カザフスタン
Kazakhstan中央アジア諸国の中で一番大きな面積を持つカザフスタン。古くは突厥などの騎馬民族が活躍した草原とステップの国です。 石油と天然ガスが豊富な国ですが、タラス、オトラル、トルケスタンなど、歴史的、宗教的な見所も多い国です。また、西部のカスピ海沿岸はマンギスタウと呼ばれ、ウスチュルト台地には白亜の大地が広がります。
1991年の独立から、1997年にヌルスルタン(旧名アスタナへ)遷都されるまでカザフスタンの首都でしたが、現在でも同国最大の町です。 旧ソ連でも有数の美しい町として知られ、国立博物館には古の騎馬民族の残した遺産が数多く展示されています。なかでも、イシク・クルガンから出土した、黄金の衣装を纏ったサカ族の王子のレプリカが有名です。
イスラム教の聖者・ホジャ・アフメッド・ヤサウィの廟があり、現在も中央アジアからの巡礼者が絶えない聖地です。ヤサウィは、預言者モハメットが亡くなった年の63歳以降、地下で隠遁生活を送りました。 彼の廟は、ヤサウィ没後チムールが創建したもので、チムールゆかりのサマルカンドブルーのドームが美しく残っています 。
1218年、チンギス・ハーンはホラズム王国の町オトラルに使節団を送ります。しかしオトラルの城主・イナルチクは使節団を皆殺しにしたため、翌年チンギス・ハーンは報復のためオトラルの町を攻め落とします。この「オトラル事件」を機に、チンギス・ハーンの西方遠征が始まり、遠くヨーロッパまで遠征することになります。 また、オトラルは1405年、中国遠征の途中でチムールが没した場所でもあり、歴史上とても意義深い町です。
マンギスタウ州は、カザフスタンの14の州のうち、カスピ海に面した西部の州です。トルコ語で、「メン・ギストゥク」=「千の村」という意味を持ち、石油、天然ガスの他、ウランなどのレア・メタル(希少鉱物)に恵まれています。 カスピ海沿岸に広がるウスチュルト台地は、風雨の浸食が生み出した石灰質の大地の絶景が広がっています。白亜と呼ばれる白い岩の層は、地球の大陸がラウラシア大陸とゴンドワナ大陸に分かれていたときに、その中間に存在した海・テチス海の跡を伝えるもの。テチス海に存在した円石藻(えんせきそう)と呼ばれる植物プランクトンが長い年月をかけて大量に海底に蓄積しました。その海底が5000万年前頃に隆起し、その後のカスピ海の海進海退や雨・風の浸食を受け、現在の光景を造り出したと言われています。またマンギスタウには、かつてイスラム教徒が隠れるように礼拝していた地下モスクや、岩を刳り抜いて作った岩窟モスクが残っており、中でもベケット・アタ廟は、現在でも巡礼者が絶えることがない聖地になっています。