やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2022年9月11日~13日

タカブシギとコアオアシシギ

 

台風11号が去った9月7日から下見に入ると、同日夕方台風12号が発生!本島直撃の予報が出て催行可能か?中止か?のギリギリまでバタバタしましたが飛行機も飛びスタートしましたが、結果的には台風12号はそれて天気的にも野鳥的にも恵まれました。
今回のレポートで使用する写真はツアー中に撮影したもの以外、下見時に撮影したものを利用しております。理由は基本が車内からの撮影が多く、お客様の撮影を優先するため私の撮影ができないことが多いのでご理解いただければと思います。

<1日目>

13時に無事みなさん集合されたので、専用車でまずは喜如嘉の農地でシギ・チドリの撮影を楽しみました。下見の時はたくさん入っていたのですが、かなり抜けてしまったのは残念でした。

タカブシギとコアオアシシギ
タカブシギとコアオアシシギ ※下見時に撮影


下見の時に夕方ヤンバルクイナが出るポイントを見つけたので、宿に荷物を降ろし17時30分~18時30分ヤンバルクイナの撮影に出ました。下見の時はひんぱんに&のんびりとヤンバルクイナが出ていた場所で目隠し用のシートを張り待ちました。ですが、この日は1度道路を通過したのみで出てきません・・・おかしいなぁと思ったら、見えない場所に先客がいて観察をしていた影響かもしれない?とりあえずは数羽のヤンバルクイナを見ることはできたものの、撮影的にはあまり良くなかった。
夜は翌日の夜間撮影のためにライトを木の葉や枝にライトを当てて高感度での撮影やスローシャッターの撮影のレクチャーをしたのち宿周辺を約1時間散策しました。

<2日目>

5時30分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、車の前からではなく、車の後ろから現れ、参加者の方へ移動します。ところが6人のオーラが強すぎたか?途中で引き返しそれっきり戻ってこなかった。この場所ではアコウの木に実が成っているのでメジロ、ズアカアオバト、ヒヨドリがやって来ますが、私の位置からは撮影ができない。しかし一部の方は撮影ができたようです。ヤンバルクイナを近くで観察はできたのですが撮影はイマイチだったようです。

リュウキュウメジロ
リュウキュウメジロ ※下見時に撮影

その後はゆっくりと車で流しながら生き物探しをするとヤンバルクイナ1羽が道路の斜面にいましたが車に気が付き草むらへ消えていったしまった。昨年アカヒゲ&リュウキュウアカショウビンがいたポイントで朝食&休憩です。蝶が好きな方は蝶を撮影できたと喜んでいました。「ホントウアカヒゲはたくさんいるし、どこにでもいるので出れば人を気にしないので簡単に撮れるんですヨ」と伝えると本当に近くでオス・メスが出て撮影できました。

ホントウアカヒゲ
ホントウアカヒゲ ※下見時に撮影

宿に戻り、ここから周辺を歩いて生き物探しをします。ホントウアカヒゲは声はすれども姿は見れずでしたが、ノグチゲラが2羽で喧嘩しながら近くにとまりました!しかしなんともならないブッシュの中でシルエット劇場になってしまいました。トレッキングコースではすでに時間が遅いのでセミの鳴き声が森に響き渡るだけで生き物が見つかりません。あと少しで終了という場所でキノボリトカゲが2頭出たので撮影を楽しんでもらいました。

オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ

この後は夕方まで休憩としていました。休憩時間中も一部の方は宿の周辺で撮影を楽しまれたようで、スコールの後にホントウアカヒゲがばっちり撮れた!という方もいました。

17時30分に集合して昨日のポイントへ向かいます。この日は先客もいなかったようで期待も高まります。目隠しシートを張りスタンバイすると2羽のヤンバルクイナが道を渡って行きました。そのうちの1羽が道路わきをゆっくりとエサを探してこちらに向かって移動をしてきます。車が通過しても全く動じません!とうとう私たちのまえまで来て、私たちの存在に気が付くと、何気ないふりをしてゆっくりと草むらの中へ消えて行きました。もう出ないと思われるし暗くなってきたので切り上げました。

ヤンバルクイナ
夕方に現れたヤンバルクイナ

夕食後は夜間撮影です。ゆっくりと車を走らせながらライトで生き物を探しますがなかなか見つかりません。ようやく飛翔するリュウキュウコノハズクやリュウキュウアオバズクが出ても近くにとまってくれません。集落内の公園へリュウキュウオオコノハズクを探しに行くも見当たりません。

リュウキュウオオコノハズク下見
リュウキュウコノハズク ※下見時に撮影

何気なく帰り際ライトを当てた木の枝にヤンバルクイナのペアが!みなさんに声をかけて「すぐに撮って!」と撮ってもらいました。普段なら眠っていると動かないのですが、満月近くの月が明るいせいか、すぐに動き出してしまったのでここで中止にします。そう、嫌がったら終了としています。&集落内なので「ヤンバルクイナをいじめている」と集落の方に思われるのも困るのでみなさんにも理解していただきました。その後も探すがフクロウ類が見当たりません。ようやく見つけたヤンバルクイナもやはりすぐに動き出し撮影ができませんでした。結局残念な夜間撮影になってしまった。

ヤンバルクイナ夜下見
ヤンバルクイナ ※下見時に撮影

<3日目>

5時30分に出発。昨日より早い準備を完了。後部ハッチを開けて風通しがいいようにします。昨日はこれをしなかったので蒸し暑くて大変だった。待つ事10分、車の前の耕運機の横から出現!昨日と違い、この日はゆっくりとこちらに近づき採餌を繰り返し、しっかりと撮影できたようです。このポイントの凄いことは近いと3m!超望遠レンズだとヤンバルクイナがはみ出しちゃう。ヤンバルクイナは一旦車の後ろ方向に消えていった。その後一度現れるがすぐに草陰へ。しばらくすると2羽で現れ近づいてくるが、こちらの殺気を感じてか?奥へ入ってしまいそれっきりだったので終了して、昨日朝食を食べた場所で朝食&休憩したのち宿へ戻り荷物を車に積み込むみシギ&チドリの撮影で喜如嘉へ。

ヤンバルクイナ朝
ヤンバルクイナ

途中下見の時に見つけたクロハラアジサシのポイントへ立ち寄りましたが、抜けたようでいなかった。喜如嘉もパッとせず早々に切り上げ、時間調整用の三角池へ向かいます。時間調整用に立ち寄ったのですが、クロツラヘラサギが4羽近くにいたので早速撮影してもらいました。

クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギ

他にはアオアシシギ・アカアシシギが対岸に群れていましたが、少し遠い。20分ほどすると潮が引いて干潟が出始めた水路に移動を始めます。撮影ができそうだったのでみなさんに声をかけてそちらに静かに移動します。干潟にとまるキアシシギ、アカアシシギを近くでばっちりと撮ることができました!喜如嘉を早めに切り上げての移動は正解でした。空港まではすぐ近くで余裕綽々で最後の最後まで撮影を楽しむことができました!


撮れた鳥
クロツラヘラサギ・コサギ・アマサギ・ヤンバルクイナ・コチドリ・ヒバリシギ・アカアシシギ・アオアシシギ・キアシシギ・コアオアシシギ・タカブシギ・セイタカシギ・ズアカアオバト・ツメナガセキレイ・リュウキュウヒヨドリ・ホントウアカヒゲ・オキナワシジュウカラ・リュウキュウコゲラ・リュウキュウメジロ・リュウキュウハシブトガラス・アカマタ・オキナワキノボリトカゲ

見れた鳥・さえずりが聞けた鳥
クロサギ・チュウサギ・ダイサギ・カルガモ・バン・イソシギ・チュウシャクシギ・ジシギSP・リュウキュウキジバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・カワセミ・ノグチゲラ・ツバメ・リュウキュウサンショウクイ・リュウキュウサンコウチョウ・イソヒヨドリ・ウグイス・セッカ・スズメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員