夏の富士山・奥庭で亜高山帯の野鳥と大磯海岸でアオバト観察

report by 吉成才丈 2024年8月21日~23日

1日目
今回も全員が新宿のバスターミナルに集合し、直行バスで標高約2,300mの富士山五合目に向かいました。
途中の高速は渋滞があったものの、ほぼ予定通りに水場に到着。

水場

さすがにTシャツ1枚では涼しいくらいの気温で快適でしたが、先着組の方によると「鳥がまったく出てこない…」という不吉な言葉が…
今回はOMシステムさんの協賛があるので、希望者にカメラとレンズをレンタルし、初めての方に使い方をレクチャーしてもらっていると、まずは、ヒガラが水場に出てきてくれました。

ヒガラ

ほっと一安心してさらに待つと、ウソやルリビタキのメスや幼鳥なども出てきてくれました。

ウソのオス・メス

ここは危険な生き物も生息しておらず景色もよく、富士山頂も望める散策路も整備されているので、水場で待機しながらも、個々で自由に過ごして頂きました。

山荘の夕食時間は早く、この日も16:30から夕食となりました。

山の上にもかかわらず豪華な夕食

夕食後でもまだまだ明るいので、皆さんと散策路を巡り、夕焼けや朝焼け、星空撮影のポイントをチェック。
なんと今回は、OM-1MkⅡや望遠ズームレンズの無料レンタルと共に、星空撮影のセミナーや体験撮影まであるという贅沢な内容なので、山荘に戻った後にOMシステムの社員の方に座学で、星空撮影時のカメラ設定や撮り方のコツを教えて頂きました。

外が暗くなると、いよいよ星空撮影の実践…だったはずなのですが、あいにく雲が広がり、皆さん揃っての撮影はできませんでした。
あとは適時、個々での撮影となりましたが、結局、雲はなかなか取れませんでした。

 

2日目
やはり多くの方が星空撮影を体験してみたかったようで、夜明け前の真っ暗なうちから何人もが、星空撮影ポイントに集まってきました。
そんな方々の願いが届き、夜明け少し前には雲が切れ、早起き組は星空撮影を楽しめました!
なかにはスマホで星空をきれいに撮る方もおり、そのまま朝焼けの撮影まで楽しむことができました。

富士山と星空
朝焼け

朝食後に水場で待機しているとウソやルリビタキなどが出てきてくれ、まずまずの撮影ができました。

その後、ある程度人数がいると降りてこないと言われていたホシガラスが水場に舞い降りました。
皆さんもホシガラスを驚かせないよう、息をひそめて静かに撮り続けます。
今までの小鳥とは、大きさも存在感も異なるホシガラスの登場で、満足度は一気に増したと思います。

ホシガラス

この日は昼過ぎまで撮影し、翌日のアオバト撮影に備えて平塚に移動しました。

 

3日目
平塚の朝は早く、夜明け前にホテルを出発して大磯に向かいました。
まだ薄暗いうちに撮影の準備を済ませて待つと、アオバトの群れが次々と飛来。
暗いうちの撮影は難しいのですが、明け方の様子も観察頂きながら、明るくなった後のシュミレーションをして頂きました。

明け方に飛来したアオバト

明るくなるにつれ、アオバトの行動パターンもわかってくると、いよいよ撮影の本番です。
飛翔する個体や岩に降りて海水を飲む個体の撮影のほか、波で飛び立つ瞬間も狙っていただきました。

海水を飲むアオバト
波で飛び立つアオバト
美しいアオバト

最初はカメラの仕組みや撮影の基本がわからず疑問だらけだった方も、いろいろなシチュエーションで撮影するうちに少しずつ理解し、野鳥撮影の楽しさを感じられたと思います。
いつもなら夏の大磯は暑くて大変なのですが、この日は曇りがちで暑さもやわらぎ、快適な条件下でアオバト撮影を楽しみました。

 

今回はミラーレス一眼の望遠撮影システムや星空撮影の機材レンタルにレクチャーがあり、撮影初心者の方にもお楽しみ頂けたと思います。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

 

2025年1月には、同じように機材レンタル付の霞ヶ浦や銚子をめぐる撮影ツアーもありますので、野鳥撮影未体験の方も、どうぞお気軽にお出かけください。

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

秋の石垣島でアカハラダカ・カンムリワシ・ムラサキサギを狙う【後編】

Report by 戸塚学 / 2024年9月24日~27日

3日目

朝はまずホテル近くの田んぼを巡りますが・・・シギやチドリが少ない。どうやら抜けた感じです。今日もカタグロトビには出会えませんでした。続いてズグロミゾゴイのポイントへ行きますが、成鳥2羽はまたしても奥へ姿を消してしまいました、残念。展望台へ向かう途中凄い雨が降って来て「いけるかな?」と思いましたが到着すると止みました。すごいぜ参加者!

 

空は雲に包まれ時々アカハラダカは群れをつくりますが、こちらには来ません。時々ハヤブサやチョウゲンボウが通過するのみです。ここでヒマラヤアナツバメが飛び回っていて展望台の全員で狙うのですがこれが超手強い!そんな中1羽、2羽と近くに飛んで来てくれる個体を撮影できました。1度だけ頭上を群れが飛んでくれただけでもラッキーだったかな?その後は田んぼを廻りますが・・・鳥がいません。ようやくムラサキサギの幼鳥がいたので撮影することができました。午前中ラストはホテル近くの公園で撮影ですが、ムクドリ類はさっぱりでしたが芝生のツメナガセキレイを撮影して終了となりました。

ヒマラヤアナツバメ
ヒマラヤアナツバメ

夕方はまた田んぼ巡りでカタグロトビがよく見られるというポイントへ歩いて探しますが見つからない。代わりにヒタキ類がかわいい姿を見せて撮影させてくれました。問題は小鳥たちと入れ替わるようにシギやチドリがぐっと減ってしまいさみしい限り。またしても折れそうな心で鳥たちを探していると水路の前にカンムリワシ成鳥が「ごろり」ととまっていたのでがっつり撮影してもらった。動きが全くないので別の生き物を探すとすぐにムラサキサギが見つかりこちらも撮影してもらうが動きが無いので、ズグロミゾゴイのポイントへ。なんと1羽だと思った幼鳥が2羽いてしっかり撮ることができました。残念なのは、成鳥。さすがに数のプレッシャーなのだろう、すぐに引っ込んでしまった。最後はホテル近くの田んぼでシギやチドリを狙った後、公園でムクドリたちを探すがこちらは静かすぎて鳴き声を聞くこともなく見つけることができなかった。

アオアシシギ
アオアシシギ
ヒバリシギ
ヒバリシギ
「ごろり」ととまっていたカンムリワシ成鳥
「ごろり」ととまっていたカンムリワシ成鳥

4日目

とうとう最終日まで雨にたたられることなく過ごすことができた!まずはホテル近くの田んぼに行くと昨日よりもシギやチドリが入っていたので撮影をしてもらう。カタグロトビを探すが見つけられなかった、残念!引き続きズグロミゾゴイのポイントへ行くと成鳥と幼鳥がいたのでゆっくり近づくと3人目までは良かったが、4人目で飛ばれてしまった。できるだけ姿勢を低く近づいたがやはり数のプレッシャーは何ともならない。

風は北東、天気は晴れ。これはいいぞと期待を持って展望台に上がるとすでに140羽が渡ったという・・・これは期待が!しかしなかなか飛ばない。困ったことに雲の中から現れるので気がつけば頭上。10時に終了する予定を11時まで伸ばしたが・・・結果はだめだった。

ふたたびカタグロトビを探すが見つからない。周辺の田んぼも何もいない。最後の最後の悪あがきで空港近くの田んぼへ向かうと小型のシギたちがいたが、早苗に紛れてよくわからない!ジシギ(たぶんチュウジシギと思われる)を何とか撮影して空港へ向かい終了しました。

カタグロワシに関しては残念でしたが、メインにしているカンムリワシ・ムラサキサギ・ズグロミゾゴイ・アカハラダカはとまり、単体飛翔、タカ柱としっかりと撮影で来たし、夜はリュウキュウアカショウビン・ズグロミゾゴイ・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズクそしてオオクイナのオス成鳥まで撮れたので100点と言ってもいいと思いました。

リュウキュウアサギマダラ
リュウキュウアサギマダラ

 


撮影できた鳥 

ズグロミゾゴイ・アマサギ・ダイサギ・チュウサギ・コサギ・アオサギ・ムラサキサギ・カルガモ・アカハラダカ・カンムリワシ・ミサゴ・ハヤブサ・チョウゲンボウ、コチドリ・トウネン・ヒバリシギ・アカアシシギ・アオアシシギ・コアオアシシギ・キアシシギ・イソシギ・セイタカシギ・クロハラアジサシ・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・リュウキュウアカショウビン・ツメナガセキレイ・キセキレイ・エゾビタキ・コサメビタキ・サメビタキ・ヒマラヤアナツバメ・シロハラクイナ・(ヤエヤマオオコウモリ)

 

見られた&声が聞かれた

バン・ジシギSP・リュウキュウキジバト・チュウダイズアカアオバト・ツバメ・サンショウクイ・リュウキュウヒヨドリ・スズメ・セッカ・オサハシブトガラス・リュウキュウメジロ・シロガシラ

 

その他

ヤエヤマオオコウモリ

 


 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員