クマゲラの棲む利尻島・礼文島とサロベツ湿原【後編】

Report by 今堀魁人 / 2023年5月14日~18日

3日目

早朝はホテル近くの公園でバードウォッチングです。探しに行きますが渡り鳥がそこまで入ってきていないのか鳥は少なく、途中街頭の上にモズのオスが止まっているのを見ながらホテルに戻りました。

モズ(オス)
モズ(オス)

朝食後は昨日とは別ポイントでクマゲラを観察します。到着し、カメラで撮影しようと準備をするとクマゲラの声が!静かにしているとオスが戻り、あっさりと抱卵交代をしてメスが飛び去っていきました。

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

昨日とのギャップにみんな驚きです。帰りには目の前でシマリスやゴジュウカラも姿を見せてくれ、楽しく撮影をしながら次のポイントへ。

シマリス
シマリス

次は島を一周回っていきながら小鳥を探していきます。途中立ち寄ったキャンプ場では離島ならではのマミジロキビタキがお出迎え。きれいなレモンイエローのお腹とたんぽぽとのコラボで皆さん熱心に撮影されていました。

マミジロキビタキ
マミジロキビタキ

その後別なポイントでノゴマを発見。チラチラと出たり入ったりを繰り返しながらなんとか撮影ができました。そんなノゴマを見たあとに別なポイントに立ち寄ると全く逃げないノゴマも発見!杭の上で座っていたのを見ると、もしかすると渡ってきたばかりなのかもしれません。

ノゴマ
ノゴマ

その後は北海道銘菓白い恋人で有名なオタトマリ沼へ。売店のソフトクリームを食べながら鳥を探していると何やら聞き覚えのある声が。探してみると、コイカルのオスです!偶然そこで採餌していたのでしょうが、慌てて全員を呼び撮影と観察開始です。高いところで採餌していたため見にくかったですが、途中から道路と同じ高さで観察でき、葉を丸めて食べる面白い採餌方法を見せてくれました。

コイカル(オス)
コイカル(オス)

その脇では満開のエゾノコリンゴでヒガラがごはんタイム。これまた美しい光景でした。

ヒガラとエゾノコリンゴの花
ヒガラとエゾノコリンゴの花

夕方は別なクマゲラポイントで再度挑戦です。じっとしながら、私とガイドさんは足元のネマガリタケを取りながら待っていると帰ってきてくれました。この木は枯れ木ということもあり見やすいですが、警戒心は今回のツアー中見たクマゲラの中でもダントツに強く、個体差でどれだけ警戒心が違うのかわかったかなと思っています。

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

ホテル帰宅後は宿のそばを歩く亜種マミジロツメナガセキレイをお客様の一人が発見し、各々観察しながらこの日は終了です。

マミジロツメナガセキレイ
マミジロツメナガセキレイ

4日目

利尻島最終日です。この日も早朝公園へ出かけますがめぼしい鳥はおらず。ウグイスがきれいな声を響かせていました。

ウグイス
ウグイス

午前中もう一度昨日のクマゲラのポイントへ。到着してから1時間ほど待つとメスが帰ってきてくれました。毎回そうですが、抱卵交代はたった数秒。一瞬の隙を逃さず撮影できたでしょうか?

クマゲラ抱卵交代
クマゲラ抱卵交代

午後にはフェリーに乗って礼文島へと渡ります。途中の航路ではウトウとアカエリヒレアシシギがお出迎えをしてくれました。アカエリヒレアシシギの群れにハイイロヒレアシシギがいないかと探しましたが残念ながら見当たらず。

アカエリヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギ

入島後は島の北部をめぐります。走っていると道路脇に飛ぶ鳥が。車を停めてもらい確認すると、打ち上がったアマモにトウネンとアカエリヒレアシシギが集まっていました。きっと海藻の隙間にヨコエビなどの餌があるのでしょう。特に普段は水に浮いてばかりいるアカエリヒレアシシギの水かきを見られる貴重な機会となりました。

アカエリヒレアシシギとトウネン
アカエリヒレアシシギとトウネン

その奥には岩礁で寝ているゴマフアザラシが。時たま波を浴びていますが気にせず寝ている姿が可愛く、顔も見せてほしかったのですがあまりこちらは向いてくれず。シャイなのでしょうか。

ゴマフアザラシ
ゴマフアザラシ

道中ドライバーさんからレブンアツモリソウが咲いているとお話があり、急遽そのポイントへ連れて行ってもらいました。普段は6月上、中旬で咲くはずの花が今年の異常な暑さで5月に咲いたそうです。現場に行くと2~3輪だけ咲いているかと思ったら半分近くが咲いておりとても可憐な姿を見せています!フレッシュなレブンアツモリソウは貴重で、とてもいい出会いだったのではないでしょうか。

レブンアツモリソウ
レブンアツモリソウ

 

5日目

ツアーも最終日です。天気は残念ながら悪いですが外からは鳥の声が聞こえます。早朝はホテルの裏の山をちょっと散策していきます。歩いていると道路脇からうるさいと感じるほどの声量で鳴くコマドリの声が。探せど見つからず、数か所目でやっと樹上に止まる姿が。

コマドリ
コマドリ

観察しますがなかなか枝が被り見にくい場所に。そのうち移動してしまい、私達も先に進んでいきます。道路を歩いていると聞き覚えのある声とともに黒い影が。なんとクマゲラです!礼文島では推定生息数が10羽程度と言われており、撮影はできませんでしたが貴重な個体に出会えました。山に行くとまた近くでコマドリの鳴き声が聞こえます。そーっと下を覗くときれいな個体が鳴いていました!交代で観察と撮影を行いながら朝食の時間が迫り、後ろ髪を引かれながらこの場をあとにします。

コマドリ
コマドリ

ホテルに戻る途中、最後に残った1名のお客様とお話をしていると民家の木からアリスイの声が。声だけ聞いて見ないわけにはいかないので探しますが枝が混んでいてなかなか見つからない。ただ段々と声の位置が高くなり、よーく見ると最後は松のてっぺんで鳴いてくれました。

アリスイ
アリスイ

最後の観察場所もフェリーも濃霧に泣かされ鳥は見えず。早朝が最後のバードウォッチングとなりましたが今回のツアーでも様々な道北らしい、離島らしい鳥に会えるそんなツアーとなりました。

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

クマゲラの棲む利尻島・礼文島とサロベツ湿原【前編】

Report by 今堀魁人 / 2023年5月14日~18日

1日目

初日は稚内空港からスタートです。最初は空港そばのメグマ沼へ。観察していると夏の北海道を代表する鳥のひとつ、ノビタキとツメナガセキレイがお出迎えしてくれました。少し距離はありましたが、幸先の良いスタートです。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

サロベツ湿原に向かうと、寒さと風の影響かほとんど鳥の姿は見えず。入り口でベニマシコのメスがヤナギを啄んでいる姿を全員で観察し、声は聞こえど姿を探す難しさを体感できました。

ベニマシコ(メス)
ベニマシコ(メス)

その後移動中には酪農家の家の脇からチュウヒが突然出現!
きっとこの近くで繁殖しているオスのチュウヒでしょう。ここ近年急激に数を減らしているチュウヒ。無事に子育てできることを願うばかりです。

チュウヒ(オス)
チュウヒ(オス)

夕方は兜沼へ。駐車場そばではカケスが姿を見せてくれました。北海道は本州の亜種カケスと違い、亜種ミヤマカケスで可愛い顔をしていることもあり、人気の野鳥です。なかなかうまく姿を見せず少し苦労しましたが、無事皆さん観察できたようです。

ミヤマカケス
ミヤマカケス

さて移動しようと思ったら今度は地面を歩く鳥が。なんとヤマシギです!ここでは初めての出会い。いてもおかしくない環境ですが、夕方で人の出入りも少なかったためかペアで行動し、最後まで比較的近くで観察・撮影させてくれました。

ヤマシギ
ヤマシギ

 

2日目

本日はこのツアーのメインとなるクマゲラを求めてフェリーで利尻島へ。航路では鳥の影が薄く、序盤にシロエリオオハムと遠くにウトウがチラホラと飛ぶだけ。

シロエリオオハム
シロエリオオハム

着岸直前には利尻では必ず見られるウミウのコロニーを見ながらいざ入島!ガイドさんの車に乗せてもらい、ポイントへと移動します。

ウミウコロニー
ウミウコロニー

ポイントへ歩いて到着し、息を潜め待っていると目的のクマゲラが穴から顔を出しました。前頭部が黒いためメスのようです。

クマゲラメス
クマゲラメス

この時期は抱卵中のため、最小限の影響で住むよう配慮しながらの撮影です。基本クマゲラは1時間半から2時間の感覚で抱卵交代を行っており、2時間待てばオスが帰ってくるだろうと待っていましたが2時間経っても現れず。そのうち雨も降り出しますが一向に声も気配もしません。これ以上待つのは人間も限界でかつクマゲラにも影響を与えてしまうということで今日は撤退です。

クマゲラメス
クマゲラ(メス)

途中目の前をうろちょろしてくれたヒガラが一時待ち時間を楽しませてくれましたが、クマゲラの全身見る機会は明日にお預けとなりました。

ヒガラ
ヒガラ

 

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

秋色の佐渡島に舞う朱鷺色トキを狙う

Report by 戸塚学 / 2024年10月8日~11日

10月8日 1日目 新潟 雨

午後新潟駅に集合をしてタクシーでフェリーターミナルへ。そして佐渡汽船で佐渡島へGo。下船後はレンタカーに乗り、ホテルへ直行します。ホテル併設のレストランで食事をしようと思ったら?貸し切りで使えない!他の店に電話するも繋がらない???仕方がないので向かいのAコープへ行き、閉店ギリギリでお弁当を買うことができました。もともと佐渡島ではホテル周辺での食事事情が悪いので今後は注意をしたいと実感。

10月9日 2日目 佐渡島 雨のち快晴

朝は天気が悪そうな予報だったので、8時30分とゆっくりの出発にしました。7時30分~8時30分は出勤時間なので交通量が多く道路際での撮影は危険になるためです。とはいえ・・・よく見かける田んぼを探すもトキが見つかりません。「たくさんいるはず」なのですがこれがトキなんです。秋は群れでいることが多く10羽以上の群れでいることもよくあるのですが、なぜか見つからない時は見つからない。なのでとにかくゆっくりとしたスピードで探すのみ。ようやく1羽を見つけたのでしっかりと時間を取って撮ってもらいます。まずは「しっかりと撮れた!」という充足感は必要なんです。今年のトキとの距離も通常通り約、田1枚分。中央にいる個体を見つけて車でゆっくりと近づいてもゆっくりとこちらから距離をとり田1枚分のスペースを確保します。だからバックが良い場所や光の良い場所を選んでは撮影をしてもらいます。

飛翔
伸び

一旦昼食を摂ってから再び田んぼ巡りですが、今年はまだ冬鳥たちが遅いようでガンカモ類が見当たらない。おまけにたくさんいるはずのノスリもタヌキも見つからないのがさみしい。それでも上空を飛ぶヒシクイの群れを見送ることができました。渡り途中なのかもしれません。午後から夕方にかけては青空バックの枝どまりや飛び立ちや飛翔もしっかりと撮ることができました。

枝どまり

 

夕方は10羽以上の群れがいる場所を見つけたので近くの川の堤防からねぐらに飛ぶ姿を狙う事ができました。ホテルへ戻って来てから「今日はホテル併設のレストランで!」と思ったらまさかの定休日・・・昨日電話がつながらなかったレストランへ行くと無事入れましたが、私たち以降の人は全員断られています・・・セーフだぜ!

ねぐらに飛ぶ群れ

10月10日 3日目 佐渡島 快晴

天気予報が晴れという事でこの日は6時に出発しました。狙いは水滴のついた草を逆光で狙いそこにトキを絡める!これは本当に時間勝負なので田んぼを見ながらゆっくりと探すとトキがいました!しかし道路が狭く入れないので涙を呑んでパス。次は4羽がいたのでゆっくりと近づきますが、やはり群れだと警戒心の強い個体がいて近づけません。待っていると一般観光客の車が近づいたおかげで何とか近づいてきたところを撮ることができました。次は冬ねぐらになっているポイント周辺で探しますが、いません。Uターンをして戻ってみると???なんで?さっきまでいなかった場所にトキがいる!一旦通り過ぎてからUターンをして何とか逆光と輝く水滴とトキの撮影ができました!

逆光と輝く水滴とトキ

この後もゆっくりとホテルに戻りながらトキを探しますが、いい場所にいませんでした。ホテル近くのカントリーエレベーター周辺でチョウゲンボウ2羽が飛びまわっていたので撮影はできませんでしたが、観察を済ませ朝食と休憩にしました。9時に再び探しに行きますが、どこにもトキは見当たりません。困ったなぁと先ほどとは違うねぐらを覗くと?なんと6羽がとまっています。その中で手前にいる3羽を何とか撮影ができました。

ねぐら

その後はなぜなのか見つけられないのでトキのテラスに上がり佐渡島のトキたちが暮らす風景を堪能してもらいました。さて、加茂湖の反対側の田んぼを探すとトキの群れがいたので車を安全に停められる場所を探してゆっくりと撮ってもらいました。撮影中低い場所をマガンが飛んで行きます。近くに降りるかなと思ったのですが行ってしまいました。お昼はお弁当をコンビニで買ってもらいホテルに戻り14時まで休憩にしました。14時からは再びトキを捜索しますが、見当たりません。昨日の枝とまりをしていた場所へ行きますがいません。どうしようかと周辺の大きな木を双眼鏡で見ていると何か白いものが?トキです。そちらに向かうと奥から10羽ほどのトキが飛び立ち木の枝にとまったので大急ぎで車を安全に停められる場所に停め車内から撮影をします。枝からの飛び立ちや周囲の田から飛んで来て枝にとまる姿もしっかり撮ることができました!

群れとまり

1時間ほど撮影したでしょうか?一旦切り上げてトキたちがとまっていた場所の前を通ると?低い位置にとまっている姿を見つけたのでゆっくりと近づきどアップで撮影することもできました!まだ夕日とねぐら入り飛翔には時間があるので、別の個体を探します。すぐに3羽の群れがいたので「まぁ時間つぶし的」に撮ってもらっているとどんどん採餌しながらこちらに向かって来てくれたことで逆光に輝く二番穂と絡めて撮れたり、群れを見つけた個体がこの群れの中に入るために飛んで来る飛翔姿も撮ることができた。撮影を終えて5分も走ると道路わきのコンクリートの上にとまるノスリも撮れました、まさかまさかのラッキータイムでした。

飛翔
飛翔
着地
ペア

さぁて昨日トキの群れがいた場所へ行くといましたいました、12羽ほどが。(実際見えないところにも4羽いて16羽でした)夕日が山に隠れると暗くなるのですが、西の空は茜に染まり、飛翔する紅いトキの群れを撮ることができました。みなさん大変喜んでおられていたので、夕食は3日目の正直でレストランで祝杯を挙げました。

 

 

10月11日 4日目 佐渡島 曇り時々晴(通り雨あり)

最終日の朝も6時からスタートです。しかし昨日ほどいい場所にトキはいません。ねぐらのある木の周辺へ行くと、いました!4羽いたのですが、ちと遠いのが悩ましい。ですが写真を撮ってもらいます。その後も探しますが見つかりません。しかし電柱にとまるノスリがいたのでアップで撮ってもらいました、幼鳥なのでこんなに近くで撮れました。ラッキーです。

ノスリ

一旦食事に戻り荷物を車に積んで9時から再スタートです。しかしトキが見当たりませんがみなさん焦りが見られません。理由は昨日がっつり撮れているからです。しかしこの雰囲気に甘んじてはいけません。私のお気に入りの田んぼを廻ると刈り取り途中の稲の脇からトキが出てくれて近くで撮影ができました。最後の最後で飛んできたトキを追いかける形で入った田んぼを見つけましたが、やはり遠い。それでも距離がある分、群れの姿を何とか撮影ができたのでフェリーターミナルへ移動して、無事終了となりました。

 

残念だったのは今年の夏は昨年以上に熱く、9月も高温だったせいで紅葉が大きく遅れて「秋」を感じにくい雰囲気でした。来年は、もう少し遅くしてみようかなと感じました。

今回本当は5名フルだったのですが、3名のキャンセルで急遽参加者2名となったため、私がレンタカーを運転することで催行ができました。通常ならジャンボタクシーを利用するのですが、レンタカー利用だったので時間の自由度と超少人数という事で今まで行ったツアーの中でもTOPではと思えました。しかしまともに?いやいや、がっつり撮れたのがトキのノスリと他はさっぱりでしたが、メインのトキが撮れたのでいいとしましょう(笑)

 

撮れた鳥

トキ・ノスリ・トビ

見られた&声を聞かれた鳥

キジ・マガン・ヒシクイ・カルガモ・マガモ・コガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・オシドリ・カイツブリ・キジバト・カワウ・チュウサギ・ダイサギ・アオサギ・ウミネコ・ミサゴ・チョウゲンボウ・アカゲラ・モズ・カケス・ハシボソガラス・ハシブトガラス・ヒバリ・シジュウカラ・メジロ・イソヒヨドリ・スズメ・ハクセキレイ・ホオジロ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

秋色の佐渡島に舞う朱鷺色トキを狙う

Report by 戸塚学 / 2023年10月9日~12日

1日目 新潟 

夕方までに各自で新潟駅前のホテルにチェックインしていただきました。17時30分にロビーに集合をしていただきミーティングを行いました。ミィーティング終了後は各自で食事に行っていただきました。

2日目 佐渡島

早朝5時と5時20分組に分かれてタクシーでフェリーターミナルに向かい現地で合流してから佐渡島に向かいます。天気予報では「雨、所によっては雷雨」だったのでフェリーが出るのか心配しましたが、天気は穏やかで海況も穏やか。無事佐渡島に到着しました。下船後は専用車でトキを探しに出かけます。まずはトキ交流館周囲の田で探しますが、見当たりません。引き続きいつもよく見かけるエリアを探すと2~6羽の群れをよく見かけますが、群れていることもありなかなか近づけません。群れの中に警戒心が強い個体がいるとすぐに飛ばれることが多くなるからです。少し距離があるものの比較的落ち着いついている群れを見つけては撮影をすることができました。

 

 

途中もの凄い大雨が降り「天気予報が当たっている」と実感。せっかくなのでトキと雨を高速シャッターとスローシャッターで撮影していただきました。突然雨が降り出したり晴れたりするので「虹」に期待するも出なかったのが残念。夕方はドライバーさんが「以前ここに集まってねぐらにしていた」という場所で待つもダメだった。時間になったのでホテルに戻りました。

 

 

 

3日目 佐渡島

天気予報が外れて?晴れです。渋滞を避けて田んぼ道を進むと朝露に輝く草がとてもきれいなのですが・・・主役のトキがいない、残念。トキの警戒心は やはり結構強いのでのんびりしている群れを見つけて待ちます。狙いは飛び立つ姿です。しかしトキはこの時期群れになる習性があるので、私たちが撮影している群れの中にあちこちから飛んできます。それと同じようにそこから飛び立つ個体も多く、約2時間しっかりと楽しむことができました。

 

 

 

 

 

ドアップは撮れませんがこれはこれでいいシーンをたくさん撮れるので今後は無理はせずこの作戦に切り替えて撮影を試みるようにしました。ドアップばかりがいい写真ではないし、今のカメラは高画素なので後でトリミングをすればいいのである。お昼ご飯を食べてから冬に良くトキが集まるエリアに行きますが、見つかりません。どうやら秋はこちら周辺の田はあまり使わないのか?まだ稲刈りや圃場整備のせいか?わかりませんがこちらをパスすることにしました。さて今回良くトキを撮影できる場所へ移動すると、遠くの神社の森にある立派な杉の木の枝に白い点が2つ。車を停めてもらい双眼鏡で見るとトキです!ようやく枝とまりのトキです。早速車を近づけていただき、青空バックでペアのトキをしっかりと撮影していただきました。

 

 

 

 

約1時間「ぐぁ~」と鳴き出したので、「飛ぶかも!狙って」とアドバイスをして飛ぶ姿も撮影できました。

 



 

冬にねぐらにしていた場所へ覗くと・・・いた!8羽いた。もうねぐら入りしているとは思わなかった。写真的にはあまりいい状況ではないがとりあえず撮影をしてもらいます。なんだか今日は凄いぞ。こういう日はやたらと当たるので次の場所に移動してみると、まもや8羽の群れがいる!これはここで待って撮影するしかありません。しかしここで日没まで待つのはもったいないので違う場所へ移動を始めるとドライバーさんが立派な杉の大木の梢にとまるトキを発見。早速移動をして撮影をしていると畑仕事をしているおじぃちゃんが「毎日夕方に5~6羽来るよ」と教えてくれた。

 

 

さて光に赤味が増してきたので先ほどの群れの場所に戻ると・・・いない!せっかく夕陽に色づく紅のトキが撮れると思ったのに。その時参加者が車の横にいる!と言うので見ると逆光の二番穂の中にペアがいた。気がつかずに近くまで来てしまったようで、ゆっくりと車をバックで移動してもらい狙ってもらいます。私もファインダーを覗くと・・・輝く2番穂の上に輝く白い糸がたくさん風になびく?なんと蜘蛛の糸がいっぱい引っかかっていっるのだ!「蜘蛛の糸が写るように撮って!」と叫ぶ私の言葉をみなさん「雲の糸???が写るように」と聞こえて「なんのこっちゃ」と思ったようですが途中から気がついたようで無事全員撮ることができました。

 

 

撮り終わるのを待っていたかのように2羽とも飛び去ると周りにトキの姿が見られなくなっていた。どうやらこの時間前にみなねぐら入りしてしまったようだったので、私たちも日没と同時に終了となりホテルに向かおうとすると、渡ってきたばかりと思われるコハクチョウの群れとムナグロの群れに遭遇して堪能することができました。大当たりな1日でした!

 

4日目 佐渡島

本日は快晴!みんな昨日までしっかりと撮れているので余裕の表情ですが、それでも最後の最後まで撮影をします。昨日と同じように落ち着いた群れを探し、待ちの撮影です。群れが離れたり、飛び去ったら移動開始でまた探すというパターンで撮影を楽しみました。1羽のトキがこちらに寄って来るのを待っているとドライバーさんが「前、前、たくさんのトキが飛んでる!」と叫ぶので見ると22~25羽のトキの群れが飛んで行きます!

 

 

とりあえず下に降りた位置をドライバーさんは確認すると「たぶんあそこらへんだと思う」と車を走らせてくれました。そして到着すると12、13羽のトキが広い田にあちこち散らばっています。ここでも待ちの撮影をしているとトキの群れに向かう車が?「飛ぶから狙って」と声をかけると6羽のトキがこちらに向かって飛んで来て車内は軽くパニック(笑)トキを飛ばした車はただ単に通過する際に飛ばしただけでしたが、私たちには超ラッキーな出来事でした。その後も時間いっぱい、おなかいっぱいトキの撮影を堪能してフェリーに乗り込み無事終了しました!

 

 

 

[撮れた鳥]
トキ・コハクチョウ・マガン・ヒシクイ・ノスリ

[見られた&声を聞かれた鳥]
キジ・カルガモ・マガモ・コガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・オシドリ・キジバト・カワウ・チュウサギ・ダイサギ・アオサギ・クサシギ・ムナグロ・ウミネコ・トビ・チョウゲンボウ・アカゲラ・モズ・カケス・ハシボソガラス・ハシブトガラス・シジュウカラ・メジロ・イソヒヨドリ・スズメ・ハクセキレイ・セグロセキレイ・カワラヒワ・マヒワ・ホオジロ・タヌキ

 

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員