奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 【1本目】

Report by 戸塚学 / 2023年4月5日~8日

世界遺産になってからの初めての奄美大島ツアー。2年連続で新型コロナの影響もあり中止になっていたため、ある意味手探りな部分もありました。予定していた場所が現地ガイドと一緒でないと立ち入り禁止等の新ルールに戸惑いましたが、メインにしていた場所にもオオトラツグミが定着してくれたことで2日目にしてすべての撮影予定種を撮影でき、あいにくな天気であったもののナイトツアーもジープを利用することでスムーズな撮影ができました。またマングース・ノネコの駆除が上手く行っているようで過去最高の生き物との遭遇と撮影を楽しめました。

ルリカケス

1日目

天気予報では曇り時々雨がなんとか晴れています。
みなさん飛行機の到着時間の関係で予定時間よりも早く奄美空港に到着していたようで集合時間前に集まられていたので、ジャンボタクシーの到着とともにポイントへ移動します。ここでは今回一番難しく苦労するであろうオオトラツグミがあっけらかんと到着早々に撮影することができました。引き続きアカヒゲポイントへ移動するとこれまたすぐ近く!最短では1.5mのところまで来ることも!!!近すぎても撮影には向かないのでアカヒゲが移動して枝や木の倒木に上がったところをがっつり撮影することができました。早々に手強い2種を撮影できたことで余裕ができるのですが、一番たくさんいて撮りやすいはずのルリカケスがなかなか撮影させてくれません。以前水浴びをする鉄板のポイントも今年は下見時を含めちっとも水浴びをしてくれずちょっと困りますが、まだ時間はたっぷりあるので明日以降に期待だ!

オオトラツグミ

2日目

天気予報よりも少しマシな小雨&曇り。5時出発だったので到着してもまだ暗く明るくなるまで待機をしてある程度視界がとれるようになってからお弁当を食べるが・・・そのボリュームにびっくり!おむすび2つくらいかなと思ったが夕食用と勘違いするボリューム!ただしおいしいから許すしかない(笑)
薄暗い中、森の中を歩いてアマミヤマシギを探します。しかし・・・いません。そうなればオオトラツグミを狙うしかありません。約3時間待って5回ほど出現してくれたので移動します。そしてアカヒゲポイントへ行くとこれまた大サービスで撮影をさせてくれました。

アカヒゲ

さて残るはルリカケス。下見の時によく出ていた場所で待つと終了時間前に出てくれてこれまた大サービスで撮影させてくれます。12時で切り上げなので「名残惜しいですが」と参加者のみなさんを駐車場に促し歩き出すと、ルリカケスが飛び去った森に何かが?飛んで来て木の幹にとまった?オーストンオオアカゲラだ!静かにそれでいて小走りに近づき撮影をします。メスでしたがしっかりと撮影できちょうど飛び去ると12時ジャスト!タクシーに乗り込むと雨が降り出す。みなさんもってるわ!夜はナイトツアーがあるのでお弁当を買ってホテルで時間まで休憩です。

ルリカケス
オーストンオオアカゲラ

21時45分ホテルのロビーにナイトツアーのスタッフがお迎えに来たのでジープに乗って出発です。ポイントは時間予約制なのでゲートインまで準備をします。いざ入るとすぐに水路にヒメハブ!すごい擬態で絶対自分では見つけられない。他にもアマミハナサキガエルが道路上を飛び跳ねます。5分も進むといきなりアマミノクロウサギが出現!その後も結構な出現率ですが子供が多い。初めは数を数えていたがあまりにも出るのでもうやめた!フロントガラスを倒し、幌を外しているのでどのポジションからも撮影できるのがこのツアーの一番のいいところだろう。満月は雲に隠れているが時々明るくなる。そのためか森の奥からオオトラツグミの美声が響き渡ります。寝ている姿を探すも姿は見当たりませんでした。私たちが一番期待するアマミヤマシギは気づくと飛ばれることが多くちょっぴりストレスがたまりだしていたが、出現率が上がれば確もが上がるので撮影がスムーズにできるようになりみなさん余裕が出てきます。

アマミノクロウサギ
アマミヤマシギ

残るはリュウキュウコノハズクですが、とにかく小さく木のちょっとしたこぶに見えるので、説明してもなかなか見つけられず「あそこ、ほらあそこ」と説明をしているとも1羽が飛んで来て求愛給餌した!給餌した個体はすぐに飛び去り、エサをもらった個体も食べ終わると飛び去ったため私も撮影ができなかったがこんなシーンを見られただけでもラッキーだ。その後電線にとまった姿は近くで撮影できた。電線を伝わり歩くアマミケナガネズミも撮影できたし、道路わきを飛び跳ねるアマミトゲネズミも見られたし想像以上の出来だったと思います。ホテルに戻ると1時を過ぎていましたがこれで文句を言う参加者はいないだろう(笑)

リュウキュウコノハズク
アマミケナガネズミ

3日目

昨夜が遅かったので今日はのんびりスタート。みなさんに「朝食バイキング期待してね」と伝えてあったがアイスクリームの位置を教えることを忘れたのが失点だ。9時スタートで出発するも外は雨と霧。風も強く外に出る気になれない。前2日でほぼ予定している鳥の撮影もできているし昨夜の疲れもあるので管理棟の休憩室で13時30分までのんびりしていただき、雨・霧が収まった来たので森に入り撮影をします。17時まででしたが少し寒いし暗いのでジャンボタクシーの到着を待って早々に帰路につきました。

朝の風景

4日目

天気は晴れ!朝食のお弁当は「減らして」とお願いしてあったのでちょうどいいかちょっと多めな感じ。今日は予定していた場所ではないので、ジャンボタクシーは送迎のみ。なので荷物をまとめ置きしておき私は荷物番をしながら待機。みなさんすでに勝手知ったる森の中なので自由に散策と撮影を楽しんでもらいます。荷物を置いた場所の近くがとても見晴らしがいい場所なのでここでルリカケスとサシバが飛翔する姿を狙ってもらいます。
終了時間が近づいてきたのでジャンボタクシーにこちらへ迎えに来てもらおうと駐車場に行くがなかなか来ない。私も着ていた雨具の上下をザックにしまおうとみなさんのもとに戻ると、オオアカゲラのメスが近くで採餌していた!最後の最後まで引き当てるとはさすがです。12時になったので駐車場に行くとジャンボタクシーが待っていました。ドライバーさんに車を回していただきピックアップ。空港へ向かいます。ここでお別れですが、帰宅するのは1名だけであとは全員後泊するとのことで、やはりここまで来たのだからなぁと納得して終了となりました。

サシバ
リュウキュウサンショウクイ

 


撮影できた鳥・生き物
サシバ・アマミヤマシギ・リュウキュウコノハズク・アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・シロハラ・オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ルリカケス・アマミノクロウサギ・アマミケナガネズミ・ヒメハブ・アマミハナサキガエル

 

見られた鳥・生き物
リュウキュウツミ・リュウキュウキジバト・ズアカアオバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・ダイサギ・リュウキュウハシブトガラス・アマミトゲネズミ・クマネズミ(外)・イシカワガエル・シリケンイモリ

 

声が聞かれた
アオバズク・カラスバト

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【後編】

Report by 戸塚学 / 2023年1月10日~13日


<3日目>

この日も6時に集合して夜明け前に出発です。しかし気温は-11度と暖かい。ポイントは昨日よりも人が少ない。地元や常連さんは良く知っている。それでも現場にいなければチャンスはないので撮影をしてもらいました。結果はやっぱりでしたが、まぁ自然相手ですのでこれも仕方がないことです。

朝食後は宿のオーナーがエゾリスとエゾモモンガが出るかも?という場所へ案内をしてもらいお昼まで粘ってみました。残念ながらエゾリスは姿を現さなかったのですが、エゾモモンガは1度だけちょろっと出てきて用便を済ませる瞬間を撮ることができました。

一瞬だけ姿を現したエゾモモンガ
一瞬だけ姿を現したエゾモモンガ


昼食後は伊藤タンチョウサンクチュアリーで撮影後、夕日のポイントへ移動します。ここにはバードテーブルが設置してあるので集まる小鳥も撮影できます。運が良ければと思っていたシマエナガが3回も来てくれて、タンチョウと小鳥で大忙しの時間を堪能できました。

シマエナガ
シマエナガ
 

<4日目>

最終日も6時に集合して夜明け前に出発です。気温は-11度・・・期待は薄いなとポイントへ向かうと停まっている車は少ないのに橋の上は人でいっぱい!どうやら韓国のグループのようで、すでにインバウンドが始まっていたのかと驚いた。来年以降はどうなるかとちょっぴり心配になる。

それでもすき間はあるのでその間から数人に狙ってもらい、残るメンバー空いている右端でスタンバイしまました。するとどうでしょう、この場所だとタンチョウの群れと色づく川面を絡められることがわかり、左にいた人たちを呼び寄せ撮影をしてもらいます。途中ヤマセミが頭上を飛ぶ姿を見送ることもできてラッキーでした。

朝焼けに色づく川面とタンチョウの群れ
朝焼けに色づく川面とタンチョウの群れ

 

太陽が昇ると韓国のグループがいなくなったことに気がついたので、左の方へ移動しながら観察するとすると・・・右からの場所からは見えないところにタンチョウの群れが!その周囲に先ほどまでなかった霧氷がびっしりと着き太陽の光に輝いてる!大急ぎでみなさんを呼びに行き、「早く撮って!!!」と私一人が騒いでみなさんに撮ってもらいます。とにかく太陽の位置+気嵐+タンチョウの位置この3つが揃うタイミングは短時間なので時間勝負!おかげで間に合いました。参加者の一人がこのシーンに感動して涙を流しているのを見た隣の白人がそれを見て驚いている状況はちょっぴり面白かった。

太陽の光に輝く霧氷とタンチョウ
太陽の光に輝く霧氷とタンチョウ

 

朝食後は荷物をまとめてホテルに置いてもらい、伊藤タンチョウサンクチュアリーで最後の撮影です。タンチョウの白い息やダンスを狙ってもらい時間いっぱい楽しんでいただきました。予想外の早朝のシーンを堪能できたことで、みなさん笑顔で空港に向かい解散となりました。

タンチョウの白い息
タンチョウの白い息

 


撮れた鳥&哺乳類
ハイタカ・オジロワシ・オオワシ・ノスリ・タンチョウ・エゾフクロウ・アカゲラ・シジュウカラ・ヒガラ・ハシブトガラ・シマエナガ・シロハラゴジュウカラ・エゾシカ・エゾモモンガ・エゾリス

観れた鳥&哺乳類

カワアイサ・キジバト・ヒヨドリ・スズメ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヤマセミ・ダイサギ

その他
キタキツネ・エゾタヌキ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の鶴居村でタンチョウ撮影三昧【前編】

Report by 戸塚学 / 2023年1月10日~13日

 

昨年好評だったこともあり、今年も催行されたタンチョウ撮影三昧。タンチョウは鶴居村にはいるので撮影には困らないのですが、問題は天気と気温。今年は思ったほど気温が下がらずやきもきしましたが最終日には予想外にいい状況になりました!

<1日目>

空港に到着した4名をピックアップしたのち、先入りでホテルに泊まっている2名をピックアップして3日間滞在するホテルへ向かいます。まず不要な荷物をホテルに置き、近くのコンビニでお昼ご飯を買って伊藤タンチョウサンクチュアリーへ向かいました。

午後の給仕時間が14時という事もありタンチョウたちはまったりしています。現地で地元のカメラマン仲間と雑談しながらここ最近の状況などの情報を収集します。彼の話ではここ最近は南風ばかりだし雪も降らないので今日の北風はラッキーだよと言う。また晴れているのに風で運ばれた雪も煌めきながら舞う中のタンチョウの撮影はなかなかできないのでしっかりと撮ってもらいました。

晴れた空にタンチョウが舞う
晴れた空にタンチョウが舞う
ハイタカ
ハイタカ


給仕時間が終わりしばらくすると北風が強くなってきたかなと思ったら・・・タンチョウが一気に飛び出し空はタンチョウだらけに!30年以上通っているがこんなことは初めて!びっくりなシーンに当たったことをみなさんに熱く伝えました。

タンチョウが一気に飛び出した!


さて時間は14時40分・・・ツルはねぐらに戻ってしまい夕日絡めのシーンは狙えそうもない。お迎えの時間まで1時間あるので寒い中待つのも意味がないのでみなさんに状況を説明してホテルまで歩いて戻り、この日はここで終了となりました。

<2日目>

6時に集合して夜明け前に出発です。ポイントに着くと人が少ない!まだインバウンドに新型コロナの影響が出ていると実感。先客のすき間に入り陣取ってもらい撮影を楽しみました。川面が赤く染まるシーンなどは撮ることができたのですが、木々の枝に霧氷がほとんど着かずちょっとがっかりでした。ツルではないけれど、太陽が昇りうっすらと霧氷の付いた枝を輝かせるシーンはとても美しいので皆さんに伝えて撮ってもらいました。

早朝の霧氷の景色
早朝の霧氷の景色


朝食後はサンクチュアリで撮影をします。この日は無風に近く弱い南風・・・パッとしませんがそれでも飛翔するシーンや林バックで煌めく白い息を狙ってもらいました。

林をバックにタンチョウを撮影
林をバックにタンチョウを撮影
白い息を吐くタンチョウ
白い息を吐くタンチョウ
 


午後はホテルで昼食を食べたのち宿のオーナーの案内でエゾフクロウを狙いに行きました。いてくれればいいなと現地に行くといました!1羽ですが、いてくれてよかった。寝ているフクロウなのでしっかりと撮影したことを確認して移動します。

寝ているエゾフクロウ
寝ているエゾフクロウ


時間的に伊藤サンクチュアリーに戻らず、夕陽のポイントへ向かいました。風が弱くコースが悪くイマイチでしたが、夕陽が沈んだ後に群れで飛んでくれたシーンはとても良かった。薄暗くなるまで粘った甲斐がありました。

夕陽の中ねぐらに帰るタンチョウ
夕陽の中ねぐらに帰るタンチョウ

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戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・2本目】

report by 吉成才丈 2022年12月12日~16日

 

1日目
鹿児島空港に集合し、専用車で出水方面に向かいました。昼過ぎに出水に到着し、ツル探しからはじめました。まずはカナダヅルを見つけるもこの日は遠く、クロヅルやソデグロヅルを探しつつ、マナヅルやナベヅルをじっくり観察・撮影して頂くことにしました。

水を飲むマナヅルの家族群
水を飲むマナヅルの家族群

採餌していたナベヅル
採餌していたナベヅル

 


2日目

薄暗いうちに干拓地に到着し、まずは朝焼けとツルを観察しました。朝焼けをバックに飛翔するツルは美しく、皆さん夢中でシャッターを切っていました。

朝焼けとツル
朝焼けとツル

採餌するツル
採餌するツル

朝焼けのあとは、やはり電線にとまるコクマルガラスを狙いました。この日も、淡色タイプのシロマルに出会えました。

ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)
ミヤマガラス(右)、コクマルガラス(左2羽)

その後、観察センターの屋上でツルを観察していると、道路の陰に見え隠れするクロヅルを発見。じっと待っていると、他のツルから外れて全身が見える位置に移動してきました。今年はツルの数が少ないので、出会えるかどうかはタイミング次第なんですね。

クロヅル
クロヅル

クロヅルが出てくるのを待っているとハヤブサも出現し、耕作地で採餌していたカモ類は大騒ぎしていました。

ハヤブサ
ハヤブサ

その後は河川沿いを散策し、ツリスガラやホオアカなどを狙いました。ツリスガラはヨシ原で鳴声がしたあと、比較的近くに現れてくれました。とても小さな鳥で、現れた時にはまったく鳴かなかったので、皆さんに確認してもらう迄に時間がかかりましたが、なんとか全員で観察することができました。

ツリスガラ
ツリスガラ

ホオアカもコンクリート護岸にとまり、河川ではミサゴの水浴びも観察されました。飛翔を見ることが多いミサゴだけに、水の中にいる姿は珍しいですね。

水浴びするミサゴ
水浴びするミサゴ

午後は山に入り、ダムや渓流を観察しました。相変わらずオシドリは警戒心が強く、ダムの水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが見られました。薄暗い水際のオシドリを探していると、クマタカが滑翔で尾根陰入るところが一瞬だけ観察できました。そしてヤマセミのポイントに近づくと、流木にとまっているヤマセミを発見。ヤマセミは飛び立って枯木にとまったので、皆さんに教えながらスコープに入れようとしましたが、またすぐに飛び立ち、岬の裏側に入ってしまいました。また帰り際には、橋を渡るときにヤマセミの鳴声と飛翔する姿を確認。なんと2羽が一緒に、川の上流方向へ飛翔していきました。夕方には干拓地に戻り、ヘラサギ類やタゲリなどを観察しました。

ヘラサギ
ヘラサギ

タゲリ
タゲリ

3日目
この日も薄暗いうちに干拓地に到着しましたが、あいにく雲が厚く、朝焼けも月も見ることができませんでした。今日はダメかと残念に思いながら車中待機していると、右側に座っていた方が「ソデグロヅル…?」と呟きました。なんでも、白い大きなツルが降りてきたというので確認すると、まさかのソデグロヅルでした。
ソデグロヅルは、昨年は目立つところにずっといて見やすかったのですが、今年はなかなかじっくり見られないということだったので、一転して大逆転の幸運が転がり込んできたことになります。天気が悪かったため他に観察者もおらず、しばらく独占的に観察させてもらいました。

マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)
マナヅル(奥)とソデグロヅル(手前)

昼前のフェリーに乗るため早々に出水を発ち、熊本に向かいました。島原に向かうフェリーでは、出港前から乗船客のエビせんを求めるユリカモメで賑わっていました。どれほどの数のユリカモメがいたのかわかりませんが、出港後にはたくさんのユリカモメが船の後を着いてきました。

船についてくるユリカモメ
船についてくるユリカモメ

出港後には堤防で休むカツオドリの大群も観察しましたが、この日は船の近くを飛翔する個体もいました。

海上を飛翔するカツオドリ
海上を飛翔するカツオドリ

諫早の干拓地には広大な耕作地やヨシ原がありますが、ヨシ原ではハイイロチュウヒやオオジュリンなど、耕作地ではホシムクドリやチョウゲンボウなどが観察されました。

ハイイロチュウヒの幼鳥
ハイイロチュウヒの幼鳥

ホシムクドリ
ホシムクドリ

 

4日目
朝は再び諫早干拓地を訪ねました。ヨシ原周辺ではコチョウゲンボウやノスリなどの猛禽類を確認。コチョウゲンボウは、草地すれすれで小鳥を狙う様子も観察されました。

コチョウゲンボウ
コチョウゲンボウ

ノスリ
ノスリ

午後は佐賀の東与賀へ移動し、満潮時の干潟を観察。この日は満潮でも潮位が高くなく、広大な干潟にシギ・チドリ類やツクシガモ、ズグロカモメなどが点在していました。

干潟に点在する水鳥
干潟に点在する水鳥

スグロカモメ
スグロカモメ

干潟からホテルへ向かう途中の街中では、出会う機会がめっきり減ったカササギを発見。電線や家の屋根などにとまる様子が観察されました。

 

5日目
昨日カササギが見られたので予定を変更し、まずは調整池に向かいました。数千羽のトモエガモは健在で、大きな塊が水面に広がっていました。

飛び立ったトモエガモの大群の一部
飛び立ったトモエガモの大群の一部

ここでは1周3km弱の舗装道を散策し、トモエガモの大群を堪能するとともに、オオタカなどの猛禽類やオオジュリンなどの小鳥も観察しました。その後は河川を遡上し、清流でカワセミやイカルチドリ、カワガラスなどを観察。道の駅で地域クーポンを使用して頂き、解散地である福岡空港へ向かいました。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

有明海から日本最大のツルの渡来地・出水へ
【2022年12月・1本目】

report by 吉成才丈 2022年12月7日~11日

 

1日目
福岡空港に集合し、専用車で有明海方面に向かいました。

途中、高速道のサービスエリアで昼食をとり、まずは調整池で鳥見を開始。昨年は数羽しかいなかったのに、今年はトモエガモが5,000羽以上も滞在しており、その数の多さに圧倒されました。

トモエガモの大群
トモエガモの大群

 

これだけカモがいるのですから、ハイイロチュウヒやオオタカなどの猛禽類も出現して楽しめたのですが、車に戻る際には、もっと嬉しいカササギの鳴き声を確認。
カササギは福岡や佐賀、長崎あたりに生息しているのですが、とくに佐賀周辺では個体数が減少傾向にあって出会えないときもあるので、慎重に近づいて観察しました。地上や樹上でエサを獲る様子もじっくり撮影でき、見られてホッとするとともに、その美しさを満喫できました。

採餌中のカササギ
採餌中のカササギ

その後は東与賀干潟へ行きましたが、干潮の時間帯であったため、広大な干潟をご覧いただいてホテルに向かいました。

 

2日目
午前中は、満潮の東与賀干潟でシギ・チドリ類などの水鳥を観察しました。昨日と違って鳥も近く、ハマシギの群れやダイシャクシギ、アカアシシギ、ツクシガモ、ズグロカモメなどの水鳥を見ていると、ハマシギの群れが一斉に飛び立ちました。ハマシギの群れは動きもシンクロしており、一斉に向きを変えたりする様子を楽しみました。やはり、日本を代表する東与賀の干潟は広大で素晴らしい環境ですね。

一斉に飛び立ったハマシギ
一斉に飛び立ったハマシギ

 

ダイシャクシギやツクシガモ
ダイシャクシギやツクシガモ

この日も高速道で昼食をとり、午後は諫早の干拓地へ向かいました。干拓地のヨシ原ではハイイロチュウヒやチュウヒ、コチョウゲンボウが飛び回り、耕作地ではタゲリやホシムクドリ、ホオアカ、水路ではクサシギなどを観察しました。またヨシ原ではタヌキを、耕作地ではイノシシも確認し、哺乳類も楽しめました。

チュウヒ
チュウヒ

 

ミヤマガラスとホシムクドリ
ミヤマガラスとホシムクドリ

3日目
朝方は再び干拓地を訪ね、セイタカシギやカワセミ、チョウゲンボウなどを観察。そして昨日に続き、耕作地ではイノシシを発見。昨日は走り去る後ろ姿でしたが、この日は近くでじっくり観察できました。

耕作地に現れたイノシシ
耕作地に現れたイノシシ

その後は島原からフェリーに乗り、船上でも鳥見を行いました。船が出ると、乗船客が与える餌を目当てに集まったユリカモメの群れがすぐ目の前に出現し、美しい雲仙岳をバックに飛び回る姿を楽しみました。

ユリカモメと雲仙岳
ユリカモメと雲仙岳

 

そして入港直前には、堤防の上で休む約600羽のカツオドリも観察できました。これだけの数が集まるのはすごいことだと思います。

堤防で休むカツオドリの一部
堤防で休むカツオドリの一部

 

フェリーを降りると一気に出水まで移動し、夕方のわずかな時間でしたが、干拓地のツルを観察しました。ナベヅルやマナヅルを見逃すことはないのですが、この日のうちに他のツルを見られると気が楽になるので探すと、カナダヅル2羽を発見できました。

カナダヅル
カナダヅル

 

4日目
ツルは早朝に給餌されるため、朝方にもっとも活発に動きます。この日は薄暗いうちに到着し、朝焼けや月をバックに飛翔するツルを狙いました。天気にも恵まれ、ほぼ満月という絶好の条件であったため、朝日の方向を狙ったり、反対側に出ている月の周辺を狙ったりという嬉しい忙しさを体験できました。まだ薄暗いうちには、カラスに突っかかられてコミミズクも出現しました。

月とツル
月とツル

 

 

朝焼けのツル
朝焼けのツル

ツルの動きが落ち着くと、つぎはコクマルガラスを狙いました。ちょうどこのタイミングでミヤマガラスの群れが電線に集まるのですが、その中にコクマルガラスも混じります。遠くからでもコクマルガラスの白いタイプ(通称シロマル)が見えていたので、苦労することなく全身が見えている状態で撮影できました。

コクマルガラス(左)とミヤマガラス
コクマルガラス(左)とミヤマガラス

電線の役割は電気を流すだけではないようで、同じ並びの電線にはニュウナイスズメの群れもとまっていました。雌雄同じ模様のスズメとは違い、ニュウナイスズメはオスとメスとで模様が異なり、とてもかわいい鳥です。

電線関連の鳥を観察後には、ツリスガラやホオアカを狙って河川沿いを散策しました。鳴き声は聞こえるものの、なかなか姿を現さなかったツリスガラでしたが、車に戻る寸前にようやく姿を確認できました。他に川沿いでは、ハマシギやミサゴ、ノスリ、オオジュリンなども出現しました。

ニュウナイスズメ
ニュウナイスズメ

 

午後には山間部のダムに向かい、ヤマセミやクマタカなどを狙いました。解放水面にはマガモやヒドリガモ、ホシハジロなどが休んでいました。水際の薄暗いところが好きなオシドリはもっとも警戒心が強く、かなり遠くても人間の姿が見えただけで飛ぶこともありました。残念ながら、クマタカやヤマセミには出会えませんでしたが、カケスやイカルなどの声も確認しました。夕方には再び干拓地に戻り、マナヅルやナベヅルもじっくり観察しました。

ミサゴ
ミサゴ

マナヅル
マナヅル

ナベヅル
ナベヅル

5日目
この朝も夜明け前に干拓地に到着し、朝のツルを観察しました。この日は月は雲に隠れ、朝焼けの状況も昨日とは異なり、日々の変化も体験できました。今年はツルが少ないのですが、朝の採餌の密集度は迫力があります。遠いところに撒かれたエサから食べ始め、徐々に人間に近づいてきます。

朝の採餌の様子
朝の採餌の様子

 

一旦ホテルに帰って朝食後にチェックアウトし、再び干拓地でツルやヘラサギ類などを観察しました。出水といえばツルの越冬地として有名ですが、他の鳥も多く、ヘラサギ類は道路のすぐ近くで休んだり、三面張りの水路で採餌したりしていて驚かされます。

ヘラサギ
ヘラサギ

時間いっぱいまで出水の鳥たちを堪能し、解散地の鹿児島空港に向かいました。今年は鳥インフルエンザの影響でツルは少なかったですが、ツル以外の小鳥や猛禽類も楽しめました。撮影主体のツアーではありませんでしたが、冬の九州は被写体が多く、参加された皆さんも、たくさん撮影されたことと思います。

 

(確認種99種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

秋の石垣島・西表島 珍鳥とオリイヤマガラに挑戦!【後編】

Report by 簗川堅治 / 2022年11月18日~22日

3日目。この日は昼の船で西表島へ行くため、石垣島での探鳥時間があまりありません。まずは未だ出会えていないオニアジサシを求め行ってみましたが、あえなく撃沈です。もう、抜けてしまったのかもしれません。移動した田んぼでは、まだコハクチョウがいました。アカモズの亜種シマアカモズや石垣島では珍しいオシドリの姿も見ることができました。その後、オニアジサシがいそうな場所に行ってみたものの、やはりいません。

オシドリ(撮影:上山功夫様)

石垣島をあとにし、船で西表島へ入りました。狙いはヤマガラの亜種オリイヤマガラです。日本とは思えないジャングル感満載の西表島。オリイヤマガラに会えるでしょうか?

物静かな林道をひたすら歩いて、オリイヤマガラを探します。たまに出てくるのはメジロの亜種リュウキュウメジロ。そして、シジュウカラの亜種イシガキシジュウカラです。サンショウクイの亜種リュウキュウサンショウクイも上空を飛んで行きます。しかし、オリイヤマガラだけは出てきてくれませんでした。残念!

 

4日目。今日もオリイヤマガラに挑戦です。その前に牧場を覗いたら、電線に小さなハトを発見!ベニバト♂です!やっと出会えました。

 

イシガキシジュウカラやリュウキュウメジロなどを見ながら、オリイヤマガラのポイントで定点をしました。すると、「ツーツーツー」とオリイヤマガラの声が聞こえてきました。林のやや奥の方で動いていますが、なかなかこちらに来てくれません。ほどなくして、鳴き止みました。15分ほど待つと、また声がしました。近づいてきたので、チャンス到来!…と思ったら、一気に頭上を越えて行ってしまいました。なんてこった!時間切れになり、あえなく退散。残念過ぎます。航路では、立標に止まるカツオドリを数羽、見ることができました。

イシガキシジュウカラ(撮影:上山功夫様)

再び、石垣島です。まずは未だ出会えていないオニアジサシへ。しかし、今日もダメです。田んぼで、またコハクチョウやセイタカシギ、ツルシギなどを見て、ガンを見に行きました。ところが、こちらもお留守。サシバの暗色型を探すも、こちらもダメ。ズグロミゾゴイ、さらにオニアジサシが出そうな場所を回りましたが、立て続けにダメ。ついていません。

 

最後はカタグロトビに挑戦。ようやくホバリングしているカタグロトビを発見!それを見ていたら、隣の縄張りのカタグロトビでしょうか、もう1羽現れました。ちょっと得した気分です。カタグロトビは終始ホバリングしながら探餌していました。気分よく、この日を終えることができました。

カタグロトビ(撮影:上山功夫様)

5日目。最終日です。約3時間しかありません。まずは公園でイヌビワに集まるシロガシラやイシガキヒヨドリ、そしてヤエヤマオオコウモリを間近に観察しました。車に戻ろうとしたら、ムクドリの群れが飛んできました。なんとカラムクドリとギンムクドリ!これはちょっとラッキー!

カラムクドリ(撮影:上山功夫様)

続いて、またまたオニアジサシへ、しかし、またしてもお留守です。田んぼを回り、コハクチョウなどを見てから、ガンを見に行きました。なんにもいなかったので帰ろうとしたら、長い首が2つ、畦の陰から出ています。ヒシクイとハイイロガンでした!マガンとカリガネはいませんでしたが、ハイイロガンはまだいて、さらにヒシクイが入ってきたようです。

亜種ヒシクイとハイイロガン(撮影:上山功夫様)

今度は山の鳥を求めて、バンナ公園へ。ズグロミゾゴイとサシバをじっくりと観察しました。目的だったリュウキュウサンショクイやズアカオアバトはお預け。

ズグロミゾゴイ(撮影:上山功夫様)

最後の望み、オニアジサシへ。ちょうど頭上を通過していくのをなんとか確認できました。

天気が良すぎて、目的のアサクラサンショクイやミドリカラスモドキなどの珍鳥は出ませんでしたし、オリイヤマガラもじっくりと見ることはできませんでした。しかし、思いもよらぬ色々な珍鳥を見ることができた5日間でした。参加者のみなさん、大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

秋の石垣島・西表島 珍鳥とオリイヤマガラに挑戦!【前編】

Report by 簗川堅治 / 2022年11月18日~22日

渡りの終盤に石垣島と西表島にやってくる珍鳥、そして種に格上げされる予定のヤマガラの亜種オリイヤマガラを見ようというツアーです。

 

1日目。羽田空港発、那覇空港発の飛行機が大幅に遅れましたが、無事揃い、スタートしました。

まずはオニアジサシを見に行きました。しかし、お留守だったので、白いクロサギなどを観察。続いては、田んぼへ。そろそろ稲刈りの時期の田んぼでは、なんと、石垣島的珍鳥のコハクチョウにご対面。暑そうです(笑)セイタカシギやツルシギ、クサシギなど忙しそうに採餌中でした。他、ツメナガセキレイやベニバトを探すもいないようです。

コハクチョウ(撮影:上山功夫様)

 

続いて薄暗い公園でズグロミゾゴイを見ました。幼鳥が2羽いましたが、虹彩の色が1羽は暗色、もう1羽は淡色でした。この違いは何なんでしょう?

更に移動途中でアカガシラサギを見つけました。地味な冬羽をじっくりと観察できました。

アカガシラサギ(撮影:上山功夫様)

今度はまだいるらしいアカツクシガモに挑戦です。でも、見つけた途端に飛ばれてしましました。ものすごい警戒心です。同じ場所にハシビロガモ、コガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、セイタカシギ、アオアシシギなどがいました。その他、タシギが飛び出し、草むらからはヒクイナの声もしました。

また移動し、マガン、そしてカリガネを見ました。ハイイロガンもいるらしいのですが、見当たらず。コハクチョウに続き、ガンまでいるとは、南の国に来た感じがしません(笑)

この日最後はクロヅル。その移動中に運よく、白いクジャクとヤエヤマオオコウモリを観察できました。クロヅルはアカツクシガモ同様、見つけた途端、飛ばれて、飛んだ姿だけはじっくりと観察できました。

白いクジャク(撮影:上山功夫様)

2日目。昨日、見られなかったハイイロガンを探しに行き、あっさりと見ることができました。マガン、カリガネも健在です。水面に映るハイイロガン、とても綺麗でした。

ハイイロガン(撮影:上山功夫様)

カリガネ(撮影:上山功夫様)

マガン(撮影:上山功夫様)

昨日、飛ばれて終わったクロヅルにも再挑戦。この日は近くでじっくりと観察。

クロヅル(撮影:上山功夫様)

その後はアカツクシガモをまた見て、さらに別の場所でクロハラアジサシの群れも見ることができました。

アカツクシガモ(撮影:上山功夫様)

クロハラアジサシ(撮影:上山功夫様)

今度はカンムリワシの幼鳥を探しです。しかし、見当たらず。今年はあまり繁殖しなかったのでしょうか?お昼を挟んで、移動中に飛翔するツバメチドリの群れや大きなミミズを食べるズグロミゾゴイを観察。

ツバメチドリ(撮影:上山功夫様)

ズグロミゾゴイ(撮影:上山功夫様)

移動して、ツメナガセキレイを探します。数羽のムナグロとたくさんのツメナガセキレイを見ることができました。まだ夏羽が残った黄色い個体も何羽かいました。

今度は海岸へ移動して、シギチの観察です。メダイチドリを中心に、シロチドリ、ムナグロ、キョウジョシギ、キアシシギなどが400羽以上はいたでしょうか?その中にオオメダイチドリも複数入っていました。クロサギも白色型、黒色型の両方を見ることができました。

オオメダイチドリとメダイチドリ

最後はカタグロトビ。なかなか見つかりませんでしたが、ようやく電線に止まっている個体とホバリングしている個体を見ることができました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

奥日光で冬鳥観察&会津でヤマセミ撮影にもチャレンジ!

report by 吉成才丈 2022年11月7日~10日

 

<1日目>
予定通り、JR宇都宮駅に集合後、専用車で日光方面に移動。車窓から紅葉を楽しみながら進み、中禅寺湖で昼食後に戦場ヶ原に到着。まずは、アオシギを求めて沢沿いを散策しました。いきなり出迎えてくれたのはカワガラスで、滝の周囲でずっと採餌していました。目の前でずっとエサを獲っていたため、皆さんかなりの枚数を撮影したようです。このあたりはカワガラスが普通にいる地域ですが、撮り飽きるまでいてくれるのは珍しいことですね。

カワガラス(西川 恵美子様 撮影)
カワガラス(西川 恵美子様 撮影)

 

カワガラス(齊藤 茂雄様 撮影)
カワガラス(齊藤 茂雄様 撮影)

 

アオシギが見つからなかったので、冬の小鳥たちを求めて下流の木道に移動すると、アトリやアカハラ、カケスが目の前に出現。時折、マヒワの声も聞こえましたが、この日は飛び去る姿を遠くに見送るだけに終わりました。

アトリ(齊藤 茂雄様 撮影)
アトリ(齊藤 茂雄様 撮影)

 

カケス(西川 恵美子様 撮影)
カケス(西川 恵美子様 撮影)

その後は近くの牧場に立ち寄って希望者はアイスクリームを頂き、ホテルにチェックインしました。
  
<2日目>
まだ薄暗い時間にホテルのロビーに集合し、朝食前に近くの沢沿いを散策しました。この沢もアオシギのポイントなので、まだ誰も訪れていない早朝はチャンスだったのですが、ここでもアオシギには出会えませんでしたが、カケスの群れが採餌しながら通過していきました。

カケス(齊藤 茂雄様 撮影)
カケス(齊藤 茂雄様 撮影)

 

ホテルの近くでゴジュウカラやアカゲラなどを観察していると、遠くでウソの声が聞こえました。朝食後には、またアオシギを求めて沢沿いを散策すると、昨日と同じ場所にカワガラスがおり、やはり目の前でわき目もふらずに採餌していました。昨日あれだけ撮ったのに、やはりカメラを向けたくなりますよね。カワガラスを見ていると、いつも元気をもらえるような気がします。

ここでもアオシギには出会えなかったため、狙いを変えて湯の湖畔を散策。いつもなら、ナナカマドの実にアトリやウソなどがいるはずなのですが、お目当ての鳥には会えず、カラ類やヒドリガモなどを観察しました。その後、昨日も歩いた木道を歩いてみると、入口付近でゴジュウカラが出迎えてくれました。

ゴジュウカラ(西川 恵美子様 撮影)
ゴジュウカラ(西川 恵美子様 撮影)

 

先に進むと、先行していたカメラマンが何かを狙っていました。静かに近づいてみると、待望のマヒワの群れが採餌しており、鮮やかな黄色いオスの姿も確認されました。木道脇の広場だったので、皆さんでじっくり観察・撮影していると、参加者のお1人の写真にミヤマホオジロのオスが写っていてびっくりしました。少ないながらも冬の奥日光を楽しみ、午後には専用車で会津に向けて移動しました。
  
<3日目>
まだ真っ暗な4時20分に出発し、ヤマセミのポイントに向かいました。最近のヤマセミは朝方に出ることが多く、暗いうちからスタンバイしておかないと警戒されてしまうとのことで、期待と緊張の中ブラインドに到着。暗いうちにカメラをセットして待つと、ヤマセミはまだ薄暗い時間に飛来し、一番近い倒木にとまりました。

ヤマセミのメス
ヤマセミのメス

 

ヤマセミ(齊藤 茂雄様 撮影)
ヤマセミ(齊藤 茂雄様 撮影)

 

カワセミ(齊藤 茂雄様 撮影)
カワセミ(齊藤 茂雄様 撮影)

その後も、少し離れた木にとまったり、目の前を通過したりで何度もチャンスがありましたが、皆さん、はじめてのロケーションでチャンスを生かせなかった場面もあったと思います。(だからヤマセミは、二日間必要なんですね)

 

10時30分すぎにホテルに戻って銘々に昼食を済ませ、午後には周辺の林や耕作地を巡りました。小鳥も多いとのことで鶴ヶ城に行くと、とても美しい紅葉が出迎えてくれました。カラの仲間やカワラヒワ、エナガなどの小鳥のほか、お堀ではカルガモやコガモなどのカモ類も観察されました。

ヤマガラ
ヤマガラ

 

その後は、移動途中にチェックしておいたハクチョウの群れを狙って耕作地へ移動。耕作地で休んでいたコハクチョウが飛び立つと、磐梯山や飯豊連峰を背景に飛翔する姿を撮影して楽しみました。

コハクチョウ(西川 恵美子様 撮影)
コハクチョウ(西川 恵美子様 撮影)

 

コハクチョウと磐梯山(上田 恵様 撮影)
コハクチョウと磐梯山(上田 恵様 撮影)

  

<4日目>
昨日同様、まだ暗い4時20分に出発し、ヤマセミのポイントに向かいました。昨日の経験があるため、この日は気持ちに余裕があります。昨日と座り順を変えてブラインド内で待機していると、やや遠めの木にヤマセミ2羽がとまりました。約70mの距離で、薄暗い霧の中という悪条件でしたが、モノクロのような趣のある写真が撮れたようです。そうなんです、ピーカンだと普通の写真しか撮れないのですが、条件が変わると思いもよらなかったカットが撮れるのですね。

ヤマセミのオス・メス
ヤマセミのオス・メス

 

その後も、ヤマセミは近くにとまったり目の前を飛翔したりで、この日は昨日以上に楽しめました。ここは背景や水面の映り込みもきれいなので、たとえ後ろ姿であっても、皆さん美しい写真をたくさん撮られたようです。

 

ヤマセミは午前中が勝負なので11時前にホテルに戻り、ここで解散となりました。
ご参加いただいた皆様、お疲れさまでした。

ヤマセミ(上田 恵様 撮影)
ヤマセミ(上田 恵様 撮影)

 

ヤマセミ(上田 恵様 撮影)
ヤマセミ(上田 恵様 撮影)

 

ヤマセミ(西川 恵美子様 撮影)
ヤマセミ(西川 恵美子様 撮影)

 

ヤマセミ
ヤマセミ

(観察種数59種)

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。