冬の道東でヒメクビワカモメとワタリガラスを探す旅

Report by 簗川堅治 / 2022年1月7日~10日

北海道には憧れの鳥たちがたくさんいます。ヒメクビワカモメは冬の筆頭かもしれませんし、ワタリガラスも上位に入るでしょう。その2種に的を絞ったツアーです。

 

1日目。天候が荒れていれば、ヒメクビワカモメの期待が高まりますが、残念ながら荒れてはくれませんでしたので、ヒメクビワカモメの可能性はほとんどなくなりました。この時期の北海道は、まだ日の入り時刻が早く、16:00です。集合後は一刻も早く移動して、鳥を見る時間に当てたいところです。しかし、こともあろうに飛行機の到着が30分遅れ、この日の観察時間は30分程度しかなくなりました。ワタリガラスのポイントで待つも、もうねぐら入りしてしまったのか、ワタリガラスも他のカラス類も見ることができませんでした。明日にお預けです。

 

2日目。今日も朝からいい天気ですので、ヒメクビワカモメは期待できません。それでも念のため、ポイントに行ってみました。案の定、ヒメクビワカモメどころか、他のカモメ類すらいません。それどころか、いつもたくさんいるオオワシ、オジロワシ、オオハクチョウすらいない有様です。今シーズンは、全国的に冬鳥が芳しくないのですが、北海道も同じようです。そんな状況下で、わずかなカワアイサやクロガモ、コオリガモなどを観察し、次のポイントへ向かいました。

 

ポイントで出迎えてくれたのは、ワタリガラス!……ではなく、なんとクマタカでした。若い個体が木に止まって探餌をしているようです。

クマタカ
クマタカ(撮影:山本尚佳様)

周りにはカラスが群れていたので、ワタリガラスが入ってないか期待するもいませんでした。その後も、ハシブトガラス、ハシボソガラスは出るものの、ワタリガラスは出ず、時間切れ。海上もシノリガモがいた程度でした。

シノリガモ(撮影:山本尚佳様)

次のポイントに移動です。移動途中、カラス群れをチェックするもハシボソガラスでした。ワシで有名な羅臼到着です。しかし、ここもワシがほとんどいません。一体、どうしたのでしょうか?異常事態な感じです。まずはたくさんのカモメ類の群れを観察。ほとんどはオオセグロカモメでしたが、ワシカモメ、シロカモメ、カモメ、ユリカモメが混じっていました。オオハクチョウやシノリガモなどもいました。

 

とある場所で定点観察をしました。

クナシリを望む(撮影:山本尚佳様)

ホオジロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、シロエリオオハムなど見ながら、ワタリガラスが出るのをひたすら待ちます。

ホオジロガモ(撮影:山本尚佳様)

ワタリガラスっぽい個体も出ますが、どれも違いました。なかなか手強いです。ついにここでも時間切れ。移動しながら、カラス群れをチェックすましたが、ハシブトガラスのみ。

 

3日目。ワタリガラス探しは小休止し、根室半島を回って他の鳥を楽しむことにしました。ところが羅臼同様、いつもはたくさんいるワシがほとんどいません。港にも海鳥がいません。納沙布岬もヒメウばかりで、お馴染みのチシマウガラスが来ていないようです。がっかりです。それでも強風の中、がんばってハイドに入り、海鳥を探しました。数羽のアカエリカイツブリやシノリガモを見ることができました。

アカエリカイツブリ(撮影:大林修文様)

気を取り直し、仕切り直しの意味からも、道の駅で早めの昼食をとることとしました。ここはワシがたくさんいますので、まずはそれを見ることにした、ちょうどその時、「コロロロロ、コロロロロ…」と聞き覚えのある独特のカラスの声!そうです、ワタリガラスです!真上を鳴きながら旋回し、氷上に降り立ちました。周りにいるハシブトガラスよりも明らかに大きく、喉の羽毛ザクザクしているのがはっきりとわかります。全員でじっくりと観察撮影することができました。

ワタリガラス(撮影:大林修文様)
ワタリガラスとハシブトガラス、ハシボソガラス(撮影:大林修文様)

その後は、2ヶ所のワタリガラスのポイントを回りましたが、残念ながら現れず。それでも気分のいい思いで宿に向かいました。途中、ケアシノスリが目の前に現れ、思わぬ収穫となりました。

ケアシノスリ(撮影:簗川)

4日目。朝からいい天気です。まずは火散布沼でタンチョウ、オオハクチョウ、ヨシガモなどを観察しました。タンチョウとオオハクチョウの組み合わせもなかなかです。

オオハクチョウとタンチョウ(撮影:大塚敦雄様)

最後は昨日ワタリガラスが出た道の駅で、ワタリガラス狙いです。たくさんのオジロワシ、そしてオオワシを楽しみながら、ワタリガラスの登場を待ちました。

オジロワシとオオワシ(撮影:大塚敦雄様)
オジロワシ(撮影:大塚敦雄様)

しかし、残念!今日は出てくれませんでした。

 

ヒメクビワカモメにはかすりもしませんでしたが、ワタリガラスはじっくりと観察することができました。それにしても、今季の鳥の少なさには閉口です。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【後編】

Report by 戸塚学 / 2022年1月10日~13日

エゾフクロウ

3日目 曇り~雪~雨~晴れ~曇り

夜中に何回か「ズザァー」という音が外から聞こえ、ずいぶん風が吹いているなぁと思ったのですが、それは風ではなく屋根から雪が落ちる音でした。朝、外を見るとものすごい風と時折雪が降っていました。早朝の撮影は中止にしておいて正解です。朝食を食べたあと撮影に出る予定でしたが、霙が雨に変わったのでお昼まで待機にしました。その間に1時間ほど撮影の講座を開きました。その途中に青空が広がったのですが、まだ道路の除雪も終わっていないようだし、宿のオーナーも除雪で大変そうなので、歩いてゆこうかと考えましたが、結構な距離もあるので安全第一で待機を続行しました。お昼ご飯を済ませたあと、雪も止んでいるので宿のオーナーにエゾフクロウのポイントへ連れて行ってもらいました。道路状況もあるので私が一人で歩いて下見に行き、フクロウを確認できたので宿のオーナーに電話をして参加者の皆さんを連れてきていただきました。本当は1時間ほど時間をとりたかったのですが、諸事情があり30分の撮影でしたが、みなさん堪能できたようです。その後はまだ時間もあるのでタンチョウの撮影をはじめました。到着してすぐは薄日もさし新雪の上のタンチョウはとても美しかったのですが、徐々に暗くなり16時で終了しました。
それにしても鶴居村は比較的穏やかですが、他の地域はかなり被害が出ているようで半日でも撮影ができたことだけでもラッキーだったと思います。

 

タンチョウ
タンチョウ

 

最終日 晴れ

一か八かで晴れてなくても大荒れでなければ撮影に出ると宿のオーナーと打ち合わせをしておいたので6時に出発。空にはまだ星が煌めいている!東の空に雲があるが何とかなりそうだ。しかし気温は-3度くらいで暖かいので霧氷はあきらめなければいけないが、晴れているだけでありがたい。現地に着くとまだ薄暗く先客は0!インバウンドがあった頃を考えれば信じられない。

 

タンチョウのねぐら

霧氷はないが空はほどほどにいい色になり時折マガモが群れで飛び去る。雪裡川の奥にタンチョウの群れが確認できるようになると色づいた川をオオハクチョウが泳ぐ姿を確認できた、南西の空に浮かぶ雲がピンクに染まるが・・・主役がいないのが悔しい。空の色が抜けるころ太陽が昇り、気温が下がりだし手の指先が痛み出すがみなさん必死に撮影を夢中でされていた。8時にお迎えが来たので朝食。予想外の晴れにみなさんうきうきしている雰囲気が伝わってきました。9時にタンチョウの撮影に出ると昨日積もった雪が眩しく美しい。飛翔や鳴き交わしを狙うのですが、ダンスはどうしても群れの奥で・・・難しい!11時30分にお迎えのジャンボタクシーが来たので乗り込み、一旦ホテルに寄り、預けてあった荷物を引き取り無事空港で解散しました。

4日間も私たちの送迎をしていただいたHOTEL TAITOのオーナー和田さんやスタッフのみなさまには感謝感謝です。

 

タンチョウ

撮れた鳥
タンチョウ・エゾフクロウ・オオハクチョウ・シロハラゴジュウカラ・ハシブトガラ
観られた鳥や獣
オオワシ・オジロワシ・コゲラ・アカゲラ・セグロセキレイ・シジュウカラ・ヒヨドリ・イカルチドリ・ヤマセミ・ハシボソガラス・ハシブトガラス
哺乳類:エゾシカ

 


 

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年1月10日~13日

タンチョウ

初日 快晴

天気予報を見ながらドキドキしたが、釧路地方は快晴。今回は愛知県から来ている方が先入りしているのでとまっている宿に2名をピックアップしたのち本日から泊まる宿へ。撮影機材以外の荷物を預かっていただき、伊藤・タンチョウサンクチュアリーへ。天気がいいので存分に撮影を堪能してもらうべく、食事は撮影しながら食べられるようにコンビニで買っていただいた。現地ではどのポイントがいいかの説明をしてあとは自由に撮影をしてもらう。カメラの設定やわからないことがあれば私がうろうろしていて声をかけながらカメラの設定や風を見ながら飛翔を狙うアドバイスをしました。ダンスが撮りたいというリクエストがあったのですが、残念ながらまだ少し時期早いのであとは運に任せるしかないと説明をする。

 

タンチョウの求愛ダンス
タンチョウ
タンチョウ

 

夕鶴を狙うポイントへ早めに移動することにする。理由は最近早い時間にねぐらへ移動するタンチョウがいるということで、夕日までの間はここで青空をバックに飛ぶタンチョウを待つ事に。飛んで来る数とコースもあるので難しいのだが、それでも何とかみなさん撮れたようだ。太陽が沈む林に薄い雲がかかっていないので夕焼けに染まるシルエットの撮影はダメかな?と思えたが、意外にも北側の雲が、それなりに色が付いてくれたので夕焼けチックな撮影ができてラッキーでした。空の色が抜けた17時お迎えの車で宿へ移動。宿は鶴居村で長年タンチョウを撮り続けているプロカメラマンの和田正宏氏の宿で温泉と食事は絶品。みなさんとても喜んでいただけました。

ねぐらへ帰るタンチョウ
ねぐらへ帰るタンチョウ

 

2日目 快晴~くもり~雪

朝は晴れたので6時に出発。タンチョウのねぐらの撮影をしました。刻々と空と川辺の木々の枝に着いた霧氷が色を変えて行く中、かなり遠くにタンチョウの群れを見ることができた。みなさんには今回特別なねぐらの撮影方法をしてもらいました。と、その時大きな鳥が川面に突っ込んだかと思ったら、舞い上がった!オジロワシだ。シャケの死体を狙ったのだろうか?しばらくすると「キャラキャラ」とどこかで聞いた声の中型の鳥が飛んできた?なんとヤマセミた!しばらく橋の上のカメラマンの周囲を飛んだのち下流に消えていった。その後また大型の鳥が出たので観ると今度はオオワシだ!タンチョウのスローシャッターの撮影をしていたせいで慌てて撮影したら、ブレブレだった。まさに二兎追うものは一兎も得ずもだ。

 

タンチョウのねぐら
タンチョウ

 

その後はこちらに向かって飛んで来るタンチョウを狙ってもらうべくカメラの設定を変更してもらう。そしていきなりこちらに向かって飛んできた大型の鳥はタンチョウではなくオオハクチョウだった。8時に迎えの車が来る頃にはみなさん寒さにやられていたようで、ちなみにマイナス20度を下回っていました。9時には出発したかったので朝食を美味しくいただくというより「かっ込む」がふさわしい状況。今日もコンビニで昼食を買っていただき撮影に専念してもらう。太陽は天気予報通り10時には雲から光が漏れる状態になり、12時を過ぎたころには完全に隠れてしまった。14時30分に夕日のポイントで小鳥を狙う予定でしたが、みなさん疲れ果ててしまったようでここで終了して宿へ戻ることになりました。宿に戻り1時間もしないうちに雪が降りはじめました。

 

オオハクチョウ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

ツアー初日はあいにくの曇り空ですが、穏やかな風のなかスタートです。集合が予定よりも早くできたため、余った時間で最初に中標津の公園を歩き、現在人気爆発中のシマエナガを探します。落ち葉を踏みしめ、秋を感じながらの散策となりましたが、残念ながらこの時に会うことはできませんでした。

 

気を取り直して野付半島に移動です。今回のツアー最大の目的であるガン類を探します。野付半島は天然記念物にも指定されているコクガンの渡りの中継地として有名で、最大で一度に5000羽前後が見られることもあります。野付湾を見ていると、黒く少し大きめな鳥が何羽も浮いています!車を停め、観察してみると早速目的のコクガンです。距離は遠いですが、ざっと見ただけで周囲に1000羽を超す群れが確認できました。

コクガンの群れ

観察後さらに進んでいくと、ハクチョウが近場に浮いています。今回2種目のガンとなるかなと観察すると、オオハクチョウの群れの中に2羽だけ少し小さく嘴の黄色い模様が丸い個体がいました。コハクチョウです。今回3種目のガン類です。

コクガンと採餌するオオハクチョウ
コハクチョウ

さらに進むと海岸線には冬鳥であるシロカモメがいます。北海道で普通種であるオオセグロカモメとの違いもはっきりと分かり、その大きさもわかって頂けたでしょうか。

シロカモメ

帰り際にはキタキツネやメスシカを追いかけるオスシカも見られ、野付半島を満喫しながら根室へ向かいました。

キタキツネ
メスシカを追いかけるオスシカ

2日目は風蓮湖畔の宿レイクサンセットからスタートです。すぐそばの春国岱に行くと、遠くにタンチョウのペアやオナガガモの群れを観察できました。ここから車で鶴居村へ向かいます。道中少し寄り道をすると、エゾフクロウに出会えました。お昼ごはん中には突如上空をハイタカが旋回し、ゆっくりと姿を見せてくれましたが、この時期はごはん中でも油断禁物と気を引き締めます。

ハイタカ

午後からは鶴居村でタンチョウを観察します。紅葉は最終盤ですが、カラマツの黃葉がまだ残っており、とてもきれいでした!

タンチョウ
タンチョウの飛翔

最後にはペアがダンスもしてくれ、最高のシーンでした。
美しいタンチョウに後ろ髪を引かれながら、十勝へと向かいました。

タンチョウのダンス

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今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

初冬のみちのく 宮城・山形の海から山まで目指せ120種!

Report by 簗川堅治 / 2021年12月2日~5日

本格的な積雪を前に、冬鳥も揃ったみちのく宮城県、そして山形県で多くの鳥を楽しもうというツアーです。

 

冬型の気圧配置で天候が心配されましたが、ツアー開始前には穏やかになりました。まずはガイド簗川の地元でアオシギです。こちらは難なく観察することができました。しかし、あまりのカモフラージュさに、望遠鏡を使っても「どこ、どこ?」となる場面もありました。さすが、アオシギです!

アオシギ(撮影:高後洋子様)

 

マガモ、コガモ、そして数羽のヨシガモがいる沼をほんの少しだけ観察し、伊豆沼へと向かいました。冬型の気圧配置なので太平洋側は晴れです。伊豆沼ではハクガンを探しましたが、ガンの大きな群れ自体がほとんどおらず、四苦八苦しました。あきらめて移動する時に、遠くで大きな群れが飛び立ちました。と同時に、2羽のハクガンを発見!ところが、段々遠くなり、よく見ないうちに行ってしまいました。残念。

続いてカリガネのポイントに行きました。もうお馴染みの場所です。こちらもいることはいたのですが、遠い。それでも望遠鏡で餌をついばむカリガネの家族を見ることができました。

 

カリガネ

 

最後はもちろん、ガンのねぐら入りです。まずはコチョウゲンボウのねぐら入りを待ちます。いつの間にか現れ止まっていました。♂のようです。今度は、遠くから続々とガンの大群がやってきました。一体、どこにこんなにいたのかと思うくらいです。

場所を変え、さらにねぐら入りの観察です。頭上、そして目の前に次々にガンがやってきます!シジュウカラガンもたくさんいるようです。そして、何かがあったのか、一斉に舞い上がりました。ものすごい数です。上空を一周して、再び沼に舞い降りました。いつもながら、この何万羽というガンのねぐら入りは、本当に感動的です。

 

ツアー2日目

当然、ねぐら立ち観察です。蕪栗沼に行きました。シジュウカラガンの大群が水面見えます。そして、日の出の時刻に地響きを伴い数万羽のガンが飛び立っていきます。ある群れは北東に、またある群れは南東に、南西に…真上も通過し、ただただ「すごい!」の一言です。

シジュウカラガンとマガン

 

朝食後は、昨日、チラッとしか見られなかったハクガンを探しに行きましたが、残念ながら出会えず。再び蕪栗沼に。今度は散策路を歩き、ベニマシコ、ジョウビタキ、シメなどの小鳥類や亜種オオヒシクイやチュウヒを観察しました。

ベニマシコ(撮影:高後洋子様)
オオヒシクイ(撮影:森久美子様)
チュウヒ(撮影:森久美子様)

午後は南三陸でコクガンです。その前に東日本大震災で犠牲になった大川小学校へ立ち寄り、津波のおそろしさ、むごさを実感しました。そんな中、オオワシが真上を通過していきました。

震災直後は、港にたくさんの海藻が生え、コクガンが漁港にたくさん入りました。しかし、港の工事が終わった今は、昔のようにちょっと沖の養殖場にいることが多くなりました。それでも、一ヶ所の漁港で25羽以上のコクガンを比較的近くでじっくり観察することができました。オオワシやワシカモメの姿もありました。

コクガン(撮影:高後洋子様)

ツアー3日目

天気予報通り、朝から雨降りです。雨の中、最上川河口へハクチョウのねぐら立ちを見に行きました。こんな天気の時は、ハクチョウのねぐら立ちもゆっくりなので、日の出時刻を過ぎても飛び立ちません。その代わり、ゆっくりと観察できる利点はあります。ここのところの大雨で増水して中洲がなくなったためか、ハクチョウの数はかなり少なめです。コハクチョウがほとんどなので、亜種アメリカコハクチョウを探しました。それっぽい個体はいましたが、ちょっと黄色部が広めなので、合いの子のようです。

 

朝食後は、海岸沿いを回りました。ヒメウやハマシギなどを観察。その後、田んぼでミヤマガラス、そしてオオワシを見ることができました。柿の実にくるムクドリの群れやツグミなども見ました。レンジャクを期待したものの、残念ながら会えませんでした。

オオワシ(撮影:吉田徹様)

お昼を挟んで、今度は大山上池下池でカモの観察です。しかし、カモは例年よりかなり少なく、ちょっとがっかり。それでも、ここの名物、トモエガモはたくさん見ることができました。その他、ミコアイサ、カワアイサ、ハシビロガモなども見ました。オジロワシもいるはずですが、あちこち探しても見当たらず。

続いて、また海岸です。カモメ類はほとんどおらず、期待はずれな感じはありましたが、ウミウ、スズガモ、そしてシノリガモとウミアイサを楽しむことができました。

シノリガモ(撮影:吉田徹様)

帰り際、オオワシの近くに止まるオジロワシも見られましたし、柿の実のそばでは2羽のオオタカも見ることができました。

オジロワシ(撮影:吉田徹様)

ツアー4日目

最終日です。まずは沼でカモ類です。トモエガモを納得いくまで観察。マヒワ、アトリが上空を通過して行きました。

トモエガモ

今度はスペシャルメニューで、急きょ、鷹匠の家へ訪問し、鷹狩りに使うイヌワシ、クマタカなどをじっくり見せてもらい、目の前のワシとタカに大興奮!そして面白い鷹匠の体験話に思わず笑顔になりました。

 

最後は、初日のアオシギにまた挑戦しましたが、あいにく見ることはできませんでした。残念。

目標の120種には及びませんでしたが、初冬のみちのく宮城・山形の海から山までたくさんの鳥に出会うことができました。4日間、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

秋の烏帽子岳と五島福江で
アカハラダカとハチクマの渡りを観る

Report by 吉成才丈 / 2021年9月16日~20日

バーダーにとって、タカの渡り観察は秋の一大イベントですが、九州西部の渡りは特別ですよね。朝鮮半島を南下してくるアカハラダカに続いてハチクマの渡りピークがくるのですが、今回のツアーはその両方を楽しむ目的で、期日を中間的な時期に設定して出かけてきました。

初日は福岡空港に集合し、専用車で烏帽子岳に向かいました。烏帽子岳で渡りの個体をカウントしていた地元の方に聞いたところ、朝方はアカハラダカが1,000羽ほど渡ったらしいのですが、烏帽子岳に渡ってくる方向の対馬の天候が悪く、我々が到着後のアカハラダカの確認はありませんでした。結局この日は、ハチクマやサシバ、チョウゲンボウ、エゾビタキ、コサメビタキなどを観察しただけで終了しました。

烏帽子岳の観察スポット

2日目は迷走台風がかなり接近するということで、福江島に向かう夕方の高速船も欠航。安全確保のため、泣く泣くホテル待機となりました。

3日目の朝には雨も上がり、高速船ではなくフェリーで福江島に渡りました。長崎港の近くではミサゴやハヤブサ、クロハラアジサシなどが出現し、昨日のうっ憤を晴らすように鳥見を楽しみました。少し沖に出てトビウオが飛び出すと、その直後にはカツオドリも出現。しばらくはトビウオを狙って船についてくれたので、バッチリ全員で楽しめました。

カツオドリ

福江島到着後、午後の早い時間に大瀬崎に到着。ハチクマがパラパラと出現しましたが、夕方になると近くを旋回したりで大興奮。ハチクマ観察のウォーミングアップにちょうどよかったですね。

4日目は薄暗いうちに大瀬崎に到着。先に朝食を済ませようと思いましたが、サンショウクイやハチクマ、ハリオアマツバメなどが続々と出現。ハチクマは海上などの低い位置から浮上して接近、ハリオアマツバメは羽音が聞こえるほど近くを飛翔、サンショウクイは枯れ枝にとまるなど、右に左に、朝食を忘れて盛り上がりました。

大瀬山周辺の朝焼け風景
海上を浮上してくるハチクマ
ハチクマ
サンショウクイ

早朝の賑わいが収まったと思ったら、烏帽子岳で見逃したアカハラダカの大きな群れが出現しました。その数なんと1,300羽。打ち上げ花火が上がったように、上空の大きな丸い塊の中を、アカハラダカがうじゃうじゃと旋回していました。この前日には烏帽子岳でも4,000羽以上が飛翔したようですが、関東なら1羽でただけで大騒ぎするアカハラダカですからね。皆さんも、はるばる遠くから訪れた甲斐があったと感じてくれたはずです。

アカハラダカの大群
アカハラダカ

午後はタカも高く飛び出したので、大瀬崎は切り上げて島内を巡りました。耕作地や河川、池では、台風通過で運ばれたクロハラアジサシやハジロクロハラアジサシを各地で確認しました。一昨日の情報だと100羽近くのヌマアジサシ類がまとめていたようで。この日は電線にとまる様子も見ることができました。他に海岸では、セイタカシギやオオソリハシシギ、ソリハシシギ、トウネン、オオメダイチドリ、メダイチドリ、シロチドリなど、耕作地ではツメナガセキレイやセッカなどを確認しました。

クロハラアジサシ

最終日の5日目も、薄暗いうちに大瀬崎に到着して観察を開始。昨日同様に近くを飛翔するハチクマを堪能しつつ、ハヤブサやブッポウソウ、コムクドリ、イカル、サンショウクイなども観察。この日も朝食のお弁当を食べる間がないほど、早い時間から盛り上がりましたね。

ハチクマの群れ
間近に出現したハチクマ幼鳥
ブッポウソウ

この日は飛行機の便に合わせて11時過ぎまで観察し、福江島での鳥見は終了となりました。今回は台風の影響も受けましたが、終わってみれば、たくさんのハチクマやアカハラダカに出会うことができました。撮影をされた方は、きっと素晴らしいカットがたくさんあったはずです。

秋のタカ渡り観察は台風に遭遇することもありますが、そんなリスクを忘れるほどの魅力があります。タカの識別ができない初心者の方も遠慮せず、ぜひ、こうした歳時記的な鳥見を楽しんで頂きたいと思います。

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

初夏の石垣島でツルクイナ、オリイヤマガラに挑戦【後編】

Report by 簗川堅治 / 2021年6月4日~6日

 

ツアー2日目

なんと台風が近づいているようです。荒れる前に、まずはツルクイナのポイントへ。しかし、残念ながら鳴かず飛ばず。その替わり(?)クロハラアジサシが6羽、現れてくれました。台風の強風を逃れてきたのでしょうか?

クロハラアジサシ(撮影:荒井隆之さま)

一旦、ホテルへ戻り、朝食をとって再出発。ところが段々雨も風もひどくなってきたため、平田原でセイタカシギの群れやオグロシギを見て、ホテルへ戻り待機することにしました。

セイタカシギ(撮影:荒井隆之さま)

幸いにも台風の勢力は弱く、しかも足早に通り過ぎていきました。再再出発です。再び平田原へ。ムラサキサギが飛んできました。降り立った位置がよく見えないので移動すると、なんとタマシギのつがいがいました、これはラッキー!こちらをやや気にしているのか、段々と遠ざかっていきました。ムラサキサギの存在を忘れてしまうほど、みなさん、タマシギに夢中でした。他、セイタカシギの群れ、シロハラクイナの親子などを観察しました。

タマシギ(撮影:荒井隆之さま)

台風は過ぎ去ったとはいえ、いい天気ではなく、時々雨です。今日も(オリイ)ヤマガラに挑戦することはできなさそうです。しかし、こんな時は日中でもツルクイナのチャンスなので、またツルクイナのポイントへ移動です。いい条件ではあり、いかにも出そうでしたが、残念ながら出ませんでした。

カンムリワシ(撮影:大塚敦雄さま)

気を取り直して、バンナ公園へ。到着早々、カンムリワシが目の前に!一同、大興奮です。しばし、カンムリワシを満喫しました。(リュウキュウ)アカショウビン、(リュウキュウ)サンコウチョウ、そしてズグロミゾゴイも出てきました。(チュウダイ)ズアカアオバトがアカギ実を食べにやってきたり、あずまやにリュウキュウコノハズクがいたりと、忙しく、かつ、幸せな時間を過ごしました。

ズグロミゾゴイ(撮影:大塚敦雄さま)
(チュウダイ)ズアカアオバト(撮影:大塚敦雄さま)

他にリュウキュウコノハズクや(イシガキ)シジュウカラなどを見て、夕方、またまたツルクイナのポイントへ。今度は声をちょっとだけ聞くに留まりました。やはり手強いです。

最後は数百羽のリュウキュウツバメのねぐらを見て、2日目を終えました。

 

 

ツアー3日目 

朝食前にツルクイナですが、まずは平田原に行ってリュウキュウヨシゴイを狙います。早速、草の上にいるリュウキュウヨシゴイの♂がいました。綺麗です。

リュウキュウヨシゴイ(撮影:大塚敦雄さま)

気をよくしてツルクイナのポイントへ。地上にいる所をぜひ見たいものです。固唾を飲んで、じっと待ちます……しかし、姿も声も確認できないまま時間切れとなりました。残念!

朝食後、新川川河口でアオアシシギを見たあと、オオアジサシのポイントへ。飛んでます、飛んでます。ちょっと遠いですが、複数のオオアジサシの黒い頭と黄色い嘴が確認できます。時折、近くに飛んでくる個体もいました。大きいです。

オオアジサシ(撮影:荒井隆之さま)

今日も天候が悪く、於茂登岳の(オリイ)ヤマガラのポイントへは行けないため、登山口周辺で探しましたが、そう簡単には出ません。林道では、(リュウキュウ)キビタキのさえずりが聞こえましたが、生い茂った葉の陰で見ることはできませんでした。

そろそろ時間がなくなってきました。ここで石垣島では珍しいカイツブリの親子を観察しました。ヒナはだいぶ大きくなっていましたが、まだまだかわいいです。最後は空港近くでカタグロトビです。しかし、またあっという間に林の陰へ消えてしましました。

 

梅雨時期なので天候が不順で思うように行かず、(オリイ)ヤマガラは見るどころか、ポイントにさえ行けませんでした。それでも難関のツルクイナを全員が見ることができたのは、非常に大きな成果です。それ以外にも、南西諸島ならではのたくさんの鳥たちに会えた3日間でした。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

夏の仲ノ御神島&石垣島アジサシ観察

Report by 五百澤日丸 / 2021年7月15日~7月18日

ツアー下見のため、4日前から石垣島に入って島内を細かく見て回りました。何度も来ている石垣島ですが、毎年同じ場所にいるとは限りません。環境の改変によって、ポイントも大きく変わるので、ツアー直前の下見は非常に大切です。心配していた海況も、非常に穏やかでクルーズ船の航行には問題が無いことを確認し、胸をなでおろしました。

 

初日、石垣空港で参加者の皆様と無事に合流しました。皆さん、挨拶もそこそこに開口一番「船は大丈夫ですか!?」でした。海況は穏やかで問題が無いことをお伝えすると、仲ノ御神島クルーズに2回行こうとして、2回とも欠航で悔しい思いをしているので心配されていたとのことでした。

 

潮の時間がちょうど良く、引き始めで干潟が拡がりつつある状況を生かして、まずは海岸へ向かいます。7月中旬にもなると、シギ・チドリ類が増え始める頃です。干潟には、トウネン、キアシシギ、アカアシシギ、キョウジョシギ、オオメダイチドリ、ダイゼンなどの姿が見られました。今回のメインとなる、アジサシ類はエリグロアジサシとコアジサシが干潟に降りて休んでいました。強い陽射しの中、真っ白い姿は暑さを忘れさせてくれるほど美しかったです。

エリグロアジサシ
エリグロアジサシ(撮影:長谷川誠様)
クロアジサシ
クロアジサシ(撮影:長谷川誠様)

続いて住宅地にある林、水田地帯、その他のポイントを巡り、リュウキュウアカショウビン、シロハラクイナ、ムラサキサギ、移入種で世界的に分布を拡げつつあるカバイロハッカなどを確認して、この日は明日に備えてホテルへ入りました。

 

翌朝、外は今日もいい天気です。皆さんの体調も万全です。朝食後、ホテルから歩いてクルーズ船へ向かいました。すでにクルーズ船のスタッフの方は準備して待っていました。以前にもお世話になった船長さんと挨拶し、今日は穏やかな海況であるとのことで、参加者の皆さんのテンションもあがります。

仲ノ神島遠景(船上より)
仲ノ神島遠景(船上より)(撮影:長谷川誠様)

石垣港を就航して、リーフ内を滑るように船は進みます。竹富島や黒島などを見ながら、所々にある灯浮標にとまるオオアジサシ、エリグロアジサシなどを観察しました。リーフを出ると、さすがにうねりが出てきます。それでも今日はかなり穏やかな方です。遠くに仲ノ御神島が見えてくると、周辺の海域にはアナドリ、クロアジサシ、カツオドリなどが飛び始めます。やがて仲ノ御神島が目の前に迫ってくると、たくさんのカツオドリが船の上に集まってきました。ごく近くを大きなカツオドリが飛ぶと迫力があります。その表情もはっきりと分かります。

仲ノ神島近景(船上より)
仲ノ神島近景(船上より)(撮影:長谷川誠様)

波の少し穏やかな場所へ入り、聳える岩壁を見上げると、白っぽいカツオドリがいます。例年、白い綿羽に覆われたカツオドリのヒナがたくさんいる時期なので、「白いのはカツオドリの幼鳥です」と説明して、双眼鏡を覗いてびっくり!しました。なんと、アオツラカツオドリの成鳥でした。それもあちこちにいます!私を含め、船上は騒然となりました。数えること、最大同時64羽のアオツラカツオドリを確認しました。これは国内でも最大級の数です。巣は確認出来なかったので、これから繁殖するのか、たまたまやってきたものなのかわかりませんでした。

アオツラカツオドリ
アオツラカツオドリ(撮影:長谷川誠様)

島を1週しながら、一番波がおだやかな場所へ行きます。セグロアジサシ、マミジロアジサシ、クロアジサシが無数に舞い、夢のようなひとときを楽しみます。島の北東側でアンカーをおろし、しばし、観察を楽しみます。斜面を飛ぶ白いカツオドリがいます。「こちらにもアオツラがいますね・・・」と、言いかけてまたしてもびっくり!しました。なんと尾が白いのです。「アカアシカツオドリです!」と、またしても予想外の展開に、皆さんと再び大興奮となりました。飛んできたアカアシカツオドリがとまった木には12羽のアカアシカツオドリがとまっているではありませんか!それも巣があり抱卵中?の個体もいます。茶色いのは幼鳥ではなく、褐色型のようです。さあ、次はネッタイチョウ類!と、期待しながら待ちますが、残念ながらそれらは出ませんでした。それでもアオツラカツオドリとアカアシカツオドリがたくさん見られただけでも十分贅沢な瞬間でした。こうしているうちに、あっという間に蛙時間となりました。アジサシ類とカツオドリ類の大コロニーの島、仲ノ御神島をあとに、心地よい疲労感の中、船は一路石垣島へと向かいました。

アカアシカツオドリ
アカアシカツオドリ(撮影:長谷川誠様)

翌日は、石垣島内の各ポイントを巡ります。穏やかな海だったとはいえ、やはり揺れない陸地は快適です。島の各ポイントを巡り、カンムリワシ、シロハラクイナ、リュウキュウツバメ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、オオアジサシ、クロハラアジサシなどを観察しました。今年は、石垣島で繁殖するアジサシ類は例年よりも少なくて、やや物足りない状況でした。ちょっと残念ですが、これも自然界のことです。来年に期待したいところです。

カンムリワシ
カンムリワシ(撮影:長谷川誠様)
ズグロミゾゴイ
ズグロミゾゴイ(撮影:長谷川誠様)
リュウキュウアオバズク幼鳥
リュウキュウアオバズク幼鳥(撮影:長谷川誠様)

最終日、皆さんにどこで何を目的に回るか相談して、そのリクエストに応える形にしました。まだ行っていない地域を中心に出現する可能性がある、オニカッコウのポイントのほか、リュウキュウアカショウビン、オリイヤマガラ、カタグロトビなどを探しました。時間があまりなかったので、粘ることは出来ず、全部は見られませんでしたが、それなりに楽しむことができました。

リュウキュウアカショウビン
リュウキュウアカショウビン(撮影:長谷川誠様)

とにかく暑くて大変でしたが、最大の目的である、チャーター船で行く仲ノ御神島クルーズが欠航することなく、無事に終了することが出来たのはなによりでした。やはり石垣島は何度来ても素晴らしいところでした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

この記事を書いた人

五百澤 日丸 いおざわ ひまる
新潟県在住。(有)レイヴン・所属。鳥類調査を中心に、執筆、写真撮影、ツアーガイドを行う。一番の関心事は、ヒマラヤ山脈から台湾・南西諸島・朝鮮半島・日本にかけての鳥類の分類・分布。主な著書に「日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版」(共著/文一総合出版)、「日本の野鳥650」(共著/平凡社)など。他にも著書多数。