2006年のイスラエルの侵攻以来、治安も安定し、3年ぶりのツアー再開となったレバノン。5月は春にあたり、沿岸部には野花が咲き真っ青な空と地中海がとても美しい季節でした。 |

中東三大遺跡のひとつ、バールベック遺跡 |
レバノンは古代フェニキア人によって都市が築かれた場所で、約7,000年前から人が住みはじめたと言われています。フェニキア人達はレバノン杉でガレー船を造り、地中海に交易の場を求め勢力を拡大し、有名なカルタゴなどの都市を築いて行きました。レバノン杉はエジプト、ギリシャなどに輸出され、フェニキアの勢力は地中海全域へと広がっていったのです。
古代、国中に分布していたレバノン杉は、伐採により激減し、現在では6つの保護区にしか残っていません。そのうちのひとつ、レバノン山脈にあるブシャーレ近郊の保護区を訪れました。標高2000mにある保護区は冬の間雪に覆われ、5月から訪問が可能になります。現在、伐採は禁止され、国をあげての植林が進められています。しかし、成長が非常に遅いため、かつての様な森が復活するにはまだ何百年という月日が必要なのです。古い木は樹齢2000年を越え、ローマ時代からレバノンの歴史を眺めてきたという事実に驚かされるばかりです。
地中海沿岸にはビブロス、ティールなどのローマ遺跡が残り、世界遺産にも指定されています。フェニキアの衰退後、ローマ、ビザンチンの時代にも植民都市として繁栄を極め、現在見ることができるのはほとんどこの時代のものです。ビブロスを訪れた日は天気も良く、真っ青な地中海と野花が遺跡に彩りを加え、とても美しい場所でした。
旅のハイライトは後半、世界遺産のバールベック遺跡。中東三大遺跡のひとつとされ、保存状態も良く、かつての繁栄を今に伝える重要な遺跡です。ジュピター神殿にはひとつ1000トンもある巨石、高さ20mを越える柱が使用され、ローマ帝国最大規模とされています。遺跡の中に身をおくと、その昔数多くの隊商がこの地を訪れ、人々で賑わいを見せた風景が目に浮かんできました。
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古い木は樹齢2000年を越えるという
レバノン杉の森

ビブロス遺跡

ティール遺跡 |