか見つけられませんでした。

アホウドリ幼鳥
アホウドリ幼鳥
遠くにいたアホウドリ成鳥
遠くにいたアホウドリ成鳥

港に戻る間も生き物を探します。運よくイシイルカが出てくれたのでみなさん必死に撮影をされていました。下船後はお弁当を買っていただき知床峠でギンザンマシコを狙いますが・・・出ません。そのうち飽きてしまったようで「もう原生花園に移動したい」という要望も出ましたが「14時までがんばろう!」と説得しました。結局時間までにギンザンマシコは出ませんでしたが、ウソ、ビンズイは見ることができました。時間になったので原生花園に移動してノビタキ、ホオアカを撮っていただきホテルに向かいました。夕食はホテルについていないので今回の旅の成果に居酒屋で祝杯をあげました。

ノビタキ♂
ノビタキ♂
ノビタキ♀
ノビタキ♀

6月22日(木) 6日目

朝は朝食の関係で8時に出発します。小清水原生花園でノビタキ、ホオアカの撮影をしていただきながら放牧している馬や乱舞するエゾシロチョウ、動物ではありませんがエゾスカシユリやエゾキスゲ、ハマナスなどのお花を撮影していただきました。網走湖湖畔での野鳥撮影よりも風景を撮りたいというリクエストで空港に送迎するまでしっかりと風景撮影を楽しんでいただき無事解散となりました。5泊6日と長丁場ではありましたが、終わってみればあっという間でした。みなさまお疲れさまでした!

ホオアカ
ホオアカ

撮れた鳥
アホウドリ・クロアシアホウドリ・ハシボソミズナギドリ・フルマカモメ・アオサギ・タンチョウ・カッコウ・アマツバメ・オオジシギ・ミツユビカモメ・オオセグロカモメ・ウミネコ・ケイマフリ・ウトウ・エトピリカ・オジロワシ・ショウドウツバメ・シマセンニュウ・コヨシキリ・ノビタキ・ホオアカ・アオジ・オオジュリン・エゾシカ・キタキツネ・エゾヒグマ・ラッコ・シャチ・イシイルカ

見れた鳥・声を聞けた鳥
ヒドリガモ・マガモ・オナガガモ・キンクロハジロ・スズガモ・クロガモ・シノリガモ・ウミアイサ・カンムリカイツブリ・キジバト・アオバト・シロエリオオハム・カンムリウミスズメ・ウミウ・ヒメウ・ツツドリ・トビ・ハイタカ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒガラ・シジュウカラ・ヒバリ・ウグイス・エゾムシクイ・シマセンニュウ・エゾセンニュウ・コムクドリ・スズメ・ニュウナイスズメ・ハクセキレイ・ビンズイ・カワラヒワ・ベニマシコ・ウソ・ウソ

他の生き物
ヒグマ(撮)・ラッコ(撮)・エゾシカ(撮)キタキツネ(撮)・イシイルカ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2023年6月17日~22日

全体的にはこの時期天気があまり良くない根室地域では奇跡的に好天に恵まれた条件となりました。私としてシマフクロウ・ギンザンマシコ・シャチ・ラッコ・ヒグマ・エトピリカの順番で難易度が上がるのですが、逆になってしまい予想外の展開となりました。

6月17日(土) 1日目

飛行機の到着が少し遅くなったのですぐに専用車に乗って霧多布岬を目指します。前日までは1週間毎日霧、霧雨の天気だったのですがみなさんの到着とともに晴れになっていました。移動途中牧場に中にタンチョウがいたので撮影をしていただきました。霧多布に近づくにつれ徐々に霧が濃くなりラッコがいるポイントでは視界がなくなってしまいましたが、霧の中からラッコの赤ちゃんの泣く声がするのでその周辺を探すとようやく発見することができました。しかし霧に包まれているのではっきりと観察することがきず残念でした。宿に向かう途中にタンチョウを探しますが残念ながら見つけることができませんでした。宿の前で夕陽を狙っていると、もの凄い数のヌカカに襲われながらも素晴らしい夕陽を堪能しました。

牧場で観察したタンチョウ
牧場で観察したタンチョウ
風連湖の美しい夕日
風連湖の美しい夕日

6月18日(日) 2日目

天気は最高で予定通り早朝観察&撮影を楽しみます。ハイド(観察小屋)近くでコヨシキリがさえずっているので、ハイドに入り窓を開けるとめっちゃ近い!逃げないのでしっかりと撮影を堪能できました。またオジロワシのペアが近くで飛翔したり、とまってくれたりとサービス満点の早朝となりました。

コヨシキリ
コヨシキリ
オジロワシのペア
オジロワシのペア

落石ネイチャークルーズはやや波は高いが出航という事で海へ出ますが、波よりもうねりがあり鳥たちを探すのも苦労します。そんな中でガイドさんが飛び回るエトピリカを成鳥見つけてくれたので撮影していると・・・着水!ゆっくり近づいてゆくと、なんとエトピリカからこちらに近づいて来るではありませんか!おまけに海上に漂う枝などを巣材として集めていることに集中しているので、こちらはほぼ無視。おかげでみなさんしっかりと撮影をすることができました。光もいいし近いしこんなことはないよと私が一人で興奮して熱くしゃべくっていました。

枝を集めるエトピリカ
枝を集めるエトピリカ
エトピリカ
エトピリカ

近くにいるはずの10数頭を超えるラッコの群れは波が高くて見つけられませんでしたが、若い2頭は何とか撮影ができたと思います。下船後は道の駅でランチをするのですが、根室名物という事で「エスカロップ」をみんなで食べました。

若い2頭のラッコ
若い2頭のラッコ

午後はどうするかをみなさんに聞くと「霧多布のラッコはもういい」という事で、走古丹でキタキツネの子ぎつねとタンチョウの親子を探すことになりました。残念ながら大人のキタキツネはちょくちょく見られるのですが、下見で見つけた巣穴の4頭の子ぎつねには出会う事はできませんでした。タンチョウの親子ははじめ見つけられませんでしたが、さすが熟練のバードウォッチャーでもあるドライバーさんが見つけてくれて何とか撮影をすることもできました。

タンチョウの親子
タンチョウの親子

時間があれば野付半島にも行く予定でしたが明日は野付半島での観察と撮影にしっかり時間をかけることができるので、この日は早めに切り上げて宿の向かいにある温泉を楽しんでいただきました。

6月19日(月) 3日目

予定より1時間遅く出発して、コンビニで朝食を買い込んで野付半島に向かいましたが・・・天気は晴れているのですが、風が強く寒い=小鳥の出現率が下がるのでターゲットをエゾシカに切り替えて群れを見つけては車を停めて撮影を楽しみます。

エゾシカ
エゾシカ
エゾシカ
エゾシカ

10時を過ぎたところで気温も上がり風も弱まったので花と小鳥を歩きながら撮影を進めます。ここで電話が鳴り尾岱沼の外洋クルーズが波が高いために欠航という電話でした。風は弱まったと思ったのですが、どうやら位置的に風が弱くなっていただけで全体的には風は弱まっていなかったようでした。予定を一気に変更してまず、標津の町までランチを食べに行きました。その後は今日から泊まる宿へ電話をして早めにチェックインすることを伝えました。時間はたっぷりあるので下見で見つけたショウドウツバメのコロニーでみなさん撮影を楽しみました。

ショウドウツバメのコロニー
ショウドウツバメのコロニー

羅臼に移動して早めに宿へ入り休憩。そして夕食をとり、18時30分シマフクロウを狙いに行きました。1度でも出れば23時、出なければ0時まで粘ることにして頑張りましたが、結局1度も出ることが無く引き上げると10分後に出たらしい!悔しい。

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

韓国BIG3 ヤイロチョウ・ヤマショウビン・ ワシミミズク撮影&観察【その2】

Report by 戸塚学 / 2023年5月28日~6月2日

 

6月1日 5日目 晴れ時々曇り (Big3 ヤマショウビン)

本当は早くからヤマショウビンのポイントへ行きたかったが、朝食時間と渋滞の関係で9時出発、10時30分着となった。ここは朴さんが下見に来た時ヤマショウビンの繁殖を確認しているので「今度こそは!」と気合を入れると鳴き声が!巣穴近くの電線にとまったので少し遠いが撮影をしてもらう。とりあえずは全員撮影ができた!

ヤマショウビン

2手に分かれてブラインドを張って近くで狙う組と離れた場所から他の鳥も狙う組とで分かれたが、急ごしらえのブラインドがいけなかったようで撤収して、離れた組の場所でブラインドを張りなおし待つ。ここもコウライウグイス、ブッポウソウが飛び回りカッコウが近くの電線にとまる。しかしブッポウソウもコウライウグイスがエサ取りのために飛び回るも撮影が難しい・・・。

コウライウグイス
コウライウグイス
チョウセンチョウゲンボウ
カッコウ飛翔
カッコウ

近くでアカショウビンとセグロカッコウの声もするが姿は確認できなかった。ブラインドを張っている場所が桜並木になっているので毛虫がわんさか。どうやらこれが鳥たちの大事なエサになっているようだ。五百澤氏が「アカハラダカがいる」というので撮りたい人はそちらについて行った。結果は遠いのが撮れたのみとのことだった。

アカハラダカ

さて本命のヤマショウビンは鳴きながら現れるがすぐに飛び去るか、林の中に入ってしまいなかなかチャンスに恵まれない。18時まで粘ったが暗くなってきたので切り上げる。それにしてもどうも「がっつり」と撮れないのが悔しい。

ヤマショウビン飛び去り

 

6月2日 最終日 曇り

最終日はホテルで朝食を食べず、仁川の街の食堂で牛の煮込みスープ(ソルロンタン)を食べる。朝ステーキもグレートだが、やはりこちらの方が韓国らしく身体にやさしい。

今日のラストを締めくくるのは夏羽クロツラヘラサギのいる湿地公園。とてもきれいな場所で夏羽のクロツラヘラサギを近くから撮れちゃうという最強の場所のはずが。現地に着くといつもいる池にいない?よく見るとガマを作業員さんたちが抜いてる・・・。それでいないのか。ハスの葉の上でさえずるオオヨシキリがいたので撮影してもらってからクロツラヘラサギを探しに行くと「いた!」との声。みなさんが撮影しようとすると飛んだ?なんで?かなり距離があるのに・・・。不思議だなぁという思いと嫌な予感を抱えながら降りた池に向かうとダイサギと3羽のクロツラヘラサギを確認。こちらに向かって採餌しながら近づいてくる。ハスの葉から全身が出る場所で待っていると・・・突然飛び立った!3羽と思ったがもう1羽いて4羽だったのだ。私たちが最初撮ろうとして飛んだ2羽のうちで、どうやら警戒心が強い1羽が飛び立ち、それに引きずられて他のクロツラヘラサギたちも飛んでしまったのかもしれない。飛び去った方向を追うがかなり遠かった。そこまで向かって見つけられないと時間の無駄になるので、悔しいが切り上げることにする。それにしても悔しい・・・なんで今回に限って、どいつもこいつも「ちょっとだけよ」と撮らしてくれないんだ!見られているのに撮れないなんて・・・。最後の最後は時間調整用に用意してあるクロツラヘラサギたちのコロニーへ行きます。ここではモンゴルカモメも繁殖しているのでそれらを望遠鏡で見てもらいます。よく見るとヒシクイとマガンもいたので怪我をして戻れなくなっているのかもしれません。

オオヨシキリ

五百澤氏、朴さんと3人で来年どうやってツアーを組みなおすか?を話している時でした。参加者のみなさんの前にあるアシの上にダルマエナガが飛んできたのです。すぐに「目の前、ダルマエナガ!」と声をかけるといつもはすぐに隠れるダルマエナガが結構長く同じ場所で停まっていてくれた。なんとなくだがその下が巣のような気もするが(笑)おかげで最後の最後で「たくさんいるけど手強い韓国Big3」の一つ、ダルマエナガをゲットできてみなさん嬉しそうでした。ちなみに残りはブッポウソウとコウライウグイスです。

ダルマエナガ

その後は関西空港組と成田空港組に分かれて、私は関西空港組で帰宅の途へ。ところが関西空港に到着すると台風の大雨のためバス・電車すべてがストップ!脱出不能なので空港で1泊する羽目に。参加者の方は4時間待ちで、無事タクシーで帰宅できたそうです。成田組も台風の影響で、1時間遅れの到着。途中大きな揺れが2~3回あり、生きた心地がしなかったそうです。今回は本当に台風と梅雨前線で泣かされましたが、次回は天気も味方につけ、もう少し絞り込んだ内容でより充実した写真撮影の旅ができるようにしたいと思います。これを読んでもし韓国に行きたいが辛いモノばかりで食べられないかもと不安に思われる方も多いと思います。実際今回の参加者4名がそうでしたが、コーディネーターの朴さんが日本人並みに辛いのが苦手なので、チョイスする料理はたいして辛くありません。なのでみなさん韓国料理の虜になってしまったようです。たぶん日本のカレーライス中辛が食べられれば大丈夫です。もちろん辛くしたい方はいくらでも辛くできるのでご心配無用です。

 

 

撮れた鳥

カラシラサギ・チュウサギ・ダイサギ・クロツラヘラサギ・ミヤコドリ・ウミネコ・カッコウ・ヤマショウビン・ブッポウソウ・チョウセンチョウゲンボウ・チゴモズ・コウライウグイス・カササギ・ツバメ・オオヨシキリ・ダルマエナガ・ホオジロハクセキレイ・ワシミミズク

 

見られた&声を聞かれた鳥

ヒシクイ・マガン・マガモ・カルガモ・コウライキジ・カワウ・アオサギ・コサギ・アマサギ・ササゴイ・ゴイサギ・バン・オオバン・シロチドリ・ウミネコ・モンゴルカモメ・ヒガシシナアジサシ・ドバト・キジバト・セグロカッコウ・ツツドリ・ホトトギス・アオバズク・ヤツガシラ・カワセミ・アカショウビン・コゲラ・アカゲラ・ヤマゲラ・ヤイロチョウ・サンショウクイ・オナガ・ハシブトガラス・コシアカツバメ・シジュウカラ・ヒヨドリ・チョウセンウグイス・オオムシクイ・メジロ・ジョウビタキ・カラアカハラ・ギンムクドリ・ムクドリ・ホオジロハクセキレイ・スズメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

韓国BIG3 ヤイロチョウ・ヤマショウビン・ ワシミミズク撮影&観察【その1】

Report by 戸塚学 / 2023年5月28日~6月2日

5月28日 1日目 雨

出発前日に先に現地入りしている五百澤氏から「ヤイロチョウが撮れたよ!」と連絡があったので良かったと思いながら成田空港・第三ターミナルに向かいます。今回はいい時間に釜山に到着する飛行機が無かったのでLCCを利用することになりました。少し心配をしましたが、自動チェックイン機の操作も悩むことなく無事完了しました。それにしても手続きがどんどん簡略されて、あっという間に出発ゲートまで来れてしまうのには驚きです。現地に到着すると現地コーディネーターの朴さんと五百澤氏が出迎えてくれ、早速2台の車に分乗してホテルへ向かいますが、その前に食事です。みなさん韓国料理=激辛と信じ込んでいたようですが、朴さんチョイスのメニューに美味しいを連発して、明日への英気を養いました。

 

5月29日 2日目 雨 (Big1 ヤイロチョウ)

朝5時に部屋の窓を開けるとカラアカハラ、ツツドリ、コウライウグイス、チョウセンウグイスの鳴き声が響く。天気は霧雨・・・さてヤイロチョウに出会えるかなと期待して6時に集合して車で移動です。現場では雨の中を探しますが見つからない。他に2か所を廻りますが鳴き声すら聞こえない。一旦食事にホテルへ戻り朝食です。驚いたのは朝からステーキ!朴さんもびっくりして写真を撮っていた(笑)。

朝ステーキ
朝ステーキ

 

朝食後は早朝に廻ったうちの1ヶ所、五百澤氏がヤイロチョウの写真を撮った場所に絞り込み待つ事にしました。鳴き声が聞こえ徐々に近づいて来ると時間差で出てはくれるものの、ほとんどは飛翔通過。枝どまりをしても一瞬で飛んでしまい撮影ができない!11時頃から鳴き声がしなくなったのでコウライウグイスを探すが近くで撮影はできなかった。

昼食後も同じ場所で狙うも急に大雨になったり、小雨になったり、止んだりでブルーになるがこの雨が小雨や止んだ瞬間に鳥たちが出てくれるのでそれを撮影する。ヤイロチョウ以外では一番人気はチゴモズ、次はコウライウグイスだった。他にもホトトギス、サンショウクイ、シジュウカラ、メジロ、コゲラ、ヤマゲラ、(アカショウビンは声のみ)を見られたのだがチゴモズ以外は遠くてストレスがたまった。17時、暗くなったので切り上げて終了。この日はサムゲタンで胃袋を満たし明日に期待をします。

チゴモズ
サムゲタン

 

5月30日 3日目 雨のち曇り (急遽追加された世界的珍鳥ヒガシシナアジサシ)

朝はいきなり土砂降り・・・沖縄近くでのんびりしている台風2号の影響で私たちのいる韓国南部近くにある梅雨前線が刺激をされているせいだ!あまりにもひどいので早朝は中断して朝食を食べてからのスタートに切り替えました。今日はホテルを移動するので、9時に荷物を車に詰め込み昨日と同じ場所へ。しかし・・・出ない。声もしない。本当は早朝が終わったらコウライバトのポイントへ移動予定だったのですがヤイロチョウに重点を置くためパスしたというのに・・・。10時頃ようやく私たちの前をヤイロチョウが飛翔していった。一瞬だがその姿で気合が入るも11時のタイムアップで終了となってしまった、残念だ。お昼はSAで各自好きなものを食べていただき、ヒガシシナアジサシのいる干潟へ向かいます。あと少しで到着というところで車の前をアカショウビンとブッポウソウが通過。見たのは私だけ・・・みなさんに見せてあげたかった!

 

干潟ではウミネコの中にヒガシシナアジサシがいないかを探すが見当たりません。遠くに採餌するミヤコドリの群れは確認できたけれど本命がいなくては。とりあえず時間までここに降り立ってくれることを祈って待つ事にする。

ミヤコドリ

急にウミネコの群れが飛び始めたのでそれを双眼鏡で覗くと?おや1羽スレンダーな奴がいる。五百澤氏に伝えると「いた!ヒガシシナアジサシ」と叫ぶもあまりにも遠くに行ってしまって、海上ロスト。その後は結局見つけられなかった。ちなみに繁殖している場所はここから30~40キロ離れているという。そんな中、参加者の一人が波打ち際の白いサギの動きがカラシラサギっぽいんだけど。というので撮影するがあまりに遠くてよくわからない。私が干潟を歩いて行き「カラシラサギだったら両腕でまるを作って合図するね」と伝え歩き出すが・・・遠い。ようやく判別できる場所まで来るとやはりカラシラサギだった!すぐに合図をするとみなさん小走りに集まり何とか撮影ができましたが、驚いたのはむき出しなのに近くで撮影ができたこと。もう一つはきれいな夏羽+目先の色が婚姻色だったこと。日本では見られないので私も興奮してしまった。

時間になったのでこの干潟近くにある食堂で晩御飯を食べたのだが海鮮チヂミとサバの干物の旨い事こと!鳥はイマイチだが、食事はピカイチで・・・やばいがグルメツアーの色が濃くなってきている。

特性海鮮チヂミ

5月31日 4日目 晴れ (Big2 ワシミミズク)

朝食後、再び干潟へ向かうも潮が悪い!満ち潮で干潟がどんどん少なくなってきている。見渡すがヒガシシナアジサシは見当たらないが、カラシラサギが2羽で喧嘩をしているので近くで撮ろうと歩き出すと1羽を完全に追い出してしまった。しかし追い出した1羽がこちらに来るかもと待っていると反対側へ行ってしまう。なんとそこには参加者が一人だけ狙っている!きっといいのが撮れたに違いない!10分もするとこちらに向かってきたので離れていた参加者もこちらへ移動。カラシラサギはその倍の速度でどんどん近づいてくる。おかげで順光のきれいな海バックでみなさんしっかり撮影ができてほっとする。しかし本命のヒガシシナアジサシは現れなかった・・・。

カラシラサギ
カラシラサギ飛翔

一旦近くにある別の場所を探しに行くとこちらにもいなかった。昼食は昨晩と同じ食堂で超おいしいカルグクス(海鮮うどん)を食べて移動。その後は高速道路を使いワシミミズクのポイントへ行くと親鳥は不在でしたが、大きくなったヒナが2羽いました。

ワシミミズク巣立ちびな

ここではカササギ、オナガ、ヒヨドリ、ブッポウソウが飛び回りすべてが繁殖をしていそうな雰囲気を出していた。もしかしてワシミミズクの近くで繁殖することでワシミミズクを用心棒にしているのかもしれない。後ろの田んぼで「ココココ」と声がするのでヒクイナかなと思っていたが、五百澤氏が「ヤツガシラがエサをくわえて飛んで行ったから巣があるかも?探してくる!」と行ってしまった。あとでヤツガシラってどんな鳴き声と聞いたら私たちがヒクイナだと思っていたあの声だったらしい。それにしても雲間から太陽が出ると蒸し暑くこれ以上粘ると熱中症になりそうなので北へ向かって移動を開始。ソウル方向で高速道路が帰宅渋滞にはまったこともホテルまでが長かった。

ツバメ
ブッポウソウ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

渡りの本流!韓国・春の離島【2本目・後編】

Report by 五百澤日丸 / 2023年5月2日~7日

 

ツアー4日目

今日は韓国のこどもの日です。どこも人や車で混雑する見込みです。朝起きると・・・信じられないことに強風、雨、霧と3悪の天候です。これはどうみても今日も欠航だろうと思いました。案の定、すぐに欠航連絡がありました。今日行けないとなると、もうほぼ終わりです。明日、行けたところで、7日の飛行機には間に合いません。絶望の中、このあとどうするかを、今日も総力をあげて考えます。雨が強いので、まずは鳥のセンターに向かいました。ここでは韓国の鳥の剥製を見学し、近くの人工塔の上で繁殖するコウノトリの2羽のヒナと成鳥を観察しました。詳しくは分かりませんが、どうやらこのコウノトリは日本で増えた一部がやって来ているようでした。

人工塔の上の巣とコウノトリ

この悪天なら、離島では普通鳥たちがたまっていくので、昨日、ほとんど鳥がいなかった岬も同様に鳥が入ってきているのではないか、ということで岬へ向かいます。さらに暴風ぎみになってきてガスも濃くなってきました。観察には辛い状況ですが、きっと、鳥は増えているはず、と期待に胸が膨らみます。現地に着くと、視界も200mもないような濃霧となっていました。畑は林縁を探すと、やはりいました。シベリアアオジ、キマユムシクイ、アムールムシクイ、シマノジコなどが確認でき、少し盛り上がりました。海の方からは続々と鳥が入ってきている感じでした。そして、クロウタドリが出現し、この日の一番の盛り上がりをみせました。島に渡れなかった韓国のバーダーたちも、この地に数人来られて、一緒にクロウタドリを観察しました。やはり皆さんも苦労されたようです。この岬の付け根にあるホテルを何とかとることも出来て、明日の朝に期待して各自、部屋に戻るのでした。
この日は66種確認しました。

シマノジコ

ツアー5日目

今日も起きると宿の周辺は、濃いガスの中でした。これはいい条件だ、と部屋の窓を開けて外を見ていると、すぐそばでシマゴマの声がしたので、外に出てみました。霧雨が結構強く降っていて、なかなか辛い状況でしたが、朝食前に、皆で歩いて探鳥です。ポイントにつくと、ツメナガセキレイの夏羽が数羽、タイワンハクセキレイも数羽、ハリオシギが裸地に見られ、畑には、コホオアカ、シロハラホオジロ、キマユホオジロ、ノジコ、ムネアカタヒバリ、コサメビタキと続々と出現し、ようやく「らしい」状況となりました。

ダルマエナガ
コイカル

ヒタキ類がさっぱりで残念ではありましたが、今日もクロウタドリが出現し、昨日よりもじっくり観察出来て本当に良かったです。朝食の後は、霧雨から土砂降りに近い状況になったので、昼近くまで宿でしばらく休憩を取ることにしました。午後になり雨も少し落ち着いてきて、15時まで岬のポイントで楽しみました。このあと、仁川に向けて北上しました。多少、渋滞しましたが、ほぼ予定通りに仁川に到着し、夕食を取った後、ホテルに入り休みました。考えてみると、もし、初日に島に渡ることが出来ていたとしても、この日も欠航だったため、我々は島流しにあい、帰れなくなるところでした。そう思うと、ゾッとするのでした。いいのか、悪いのか、複雑な心境になりましたが・・・。
この日は49種確認しました。

クロウタドリ
クロウタドリ

 

ツアー6日目

今日は曇で、雨も上がりまあまあの天気です。ホテルで朝食後、荷物を積んで出発しました。ツアー最終日です。まずは、ソウルの郊外西方にある水田地帯へ向かいます。ここでは夏羽のクロツラヘラサギを間近に見ることが出来る場所です。到着すると、その水田地帯に隣接する丘の林からシマゴマの声がたくさんしています。こちらも荒天続きだったせいか、鳥たちが入ってきているようでした。しかし、その姿をみることは出来ませんでした。水田地帯では、タカブシギやヒバリシギ、オオヨシキリなどを堪能しました。次は最後の探鳥地、クロツラヘラサギの繁殖地に向かいます。現地に着くと、クロツラヘラサギの巣には雛がだいぶ大きくなっているものや、生まれたてのような可愛いヒナが見られました。モンゴルセグロカモメもヒナが孵っています。近くの松林ではシマノジコやシマゴマがいましたが、姿は一瞬で、不完全燃焼でした。これでタイムアップです。関西方面は飛行機の時間が早いため、先に大西さんと、戸塚さんを空港でお別れし、残りは空港の滑走路を望む食堂で最後のお昼ご飯、キンパ(韓国風太巻き)を食べてから空港に向かいました。その上空を1羽のブッポウソウがフワフワと飛んでいく姿を最後に、ツアーは終了しました。

クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギ

この日は57種でした。6日間のトータルは、129種という結果となりました。
今回は、一度も島に渡れず、極めて残念でした。天候にはどうしても勝てませんでした。来年は欠航が少ない島に行く内容にしようと考えております。どうか宜しくお願い致します。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。

渡りの本流!韓国・春の離島【2本目・前編】

Report by 五百澤日丸 / 2023年5月2日~7日

 

ツアー1日目

韓国の離島に大西敏一さんの誘いのお陰で渡ってから、早13年が経ちました。コロナ禍のため4年ぶりのツアーとなりました。4月25日の1本目のツアーについで、2本目のツアー開始です。
現状では成田発、仁川着の飛行機が15:50着という夕方になるため、初日はホテルへの移動のみとなりました。1本目のツアー後は、大西さんと仁川にて1日の休日を挟んでホテル待機でした。成田から8名様を空港でお出迎え、無事に合流しました。今回は、来年のために下見で参加する写真家の戸塚学さんも一緒です。総勢、11名は一路、ホテルに向かいます。車中から見掛けた鳥や、高速道路のサービスエリアに隣接するちょっとした林を覗いた程度でしたが、この日は29種ほどを確認しました。だいぶ暗くなっていたとはいえ、時差は無いものの日本よりやや西側になるのでまだ多少明るかったのは救いでした。夕食は参鶏湯を食べてからホテル入りしました。明日の船に向けてゆっくり休みます。

参鶏湯

 

ツアー2日目

朝起きると、晴れていて風も微風。これは文句なしの出航日和です。期待を胸に朝食会場まで歩いて行きます。気持ちの良い朝です。潮の関係で、船は午後便となってしまったが、韓国本土も見どころはいっぱい、余裕の気持ちで朝食をとりました。ところが、その期待の午後便も欠航する、との連絡が入ってしまいました。過去に潮の関係で欠航になったことはありませんでした。聞くところによるとかなりの大潮で、港に船が入れないから、というところのようです。しかたが無いので朝食後、今回の旅の目玉のひとつである、ワシミミズクのポイントに向かいます。1本目のツアーで行った場所と同じところです。1本目のツアーレポートの中で大西さんが書いておられるように、マナーの悪い一部の地元カメラマンのせいで?すぐに逃げてしまう場所になってしまいましたが、遠くから何とか成鳥とヒナを全員で見ることが出来ました。

ワシミミズクの幼鳥

早々に移動して、昼食を食べに移動します。昼食後、今度はちょうど満潮になる、河口干潟に向かいます。思惑通り、だいぶ満ちてきていてシギ・チドリ類は結構近いところに集まってきています。ホウロクシギが多い。ダイシャクシギもいる。チュウシャクシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、オオソリハシシギ、オグロシギ、ウズラシギ、トウネン、ハマシギ、エリマキシギ、アカアシシギ、シマアジ・・・などなど2,000羽くらいはいただろうか。十分に観察でき満喫することができました。明日はきっと大丈夫だろうと期待しながらホテル近くで夕食をとり、各自、部屋に戻りました。この日は84種確認しました。

河口干潟とシギ・チドリ類
オグロシギ群飛

 

ツアー3日目

朝起きると、空気は冷たく風が出始めている。これまでこの程度の楓は問題なく出航してきたので、大西さんも現地の人も安心していました。朝食を取っていると、なにやら現地ガイドさんの携帯に電話がなった。ガイドの朴さんの顔が曇る・・・。まさか・・・。電話を切った朴さんの話では、船会社からの連絡で午前便は欠航とのお知らせだったとこのと・・。何と言うことでしょう・・・。午後便が出航になることが決まるのは11時頃だと言うので、今度はすぐ戻れる岬へと出向く。ここは本土でも渡りの鳥が多少見られる場所です。落ち込んでいても始まらないし、今後、どうやって鳥を多く楽しめるかを考えながら進めていくしかありません。しかし、岬へ行っても鳥が少ない・・・。今、ここで少ないと言うことは、離島も同様に少ないことが予想されます。それでも離島の方が、当然、何かしらいるのは間違いないでしょう。考えてもしかたが無いので、とにかく必死に鳥を探します。地つきのダルマエナガが多少見られたのと、あとはせいぜいシベリアアオジやムジセッカの声がする程度でした。

シベリアジュリン

11時頃、朴さんの携帯に連絡が入る。固唾を飲んで遠くから見守っていると、朴さんの手が「ばってん」と、示しました・・・。午後便も欠航となったのです。ショックが大きすぎて、しばらく思考停止・・・するも、この後どうするかを考えなくてはなりません。大西さんは現地の友人とやりとりし、朴さんも知り合いの研究者からポイントを訪ね、五百澤もかつて韓国で10年ほど調査していた友人に連絡してポイントを教えて貰うなどしました。昼食後は、これらの3つのポイントを巡りましたが、やはり天候のせいでしょうか、どこも鳥が少なくて、全体的には非常に物足りないものでした。しかし、本当にどうしようもありません。それでも、カラアカハラ、シベリアジュリン、シギ・チドリ類を堪能して、宿に戻りました。旅程変更のため、本土の宿もいよいよ明日からほぼとれない状況です。不安の中、部屋に戻り、この日も終わりました。

ハシブトガラ
昼食の海鮮カルグクス

 

この日は71種確認しました。多くの情報を教えてくださった、現地のバーダーや研究者、友人に心から深く感謝致します。ありがとうございました。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。