奥日光で冬鳥観察&会津でヤマセミ撮影にもチャレンジ

report by 吉成才丈 2024年11月5日~8日

1日目
予定通りに宇都宮駅に集合し、貸切りバスで奥日光に向かいました。
夏から秋の暑さが長引いた影響で紅葉シーズンが遅れたため観光客が多く、多少の渋滞はあったものの、ほぼ時間通りに奥日光に到着。
昼食を済ませた後、川沿いの遊歩道を散策すると、すぐ近くでニホンザルが川に降りて採餌していました。川の周辺では、カワガラスが潜って採餌したりする様子や梢にとまって周囲を伺うミソサザイを観察。日光の川沿いはロケーションもよいので、皆さんでじっくり撮影させてもらいました。
この日は曇天で薄暗くなるのも早かったため、夕方は早めにホテルにチェックインしました。

ニホンザル

ミソサザイ

 

2日目
早めに朝食を済ませ、荷物をバスに積んでからホテル周辺を散策。昨年はこのあたりでイスカを観察しましたが、今年は赤い実も少なく、ゴジュウカラやイカルなどが少し見られただけ…。
今年は小鳥が少ないのかなと思い、トイレを済ませてバスに乗ろうとしたら、アトリの小群が近くの木に飛来。静かに観察・撮影していると次第に近寄ってきて、じっくり撮影させてくれました。またアトリにつられるようにカシラダカも群れに加わり、こちらもじっくり撮影できました。

アトリ

再び川沿いをチェックすると、昨日と同じようにカワガラスが出迎えてくれました。昨日の撮影状況を踏まえ、スローシャッターでの撮影などにも挑戦して頂いていると、とまっていた1羽にもう1羽が接近し、なんと交尾を開始!
これから寒さが増すこの時期に繁殖を始めることはないと思いますが、さすがに驚きました。

カワガラス

カワガラス撮影後には、別の入口から散策路にアプローチ。小鳥はこちらの方が多い傾向があり、ツグミの群れやアカハラ、シロハラなどを観察していると、ベニマシコの声が複数聞こえてきました。
少しずつ接近して待っていると、ようやく姿を現してくれました。真っ赤なオスではありませんでしたが、やはりベニマシコは興奮しますよね。

アトリ

午後は明日のヤマセミに備え、会津に移動しました。

 

3日目
いよいよ今日、明日がヤマセミ撮影の本番です。
まだ暗いうちに迎えに来てもらい、明るくなる前にハイドに身を隠して息をひそめます。この日は時折小雨が降り、風も強めでコンディションは芳しくない状況。いつもなら目前の河川上空を通過したり、すぐ近くの枝にとまる姿を見せてくれるのですが、なかなか姿を現しません。やきもきしていると、小さな声が聞こえた後、2羽が追いかけあうようにいきなり目の前に出現し、下流方向に飛翔していきました。いつもなら河川上空を飛来するので間に合うのですが、ハイドと同じ岸の陰から突然現れたため、満足に撮影できた方はいませんでした。
その後は下流から上流方向に低く飛翔する様子が1回あり、参加された方のお1人が見事に捕えてくれました。ヤマセミは見慣れない方が多いので、ついつい撮るのを忘れて見てしまうんですよね。
だから2日間連続チャレンジなのですが、明日に期待ですね。

ヤマセミ

午後は貸切り車で市内を巡り、お堀のカモ類やエナガ、シジュウカラ、ヤマガラなどの小鳥類を撮影して回りました。
また猪苗代湖畔の耕作地も巡り、ノスリやチョウゲンボウ、コハクチョウなども撮影しましたが、今朝は暗いうちから活動していたため、早めにホテルに戻りました。

エナガ

コハクチョウ

 

4日目
前日に続き、まだ暗いうちに迎えに来てもらい、明るくなる前にハイドに身を隠して息をひそめました。この日は風もほぼなく、星空も見えるといった状況で期待が高まります。しかし昨日同様、ヤマセミはなかなか姿を現してくれません。一昨日までは明け方から頻繁にチャンスがあり、また昨日は天候の影響もあったようでイレギュラーな日だと思っていましたが、いつもと異なる状況に、少しずつ不安が募り始めます。
時折、遠くで飛翔やとまりが見られたりはしたものの、結局この日は、ヤマセミは目の前には現れてくれませんでした。ここまで出が悪い日が続くことはめったになく、現地ガイドさんが考えるには、この2日間でも観察されたハイタカなどの猛禽類に追われて怖い思いをしたのではないかとのことでした。たしかに東京周辺でも、ヤマセミがオオタカなどに襲われて命を落としたこともあり、行動に影響を及ぼしても不思議ではありません。自然やいきもの相手なので仕方ないとはいえ本当に残念で、ご参加いただいた方には申し訳ない限りです。

ヤマセミがとまるはずだった枝にはカワセミが…

いつも元気なセグロセキレイ

撤収後はホテルに戻り、ご挨拶後に解散。宿泊したホテルはチェックアウト時間に余裕があるので、皆さんの都合で銘々に帰路についていただきました。

2~3日後に現地のヤマセミの状況を聞いたところ、すでにいつも通りに回復しているとのことでした。
昨年と一昨年のツアーではしっかりお撮りいただいてるので、また来年にチャレンジさせて頂こうと思います。

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。